ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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遅くなって申し訳ありません……m(_ _)m




黄泉戸喫(ヨモツヘグイ)のアスタロト(中編)

「ディオドラの、弟……?あんまり似てないな」

 

「あー、よく言われるよ。でも、僕はどちらかと言えば母さん似かな?」

 

「トレミーくん、おかえりなさい。ここに来るなら連絡の1つでも―――」

 

「少し休みに来ただけだから、1日か2日ほど休んだら戻るよ。それからジュビア姉さん、その呼び方やめて」

 

淡々と返していくトレミス・アスタロト

 

一誠に視線を移した後、今度はアーシアの方に視線を移す

 

『あのヒトが……ディオドラ兄さんが躍起になってたアーシアさんか』

 

ジッとアーシアを見つめるトレミス

 

アーシアはとりあえずペコリと頭を下げて挨拶

 

それを見てトレミスは―――

 

『……可愛いな、おい』

 

兄のディオドラ同様、あっという間に堕ちた……

 

そこへ元当主がトレミスに話し掛ける

 

「なあ、トレミス。そろそろ我が家に戻ってきてくれないか?いつまでもアジュカ殿の世話になるわけにもいかないだろう?」

 

「戻る?家に?僕が戻って何になるって言うの?」

 

「そ、それは……」

 

「ディオドラ兄さんの“代わり”に僕が次期当主になれって言いたいの?ハッ、そんなの願い下げだね。自分達の体裁を守りたいが為に僕を穴埋めにするのはやめてくれないかな?」

 

父親に刺々しく反発の言葉を浴びせるトレミス

 

急に空気が重苦しい雰囲気になっていく……

 

「ジュビア姉さんに次期当主の話を回しても受け入れてもらえず、仕方無くディオドラ兄さんが次期当主の座についたものの―――兄さんは失態と醜態を世に晒した。お陰でアスタロト家とヴァサーゴ家は風当たりが悪くなり、肩身の狭い思いをしている。だから、あの時に進言したんだ。“ディオドラ兄さんに次期当主の座は荷が重いんじゃないか?”って。兄弟の序列程度で決めたりしたから、こんな事になったんじゃないの?」

 

「う……っ」

 

「兄さんも兄さんだよ。血筋だの血統だの上級悪魔だの、老害達のくだらない概念ばかり聞いて、それをバカみたいに重んじた。その(おご)りと(はなは)だしい勘違いが身を滅ぼす結果になったんだ」

 

「ト、トレミーくん。そんな酷い事を―――」

 

「次期当主の座を放棄したジュビア姉さんが言える立場じゃないだろ。姉さんが次期当主についていれば、少なくともディオドラ兄さんの暴走を抑制できたんじゃないのかな?自分にも荷が重いとか言っておいて、力足らずの兄さんに回したのもダメだったんだよ」

 

グサグサと痛い言葉を連ねられてジュビアも涙目になってしまう

 

その様子を見ていた一誠は我慢できなくなり、トレミスに詰め寄る

 

「おい!いくらなんでも言い過ぎじゃないのか?自分の家族に対して言って良い事と悪い事があるだろ!」

 

「四大魔王からの贔屓(ひいき)を受けている赤龍帝(せきりゅうてい)にそんな事を言われる筋合いは無いね」

 

「ひ、贔屓?」

 

「そうさ、アンタは赤龍帝の力を宿している。その力がアジュカさんの目に留まり、過去に類を見ないパワーアップを果たしてきた。お陰でアンタは今や冥界のヒーローと持て(はや)されている。……でも、ここまでの大事(おおごと)に行き着いたのも全てはアンタが原因でもあるんだよ」

 

トレミスは一誠の周りを歩きながら語り始める

 

「考えてみなよ。赤龍帝の神滅具(ロンギヌス)を身に宿したばっかりに、アンタは自分だけじゃなく周りのヒトの人生まで狂わせたんだ。そこにいるアーシアさんが良い例さ。アンタがアーシアさんと関わったせいで、彼女は多くの苦しみを味わってきたんじゃないのか?闇人(やみびと)に1度殺され、ディオドラ兄さんに狙われ、そこの幽神兄弟にも付け入る隙を与えてしまった。赤龍帝、アンタは多くのヒトを惹き付けると同時に―――多くの痛みと苦しみも惹き付けてきたんだよ」

 

冷酷に言い放つトレミスの言葉を一誠は否定する事が出来なかった……

 

反論の材料が見つからず、沈黙するしかない一誠に対してトレミスは尚も言い続ける

 

