ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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また時間かかってしまいました……


VS『三羽の闇鴉(バンディット・レイヴン)』!

「止まりなさい、不届き者め!」

 

「神聖なるこの場所に土足で踏み入れるとは、天罰を下すぞ!」

 

駆け付けた若手のエクソシスト達が『三羽の闇鴉(バンディット・レイヴン)』の3人を取り囲む

 

「ジョーズィ」

 

「ああ」

 

マリアの声に応じてジョーズィ・バリスタンは腰のホルスターから一丁の拳銃を素早く抜き、直ぐに元の位置に収める

 

理解不能の動作を見て怪訝に思うエクソシスト達だったが……刹那、その中の何名かが肩や腕、足、腹などを撃ち抜かれて倒れた

 

いったい何が起きたのか……?

 

「相変わらず(はえ)ぇな」

 

「さすが早撃ちガンマンね」

 

「たまには歯応えのある獲物を撃ちてぇよ」

 

つまらなさそうに愚痴るジョーズィ

 

どうやら銃で撃ち抜いたようだが、その初動作が全く見えなかった

 

横で見ていたゴリランドは柱の1本を左手で掴み、強引に引っこ抜いてぶん回す

 

風圧で周りの物を巻き込みながら、向かってきたエクソシスト達を薙ぎ払う

 

土煙が晴れると、辺りには倒れたエクソシスト達の姿が……

 

「壊すなって言った本人が壊してどうすんのよ?」

 

「ここに金目の物は()ぇから心配無用だ」

 

「あー、はいはい。そういう事ね」

 

マリアがやれやれと言った感じでいると、背後から2名のエクソシストが光の剣を振りかざしてきた

 

マリアは後ろを向いたまま、なんと右足を伸ばしてエクソシストの腹に強烈な蹴りを入れた

 

少なくとも1メートル以上伸びたマリアの蹴り足は深々と食い込み、そのままもう1名のエクソシストを巻き込んで壁に叩きつける

 

手応えならぬ、足応えを感じたマリアは壁に叩きつけたエクソシストに向かって吐き捨てる

 

「激弱っ」

 

エクソシスト達を一瞬で蹴散らした『三羽の闇鴉(バンディット・レイヴン)

 

奥へ進もうとすると、騒ぎを聞き付けた新、一誠、アーシア、ゼノヴィア、イリナ、シスター・グリゼルダと出くわす

 

「―――っ。アイツら……まさか『三羽の闇鴉(バンディット・レイヴン)』⁉」

 

「新、知ってるのか?」

 

「ああ、悪名高い3人組だ。殺人、強盗、誘拐に密輸、人身売買を手掛ける盗賊ギルド。そんな奴らが何故ここに……」

 

新達が身構えていると、『三羽の闇鴉(バンディット・レイヴン)』の方も新達を見て気付く

 

「マリア、ゴリランド、有名どころが登場してきやがったぞ。奴ら……グレモリー眷属の連中だ」

 

「へー、アイツらが?」

 

「ああ、噂には聞いてるぜ。赤龍帝(せきりゅうてい)とか言うヤツがいるんだよな? 確か名前は……兵藤不摂生(フセッセー)

 

「兵藤一誠だっ、イッセーッ! 俺は何回名前を間違えられれば良いんだよ⁉」

 

ゴリランドの言い間違い(笑)にキレる一誠

 

そんな彼を無視して、『三羽の闇鴉(バンディット・レイヴン)』の3人はアーシア、ゼノヴィア、イリナ、シスター・グリゼルダに目をつける

 

ジョーズィが(ふところ)から手配書らしき紙を取り出す

 

「元シスターの聖女にデュランダル使い、自称天使に……ここの支部長さまも居やがる」

 

「プッ、自称とか、笑えるっ」

 

(えれ)ぇベッピンが揃ってんな。売春ルートに出せば高値で売れそうだ」

 

意地汚く金の話をする3人に対し、シスター・グリゼルダが1歩前に出る

 

「あなた方、ここを何処だかお分かりですか? 三大勢力の協力体制下にある―――」

 

「うるせぇ」

 

BANG(バン)ッッ!

 

有無を言わさずシスター・グリゼルダに向けて発砲するジョーズィだが、新が瞬時に反応して弾丸を弾き返す

 

IDカードを着けている間は悪魔の力を使うと不具合が発生してしまうのだが、新は躊躇(ちゅうちょ)無く外して籠手を展開―――シスター・グリゼルダを凶弾から守った

 

シスター・グリゼルダの表情が険しくなる

 

「……どうやら話をするつもりは皆無のようですね」

 

「当たり前じゃん。ここが三大勢力の拠点の1つだって分かってるから、攻めに来たのよ。それが『造魔(ゾーマ)』からの仕事依頼なんだし。―――で、誰が誰の相手をするの? ゴリランド、ジョーズィ」

 

マリアが嘲笑しながら両脇の2人に言うと、まずジョーズィが切り出す

 

「そうだな……なら、俺はデュランダル使いと自称天使の相手をしよう。あの2人は剣士だからな、楽に仕留められそうだ」

 

