そして、お待ちかねの回です!
「さて、これでヘラクレスとジャンヌの移送は完了したわね」
新と一誠が曹操とのリターンマッチを繰り広げている頃、リアス達(祐斗を除く)はヘラクレスとジャンヌを冥界に転送し終え、
旧魔王派の鎮圧も
「なら、オレはこれで失礼する。クイーンとポーンの方も魔獣の討伐が終わった頃だろう」
お役御免と言わんばかりにその場を立ち去ろうとする大牙
そこへ渉が呼び止める
「あのー、大牙さん。どうして帰っちゃうんですか?」
「決まっているだろ。まだ奴の始末が終わっていない。―――神風もこの騒動を見物している筈だ。探しだしてケリをつけねばならない」
そう、この魔獣騒動には少なからず
人間界でアドラス、冥界で神代剣護とメタルが出てきたように―――残りの神風一派もこの騒動の陰に隠れ潜んでいる事は明白
大牙はキングとして、神風の凶行を止められなかった責任を感じているのだ
「今お前達と共闘したのも、目の前にいる共通の敵を倒す為だけだ。オレ達は所詮、相容れない関係にある。だから―――」
「だから、馴れ合うつもりはない……って言いたいんですか?」
大牙の言いかけた心情を渉が遮る
「確かに僕達は今まで散々争いを続けてきました。穏健に過ごしたい闇人、それを良しとしない闇人、2つの派閥でいがみ合ってきました。……でも、それって結局何も生み出さず、ただ減らしていくだけの虚しい消耗なんじゃないですか?」
「…………」
「今なら……今ならお互いに分かり合えると思うんです。この騒動と同じように、ただ破壊するだけの種族なんて最後には消えてしまいます……。あなたのお母さんはそれを知ったから総司さんに鎧を託し、僕のお父さんもその事に早く気付いたから争いをしなかったんだと思います。大牙さんには大牙さんなりの誇りがあるんだろうけど、僕は一誠さんみたいに皆さんと仲良く、楽しく暮らしたい。新さんみたいに大切な人達を守っていきたいんです。それに―――」
「それに?」
「大牙さんは不器用だけど、悪いヒトじゃありません。だって、リアスさん達を助けてくれたじゃないですか。どんな形でも、どんな言い訳をしてもその事実は変わりません。―――大牙さんは良いヒトです」
渉は自分の思いの丈を大牙にぶつけた
的確な事をズバズバ言い当てられ、大牙は返す言葉も無く、ただキョトンとしていた
祐希那が額に手を当てて嘆息する
「はぁ……渉、あんたって筋金入りのバカよね」
「僕は思った事を素直に言っただけだよ?」
「そういう事を臆面もなく言えるところが筋金入りなのよ」
「……?」
渉と祐希那の夫婦ぶりが滲み出るような会話の中、それを見ていた大牙は心中で『悪いヒトじゃない、か……』と呟く
しかし、そんなほのぼのとした空気が一転……リアス達の周りが何かに覆われる
リアス達をスッポリ包み込むように現れたのは―――半透明かつ薄暗いドーム状の結界だった
リアス達は直ぐに魔力による攻撃を仕掛けるが、結界は全く傷つかない
しかも、その結界は渉、祐希那、大牙の3人を包み込まなかった―――そう、“意図的に”……
「何なの、この結界は……?」
「何の気配も無しに結界を……いったい誰が?」
リアス達が怪訝そうに
結界に包まれなかった3人、結界内に閉じ込められたリアス達がその方向に視線を向けると―――宙に闇が出現し、闇の中から2人の刺客が現れる
1人は神風一派の
もう1人も同じく神風一派の闇人、大蛇の如く太い体格をしたガーラント・グリンベルデ
両者共に京都で対峙した時とは姿形が変わっており、内から静かに
そして、彼らの胸部にも“ブラックウィドウ”が持つ赤い砂時計の痣が刻まれていた
「グレモリー眷属の大半が勢揃いでやすね、バリーの旦那」
「赤龍帝、闇皇、聖魔剣と攻撃役の
「狩りは油断した時こそ、1番の狙い目でありやすからね。『
リアス達に続いて渉達も結界の破壊を試みるが、結界は傷1つ付かない
「無駄だ。お前達の力で破れるようなヤワな結界ではない」