「分かるかい?アンタが赤龍帝として力を付ければ付ける程、誰かを惹き付ければ惹き付ける程―――痛みにもがき、苦しむヒトも増えていく。世間じゃ希望とか憧れとか言われてるみたいだけど、僕から見ればアンタは周りに夢と希望と言う名の病気を撒き散らす―――性質(タチ)の悪い病原菌だ」

 

「びょ……病原菌……っ?」

 

「三大勢力に余計な干渉をさせてきたアンタにはお似合いだろ。今までは何とかなってきたんだろうけど、この先に現れてくる脅威の前で―――アンタの甘っちょろい考えが通じると思わない事だね。アンタが振り撒く病気(夢と希望)ごと押し潰されるかもしれないよ?」

 

「そんな酷い事……言わないでくださいっ!」

 

ガタッ!と勢い良く立ち上がるアーシアに対し、トレミスはジロッとアーシアを睨み付ける

 

『ホンット健気な娘だね。…………結婚したいな』

 

余計な感情が芽生えたようだ……

 

トレミスは咳払いして一誠のもとから離れ、広間を出ようとする

 

広間を出る直前、(きびす)を返したトレミスが再び言う

 

「僕はディオドラ兄さんの件でアンタを恨んだりしちゃいない。あれは兄さんの自業自得だからね。その辺はしっかりと割り切ってるよ。―――ただ個人的にアンタが気に入らないだけさ」

 

黒い笑みを浮かべたトレミスは、そのまま広間を退室していった

 

不穏な空気に包まれ、雰囲気も重くなってしまう……

 

「イッセーさん……」

 

「……申し訳ございません。トレミスが失礼な言動を―――」

 

トレミスの悪態に元当主は頭を深く下げて謝罪してくる

 

一誠は呆気に取られた表情のまま「あ、いえ……大丈夫っす……」と平静を取り(つくろ)

 

しかし、内心ではトレミスの言葉が突き刺さっていた

 

自分が周りに多大な影響を与え、これまでに多くの被害を出してきた事は否めない……

 

「奴の言葉が気になるのか、兵藤?」

 

正義が一誠に声を掛けてくる

 

心中を悟られた一誠は目を逸らすものの、肯定せざるを得なかった

 

「病原菌か。表現は(いささ)か酷いが、奴の言葉は的を射ている。貴様は周りの者を惹き付ける反面、それがもたらす事柄に対して自覚をしていない。ロートル世代の老害どものようにな」

 

「…………」

 

「今の貴様は世に大きく影響を与える存在となっている。貴様の(おこな)い1つ1つが、誰かに期待と希望を容易く植え付ける。―――それを裏切られた時の傷はデカい。良いか?生半可な気持ちで留まるな。他人の言葉1つで揺らぐ程度の信念など、何の意味も無い」

 

正義は一誠に叱責を贈る

 

それは自分がただの悪魔ではなく、赤龍帝としての自覚を持つ為のアドバイスでもあった

 

これまでは赤龍帝としての自覚が足りなかったのかもしれない

 

一誠は沈んだ気持ちを振り払う

 

「……そうだよな、気負い過ぎてちゃいけないよな。少し目が覚めたよ。ありがとな、ムッツリ」

 

「それでこそ貴様だ、兵藤。……ムッツリは余計だがな」

 

重苦しかった雰囲気が少し(やわ)らいだところで、元当主のもとにメイドの1人がやって来て耳打ちする

 

元当主がフムフムと頷き、一誠達に言う

 

「皆さん、露天湯の準備が整いましたので、食事の前にそちらの方を先にお楽しみいただければと」

 

「露天湯⁉」

 

「露天湯、だと……っ?」

 

その(しら)せに一誠はより一層英気を取り戻し、正義に戦慄が走る……

 

 

―――――――――――――――

 

 

別荘から少し離れた山林地帯

 

周りを木々に囲まれたその場所は元当主が様々な嗜好を凝らした露天湯となっていた

 

丁度良い風が木の隙間を吹き抜け、新鮮な空気が疲れた体に癒しを与える

 

「あ~、自然に囲まれた温泉か~。先生が好みそうだな~」

 

空気の美味さと温泉の心地よさを堪能する一誠

 

無論、楽しみはそれだけじゃなかった

 

「ぐふふっ、しかも“混浴”の露天湯だからなぁ。もしかしたらアーシア達も入ってくるかも……!」

 

そう、この露天湯は自主的な混浴が可能である

 

ゆえに一誠はアーシアなら来てくれるだろうと待ち望んでいた

 

下心に満ちた表情を浮かべていると、小さな足音が聞こえてくる

 

『キタッ!』と心が(たかぶ)る一誠は一旦咳払いをして気を落ち着かせ、深呼吸する

 

高まる期待に“まだかまだか”と待ちわびていると―――

 

パチン!ボシュッ!

