ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

217 / 263
やっと書けました……!

最近は話を考えるのに時間が掛かりすぎてしまい、本当に申し訳ございません……っ。




黄泉戸喫(ヨモツヘグイ)のアスタロト(後編)

「はぁ……今日の事が夢だったとしても、文句は無いかも……」

 

露天湯近くに設けられている簡易休憩所

 

一誠はニヤニヤ顔で温泉でのおっぱいパラダイスの余韻に浸っていた

 

アーシア達もベンチに腰掛け、風呂上がりの牛乳を飲む

 

一方、幽神兄弟は疲れを取るどころか―――逆に疲弊した様子だった……

 

悪堵はベンチの背もたれに体を預け、虚ろな表情で終始「あ~……」と唸るだけ

 

正義にいたっては輸血パック3個同時使用でベンチに寝転がっている……

 

ジュビアは正義の看病に付きっきり、シャルルは別の意味で逆上(のぼ)せてしまったウェンディの介護

 

リント、ヒメガミ、フローラはそれぞれフルーツ牛乳やコーヒー牛乳を飲んで(くつろ)いでいた

 

一誠は面白がって幽神兄弟に「おやおやぁ、“混浴”露天湯で何が遭ったんだぁ?」と詮索しようとするが―――

 

ソ レ イ ジョ ウ シャ ベ レ バ コ ロ ス

 

幽神兄弟は無言の威圧を放ち、殺意に満ちた目で一誠を睨み付ける

 

さすがの一誠も彼らの異様な気迫に“ヤバい”と察し、訊くのを止めた

 

10分程経過したところで輸血を終えた正義がようやく復活し、ジュビアが渡してくれた水を飲む

 

そこへやって来る1つの人影

 

「あ、トレミーくん」

 

「ジュビア姉さん、その呼び方はやめてって言ったよね?」

 

やって来たのはアスタロト家の末弟トレミス・アスタロト

 

一誠は彼に対して苦手意識を(かか)えていた

 

初対面でいきなり“病原菌”と言われては無理もない……

 

ディオドラとはまた違った不気味さが垣間見える

 

トレミスは一誠の方を見て質問を飛ばす

 

赤龍帝(せきりゅうてい)、1つ訊いて良いかい?」

 

「な、何だよ?」

 

「アンタ、ディオドラ兄さんの事はどう思ってる?」

 

いきなり答えにくそうな質問に場の空気が静まり返る……

 

一誠はなんと言ったら良いのか思慮していると、トレミスが一誠の答えを待たずに言う

 

「まあ、(こころよ)い印象は皆無だよね。アンタからアーシアさんを奪う為に『禍の団(カオス・ブリゲード)』と手を組んだんだからさ」

 

そう言ってトレミスは小型の機械を取り出し、宙に映像を映す

 

投影されたのはディオドラとのレーティングゲーム時の映像

 

その中でも鎧を纏った一誠がディオドラを圧倒している場面だった

 

突然の映像に一誠は驚き、この映像を見ながらトレミスが語り始める

 

「僕はアジュカさんと同じく技術に達者でね。三大勢力のシステムにハッキングして、レーティングゲームやその他の記録映像は全て入手してるんだよ。その中でも僕が特に目を付けたのは―――ディオドラ兄さんとのレーティングゲーム時の映像さ」

 

「どうしてだよ?」

 

「アンタの甘さが如実に出ていたからだ」

 

トレミスの一言に一誠の表情が固まり、トレミスは話を続ける

 

「ディオドラ兄さんを完膚無きまでにボコボコにしたのは良いさ。ただ、問題はその後だ。この時、アンタはディオドラ兄さんを殺そうとせずに警告だけで済ませた。なんでかなぁ?」

 

「……っ!ディオドラはお前の兄だろ……っ?なんで、そんな事を平然と―――」

 

「それがダメなんだよ、赤龍帝(せきりゅうてい)。ディオドラ兄さんは純血悪魔のプライドにまみれ、性根まで腐りきった高慢(こうまん)ちきさ。実際、シャルバ・ベルゼブブが乱入してきた時も懲りずにアンタを殺そうと提案したぐらいだ。アンタは上の連中に処分を任せようとしたんだろうが、そんな事でディオドラ兄さんの腐りきった根性は直ったりしない。当然の(むく)いってヤツじゃないか」

 

「トレミーくん……っ」

 

トレミスのディオドラに対する侮蔑と罵倒にジュビアもショックを受けざるを得なかった

 

それでもトレミスは口を止めない

 

「聞けば赤龍帝(アンタ)の囲ってる女も、そこにいる2人も元々は『禍の団(カオス・ブリゲード)』の構成員だったり、父さんや姉さんを殺そうとした教団だったそうじゃないか」

 