「どうしても解きたいなら、あっしらを倒すしかありやせんぜ?もっとも、この騒動で
「……この卑怯者……ッ!」
リアスが毒づくが、バリーは「何とでも言え」と即座に一蹴
地に降り立ち、渉、祐希那、大牙の3人と対峙する
「せっかくでやすから、ゲストもお呼びしやしょうか。神風の旦那から面白いもんを預かっておりやして」
「良いだろう。手駒は多いに越した事はない」
バリーの承諾を得たガーラントは自らの口内に手を突っ込み、何かを取り出す
取り出したのは―――3つの光る球体
それは以前にも見た事のある光景だった
「まさか……それって……!」
「察しが良いでやすね、グレモリーの姫さん。そうっすよ、こいつは“肉体を失った者どもの魂”でさぁ。神風の旦那が擬似的な『
バリーとガーラントが3つの光る球体に魔力を注ぎ込むと―――球体が弾けて形を成していく
そこに現れたのは……いずれもグレモリー眷属と深い関わりを持つ者達だった
―――白髪の神父、フリード・セルゼン
―――初めて対峙した
―――アスタロト家元次期当主、ディオドラ・アスタロト
彼らの登場にリアス達は驚愕し、復活した村上が最初に口を開く
「久しぶりだね、グレモリー眷属。この様な形とはいえ、また会えるとは光栄の限りだ」
「オッス!俺フリードッ!まーたまたまたまた参上復活大見参っ!昔懐かしの面々でパーリナイ!って事で、あんたらソッコー斬殺キリング!あん時の恨み
「アハハハハハッ!まさか、こんな形でチャンスが巡ってくるとは思わなかったよ。今度こそ、アーシアを僕のものにする。赤龍帝がいない今、もう誰にも邪魔はさせないよ!」
村上、フリード、ディオドラの3人から殺意に満ちたオーラが溢れ出す
明らかに以前と比べてパワーアップした様子……
「奴らも少なからず“ブラックウィドウ”の影響を受けているので、強さは生前の倍以上だ。精々心してかかれよ」
リアス達は結界に閉じ込められているので参戦出来ず、今戦えるのは渉、祐希那、大牙の3人のみ
向こうの戦力はこれから来るであろう神風に加え、バリー、ガーラント、村上、フリード、ディオドラと―――実質6人
戦況は
「くそ……っ!この結界さえ壊せれば……!」
ゼノヴィアが苦虫を噛み潰したような表情で悔しがる
それは皆も同じ……神風一派はまともな勝負を仕掛けてきてない
確実にリアス達を葬る策を行使してきた
卑劣極まりないやり方……
「……イッセーさん……っ」
アーシアは今この場にいない
いつも自分の傍にいてくれた一誠……
戻ってきてくれるよう祈り続けるアーシア
しかし、神風一派はそんな
「村上、フリード、ディオドラとやら、お前達はガーラントと共にそこの3人を足止めしていろ。グレモリー眷属は今この場で葬るべき存在なんでな。一挙に奴らを消し飛ばす」
バリーが左腕の銃口を結界内に閉じ込めたグレモリー眷属に向ける
リアス達は危険を感じて結界への攻撃を続けるが、やはり壊れない……
ガーラントが復活させた3人を引き連れて渉達の足止めに掛かる
「おい!アーシアは僕のものにするんだ!彼女だけは殺すなよ!」
「心配するな。後で神風に頼んで復活させてやる。―――従順な奴隷としてな」
「それなら安心だ」
「退きなさいよっ、あんた達!退けぇ!」
ゲスの極みここにありと言わんばかりのやり取りに祐希那は大激怒、渉と大牙もバリーの砲撃を止めようとするが―――さすがに4人がかりで来られては分が悪かった
ガーラントも復活の3人も思った以上に強く、なかなか前に進めない
その間に着々と砲撃準備を整えたバリーは照準を合わせる
「朱乃!ロスヴァイセ!全力で防御を固め―――」
「残念だが、そうはさせない。その結界には防御術式を無効化する機能もある。何もさせない、何も出来ないまま惨めに死んで逝け」
防御も無駄に終わり、徹底した卑劣な策略にリアスは歯噛みする
目の前の悪に対して、どうする事も出来ない……
砲撃が放たれ、リアス達の命運が尽きようとした―――その時だった
バシィィィインッ!