 

突如、目の前の湯が弾けて一誠の顔に飛沫(しぶき)が掛かる

 

鼻と口に湯が飛び込んできたせいか、一誠はゲホゲホと激しく()せる

 

すると、背後からクスクスと笑い声が聞こえてきた

 

「良いリアクションするねぇ、キミ♪」

 

振り返ってみれば―――そこにいたのは棒付きキャンディをくわえるチェルシーがいた

 

先程の爆発は彼女の悪戯によるものだろう

 

一誠はその悪戯に抗議しようとしたが……目の前にいるチェルシーはタオル1枚を身体に巻き付けた格好で立っており、しなやかでありながら出るところは出ていた

 

彼女の艶姿(あですがた)に言葉を失い、ゴクリと喉を鳴らす

 

「ゴメンね、つい悪戯しちゃった。それにしても……ふふっ、良いリアクションしてくれたねー。もっとからかいたくなっちゃう♪」

 

「チェ、チェルシーさん……爆破は洒落になりませんって!やめてくださいよ!」

 

「ゴメンゴメン、背中流してあげるから許して、ね?」

 

「マジすか⁉お、おおお、お願いします!」

 

一誠は湯から上がり、チェルシーが泡立てたスポンジで一誠の背中を洗う

 

アーシア以外の女性でこんな嬉しいイベントに直面するのは初めてだった為か、一誠は珍しく緊張していた

 

チェルシーが一誠の背中を洗いながら言う

 

「キミの背中って(たくま)しいよね。デキる男の子って感じがするわ」

 

「そ、そうっすか?」

 

「アレレ~?声が上擦(うわず)ってるけど、こういう事には慣れてないのかな?てっきり、あのアーシアって()と子作りしまくってると思ってた♪」

 

「チェ、チェルシーさん!あんまりからかわないでくださいよ!」

 

「アハハ、ゴメンゴメン♪でもさ、あんなに可愛い娘を悲しませちゃダメよ?大切なら必死で守らないとね。……失ってからじゃ、もう遅いから」

 

先程までニコニコしていたチェルシーの表情と声音が次第に陰りを見せ始めた

 

一誠が怪訝そうに(うかが)うと、チェルシーは語る

 

「私はね、小さい頃にお父さんとお母さんを殺されて……ユキノとディマリアに出会うまでは独りで生きてきたの……。平凡だった家庭を壊されたショックで神器(セイクリッド・ギア)が目覚めて、襲い掛かってくるものを爆破してきた……。結局、弱かったらどんな時代でも生きていけないって事を痛感したの……。力を付けても、直ぐに強大な敵が現れて……何もかもメチャクチャにしていく……っ。―――特に造魔(ゾーマ)はその真理を体現する組織よ」

 

造魔(ゾーマ)の名を口にした直後、チェルシーの指先が震え始め、その震えが彼女の体に伝播していく

 

造魔(ゾーマ)は来るもの拒まず、去るもの追わずの組織だけど……敵対する者には決して容赦しない……。今まで多くの強者(つわもの)造魔(ゾーマ)に挑んでいったけど、(ことごと)く返り討ちにされたわ……。でも、奴らの恐ろしさは他にもあるの……」

 

「それは……?」

 

「奴らはお金で動く事が多い上に、最大級に性質(タチ)が悪いのよ。謂わば傭兵組織……。依頼人から報酬を受けて依頼を果たす。悪政・圧政を()いる国やテロ組織の壊滅、殺しの依頼まで何でもやるわ。しかも、気分次第では依頼主でさえ殺す理不尽もあり得るの……。敵にも味方にもなる身勝手極まりない組織―――それが造魔(ゾーマ)よ……っ」

 

リアスのように眷属を従える上級悪魔達は、基本的に大公や冥界政府の(めい)が無ければ動かない

 

その上、人間界の戦争や紛争に干渉する事は出来ない

 

しかし、造魔(ゾーマ)は単なるテロ組織ではなく―――傭兵組織

 

報酬さえ払えば依頼をこなし、相手が人間であろうと容赦なく殺す

 

平然と非人道的な悪行をしているにもかかわらず、造魔(ゾーマ)は多くの国々から支持を得ている

 

国からの資金援助も受け、造魔(ゾーマ)(またた)く間に勢力と領域を拡大していった

 

あまりにもスケールがデカ過ぎる組織……

 

改めて造魔(ゾーマ)の底知れぬ恐ろしさを知った一誠に、チェルシーは震えながら言う

 

「だからね……中途半端な覚悟で造魔(ゾーマ)に手を出さないで、ね……?あれは戦力も規模も強さも次元が違う……」

 

震えを抑えられないチェルシー

 