「ちょっと! さっきから自称自称って失礼じゃない⁉ 私は本物の天使なのよっ!」

 

先程からの“自称発言”にイリナはプンスカと怒りを明らかにするが、『三羽の闇鴉(バンディット・レイヴン)』の3人は「違うの?」と異口同音に発する

 

あまりにも不遇な扱いにイリナは涙目で『三羽の闇鴉(バンディット・レイヴン)』を睨み付けた

 

一方、新と一誠はアイコンタクトを取りながら、お互いの相手をどちらにするのか決めようとしていた

 

『一誠、お前どっちを相手にする?』

 

『もちろん、あのムッチムチのお姉さんだっ!』

 

『言うと思った……。悪い事は言わねぇ、あの女は俺に譲れ』

 

『ふざけんな! これだけは譲らねぇぞ! 相手が女性なら俺の方が断然有利! 「乳語翻訳(パイリンガル)」&「洋服崩壊(ドレス・ブレイク)」で必殺必勝ものだろ⁉』

 

『バカ野郎、相手は裏の界隈(かいわい)でも有名な悪党どもだぞ? 実力は相当なものだろう。ここは俺がやるべきだ』

 

『いつもいつもお前にオイシイところばっかり持ってかれてる俺の身にもなれよっ! たまには俺にも譲れよっ!』

 

「何やらイヤらしい気配を感じますね。あとでキツめに問いただしておきましょうか」

 

新と一誠のアイコンタクト内容に気付いたのか、シスター・グリゼルダが半眼で見据えてくる

 

若干の寒気を覚えながらも、新はどうしようかと考察した末……1つの提案を浮かばせた

 

「仕方ねぇ……やるしかねぇか」

 

指をポキポキと鳴らす新を見て、一誠もその真意に気付いて拳を握る

 

「ああ、今回ばかりは話し合いの余地はねぇ。男と男の勝負だ」

 

いったい何を始めるのか……?

 

周りの皆が怪訝そうに(うかが)う中、新と一誠は全身からオーラを(ほとばし)らせ、1つの勝負に走った

 

その勝負とは―――ッ!

 

「「「「「ジャンケンっ⁉」」」」」

 

鬼気に満ちた空間で(おこな)われたのはジャンケンだった……

 

しかし、それはただのジャンケンではない

 

新と一誠はお互いの手を見て、超高速で自分の手を変え合っていたのだ

 

相手がグーを出せば自分はパーに変え、チョキに変えてくれば間髪入れずグーに変える

 

熾烈な変更合戦が繰り広げられた

 

『この勝負、絶対に負けられねぇ! 必ず勝って、あのお姉さんの相手をするんだっ! セクシーなボディスーツに包まれたおっぱい! くびれた腰つき! ムッチムチのお尻! これはもう俺が相手するしかないと言わんばかりのエロエロボディじゃないか! グフフッ、待ってろよ、お姉さんっ。直ぐに「洋服崩壊(ドレス・ブレイク)」して見事な裸体を拝んでやるぜっ!』

 

一誠は鼻の下を伸ばしながら、尚もジャンケンの手を変えていくが……

 

『一誠、そう言う気概を絡ませるのは構わねぇけど……読み違えたら意味ねぇぞ?』

 

ボソッと聞こえてきた新の言葉に、一誠はハッと我に帰ってジャンケン勝負に身を(とう)じる

 

しかし、新の手が一瞬だけフェイントを織り混ぜて、一誠の手を先走らせる

 

見事に引っ掛かってしまった一誠の手はパーを出しきる寸前、すかさず新は自分の手をチョキに変えようとする

 

『ヤバい……ッ! このままだと俺がパーで、新がチョキだ! 負ける……負けてしまう……ッ!』

 

頭では理解してても手が、体が追いつかない

 

このままパーを出した挙げ句、負けてしまうのか……?

 

その瞬間、一誠はマリア・ミルコビッチの肢体を(まぶた)の裏に浮かび上がらせる

 

浮き彫りのボディライン!

 

触り心地の良さそうなおっぱい!

 

エロく(くび)れた腰つき!

 

ムッチリと浮かび上がったお尻!

 

『エロは……全ての限界を超えるんだァァァァァァァァアアアアアアアアッッ!』

 

その瞬間、一誠の右手が限界を突破し―――衝撃波を放った……っ

 

最後の手が決まる刹那、凄まじい風圧が巻き起こる

 

新の手は―――チョキ

 

では、一誠の手は……?