トレミスが一誠側にいるユキノ、ディマリア、チェルシーを指差し、次に正義の近くにいるヒメガミとフローラにも指と視線を向ける

 

「敵だった奴らを引き連れるだなんて、正気の沙汰じゃないね。あまりにもお人好し過ぎるよ。物事には踏ん切りをつけなくちゃ。アンタ達がやってる事は単なる自己満足、正義感気取りの偽善なんだよ」

 

トレミスの言い草に正義はデジャヴを感じた

 

かつて自分が一誠に対して言った台詞がそのまま飛んできたからだ……

 

心中で“耳が痛いな”と自嘲する正義

 

確かに自分もアーシアと一誠に感化され、以前のような危険度は和らいでしまった

 

トレミスが一誠に視線を戻して言う

 

「要するに、アンタに足りないのは“冷血さ”なんだよ。敵にまで同情する赤龍帝(せきりゅうてい)―――僕から見ればマヌケの極みだね。アジュカさんの贔屓(ひいき)を受けておきながら、肝心なところでお人好しが出て(わざわ)いを招く。まさに性質(タチ)の悪い病原菌さ」

 

「……言いたい放題、言ってくれるじゃないか……っ」

 

「あん?本当の事を言われて怒った?違うと言い張るなら、赤龍帝らしく力でねじ伏せてみろよ。言っておくけど、僕をディオドラ兄さんのような無能と一緒だと思わない方が良いよ」

 

トレミスが右手を頭上に掲げ、アスタロトの紋様が入った魔法陣を展開する

 

彼が展開したのは結界用の魔法陣で、広範囲に及んで外部からの干渉を一切遮断する効果がある

 

邪魔が入らない為の措置だろう

 

「ところでさぁ、赤龍帝。アンタ、黄泉戸喫(よもつへぐい)って言葉を知ってるかい?」

 

「……ヨモギのヘソクリ?」

 

「全然違うっ」

 

素っ頓狂な聞き間違いを出した一誠に対し、正義が“黄泉戸喫(よもつへぐい)”の意味を説明する

 

黄泉戸喫(よもつへぐい)とは“あの世の食べ物を食べる事”を意味する言葉だ。日本神話の女神―――イザナミは死後、死者の国の食べ物を口にした事で黄泉から出られなくなり、夫のイザナギに対して『地上の人間を毎日1000人殺す』と呪いの言葉を放った」

 

なかなかエグい話に一誠は若干引き、トレミスが続ける

 

「ゆえにイザナミは黄泉津大神(ヨモツオオカミ)と言う別名を持つようになった。死者の国の凄い神って意味合いを込められてね」

 

「けど、それとお前に何の関係があるんだよ?」

 

「厳密に言えば関係無いさ。ただ……僕が作った“コイツ”にはそういう意味がピッタリ合うんじゃないかと思ってるだけ」

 

トレミスが自分の衣服を(めく)ると―――彼の腹部におぞましい造型の器具が埋め込まれているのが見えた……

 

まるで幾つもの死人の顔が重なり合い、今にも呪詛を放ってくるようだった

 

「何だよ、その気味悪いものは……っ?」

 

一誠が恐る恐る訊くと、トレミスは口の端を吊り上げて語り始める

 

「コイツは僕が独自に製作した人工神器(セイクリッド・ギア)さ。神器(セイクリッド・ギア)のシステムに『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』のシステムを掛け合わせて、出力増強に特化させた(まが)い物と言ったところか。装着者の生命力をそのままパワーに変換する―――要するに神器(セイクリッド・ギア)の超危険版ってわけ」

 

「せ、生命力⁉つ、つまり……自分の命を削るって事か⁉」

 

「ああ、そうさ。強さを手に入れる為に命を削るのは当然のリスクじゃないか。ただし、人間などの寿命だと直ぐに力尽きてしまう。だから……永遠に近い時を生きる悪魔の生命力を変換すれば、より強大なパワーが発揮される……!アザゼルやアジュカさんさえも踏み込もうとしなかった領域を、僕はいち早く(みずか)ら踏み込んだのさ!」

 

「そんなヤバいものを使って、お前は何をするつもりなんだよ⁉」

 

一誠の問いにトレミスは当然のように言い放った

 

「決まってんだろ?個人的に気に入らないアンタをダシにして、僕の研究成果を(のこ)す。ただ運良く神滅具(ロンギヌス)を宿したアンタに打ち勝つ事で、僕の技術は神滅具(ロンギヌス)を超えられるって事を証明する!その為なら―――自分の命なんざ惜しくないッ!」

 

トレミスは嬉々として人工神器(セイクリッド・ギア)を起動させた

 

その瞬間、連なった死人の顔から暗雲が吐き出され、トレミスの全身を覆い隠していく

 