一誠も無意識に固唾(かたず)を飲むが、それでも怯むわけにはいかない……

 

震えを和らげるようにチェルシーの両肩に手を置く

 

「心配してくれてるんですね、チェルシーさん。でも、俺達にだって覚悟はあります。たとえ相手が誰だろうと、俺達は負けません。もし、そいつらがチェルシーさん達に危害を及ぼそうとするなら、俺が迷わずブッ飛ばしてやりますよ!俺は子供達と冥界のヒーローをやってる―――赤龍帝(せきりゅうてい)でおっぱいドラゴンなんですから」

 

「――――っ」

 

一誠の真っ直ぐな答えにチェルシーは言葉を失い、顔を紅潮させる

 

重くのし掛かっていた不安と恐怖が和らいだのか、チェルシーの表情に笑みが戻る

 

「そんな事を平然と言ってくれるなんて、嬉しいっ。ありがと、イッセー♪」

 

可愛らしい笑顔で礼を言うチェルシー

 

しかし、一誠の視線は彼女の身体に集中しきっていた……

 

タオル1枚に(へだ)てられたモデルのようなスレンダー体型

 

水気を吸ったタオルによって凹凸(おうとつ)がハッキリと浮かび上がり、一誠の視線を釘付けにする

 

その視線に気付いたチェルシーは再び悪戯な笑みを浮かべる

 

「ん~?キミ、お姉さんの体に見蕩(みと)れてちゃってるのかな?鼻血が出てるわよ」

 

「そ、そりゃ鼻血も出ちゃいますよ!可愛い女の子が裸でいるんですから!」

 

「ふふっ。嬉しい事言ってくれちゃって、このこのぉっ♪」

 

チェルシーは一誠の首に腕を回し、一誠を自分の胸元に寄せてグリグリ攻撃

 

タオル1枚に隔てられたチェルシーのおっぱいが一誠の顔に押し付けられ、一誠は心中で『フオオオオオオオオオオオオオッ!』と歓喜した

 

アタフタしていると濡れた地に足を取られ、チェルシーを押し倒すように転んでしまう

 

その拍子でタオルもはだけ、チェルシーの全裸が一誠の視界に入る

 

「「――――っ」」

 

沈黙の中、一誠は視界に映ったチェルシーに見蕩れてしまう……

 

アーシアと良い勝負する程の大きさと形のおっぱい

 

華奢ながらも(くび)れた肢体

 

紅潮する彼女の顔が(なまめ)かしく映る

 

「あ、いや、これはっ、その……」

 

一誠は弁解しようとするが、チェルシーの手が一誠の両頬を(とら)え―――

 

「……ひょっとして、我慢できなくなっちゃった……?」

 

完璧に誤解を招きかねない解釈をされ、一誠は目の前のチェルシーの可愛さに度肝を抜かれる

 

このまま×××(ピー)に突入してしまいそうになったその瞬間―――第三者達の気配が……

 

「イ、イッセーさん……?チェルシーさんともうそんな仲に……?」

 

「ホワァッ⁉ア、アーシアッ⁉ち、違うんだ!これはその……転んでこんな状態になってしまっただけで!」

 

タオルを巻いたアーシアがムムムっと可愛く頬を

膨らませ、乱入してきた

 

その後ろには同じく混浴しに来たユキノとディマリアもいる

 

特にユキノは目の前の光景を見て顔を赤らめ、「だ、大胆です……っ」と感嘆を漏らしていた

 

ユキノとディマリアの豊満な体もタオルに隔てられているお陰で凹凸が浮き彫りになり、特に上乳はこぼれそうなサイズだった

 

3人に気付いたチェルシーは軽く苦笑する

 

「あちゃ~……抜け駆けに気付かれちゃったか」

 

しかも、チェルシーの独断だったようだ

 

それを知ったアーシアは頬を更に膨らませ、チェルシーに対抗すべく躍起になる

 

「ズ、ズルいですっ!私だってイッセーさんと一緒に入ったり、くっつきたいですぅっ!」

 

アーシアは“負けたくない”とばかりにタオルを取り外し、全裸で一誠のもとに突撃していく

 

アーシアの全裸おっぱいアタックが一誠の顔面にヒットし、一誠は更に血の気と興奮が上がる

 

そこへチェルシーが含み笑いをしながらユキノとディマリアに言う

 

「ほらほら、2人ともボーッとしてないで、こっちに来たら?裸の付き合いって言うでしょ?」

 

「え……っ、で、でも、まだ心の準備が―――きゃあっ!」

 

チェルシーに背中を押されたユキノは体勢を崩し、一誠の背中に激突

 

その拍子に巻いていたタオルもズレてしまい、生のおっぱいが一誠の背中に当たる

 