 

「……まさか、あの状態から切り返すとはな」

 

自嘲するように言う新の視線の先に映ったのは―――パーではなく……腕に血管を浮かび上がらせ、至るところから血を流しながらもグーを出している一誠の手だった

 

一誠は右手の筋を痛めたが、エロパワーで勝利をもぎ取ったのだ

 

「分かったよ、お前に任せる」

 

新はそう言って『三羽の闇鴉(バンディット・レイヴン)』の1人、ゴリランド・ローニッシと対峙する

 

『や、やったぞ……っ。勝った……。でも、この勝負が終わるまで右手はあんまり使えないかも……っ』

 

一誠は痛めた右手を(さす)りながら、バツが悪そう表情を浮かべる

 

エロの為とはいえ、右手のダメージが予想以上に大きいものだったからだ

 

確かに代償は大きいが、得られたものは―――

 

「で、アンタがアタシの相手をするってわけね? そんな腕で戦えんの?」

 

マリアが挑戦的な笑みを浮かべながら訊くと、一誠は不敵な笑みで返す

 

「ああ、諸事情で右手を負傷したけど……ちょうど良いハンデだ! 何たって俺には秘策があるからな」

 

その秘策とは無論、『乳語翻訳(パイリンガル)』と『洋服崩壊(ドレス・ブレイク)』の変態コンボである(笑)

 

それぞれの相手が決まったところで、シスター・グリゼルダが新達に言う

 

「皆さん、首に下げたIDカードを外してください。今はまだ調整中ですので、教会関連の施設内で悪魔の力を使用すると何が起こるか分かりません。苦しくなるかもしれませんが……」

 

「心配いらねぇよ、シスター・グリゼルダ。コイツを外したら、せいぜい頭痛と寒気が酷くなるだけだ」

 

結構なハンデだが、この状況下では仕方がない

 

アーシアは非戦闘要員な為、今は外さずに待機している

 

外す必要があるのは一誠とゼノヴィア

 

2人はIDカードを首から外すと、途端に寒気が襲ってくる

 

これでとりあえずの準備は(ととの)い、それぞれの相手と対峙する面々

 

一誠は素早く禁手(バランス・ブレイカー)の鎧を身に纏った

 

それを見たマリアが口元を笑ませる

 

「へー、それが噂の赤龍帝(せきりゅうてい)ってヤツ? 見た目通り赤いのねッ!」

 

マリアはその場から右足を急激な勢いで伸ばし、アーシアを蹴り抜こうとする

 

一誠は咄嗟に背中のブーストを噴かし、マリアの伸びるキックからアーシアを守った

 

しかし、マリアの蹴りが腹に深々と突き刺さり……一誠は口から血を吐いた

 

マリアの蹴り脚が元に戻り、一誠は地に膝を付く

 

「イッセーさんッ!」

 

「だ、大丈夫だ、アーシア……っ。それより……いきなり何すんだよっ、アンタ……ッ!」

 

「何って、弱そうな奴を片付けようとしたらアンタが庇って来たんでしょ? 弱そうな奴から仕留めるのは殺しの基本―――知らないの?」

 

マリアは悪びれもせずに言った直後、再び蹴り脚を走らせる

 

狙いは勿論アーシア

 

一誠はその場から動けず、アーシアを守る為に盾にならざるを得なかった

 

激しい蹴りの嵐が吹く中、横目で見ていた新が一誠に対して毒づく

 

「一誠、やっぱりお前はエロが絡むと読み違えるよな。よりにもよって1番の手練(てだ)れ相手だぞ?」

 

新と対峙する巨漢―――ゴリランド・ローニッシが言う

 

「あのガキ、片腕でマリアの相手をする気か? 笑える」

 

「笑ってくれて構わねぇ。身から出た錆だからな」

 

久しぶりにS的な発言をする新

 

マリアは哄笑を上げながら、尚も一誠に“伸びる蹴り”をくらわせ続ける

 

「アハハハッ! 何よコイツ、案外大した事ないじゃんっ!」

 

「ぐ……っ! ちょっ、タンマタンマ! お姉さん、もう少しお手柔らかに! ゴムゴムの蹴りに加えてヒールっぽいブーツは痛いッ!」

 

右手を負傷している一誠はアーシアを守りつつ、伸縮自在の蹴りを一方的に受け続ける

 

さすがにヤバいかも……と察した一誠は、新にヘルプを求めた

 

「あの~、新? 今更で悪いんだけど相手を変えてくれない?」

 

「えー? なんでー? お前がやりたかったんだろー? 自分の言葉には最後まで責任を持て。俺から言えるのはそれだけだ。じゃ、そゆ事で」

 

「この人でなしぃぃぃぃぃぃぃっ!」

 

「俺は元々人間じゃないのでっ」

 

泣き叫ぶ一誠、笑う新

 

ゴリランドは「俺達よりヒデェ奴かもな」と(つぶや)き、太い両腕を振るってくる

 

大木のように太い豪腕が(くう)を走るが、新は難無く回避する

 

ゴリランドは舌打ちをしながらも、右手に持っていた巨大な拳銃を向け―――発砲する

 

耳を(つんざ)く爆音と共に飛び出す弾丸

 

新はスレスレで回避し、壁に巨大な弾痕が刻まれる

 

「……違法改造にも程があるだろ、その拳銃」

 

頬から血を流す新が毒づくと、ゴリランドは銃口から立ち込める煙を息で吹き消して言う

 