Yomotsuhegui(ヨモツヘグイ) Demon's(デモンズ) Breaker(ブレイカー)……‼‼』

 

おどろおどろしい音声が発せられ、バチバチと赤黒い雷が(ほとばし)り始めた

 

暗雲が発する瘴気(しょうき)に当てられたのか、辺り一帯の木は(またた)く間に枯れ果て、一誠達に怖気(おぞけ)が走る……

 

「ウッ!グ、かは……っ!……んぎ、がっ、アァァァアアアアアアアアアアアッ!」

 

「トレミーくんっ!」

 

あまりにも負荷が大きいのか、トレミスは苦悶に満ちた絶叫を上げる

 

ジュビアは止めようと彼に駆け寄るが、激しくうねる暗雲によって弾き飛ばされてしまう

 

弾き飛ばされたジュビアを起こすウェンディとシャルル

 

正義は左足に脚甲を展開して身構える

 

「兵藤、どうやらヤツに話は通じないみたいだ。さっさと構えろ」

 

「分かってる……分かってるけど……!どう考えたっておかしいだろ⁉自分の研究を残す為だけに俺と戦うとか!その為なら死んでも良いとか!そんなの……っ」

 

「ヤツを止めたいのか?だったら、腕ずくで止めろ。話が通じない奴を止めるには―――それしか無い」

 

「……!チックショウ……っ!」

 

やむを得ず一誠は禁手化(バランス・ブレイク)して、鎧を身に纏った

 

しかし、今は本調子ではないのでトリアイナも真・『女王(クイーン)』も使えない……

 

トレミスは尚も絶叫を上げ続け、その場をよろめきながらも周囲に(ただよ)っていた暗雲を振り払う

 

―――トレミスは異形の姿と化していた……っ

 

臙脂(えんじ)色と呼ばれる血のように(にご)った色の兜と鎧を纏い、深緑の輝きを放つ眼孔

 

禁手(バランス・ブレイカー)とは似ても似つかぬ異質な力……

 

息切れを起こしながらトレミスは右手を前に突き出す

 

すると、再び人工神器(セイクリッド・ギア)の顔からオーラが放出され―――トレミスの右手にまとわりつく

 

やがてオーラは形を成し、遂には銃のような武器が生成された

 

ただし、それは普通の銃とは違い―――トレミスの右手と一体化したような形で生まれた

 

銃口に紫色のオーラが集まり、無数の波動弾が掃射される

 

一誠は即座にドラゴンショットで相殺(そうさい)しようとするが……弾幕射撃の勢いに勝てず、何発か被弾してしまう

 

堪らず後方に吹き飛ぶ一誠

 

トレミスは逃さず追撃とばかりに波動弾を撃ち込む

 

「「『禁手化(バランス・ブレイク)』ッッ!」」

 

幽神兄弟は揃って禁手(バランス・ブレイカー)となり、オーラを纏わせた蹴りと拳で弾き返そうとする

 

だが、それでも銃撃の勢いを殺せず―――先程の一誠と同じく後方へ吹き飛ばされる

 

「いってぇ……っ、何なんだよ、このとんでもない力は……⁉」

 

「自分の生命力を変換している分、パワーが桁違いだ……。まさに諸刃(もろは)の剣と言ったところか……ッ」

 

「ハハハハハ……っ!まだまだ、こんなのは序の口さァ!」

 

哄笑を上げて突撃していくトレミス

 

左手を掲げると―――今度は円形状の刃が形成された

 

恐らく『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』のプロモーションシステムを応用し、武器の量産を可能にしたのだろう

 

トレミスは具現化させた円形状の刃を3人に向かって投げつけ、更に時間差で銃撃を見舞う

 

一誠達は円形状の刃を1度は避けるものの、直後に放たれた銃撃をまともに浴びてしまう

 

それだけに留まらず、先程トレミスが投げた円形状の刃は意思を持ったかのようにUターン

 

一誠の背中に鈍い一撃を食らわせた

 

その衝撃で一誠は前のめりに倒れ、口から血を吐き出す

 

「イッセーさん!イッセーさんっ!」

 

「トレミーくん……っ!もう、やめてください!」

 

「邪魔をするなァッ!」

 

トレミスは右手の銃でアーシア達の足下を撃ち、そこから近寄るなと警告を(うなが)

 

「姉さん達はそこでおとなしく見ていろ!この実験結果の大事な証人になってもらわなくちゃいけないんだから、勝手な真似はするなよ?」

 

危険なオーラと眼孔を飛ばしてアーシア達を怯ませ、再び一誠達の方を向く

 

追撃しようとするトレミスだが、度々(たびたび)襲ってくる人工神器(セイクリッド・ギア)のフィードバックのせいで動きが鈍り、苦悶の声を上げながらのたうち回る

 