『フオオオオオオオオオオオオオッ⁉ユ、ユキノさんのおっぱい!生乳おっぱいの感触がァァァアアアアアアアアアアアッ⁉』

 

「ぁ……っ、んん……っ」

 

恥ずかしさと一誠の背中の感触に思わず嬌声を上げるユキノ

 

その様子を見ていたディマリアも触発され―――

 

「なるほど……赤龍帝(せきりゅうてい)の眷属になるからには、そう言ったスキンシップも必要なのか……。ならば、私も参戦しよう」

 

意気込むディマリアがタオルを取っ払い、顔を赤らめながらも全裸となる

 

ユキノに負けず劣らずのサイズと張りを秘めたディマリアのおっぱいがプルンプルンと大きく揺れ、一誠は見逃す事無くその動きを目に焼き付けた

 

そして、ディマリアは一誠のもとに歩み寄り―――自分の胸元に寄せた

 

「ど、どうだ……?私も胸の大きさには少し自信があるぞ……」

 

『フオオオオオオオオオオオオオッ!ディマリアの生乳おっぱいまでもがァァァアアアアアアアアアアアッ⁉こ、これはまさに……生乳パラダイス……ッ!』

 

一誠の血の気が更に上昇し、鼻血が出てくる

 

その後も一誠はアーシア、ユキノ、ディマリア、三者三様のおっぱいをローテーションで味わい、湯あたり以上にのぼせたのは言うまでもなかった……

 

湯あたり寸前、一誠は心中でこう思った

 

『……幽神の言いたい事が少し理解できた……っ。確かに……おっぱいは……男を狂わせる爆弾だ……っ』

 

 

―――――――――――――――――

 

 

一誠がおっぱいパラダイス(笑)に浸っている頃、別の場所では幽神兄弟の弟―――悪堵が露天湯に浸かりながらカップ麺を(すす)っていた

 

温泉卵ならぬ温泉カップ麺(塩昆布味)である

 

「温泉でカップ麺もなかなかイケるな」

 

普段は味わう事の無い露天湯の心地よさ、心の底から羽を伸ばせる安心感

 

久々のリフレッシュに自然と伸びをし、カップ麺を(すす)っていると―――湯気の中に2つの人影が見える

 

悪堵は“何だ、兄貴と兵藤も入ってたのか”と最初は気に留めなかったが―――次第に輪郭がハッキリと浮かび上がってくる

 

咀嚼を途中でストップさせ、目を凝らしてみると―――そこにいたのはシャルル&ウェンディのヴァサーゴ姉妹だった……

 

タオルを巻いたウェンディの手をシャルルが引っ張る

 

「ほら、ウェンディ。アンタもさっさと来なさいよ」

 

「はうぅ……っ、シャルルは恥ずかしくないの……?男の人と一緒に……」

 

「なに言ってるの、私達みたいな幼児体型に興奮するのは変態ぐらいよ。人間のオスってのはね、皆デカい胸が目当てなのよ」

 

身も蓋も無い言い草をするシャルルは―――タオルを巻いていなかった

 

清々(すがすが)しいまでに堂々と発育途中の裸体を晒しており、悪堵は目玉が飛び出しそうになる

 

その直後、ブハッ!と口に含んでいたカップ麺を吐き出してしまい―――鼻からも鼻血と麺が飛び出す

 

「ちょっと何やってんのよ!汚いわね!」

 

「ゲホベホゲホッ!それはこっちの台詞だ!お前ら何で平然と入ってきてんだよ……⁉鼻から出た麺を飲んじまったじゃねぇか……!」

 

「何よ、せっかく私とウェンディがお礼に背中を流しに来たってのに。入ってきたら悪い?」

 

「悪いに決まってんだろ!良いから出てけ!」

 

「はあ⁉出てけって失礼じゃない⁉アンタ、日本での礼儀作法すら知らないの⁉」

 

「間違えた知識を鵜呑みにしてんじゃねぇよ……!―――やべっ、血が足りなくなってきた……っ」

 

「ほら、良いから礼ぐらいさせなさいよ。オスのくせにだらしないわね」

 

「何で俺が悪態をつかれなきゃいけねぇんだよ……っ。俺が何か間違えたか……⁉」

 

理不尽なシャルルの言動に悪堵はもはや抵抗する気力も無くなり、なすがままにされる事に……

 

座らされ、シャルルが泡立てたタオルで悪堵の背中をゴシゴシと洗い始める

 

ウェンディも背中流しに参加し、一所懸命に悪堵の背中を洗う

 

『……落ち着け、落ち着け俺。余計な事を考えるな……。心を無にしろ……小動物と(たわむ)れてると思え……。ここにいるのはそう―――チワワと猫だ……チワワと猫……チワワと猫……』