造魔(ゾーマ)の下につけば色々とコネが出来るんだよ。武器も兵器も密輸入し放題、金も儲け放題、オマケに殺しも好きなだけやれる。ボランティア精神で真っ当な生き方をしてるてめぇらの気が知れねぇよ。裏の世界に足を踏み込んでおきながら、良い子ちゃんのフリしてんのか? バカ丸出しだな」

 

「俺はなんて言われようと構わねぇ。それでも……一誠達は真剣に考えて、この世界を生きてるんだ。こんな俺にも“仲間”だなんて言ってくれる。そんな奴らを守る為に―――俺はこの世界に踏み(とど)まっているんだ。向かってくるなら容赦はしない……覚悟しとけ」

 

 

―――――――――――――――

 

 

一方、『三羽の闇鴉(バンディット・レイヴン)』の1人、ジョーズィ・バリスタンと戦っているゼノヴィアとイリナは間髪入れず放たれる銃撃に苦戦を()いられていた

 

ジョーズィは左手にも銃を(たずさ)え、2丁拳銃で彼女達を近寄らせない

 

使っているのはリボルバーなのだが、撃った後の再装填(リロード)の速度が異常に速い為―――ゼノヴィアとイリナは思うように距離を詰められずにいた

 

ジョーズィが嘆息してから言う

 

「剣士ってのは不便だよな。せっかくのデュランダルとやらも、こんな施設内じゃあ真価を発揮できやしねぇ。それとも玉砕覚悟で振り回してみるか? ま、生き埋めになるのがオチだけどよ」

 

「く……っ! 舐めるな……っ!」

 

苦虫を噛み潰した表情になるゼノヴィアだが、ジョーズィの言ってる事は正論だった

 

狭い室内ではデュランダル本来のパワーを発揮する事が出来ない

 

まさに宝の持ち腐れ……

 

それでもゼノヴィアはデュランダルを構え、突っ込んでいった

 

ジョーズィの弾幕射撃を(かわ)しつつ、何とか距離を詰めようとする

 

イリナも光力で生み出した槍を投擲して牽制し、ゼノヴィアをサポート

 

そして、ようやく太刀が届く距離にまで詰め寄る事が出来た

 

デュランダルを振りかざし、ジョーズィの頭上に振り下ろそうとした刹那―――

 

「甘いな」

 

ジョーズィがそう(つぶや)いた直後、拳銃のグリップからナイフの刃が飛び出し、振り下ろされるデュランダルの刃を受け止めた

 

実はジョーズィが持っている拳銃は遠近両用の武器だったのだ

 

ジョーズィはデュランダルを受け流し、左手の銃をゼノヴィアに向ける

 

Go(ゴー) to(トゥ) Hell(ヘル)……!!!!」

 

“地獄へ逝け”と言い、引き金を引く……!

 

BANG(バン)ッッ!

 

壁に刻まれた弾痕……っ

 

ゼノヴィアは……身を(よじ)らせてギリギリで銃撃を回避していた

 

背後に回り込もうとするゼノヴィア

 

ジョーズィは振り向きざまに右手の銃で撃ち抜こうとするが、ゼノヴィアがデュランダルから分離させたエクスカリバーで防ぐ

 

「二刀流はお前だけじゃないっ!」

 

「俺は“二刀流”じゃなくて“2丁拳銃”だがな」

 

謎の口論をしながらジョーズィが身を(ひるがえ)し、2丁拳銃を乱射

 

ゼノヴィアは滑り込むように銃撃を(かわ)し、ジョーズィがその場から跳ぶ

 

ゼノヴィアの頭上に跳んだジョーズィは、逆さまの体勢のまま銃口を向けた

 

けたたましく鳴り響く銃声

 

ゼノヴィアはギリギリで回避したものの、先程までゼノヴィアがいた場所には無数の弾痕が刻まれていた……

 

着地し、再び相対するゼノヴィアとジョーズィ

 

「……Good(グッド)! 剣士にしては良い動きしやがるじゃねぇか。俺の早撃ちをここまで避けた奴はお前が初めてだ」

 

造魔(ゾーマ)の傘下に入った悪党に褒められても嬉しくないんだがな」

 

「へっ、そうかよ」

 

ジョーズィは両手の拳銃をクルクル回し、再び銃口をゼノヴィアに向ける

 

遠距離では分が悪く、接近戦でも決定打を決められない……

 

「直ぐにThe() End(エンド)にしてやるぜ」

 

引き金を引こうとした瞬間、ジョーズィは小さな違和感に気付く

 

自分が相手にしているのは目の前のゼノヴィア

 

そして、もう1人―――イリナだが、その姿が少し前から見当たらない

 

警戒心を強め、目でイリナを探すジョーズィ

 

刹那、気配を察したのか……ジョーズィは背後に向けて銃を乱射した

 

しかし、全ての銃弾はイリナを捉える事も無く、壁に食い込むのみ……

 

その一瞬の隙を突いてゼノヴィアが真っ正面から飛び出す

 

ジョーズィは直ぐに両手の拳銃をゼノヴィアに向けようとするが……右手だけが何かに掴まれたかのように動かせない

 