「おい、もうやめろ!その力はヤバい!早く止めないと本当に死ぬぞ!」

 

一誠は人工神器(セイクリッド・ギア)を解除するように叫ぶが、トレミスは全く聞く耳を持たない

 

「口だけで止められると思ってんのか……っ?甘いんだよッ!さっきも言っただろ!赤龍帝(せきりゅうてい)なら赤龍帝らしく、力でねじ伏せてみろよッッ!ディオドラ兄さんをボコボコにした時のように、殺意全開で殴ってこいよォォッ!」

 

トレミスは足に臙脂色のオーラを纏わせ、ジャンプキックを放つ

 

迫り来るトレミスに対し、幽神兄弟もオーラを纏わせた拳打と蹴りで応戦

 

三者の攻撃の衝突によって生み出された衝撃波は周りの木を吹き飛ばし、アーシア達もその余波を受ける

 

先程よりも力を込めているが……トレミスの勢いは止まらず、徐々に押していく

 

「兵藤……ッ!何を突っ立っている……⁉さっさとしろ!本気で止めなければ、共倒れになるぞ!それでも赤龍帝かッ!」

 

「……ッ!チクショウ……!チクショォオオオオオオオオオオオオオオッッ!」

 

一誠は拳に赤いオーラを流し込み、背中のブーストを噴かして加速する

 

赤いオーラを纏わせた拳打がトレミスの蹴りと激突する

 

さすがに多勢に無勢……威力負けしたトレミスは後方に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた

 

血反吐(ちへど)を吐きながらも体を起こすトレミス

 

その様相は狂気に満ちていた……っ

 

「ハハハハハ……っ!そうだ、そう来なくちゃな。アンタらが殺す気でやってくれなきゃ、僕の技術証明は成立しないからなァ!」

 

トレミスは自分の生命力を媒介にして、再び人工神器(セイクリッド・ギア)から武器を生成する

 

今度は巨大な斧を(たずさ)え、幾度も振り抜く

 

振り抜く度に斬撃が発生し、一誠達に襲い掛かる

 

更に地面に振り下ろして一際(ひときわ)デカい衝撃波を放ち、一誠達の場を爆発させる

 

すかさずトレミスはその場を駆け出し、斧の一撃を見舞った

 

一誠達はギリギリで(かわ)して近接戦へ持ち込む

 

一誠と悪堵の拳、正義の蹴りと続けざまに食らい続けるトレミス

 

しかし、自分へのダメージを(かえり)みず、斧を振り回して3人を痛めつけていく

 

上下左右、あらゆる方向から繰り出される斧の打撃が一誠達の鎧を壊し、鈍痛が骨髄にまで響く

 

更にトレミスは斧に臙脂色のオーラを集め、強力な横一閃で一誠達を殴り飛ばす

 

優勢に立つトレミスだが……その分の代償は大きい

 

力を振るう毎に襲ってくる苦痛に声を荒らげ、斧が手から離れる

 

「アァァァアアアアアアアアアアアッ!」

 

全身を引き裂かれそうな激痛にまみれてもトレミスは止まらず、更に武器を生成する

 

今度は(げき)と呼ばれる槍のような武器を振り(かざ)した

 

「クソッタレがぁ!」

 

突貫していく悪堵が再度オーラを纏わせた拳を連続で浴びせようとする

 

トレミスは拳の乱打を全て戟で防ぎ、石突きの部分で悪堵の腹を突く

 

動きが一瞬止まったところで足を払い、倒れた悪堵を何度も踏みつける

 

戟に臙脂色のオーラが集まり、トレミスは下から斬り上げた

 

地面ごと()ぜ飛ぶ悪堵は不規則に宙を舞い、地面に叩き付けられる

 

鎧は大破してしまい、悪堵自身も酷いダメージを負った

 

「―――ッ!相棒ッ!貴様ァァァッ!」

 

正義は怒号を上げてトレミスに向かっていき、螺旋状のオーラを纏った蹴りを打ち込む

 

その蹴りはトレミスに見事直撃し、衝撃が彼の体を突き破る

 

ゴポッと口から血の塊を吐くトレミス

 

しかし……それでもまだ止まらない……っ

 

臙脂色に染まった戟で強烈な突きを放ち、正義をも退(しりぞ)ける

 

正義は地を(えぐ)り転がり、身体中から血を流す

 

同時にトレミスの全身からも代償として血が流れ始めた

 

出血と激痛に(さいな)まれるトレミスに、一誠は再び叫ぶ

 

「いい加減にしないと、本当に死ぬぞ!こんな事して何が残るんだよ⁉」

 