 

自己暗示をかけて現実逃避を(こころ)みる悪堵

 

しかし、投影されたのはそれぞれ犬耳(ウェンディ)と猫耳(シャルル)だけだったので、ますます心拍数が跳ね上がる……

 

首をブンブン振り、それすら考えないように心を無にしようとするが―――

 

「はい、終わり。次はアンタが洗って」

 

『ほっ。すぐに終わって助k―――ゑっ?』

 

一難去ってまた一難

 

今度は悪堵がシャルルとウェンディを洗う番に回されてしまった……

 

異議を唱えようとする悪堵だが、シャルルは既に背中を向けており、白い髪を掻き分ける

 

ただでさえ鼻血必至の状況なのに、このまま続けては命が危ない……かと言って逃げれば、後で文句をつけられてしまうだろう

 

悪堵は腹を(くく)ってやるしかなかった

 

泡立てたタオルをソッとシャルルの背中に当て、ゆっくりと洗っていく

 

“時間よ、早く流れろ……!”と切に願うが、そんな事は起こる筈も無い

 

目を閉じ、出来るだけ心を無にしてシャルルの背中を洗う

 

悪堵が必死に己を(たも)っている中―――シャルルは紅潮していた

 

『……結構優しい手つきね……。小さい頃、お父さまに洗ってもらった事あるけど―――なんか、その時と同じ感じがする……っ』

 

父親の洗い方と酷似した手つきに小さく(あえ)ぎ、次第に上記していくシャルル

 

「……も、もう少し下もお願い……」

 

「し、下?下って…………この辺りか?」

 

目を閉じているので勘を頼りに探り当てる悪堵

 

シャルルの腰にタオルを当て、洗い始めた刹那―――彼女の身体に電流のような快感が走る

 

『――――っ⁉……っ!……っ⁉何……これっ、ヤバい……っ!』

 

洗っている―――ただそれだけの筈なのに形容し難い快感がシャルルの身体を突き抜け、耐えきれなくなった彼女は「もっ、もう良いっ!」と焦ってその場から離れる

 

よく分からんが、これでやっと解放される……

 

そう思っていた悪堵に更なる試練が降りかかってきた

 

「……じゃ、じゃあ、次はウェンディを洗ってあげて」

 

「まだ終わらねぇのかいっ!」

 

「当たり前でしょ……。ウェンディもなに逃げようとしてんの?戻らないと後で酷いわよ?」

 

「ひうぅ……っ」

 

シャルルに強制されたウェンディはやむ無く座り、タオルをはだけて背中を(あらわ)にする

 

シャルルと同じく柔らかそうな玉の肌

 

悪堵は目を閉じたまま、ウェンディの背中も洗う事に……

 

ゴシゴシと洗っている最中、ウェンディもシャルル同様に紅潮していく

 

『ど、どうして……こんなっ、気持ち、いい……っ。はぁぁ……っ』

 

※誤解の無いように説明しますが、ただ背中を洗っているだけです

 

ウェンディも背中が性感帯なのか……終始顔を赤らめ、押し寄せてくる快感に耐えようとプルプル震えていた

 

一方、悪堵は―――

 

『早く終われハヤクおわれはやくオワレハヤクおわれはやくオワレハヤクおわれはやくオワレハヤクおわれはやくオワレハヤクオワレ……ッッ!』

 

必死に“早く終われ”と詠唱を続けていた……

 

詠唱の数が増えるに連れて、悪堵の手の動きが速くなる

 

早く終わりたい一心から生じた高速背中洗い

 

しかし、それはウェンディを更に身悶えさせる結果となった

 

『んーーーッ!んんんーーーッ‼んんんんーーーッ‼』

 

悲鳴か奇声かすらも分からぬ絶叫がウェンディの喉から出そうになる……

 

思わぬ惨状を目の当たりにしたシャルルは危険と判断し、悪堵を湯の中に突き飛ばして中断させる

 

突き飛ばされ、湯の中にダイブした悪堵がゲホゲホと()せながら顔を出した

 

「何しやがる⁉」

 

「それはこっちの台詞よ!アンタが激しくするから、ウェンディがこんな風になっちゃったじゃないの!」

 

激昂するシャルルの横では―――顔を紅潮させ、完全にアへ顔となったウェンディが横たわっていた

 

性感帯を激しく刺激され過ぎた結果、ウェンディは身体をピクピクと痙攣させる……

 

この惨状に悪堵はゆっくりと目を逸らし、静かに潜っていく

 

「こらぁ!なに逃げようとしてんのよ!責任取りなさいよーッ!」

 