突然のアクシデントにジョーズィは判断が遅れ、悪あがきとばかりに空いてる左手の銃でゼノヴィアを撃ちまくる

 

ゼノヴィアはデュランダルを盾のように構えて銃弾を防ぎ、距離を詰めてエクスカリバーでジョーズィを斜め下から斬り払った

 

体の前面から血を噴き出すジョーズィ

 

銃を落とし、傷口に手を当てながら足取りをふらつかせる

 

「……何故だ、何故剣士ごときに俺が……っ? それに……あの天使の女は何処に消えやがった……っ?」

 

憎々しげに言うジョーズィに対し、ゼノヴィアは「種明かしをしてやろう」と得意気に言う

 

その直後、ゼノヴィアの隣にイリナの姿が見え始めた

 

イリナもフフンと自慢げに言う

 

「さっきゼノヴィアがデュランダルからエクスカリバーを分離させる時、実は(ひそ)かにもう2本のエクスカリバーも分離させていたのよ。透明になれるエクスカリバーと、擬態のエクスカリバーをね」

 

「私が囮になっている間にイリナがトランスペアレンシーの能力で透明になり、ミミックの能力ででお前の片腕を封じた。そこを斬らせてもらったと言うわけだ」

 

いつの間にかジョーズィは2人の術中に嵌まっていたようだ

 

長年コンビを組んできたからこそ、阿吽の呼吸で実現できたのだろう

 

ジョーズィは舌打ちをして、最後に毒づきながら天を仰ぐように倒れた

 

「話が違うじゃねぇか……っ。デュランダル使いの方は……ただのパワーバカじゃなかったのかよ……っ」

 

“パワーバカ”発言にゼノヴィアは「もう一度斬ってやろうか」とむくれていた(笑)

 

 

――――――――――――――

 

 

場面変わって、新VSゴリランド戦

 

こちらは殴り合い等の白兵戦が目立ち、今のところは新が優勢だった

 

ゴリランドが持っていた巨大な拳銃を握り潰し、黒い火竜を纏わせた拳を向ける

 

「さーて、そろそろトドメと行こうか?」

 

「フン、それはこっちの台詞だ。ガキめ」

 

そう言った直後、ゴリランドの体が端々から消え始める……!

 

足も、腕も、遂には全身が全く視認できなくなった

 

ゴリランドの消失に新は一層身構えるが、突如殴られたような衝撃が走る

 

新は直ぐに視線を向けるが……やはりゴリランドの姿は無い

 

右から、左から、前から、後ろからとボコボコに滅多打ちにされてしまう

 

『クソ……ッ! まさか、コイツ……透明になれるのか⁉』

 

新の考えは正しく、ゴリランドは自身を透明にできるのだ

 

この能力の正体は神器(セイクリッド・ギア)―――『姿無き狩人(ハイド・アンド・シーカー)』によるものである

 

透明と化したゴリランドの猛攻が続き、新の顔が血に染まっていく

 

何とか活路を見出だすべく、目を逸らさずゴリランドの姿を追おうとする

 

しかし、透明になっているので見つける事など出来るわけがない

 

ゴリランドの殴打が一旦止まり、ボンヤリと姿を現す

 

新は親指で右の鼻孔を押さえ、フンッと左の鼻孔から鼻血を噴出させる

 

「なるほど、さすがは悪名高き盗賊どものやる事だ。コソコソ隠れて殴るのが趣味か」

 

「てめぇ、まだそんな減らず口が叩けるのか。俺が今まで何人殴り殺してきたと思ってる?」

 

「さあな。だが……だいたいの目星は付いた。今度こそ次で決めてやるよ」

 

新の不敵な台詞にゴリランドはイラつき、舌打ちをする

 

「だったら、お望み通り殺してやるよ」と前置きをしてからゴリランドは再び姿を消してきた

 

それに対して新はその場から1歩も動かない

 

まるで“何処からでもかかってこいよ”と言わんばかりに無防備な姿を晒している

 

それでも視線だけは戦意を灯しており、周囲を隈無く見渡す

 

『バカなガキだぜ。目視で俺を捉えられると思ってんのか? 次は頭を砕いてやる』

 

透明状態のゴリランドは新の頭上に回り込み、太い両手を合わせた体勢で落ちてくる

 

両手を合わせたハンマーナックルで新を粉々にするつもりだろう……

 

射程距離に入った刹那―――

 

「そこかッッ!」

 

「――――ッッ⁉」

 

いきなり居場所がバレた事に驚愕するゴリランド

 

新は右手から黒い火竜を解き放ち、頭上にいたゴリランドを焼き払った

 

全身を焼かれ、透明状態から元に戻されたゴリランドは黒煙を立ち込めながら地に落ちる

 

黒焦げと化したゴリランドがピクピクと体を痙攣させ、「な、なんで俺の居場所が分かったんだ……っ?」と信じられないように問う

 

その問いに新が答える

 

「調子に乗って俺を殴りまくったのが運の尽きだったな? お前の体に付いた俺の返り血が居場所を教えてくれたんだよ」

 