「ぐぶっ、ゲボォ……ッ!さっきも言っただろ?僕の技術と研究成果を証明するって……!その為にアンタを打ち負かす!それで赤龍帝を超えられるなら、死んでも構わないッ!運良く神滅具(ロンギヌス)を宿しただけのアンタに、僕の苦労が分かってたまるか!自力で何かを手に入れた事も無い奴が、意見できる立場にあると思ってんのか⁉悪魔だから神器(セイクリッド・ギア)なんて宿らない!次期当主の座すら貰えなかった!分かるか?何も手に入れられなかった者の悔しさ、惨めさが!“ただ神滅具(ロンギヌス)を宿しただけ”で祝されてるアンタが―――すこぶる気に入らねぇんだよォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!」

 

トレミスは発狂したように怒声を上げ、今までの鬱憤(うっぷん)を吐き出す

 

彼も彼なりに手に入れたいものがあったのだろう……

 

しかし、どれだけ手を伸ばしても手に入らない

 

だから、自分自身の力で掴み取るしかなかった

 

「僕は成果が欲しかった!僕の努力が形となった成果が!たとえ石コロと(さげす)まれようとも、1つでも成果が残せるなら命なんざ惜しまない!コイツにしてもそうだ!完成させるのに普通なら数十年かかるが―――僕は安全性を(はぶ)く事で1年にまで短縮させた!武器に安全性を求め過ぎていたら、いつまで経っても完成なんかしないっ!アジュカさんもアザゼルも生温い考えに浸っているから遅れを取るんだよ!」

 

激昂していたトレミスは一転して、今度は歓喜と涙に満ちた声音を発する

 

「……けど、ツラかった……。本当にツラかったなぁ……。コイツを完成させる為にどれだけの血を流したか……。内臓グシャグシャで歯もボロボロ、身体中なんか()()ぎだらけさ……。でも、その苦労がようやく(むく)われる……っ。神滅具(ロンギヌス)所有者を叩き潰し、僕の研究は間違ってなかった事が証明される……!」

 

兜の目元から血涙も流れ、狂喜に(いろど)られたトレミスが戟の刃先を一誠に向ける

 

「何が赤龍帝だ……!何が神滅具(ロンギヌス)だ……!僕はそんな幸運も無しに、自分の才を信じてここまでやって来たんだ……!アンタは単なる偶然で黄金を手に入れたに過ぎないんだよ!覚悟しろ、石が金をぶっ潰すところを見せてやる……ッ!」

 

トレミスが戟を向けたまま一誠の方に進もうとした、その時……

 

「―――結局は持たざる者の(ねた)みと(そね)みか。案外つまらん理由だな」

 

「………………アァ?」

 

怒気を含めた声音を発したトレミス

 

侮辱的な発言をしたのは―――幽神正義

 

アーシアの治療で傷を癒したであろう正義がトレミスの全ての発言を一蹴する

 

よりドス黒いオーラを滲ませるトレミスだが、正義は一切怯む事無く言い続ける

 

「トレミスとやら、貴様は(みずか)らを石コロと(さげす)み、兵藤が黄金と例えているようだが―――それは大きな勘違いだ」

 

「何だと?」

 

「ハッキリ言ってやろう。兵藤は黄金などではない、ただ表面に金箔を貼り付けただけの石コロ―――貴様と全く同じだ。根底は何も変わっておらん。アーシア以外に女を(はべ)らせ、鼻の下を伸ばし、今も昔と変わらず変態根性を晒して生きている―――ただの痴漢男だ」

 

「おいっ!ヒトを犯罪者みたいに言うな!俺をフォローするつもりが思いっきり(けな)してるだけじゃねえか⁉」

 

「貴様のフォローだと?笑わせるな。そんな材料は1ミリとて存在せん」

 

バッサリと切り捨てられた一誠は泣くしかなかった……

 

そんな事は気にせず、正義は尚もトレミスに語っていく

 

「貴様はさっき言ったな?“赤龍帝(せきりゅうてい)を倒す事で、『神滅具(ロンギヌス)』を超える功績を遺せるなら―――命など惜しくない”と」

 

「ああ、そうだとも……!」

 

「―――貴様が死んだところで何も残らぬ。いや、残るのは……新たな哀しみだけだ」

 

正義がゆっくりと立ち上がり、遅い足取りで歩いていく

 

「貴様には父親も、母親も、姉もいるだろう。ならば、残された者達はどうなる?更に悲嘆に明け暮れ、振り払えない十字架を背負い続ける。貴様はそんな結末がお望みか?」

 

「黙れよ……!アンタに何が分かる⁉」

 

「貴様はまだマシだッッ!」

 

反論しようとしたトレミスを更なる怒号でねじ伏せる正義

 

「最初から手に入らなかっただけマシな方だ。……俺は、1度手に入れたものを全て壊された。信頼も、希望も、日常さえも失った。これほど残酷なものは無い。昔の俺は激しく恨んだ……兵藤を、兵藤に関わる者を、俺達を(おとしい)れたもの全てを……」