シャルルの怒声に対し、悪堵は“シリマセン、シリマセン”と言わんばかりに手を振った……

 

 

―――――――――――――

 

 

一方、別の湯では幽神兄弟の兄―――正義が瞑目したまま浸かっていた

 

日頃から緊張の糸を切らない彼にとって、ようやく訪れた安息の時間

 

バシャッと湯水を顔に浴びせ、静かに露天湯を堪能する

 

『……何だかんだで温泉は落ち着くな』

 

「おや、こんな所にいましたか、正義パイセン」

 

馴れ馴れしさが残る口調で話し掛けてきたのは―――リント・セルゼン

 

ボディラインが浮き彫りになる戦闘服を着ている事から、どうやら様子見に来たようだ

 

正義は背を向けたままリントに話し掛ける

 

「何か用か?」

 

「いえいえ、用って程じゃありやせんけどね。アスタロトさん()が自慢する温泉がどんなもんなのかなーと思いまして。ま、単なる下見っス」

 

「そうか」

 

「そんじゃまあ、下見が終わったところで―――自分も入るとしますか」

 

パリンッッ!

 

リントがそう言った瞬間、正義の目からガラスが割れたような音が発生した……

 

正義はすぐにやめるよう言おうとしたが、リントは既に戦闘服をほぼ脱いでいる状態だった

 

リントのおっぱいが視界に入った刹那、正義は“グキンッ!”と超スピードで首を逆方向に捻った

 

「き、貴様……!勝手に入ろうとするな……!と言うか、何故その下には何も着けていないんだ……っ⁉」

 

「ん?ああ、はい。この服を着る時はノーパンノーブラなんスよ。その方が着やすいんで」

 

「ふざけるな……!教会出身のヤツらは露出狂の集まりか……っ⁉」

 

「まあまあ、日本ではこう言うらしいじゃないスか。“裸見せ合うも他生の縁”とか“裸の付き合い”とか。正義パイセン、ちょうど良い機会なんでお互いの距離を縮めてみましょうよ」

 

「“袖すり合うも他生の縁”だろ……っ!バカにしてるのか、貴様ぁ……っ⁉」

 

全部脱ぎ終わり、全裸になったリントは露天湯に浸かる

 

ふぅ~っと気持ち良さそうに浸かるリント

 

その横で正義は目を(つむ)り、先程痛めた首を(さす)

 

「なかなか気持ちいいものっスねー」

 

「……良いか、よく聞け。風呂とは、温泉とはヒトに安らぎと癒しを与える場だ。俺は独りで浸かって、ゆっくりと疲れを取りたいんだ。ただでさえ兵藤との絡みで疲れているのに、これ以上の疲労を重ねるのは御免(こうむ)る。……つまり、俺の言いたい事は分かるな?」

 

「ふーむ、なるほどなるほど。要するに癒されたいんスね?」

 

「その通りだ。分かったらさっさと―――」

 

「それじゃあ自分の事はあんまり気にせず、ゆっくりと浸かっててくださいな」

 

正義の言い分はリントに全く届いていなかった……

 

無理矢理追い出そうかとも考えたが、裸の女の子相手になす(すべ)が無く、込み上げてくる鼻血を抑えるので精一杯

 

ここから逃げ出す良い手立てが無いか模索していると、柔らかな人肌の感触が押し掛けてくる……

 

正義は目を閉じているので、リントが今どういう状態でいるのか想像がつかない

 

現在、リントは正義の左肩に頭を寄せ―――(もた)れ掛かっていた

 

それはまるで恋人のように……

 

「………………ナニ、ヲっ、シ・テイル……っ?」

 

「いやー、人肌に触れるのってどういうものなのかと思いまして」

 

リントの軽いノリでの突発的行動についていけない正義

 

今にも噴射してしまいそうな鼻血を(こら)えていると―――ザワ……っと嫌な予感が走る

 

正義は目を開けたくても開けられず、彼の眼前の湯がブクブクと泡立つ

 

リントも疑問符を浮かべて見ていると湯がだんだん大きく盛り上がり、次第に人の形を成していき―――

 

「コォォォォォォォォォォォォォォォォぉイィィィィィィィィィィィィィィィィィぃがァァァァァァァァァァァァぁタァァァァァァァァァぁァァァァァァァァぁキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィぃ……っっ!」

 

怨嗟に(いろど)られた声音と共に現れたのは……裸体にタオルを巻いたジュビアだった

 

悪霊・怨霊・死霊さえも睨み殺すような眼差しをリントに向け、湯で濡れて前に垂れた髪が不気味さをより際立たせる

 

またしても正義の“嫌な予感センサー”が当たってしまい、逃亡がますます困難と化す……

 