「返り血だと……⁉ バカな……ッ! 確かに付着したが、俺の神器(セイクリッド・ギア)で透明にした筈―――」

 

「その能力、匂いまでは消せてねぇだろ?」

 

「に、匂い……ッ⁉」

 

「そうだ。姿形は消せても匂いまでは消せなかった。それにお前の両腕―――ソイツは義手なんだろ? 油臭さがプンプン匂うから、分かりやすかったぜ。それに俺の血の匂いも合わされば……目を瞑ってても居場所を割り出せる。最近の俺は鼻が利くようになってきたからな」

 

散々殴られたお返しか、皮肉めいた台詞で一蹴する新

 

詰めが甘過ぎたゴリランドはそのまま意識を失った

 

 

―――――――――――――

 

 

一誠VSマリア戦

 

こちらの戦況は(かんば)しくないものだった

 

マリアの伸縮自在の蹴りを一身に受け続ける一誠

 

度々(たびたび)アーシアを狙い続けてくるので、攻撃に転じる事が出来ない

 

「んで、いつまでお姫様を庇ってんのよ? クソガキ」

 

「ぐ……っ。遂にクソガキにまでグレードダウンしちまったか……っ」

 

「そっちの金髪お姫様を狙ってりゃ、勝手に攻撃を食らってくれる。バカ丸出しじゃない。右手を怪我してまでアタシと戦いたがってた割りには大した事ないわね」

 

呆れた表情で毒づくマリアにムカッときたのか、一誠は魔力を高め始めた

 

「さすがにそこまで言われたら、黙っちゃいられないよな。良いぜ、アンタの度肝を抜かせてやるっ!」

 

「へー、面白いじゃない。やれるもんならやってみなさいよッッ!」

 

マリアは再び伸縮自在の蹴りを連続で見舞ってきた

 

一誠はその全ての蹴りをガードしつつ、1歩ずつ前へと進んでいく

 

マリアは伸ばした右足を一誠の左腕に絡め、伸縮性を利用した飛び膝蹴りを食らわせる

 

顔面にクリーンヒットしたせいで一誠の兜は破損し、背中から倒れ込む

 

更にマリアは尖ったブーツで一誠の右手を踏みつける

 

先程のジャンケンで負傷した右手を踏み抜かれ、一誠の顔が苦痛に歪む

 

「中途半端に紳士ぶってバカね、アンタ」

 

「そう笑っていられるのも……今のうちだっ!」

 

踏みつけられながらも一誠は左手でマリアの足に触れ、久々たる“あの技”の条件を整えた

 

そして、指パッチンと共に―――

 

「食らえっ! 洋服崩壊(ドレス・ブレイク)ッッ!」

 

指を鳴らした瞬間、マリアのボディスーツが弾け飛び―――(またた)く間に彼女は全裸となった

 

一誠は倒れた体勢でいる為、全裸となったマリアの○○○(ピー!)も丸見え

 

破損した兜の隙間から鼻血を噴出した

 

『やはりお祓いをした方が良さそうですね、それも念入りに……』

 

一瞬シスター・グリゼルダの良からぬ幻聴が聞こえた気もするが、そこはとりあえず後回し(笑)

 

「グフフッ、どうだ⁉ おっぱいもお尻も丸見えっ! これでもう戦闘は出来ないだろうっ!」

 

「………………で、これが何?」

 

「え……いや、だから、俺の必殺技ドレス・ブレイクでして―――」

 

「ああ、これが噂に聞く変態技ね。―――だから?」

 

なんとマリアは怯んだり恥じらうどころか平然としていた……!

 

おっぱいもお尻も○○○(ピー!)も丸見えであるにもかかわらず、踏みつけの体勢を緩めない

 

初めての体験に一誠は焦燥感に駆られた

 

「な、なんで平気なんだ⁉ 女性なら普通は『キャーッ!』とか『イヤーッ!』とか言って恥じらう筈なのに!」

 

「別にぃ、造魔(ゾーマ)の下についた時から女なんて捨ててるし。そんなのいちいち気にしてたら生き残れないわ」

 

マリアはそのまま足を頭上に掲げ、カカト落としの体勢を取る

 

勿論、丸見えの○○○(ピー!)が視界に映った為、一誠は更に鼻血を噴かせる

 

「アタシが欲しいのは大金と―――相手を殺した時に得られる快感よッッ!」

 

迫り来るカカト落としに対して、一誠は背中のブーストを噴かし―――推進力を利用してマリアを引き離した後、体勢を立て直す

 

吹き飛ばされたマリアだが、こちらも直ぐに体勢を立て直して着地する

 

「じゃあ、そろそろ殺してやるわっ」

 

ドロリ……ッ!