 

「へぇ……っ、つまり、アンタも僕と同じ穴のムジナって事じゃないか……!」

 

「そうなっていただろうな。だが、気付かされたよ。恨みを持って生きていても、それが(つい)える事は無い。過去にすがり付いてばかりでは、過去から逃れられない。その事を教えてくれたのは―――アーシアだ」

 

正義はアーシアに指を差しながら続ける

 

「アーシアと出会って、俺は考え方を少しだけ変えられた。恨むだけではダメだとな。……トレミスとやら、貴様の命は貴様だけの物じゃない。周囲にいる者の事も考えろ。狭い視野だけで見えるモノなど、たかが知れている」

 

「……だったら、証明してみろよ……!アンタの真理ってヤツを!この場で証明できるもんなら、証明してみろよォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!」

 

絶叫を放ち、凄まじいオーラを放出するトレミス

 

正義も毒々しいオーラを全身から滲ませ、背後に鬼の幻影が映し出される

 

「怒りを喰らわば修羅となろう―――。怨みを滅せば魔鬼(まき)となろう―――。深淵に巣食いし鬼を放ちて、前に塞がる害を(つらぬ)穿(うが)て―――。(なんじ)よ、御霊(みたま)を喰らい罪を背負いし悪鬼と化せ―――ッ!―――『魔鬼化(アビス・ブレイク)』ッッ!」

 

鬼の幻影が正義を覆い、オーラが弾け飛ぶと同時に変貌を遂げた正義が降臨する

 

正義の想いが通じて発現した異質な禁手(バランス・ブレイカー)―――否、『魔鬼化(アビス・ブレイク)

 

深淵の魔鬼(まき)と化した正義がトレミスと対峙する

 

その鬼気迫る姿を見て、トレミスも思わず言葉を失う

 

「……なんて気迫だよ。アンタ、いったいどんな人生を送ったら、そんな禍々(まがまが)しいものを発現できるんだい?もう完全にバケモノじゃないか」

 

「これでもマシになった方だ。以前の俺は怒りと憎しみ、復讐と狂気に溺れた鬼だったからな」

 

『『いや、どう見ても今の方が鬼だろ……』』

 

一誠だけでなく、アーシアの治療を受けている弟の悪堵もそう思った……

 

そんな心の声など(つゆ)知らず、正義は徐々に歩みを早め―――駆け出していく

 

対してトレミスはオーラを纏わせた戟を振るい、幾重もの斬撃を放つ

 

飛来してくる斬撃を(ことごと)く弾き返し、正義は蹴りの乱舞を繰り出した

 

息つく暇も無い蹴りの猛攻に、トレミスの手が追い付かない

 

防御に使用していた戟も弾き飛ばされ、正義の回転蹴りがトレミスに炸裂する

 

後方に大きく飛ばされたトレミスは次なる武器の生成に取り掛かった

 

トレミスの生命力を媒介に生成されたのは―――二振りの大剣

 

双方の得物がオーラによって臙脂色に染まり、勢い良く地に突き立てられる

 

刹那、地を砕かんとばかりに衝撃波が走り、正義に直撃する

 

極大の爆煙を掻き分け、血を噴き出しながらも正義は突き進んでいく

 

禍々しいオーラを放出し続け、トレミスを大剣ごと蹴り飛ばす

 

二振りの得物はトレミスの手から離脱し、トレミスは滑るように後方へ吹き飛ばされるが―――

 

「アァァァァァァアアアアアアアアッ!!」

 

喉を潰しかねない程の雄叫びを上げ、今まで以上に凄まじいオーラを爆発させる

 

トレミス自身の生命力を媒介にしている為、この戦闘が長引けば命が危ない……

 

正義もこの一撃を最後にするべく、全ての力を足に集束させていく

 

その最中、正義はある事を考え出す

 

『……結局、ヤツも自分以外の誰かを信じられなくなっているんだろうな。その末路がコレか……。もしかしたら、ヤツは―――“アーシアと出会わなかった場合の俺達”を示しているのかもしれん』

 

周りを妬み、拒絶するトレミスの姿は―――まさに過去の幽神兄弟を表していた……

 

変わらなければ、いずれ自分達も狂気に取り憑かれたバケモノになっていたかもしれない

 

正義は不覚にもトレミスの姿、気配からそう推測した

 

だから、止めなければならない

 

トレミスにはまだ―――家族が残されているから……

 

『失ってからでは遅い。失ってからでは何も出来ない……。悪いが、貴様を止める!』

 

正義は全力で駆け出し、トレミスに向かって最後の一撃(蹴り)を繰り出した

 

鬼の幻影を纏いし蹴りがトレミスを(とら)え、トレミスも莫大なオーラを纏った蹴りで迎え撃つ

 

両者の蹴りが激突した瞬間、その場は極大の閃光に包まれた……

 

 

―――――――――――――

 

 

僕は……トレミス・アスタロトは……アスタロト家に生まれた事を悔やんでいた

 

アジュカさんが現魔王ベルゼブブに就任してから、いつも比較されていた

 

次期当主の座だって、ジュビア姉さんが辞退して……そのせいでディオドラ兄さんに次期当主の座が回ってきた

 

生まれた順番が悪いの?