リントは目の前のサダコ(ジュビア)に「あ、どもどもっス」と軽く対応する

 

「アなタは……ジュビアのいなイ間にソンナ(うらや)()い事を……っ。ソれハ“ジュビア法”最大の禁止事項に死て、恋敵(こいがたき)的発想ォォォォォォ……っ」

 

謎の法律のもと、ジュビアは危険なオーラを身に纏ってリントを威圧する

 

彼女のただならぬ気配は正義さえも震え上がらせた……

 

目を(ひら)けば鼻血()……(ひら)かなくてもいずれ鼻血()……完全に詰みとなった

 

それでも正義は逃亡を諦めず、脳をフル回転させて脱出方法を導き出そうとするが―――

 

「おんや、アスタロトさん()のお姉さんも正義パイセンの隣を所望っスか。ではでは自分は正義パイセンの右に行きますので、左サイドは譲ります」

 

ジュビッ⁉と謎の擬音が発され、ジュビアの顔が怨霊状態から通常の状態に戻る

 

リントは正義の右隣に移動し、手招きしてジュビアを先導する

 

正義は『ナ、ン、ダ、ト……っ?』と戦慄するしかなかった……

 

恋敵(ジュビアの勝手な思い込み)からの思わぬ催促にジュビアは―――

 

「あなたはとても良い人ですねっ☆」

 

「あざーっす」

 

あっさりと手のひらを返すように態度を一変させ、即座に正義の左隣へ居座る

 

両側から感じる柔らかい人肌

 

端から見れば両手に華と言う状況だが、正義にとっては両手に爆弾だった……

 

逃れられない窮地に立たされた正義は心中で般若心経を高速で詠唱する

 

全身の血液が鼻に集まり、今にも沸騰しそうなところへ更なる追い打ちが……っ

 

「なかなか良い温泉じゃない」

 

「私としてはバラ風呂も欲しかったわ」

 

元過激派教団のヒメガミとフローラもタオルを巻いて入ってきた

 

彼女達も正義のすぐ近くまで寄り、正義はあらゆる方面からの退路を失った

 

極限まで追い詰められてしまった正義は―――

 

『……そうか、今日が俺の命日となるのか……』

 

目を閉じていながら悟りを開き、鼻血()を確信した

 

周りは完全にジュビア達に囲まれ、逃げ出す事も出来ない

 

まさに袋の(ねずみ)……

 

ここで正義は決死の覚悟をもって一大決心する

 

『…………どうせ死ぬなら、少しでも前に進んで死んでやる……っ。ここまで耐え切ったのなら、もしかしたら血を失わずに済むかもしれん。―――俺は……兵藤とは違う……ッ!』

 

正義の目がゆっくりと開かれ、湯気に(さえぎ)られている視界が徐々にクリアとなっていく

 

前方にはヒメガミとフローラ、2人のタオル越しのおっぱいは湯に浮かんでいる

 

右に視線を移せばリントと目が合い、左に視線を移せばジュビアがキラキラした目で見つめてくる

 

無論、全員のおっぱいを見た正義は天を仰ぎ……一言だけ呟いた

 

 

――――“無理だ”――――

 

 

ブッッシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!

 

その夜、幽神正義は火山(鼻血)を噴火させ、体内の9割以上の血を空と露天湯にぶちまけた

 

 

――――――――――――――――

 

 

『それで首尾はどうですか?あなたの製作した試作品の塩梅(あんばい)は』

 

「予想以上の出来だよ。まさか、コイツを加えただけでこれ程の出力とはね……。その分、体への負担が半端じゃなくなるだろうけど。一応感謝だけしておこうかな」

 

Merci(メルシィ)。こちらとしても、あなたのような積極的に協力してくれるテストプレイヤーがいて喜ばしいですよ』

 

「それは良いけど、色々気になる点が出来ちゃったよ。―――アンタが何者なのか、何故“こんな物”を持っていたのか、どうして僕に協力を持ち掛けたのか。そもそも僕の事をどうやって知ったのか?挙げていけばキリが無い。アンタはいったい何処の誰なんだ?」

 

『あなたと同じく実験と研究を(たしな)む者の1人―――とでも言っておきましょうか。では、これ以降の連絡は一切しません。お互いの為にもね……Adieu(アデュー)

 

……………………………………

 

「胡散臭い奴め。……まあ、これで僕の技術が(のこ)せるなら何でも良いさ。思う存分データを取らせてもらうよ。赤龍帝(せきりゅうてい)神滅具(ロンギヌス)を超えられるか(いな)か……良い実験になりそうだ」




また1ヶ月以上かかってスミマセン……

アスタロト編は次回で締めに入ります

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