 

突然マリアの全身が歪みだし、ゼリーのような不定形へと変貌していく

 

奇妙な現象に一誠は驚愕、液状化したマリアが地を這うように高速で詰め寄る

 

一誠の全身に絡み付き、両手両足を拘束した

 

「な、何だよ、コレ……ッ!」

 

引き剥がそうと一誠はもがこうとするが、それも叶わず……

 

マリアが全裸の上半身を具現化させて一誠の首を絞めに掛かる

 

「アタシはね、変形粘獣(シェイプ・シフター)って言うスライムの亜種なのよ。体をどんな形にも変えられるってわけ。体が伸び縮みするのもスライムの特性よ」

 

マリアの正体は人型のスライムだった……

 

スライムゆえに手や足を伸縮自在に伸ばせる

 

マリアの正体を知った一誠は……唐突に思い出し泣きをした

 

「くぅぅぅぅ……っ。スラ太郎……っ、触手丸ぅぅぅぅ……っ」

 

「なんで泣いてんのよ」

 

「……グスッ、いや、使い魔にしたかった俺の友の死を思い出して……っ」

 

思い出話に浸る気は無いのでマリアは首絞めに力を入れる

 

首の骨が軋み、頸動脈を絞められて窒息感が増す

 

「まあ、とりあえず死になさいよ。裸の女に抱かれながら死ねるって男の夢でしょ?」

 

「……ッ! 悪いけど、童貞のままで死ぬのはゴメンだ……ッ!」

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)!!!!』

 

Transfer(トランスファー)‼‼』

 

窒息しかける中、一誠は僅かな空気を吸って腹の中に種火を作り、それに増大させた魔力を譲渡

 

そして……口から大火力の火炎を吐き出した

 

自らを焼く勢いで出した捨て身の火炎放射

 

一誠の体に絡み付いていたマリアも火に焼かれる

 

「――――ッ⁉ アンタ正気……っ⁉ どんな自爆攻撃してんのよ……っ!」

 

「なり振り構ってられないからな……ッ! 造魔(ゾーマ)の連中を退(しりぞ)けるには、これぐらいの無茶しねぇとよ……ッ!」

 

「ハッ、それこそ無理な話ねっ! 造魔(ゾーマ)には想像を絶するバケモノが大勢いるのよッ! 国ごと凍り漬けにする悪魔殺しとか、近付いただけで命を()ってくる死神とか、得体の知れないフランス被れの奴とか! それだけでも卒倒ものだってのに……魔剣聖(ヴァンキッシュ)ってボスは人外魔境(じんがいまきょう)を超えてるし、幹部以外にいる奴らだって凶悪な猛者揃いなのよっ! 命がいくつあっても足りないわっ! そんな連中に歯向かうとか、アンタら三大勢力は頭おかしいんじゃないのっ⁉ あー、既に頭おかしくなってんのね! だから未だに死人が多いのかしら⁉」

 

マリアはこれでもかと言うぐらいの暴言を吐きまくるが、一誠は轟々(ごうごう)と燃え盛る火に耐えながら反論する

 

「そんな連中がいるからっ、俺達だって必死になって……平和を維持させたいんだッ! 造魔(ゾーマ)を野放しにしておけば、また誰かが理不尽に苦しめられる……ッ! そんな世界が嫌なんだよ、俺達は……ッ! だから……相手が誰だろうと戦うしかないんだッ! 敵が果てしなく強大で凶悪な事ぐらい分かってんだよッ! それでも……俺は赤龍帝(せきりゅうてい)で、『おっぱいドラゴン』だから―――逃げるわけにはいかないんだよっ!」

 

一誠の叫びに呼応したのか、炎の勢いが一層増していく

 

平穏な日常を守る為、子供達の笑顔や未来を守る為、造魔(ゾーマ)に屈するわけにはいかない……っ!

 

確かに造魔(ゾーマ)は今までに無いほど恐ろしい組織であり、首領たるバサラ・クレイオス、その周りを囲む幹部格もバケモノ揃い

 

並大抵じゃない事ぐらいは百も承知……

 

だからこそ、平穏な世界に蔓延(はびこ)らせてはいけない……っ

 

一誠の気迫に気圧(けお)されたのか、マリアは―――

 

『今のご時世にヒーロー気取りとか、ピュア過ぎるでしょう……っ』

 

(なか)ば諦めた感じで愚痴ったが、その表情は何処となく安らかなものだった

 

 

―――――――――――

 

 

「では、イッセーさま。彼女達の移送は責任を持って私達が請け負います」

 

「助かるよ、ユキノさん。それにしても驚いたな。まさかユキノさん達がこの近くに来ていたなんて」

 

「万が一の保険にと、アザゼルさまより(おお)せつかって参りました」

 

三羽の闇鴉(バンディット・レイヴン)』との戦いは新達の勝利に終わり、アーシアの神器(セイクリッド・ギア)で傷も完治

 

マリア、ゴリランド、ジョーズィはユキノ達に身柄を拘束されていた

 

ユキノ、ディマリア、チェルシーらは事前にアザゼルから『念の為、イッセー達が向かう施設の付近で待機していてくれ』と頼まれ、現在に至るのだ

 

その上、彼女達の中にはもう1人見知った女性もいる

 