 

生まれた順番で次期当主の座は決まるの?

 

しきたりとか、規定とか、くだらない……

 

無能でも“兄”だから優遇されるの?

 

有能でも“弟”だからってダメと決め付けられるの?

 

僕は何も認められないの……?

 

認められないなら、生きてる意味はあるの……?

 

くだらない…………クダラナイ…………現魔王も…………アスタロト家も…………冥界のしきたりも…………何もかモガ…………クダラナイ……ッッ!

 

ナラ、ボクガコワレテモカマワナイ……ッッ!

 

ソレナラ、ヤリタイコトヲヤッテコワレテヤル……ッッ!

 

ダレニモジャマスルケンリハナイ……ッッ!

 

ソウダ……ッッ!

 

ボクハサイショカラ……ッッ!

 

ウマレテコナケレバヨカッタンダ……ッッ!

 

 

―――――――――――

 

 

「…………?…………?」

 

トレミスの目がゆっくりと開かれると、自分の視界に“何かを訴えるジュビアの顔”が映り込んだ

 

焦点をジュビアに合わせた途端、ジュビアは大粒の涙を流しながらトレミスを抱き寄せる

 

「トレミーくん……!ヨカッタ……!トレミーくん……っ!」

 

「…………ジュビア……ねえさん……?」

 

「もう……!心配させてんじゃないわよ……!ウェンディなんか、顔中ビショビショになってんのよ……!謝りなさいよ……!」

 

ジュビアの隣には泣きながら怒っているシャルルが、その隣では泣きじゃくるウェンディの姿も映った

 

トレミスは不思議でならなかった

 

“どうして僕は生きているのか……?”

 

あれ程の攻撃を受けて、生きていられる筈が無い

 

トレミスがゆっくり体を起こして自分の体を確認する

 

姿は未だに異形のままだが……兜の一部は破損し、出血が消えているだけでなく、自作した人工神器(セイクリッド・ギア)の出力が極端に弱まっていた

 

頭の整理が追いつかないトレミス

 

「目が覚めたようだな」

 

そこへ聞き覚えのある声―――自分と対峙していた正義の姿が映った

 

アーシアの治療を受ける一誠もトレミスの目覚めに安堵する

 

トレミスは何故、自分が今も生きているのかを問い(ただ)した

 

その問いに対して正義が答える

 

「貴様を治療したアーシアに感謝しろ」

 

「……僕を、治療した……?」

 

「ああ、さっきの攻撃でダメージが酷かったのは貴様の方だ。兵藤とアーシアは直ぐに貴様の治療を最優先に考えた。早急に治療しなければ、貴様は死んでいたからな」

 

「……どうして、僕を治したの?さっきまで僕は、アンタ達を殺そうとしていたんだよ……?意味が分からないよ……」

 

「そうだろうな。正直、俺も昔は理解できなかった。だが……その意味の分からなさが兵藤とアーシアの良いところなのだろう」

 

トレミスは一誠とアーシアに視線を移す

 

「……赤龍帝(せきりゅうてい)

 

「ん?どうした?」

 

「アンタ、やっぱり甘ちゃんだよ」

 

「……そう、かもな……。でも、俺は―――」

 

「言わなくていい。自分のやった事に後悔が無いなら、それで良いさ。だから、アーシアさんも僕を治したんでしょ?」

 

「ああ、そうだ。アーシアも後悔なんてしてない。お前がまた俺に挑むって言うなら、今度は正々堂々と勝負してやる!」

 

「ふっ……ホント羨ましいよ、その能天気な性格が。ただ、忠告しといてあげる。いざと言う時は甘い考えなんて捨てた方が良いよ。『禍の団(カオス・ブリゲード)』の代わりに台頭してくる奴らは―――これまで以上に悪逆非道で、狂ったヤツがいるからね」

 

トレミスはゆっくりと立ち上がり、ジュビアのもとを離れる

 

「僕は戻るよ、アジュカさんの所に。そこで研究を続けるよ。ちゃんとした物を作る為に……1からやり直してくる」

 

「トレミーくん……」

 

トレミスは最後にアーシアに向かって頭を下げる

 

「改めて、ディオドラ兄さんが迷惑を掛けた事に関して謝るよ。今日の事も含めて―――本当にごめんなさい」

 