突如現れた何者かの攻撃によって、バリーの砲撃は上空に消えていく
突然の現象にリアス達どころか、バリー達も驚いていた
リアス達を滅ぼそうとする砲撃を食い止めたのは意外な人物だった……
左足を覆う脚甲、ボロボロのコートを羽織った男……
リアス達はその者の登場に戦慄した
「
そう、この場に現れたのは―――以前、一誠達を強襲した
少し遅れて弟の
思わぬ乱入者に攻撃の手が止まる両陣営
幽神正義は足をほぐした直後、鋭い視線で神風一派を睨み付ける
「貴様らがこの騒動の元凶か」
「事の発端は『
「答える必要は無い。貴様らは直ぐにこの世から消え去るからな」
並々ならぬ敵意を神風一派に浴びせる正義
悪堵はリアスに説明を求められ、結界近くまで歩み寄って言う
「ま、とりあえず今の俺達はあんたらの味方って事だ。そう警戒しなさんな」
「……そう、それは頼もしいわね。それにしても……あの異様な敵意は警戒しないでと言われても納得がいかないわ。何が遭ったの?」
「あー……今の兄貴はかつてない程ブチキレてる状態でな……。俺でも手に負えねぇのよ……」
リアスの問いに対して悪堵はそう答えるしかなかった
正義は1歩前に出て、渉達に言う
「貴様らは下がっていろ。こいつらは俺が仕留める」
「あのー、あなたは?」
「答える義理は無い。さっさと下がれと言っている。2度も同じ事を言わせるな」
「ちょっとあんた!さっきから何なの?いきなり出てきて失礼にも程が―――ッ」
正義は文句を言おうとした祐希那を鋭い眼力で威圧
凄まじいプレッシャーに当てられた祐希那は思わず言葉を失ってしまい、ビリビリした空気がその場を支配する
正義はドスを利かせた声で再度警告した
「巻き込まれたくなければ下がれ」
「兄貴の言う通りにしな。じゃないと―――マジで死ぬぞ?」
悪堵も警告を
渉達はやむを得ず後方に下がる事にした
「ワリィな、あんたら。これもあんたらの為なんだ。今の兄貴はマジで手がつけられねぇ程キレてるからよ。しばらくは大人しくしててくれ」
悪堵が宥める中、正義は耐えず神風一派を睨み付けている
すると、フリードが首を傾けて挑発してくる
「おやおやおんやぁ~?助っ人野郎のご登場ですかぁ?初対面のくせに殺気がギラギラしてやがるなぁ。超良い感じでムカつくんだけど!決定、俺に不快感を与えちまったチミは極刑死刑終身刑ザマスッ!」
「不愉快?それはこちらの台詞だバケモノ。貴様らは姿形から醜悪極まりない、息をしているだけでも
正義は神風一派に指を突きつけて問う
「1つ訊こう。あの女―――アーシア・アルジェントを泣かしたのは貴様らだな?」
正義の問いにリアス達はざわつき、神風一派のバリーとガーラントは問いの意味が理解できずにいた
すると、フリードはニンマリと口の端を笑ませる
「はぁぁぁぁぁああああっ?あのクソビッチシスターに肩入れすんのかよ?てめぇ何様よ。あー、分かった!腐れアーシアちゃんの元カレ的なヤツですか!いやー、未練たらたら垂れ流し野郎は嫌だね~っ!ストーカーは犯罪だっつぅの!そして俺に恥をかかせたクソビッチシスター&クソクズ悪魔どもは俺法によって有罪死刑確定なんだよ!懐かし感動の再会だ!まずはクソビッチシスターのアーシアちゃんからいじめてやりましょうかねぇぇぇぇぇっ!またあん時みたいに楽しくやりましょぉぉやぁぁぁぁぁあああ!」
ピキ……ッ!
フリードの発言によって正義の“何か”がキレ、更に鬼気に満ちたオーラが滲み出てくる
正義の声音は怒りを通り越し、激怒の色を孕んだ
「そうか……それだけ分かれば、もう良い。貴様も、貴様の周りにいる奴らも共犯者と言うわけだな……ッ」
「それがどうしたよ?はいはいそーですよ、そーでごぜーますよ!それがどうし―――」
ゴォォォォォォオオオオオオオオッッ!!