「ヤッホヤッホ、赤いドラゴンくん。ユキノから聞いてるゾ。ワタシの妹も助けてくれてありがとだゾ♪」

 

露出度の高い水着のような格好で可愛くウインクしてくるのはユキノの姉―――ソラノ・アンジェル

 

彼女もまたアザゼルの口利きにより、ユキノ達と共に行動できる権限が与えられたのだ

 

ソラノは一誠の首に両腕を回し、自分の胸を押し付けるように密着してくる

 

ユキノに負けず劣らずのおっぱいが形を歪め、一誠は「ふおおっ⁉」と驚く

 

「ユキノはキミに夢中みたいだし、ワタシもゾッコンだゾ……。この後でシッポリと姉妹丼でもご馳走してあげようか―――だゾ?」

 

「えええっ! マ、マジっすか⁉」

 

「ソラノお姉さま、しまいどんって何でしょうか?」

 

無垢なユキノにソラノが耳打ちで“姉妹丼”の意味を教えると……途端にユキノは顔を真っ赤にして、一誠を見ながらアワアワと挙動不審になってしまう

 

一誠は驚きながらもソラノとユキノ―――姉妹とのイチャラブ場面を想像するが……

 

「一誠、そのニヤケ(づら)はやめておけ。おっかないシスターが目を光らせてるからな」

 

新の一言でハッと我に返る一誠

 

その意味通り、シスター・グリゼルダが迫力ある笑顔で睨んでいたのだ

 

「……やはり、お祓いをした方が良さそうですね。念入りに、タップリと10時間ほどかけて」

 

「いやぁぁぁぁぁっ! 助けてぇぇぇぇぇええっ!」

 

シスター・グリゼルダの気迫とお祓い宣言に一誠は取り乱し、緊迫状態だった空気が少しだけ(なご)

 

だが――――っ

 

「……っ。どうやら、まだ奇襲は終わってねぇようだな」

 

気配を気取った新が警戒を強めた口調で言う

 

その瞬間、ガシャァァァンッ!と窓の割れる音が内部に響き渡り……何者かがシスター・グリゼルダに襲い掛かっていく

 

その正体は―――造魔(ゾーマ)の尖兵トランザー

 

「死ね」

 

淡々と告げるトランザーは太い腕から生えている(ヒレ)で、シスター・グリゼルダの首を切断しようとする

 

しかし、いち早く気配を察した新が防いだ事で失敗に終わる

 

殺害に失敗したトランザーは一旦距離を取り、ゴキッと指を鳴らす

 

「てめぇは……あの時のサメ野郎ッ!」

 

「また会ったな、赤いトカゲもどき。今回は温情など掛けんぞ。確実に殺す」

 

「こっちだって、やられっぱなしでいてたまるかっ!」

 

一誠は再び禁手(バランス・ブレイカー)の鎧を着込み、背中のブーストを噴かして加速

 

トランザーに拳打を見舞うが、トランザーは強靭な肉体で容易(たやす)く防ぐ

 

だが、奇襲はトランザーだけではない……

 

直ぐにもう1人、シスター・グリゼルダと新の前に人影がやって来る

 

若草色の髪に色黒の肌をした男だ

 

「―――ボオッ」

 

男がそう呟いた途端、巨大な炎が発生し―――新とシスター・グリゼルダを呑み込もうとする

 

新は瞬時にリュオーガ族直伝の“竜の呼吸法”で炎を吸い込み、難を逃れた

 

シスター・グリゼルダが驚きを隠せない表情で言う

 

「あなたは、そんな事も出来るのですか……?」

 

「ああ、ドラゴンの欠片で創られたからこそ会得した力だ。今じゃ頼もしい限りだ」

 

炎を喰い終わった新がもう1人の襲撃者を見据える

 

「さっきの攻撃……妙に覚えがあるんだが、テメェ何者だ?」

 

「我に名は無い。……否、名はあるようだ。我は深淵たる尖兵―――厄災(やくさい)のテンペスターなり」

 

「……ッ⁉ テンペスターだと⁉ あの時の獣人みたいなヤツか⁉ 丸っきり別人じゃねぇか!」

 

驚く新にトランザーが捕捉する

 

「姿形は別物だが、ソイツは紛れも無くテンペスターだ。ヤツは再生する(たび)に姿を変えられるらしい。……確かセイラと言う娘の要望で今の姿になったと聞いたんだが」

 

「それにしてもビフォーアフターが過ぎるだろ⁉ ……ったく、ややこしいったらありゃしねぇ」

 

改めて対峙する新とテンペスター

 

テンペスターが静かに口を開く

 

「お前、我の記憶に残っている。我が1度滅びる羽目になった者。今度は我が貴様を滅ぼす番だ」

 

「そうかい。だったら今度はモデルチェンジ出来ないように―――徹底的にやってやる」

 

赤龍帝(イッセー)VSトランザー

 

闇皇(アラタ)VSテンペスター

 

因縁とも言える四者、その戦いの火蓋が切って落とされる……っ!




次回はトランザー、テンペスターとのリベンジマッチです!

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