「良いんですよ、もう。あなたが無事で良かったです」

 

アーシアの曇りの無い笑顔にトレミスはときめいてしまい、心中で『ああ、本当に結婚したいな』と吐露する

 

トレミスはゆっくりと歩みを始め、そこから静かに去っていった……

 

その後、一誠達はアスタロト家の別荘に戻り―――元当主にトレミスがアジュカの研究所に帰った事を伝え、週明けには駒王町(くおうちょう)に戻っていった

 

尚、幽神兄弟とリントはそのままアスタロト家の別荘に残り、引き続き警護をする事になった

 

 

――――――――――――――

 

 

「……まさか、こんな事になるなんて夢にも思わなかったよ」

 

アジュカの研究所に戻る道中、トレミスは思いがけない人物と再会していた

 

それは―――死んだと聞かされていた兄、ディオドラ・アスタロトだった……っ

 

魔獣騒動時、神風の手によって復活を果たしたものの、幽神正義によって吹き飛ばされたと思われていた……

 

しかし、運良く生き延びていた

 

ボロボロの格好でディオドラはトレミスに言う

 

「トレミス!僕に協力してくれ!僕とお前が手を組めば、赤龍帝を倒せる!今度こそ、アーシアを取り戻すんだ!なあ、頼むよ!兄の頼みを聞いてくれるだろ?」

 

トレミスの目に映るディオドラは何とも言えない見苦しさを露呈していた

 

もう既に決着はついたのに、未だに執着している……

 

あまりにも(みにく)い……

 

「……ディオドラ兄さん、アンタはもう死んだヒトなんだ。今更出てきて何になるの?」

 

「うるさい!僕をコケにした赤龍帝を殺して、アーシアを取り戻さないと気が済まないんだッ!今更もクソもあるか!黙って僕に協力しろ!」

 

もはや醜いを通り越した兄の醜態にトレミスは嫌気が刺した

 

このままアスタロト家に戻せば、父親も姉のジュビアもショックを受けてしまうだろう

 

トレミスは決意の眼差しで腹部の人工神器(セイクリッド・ギア)に手を伸ばす

 

「……ディオドラ兄さん、僕はこれから(つぐな)うよ。兄さんの分まで。だからさ―――もう消えてくれ」

 

「……は?な、何を言い出すんだ―――」

 

ディオドラが言い切る前にトレミスは弱まっている人工神器(セイクリッド・ギア)の力を発動し、銃を生成

 

銃口にオーラを集め、ディオドラに狙いを定める

 

「お、おい!何をする気だ⁉冗談だろ⁉なあ、冗談だと言ってくれ!…………い、嫌だ!せっかくここまで来たのに、死にたくない!やめろ!やめろ!ヤメテクレェェェェェェェェッ!」

 

「―――さようなら、ディオドラ兄さん」

 

冷徹な一言と共にトレミスは銃から濃密なオーラを掃射

 

悪あがきで生き延びてきたディオドラの最期は、実の弟に消されると言う皮肉な結果に終わった……

 

跡形も無くディオドラを(ほうむ)ったトレミスは天を仰ぐ

 

「……アンタはアスタロトの名を(けが)し過ぎたんだ。僕はこれからソレを償っていくよ」

 

その後、トレミスはアジュカの研究所に戻り、(みずか)らアジュカのもとで研究の邁進と謹慎を志願した

 

アジュカは彼の要望に応え、腹部に埋蔵された人工神器(セイクリッド・ギア)を摘出し、トレミスはひとまず冥界の医療施設に移送された

 

後日、アジュカは摘出した人工神器(セイクリッド・ギア)を調査した結果―――信じられないモノが検出される

 

「…………驚いたな。まさか、こいつが異常なパワー出力の根源だったのか……っ」

 

さすがのアジュカも驚きを隠せなかった

 

何故なら検出されたのは―――サマエルの毒

 

極微量ではあるものの、それは確かにサマエルの毒だった

 

誰がサマエルの毒をトレミスに渡したのか……?

 

そもそも、どうやってサマエルの毒を手に入れたのか……?

 

アジュカはこの事実をサーゼクスやアザゼルには敢えて知らせず、独自に調査を始める事にした

 

「『禍の団(カオス・ブリゲード)』以上にデカい組織が絡んでいるのかもしれない……。もし、そうだとしたら―――サーゼクスも、アザゼルも、下手すれば冥界そのものが深傷(ふかで)(いな)めないな……」

 

一抹の不安を抱える中、未知の敵は今も牙を()いで狙っている……




アスタロト編、無事に終了しました!

次はいよいよ造魔(ゾーマ)編の序章―――といきたいところですが、その前に13巻の運動会を描いていきます!

もうしばらくお待ちください!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。