正義の全身から毒々しい色合いをしたオーラが吹き荒れる
明らかに今までとは違った感じのオーラ
まるで相手に対する絶対の怒りを表していた……
正義の後ろに鬼の幻影が見える程に……
「貴様らは……肉の破片も、骨の欠片も残さん……ッ!輪廻転生など出来ると思うなよ……ッ。この世から消えて無くなるまで―――蹴り殺す……ッ!」
正義の左足を覆う脚甲も彼の怒りに呼応したのか、オーラと同じく毒々しい色に変化していき、彼自身の肉体を隅々まで覆っていく
全身が覆い尽くされたところで正義は怨嗟にまみれた言葉を発した
「怒りを喰らわば修羅となろう―――。怨みを滅せば
力強い呪文が唱えられた瞬間、正義に鬼の幻影が重なり―――彼は異質な
銀と紫を基調とした毒々しいボディ
両肩、両腕、両足に翼の如く飛び出た刃
頭部に生えた2本角、全身の随所に刻まれた血の如く赤い紋章
その姿形は紛れも無く、彼の深層心理に巣食う“鬼”を体現していた……
あまりにも異様な迫力、気迫と
ただならぬ進化―――
「俺の怒りが、貴様らに対する怒りが俺を更なる高みへと昇華させた。この姿は―――俺の怒りその物。―――『
正義はフリードに鬼気に満ちた視線を向けた
「まずは貴様からだ。貴様はさっきアーシア・アルジェントに対して散々言ってくれたな。ベラベラと回転するその舌には、よほど無駄な
「ヒャーハハハハハハハハハハッ!モテない男の
フリードは哄笑を上げると共に肉体が不快な音を立てて肥大化し、統一性が無くなった
ディオドラ戦の時と同じ
変貌を終えたフリードは悪意に満ち満ちた形相で挑発する
『そんなに死にたきゃテメェからぶっ殺してやんよぉぉぉぉっ!誰だか知らねぇが、生まれてきた事を後悔させてやるぜぇぇぇ?無敵超絶復活モンスターのフリードくんをよろしくお願いしま―――』
ゴシャァッッ!
瞬時に正義の姿がフリードの眼前に現れ、左足による蹴りがフリードの左目を直撃
不快な音が響いた直後、フリードは潰された目を押さえて絶叫した
更に正義は右足の蹴りでフリードの顔面を
『いッッッッってぇぇなぁァァッ!こんの腐れゴミクズ野郎がァァァァァアアッ!よくもよくも俺様のお顔をォッ、
「それがどうした」
正義は文字通りフリードを一蹴、再び強烈な蹴りをくらわせる
「眼球を蹴り潰される気分はどうだ?想像を絶する痛みだろう」
『こぉぉぉぉのぉぉぉぉぉっ、チクショウがぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!調子クレテンジャネェェェェェェェェエッ!』
怒り心頭で突っ込んでくるフリード
しかし、それは正義にとって格好の的―――カモに過ぎなかった
正義は左足を振るって弧月状の衝撃波を飛ばし、フリードの足を止める
刹那、正義のダッシュしてからの飛び蹴りがフリードの口元に炸裂し、口腔内を破壊する
歯が砕け、神経もズタボロにされたフリードは口から大量の血を流し、更に怒りを爆発させる
『このクソ××××××がぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!××××を××××して死にやがれェェェェェエエエエエッ!』
放送禁止用語を吐き連ねるフリードに対し、正義は再びフリードの潰れた眼球に蹴りを入れた
フリードは潰れた眼を押さえてのたうち回る
『
「貴様は愚かだ。自分から的を大きくしてくるとは。デカければ勝てるとでも思ったか、クズが」
正義は容赦や慈悲を一切見せずフリードを蹴飛ばす
肉も骨も神経も潰され、フリードの体は崩壊の一途を辿っていた
「立てバケモノ、さっさと立ち上がれ。楽に死ねると思うなよ。死ぬまでその苦痛を繰り返してやる」
『キュハハハ……ッ。ヒャハハハハ……ッ!そんなにあのアバズレシスターアーシアちゃんが大事かよ?頭に
グシャァッッ!
フリードの態度は正義の怒りの火に油を注ぎ、結果―――フリードの足が見事に踏み潰された
五指もろとも破壊された足から骨が飛び出し、フリードは更に絶叫する
『アギャアァアァァァァアアアアアアアアアッ!てんめぇぇぇぇぇっ!人の話は最後まで―――』
ズドンッッ!
有無を言わさない鬼の蹴りが今度はフリードの
その衝撃に耐えきれる筈もなく、フリードは口から血が混じった多量の吐瀉物を吐き出した
次に正義はそのままフリードの後頭部を踏みつけ、先程吐き出された
グリグリと擦り付け、フリードの顔面で
拭き終えたらサッカーボールキックでフリードを蹴り上げ、喉元目掛けて足の爪を突き刺した
気道を潰されたフリードは呼吸が乱れ、喉元を押さえて苦しむ
「さあ、次は何処を潰されたい?腕か、腹か、それとも頭か」
『……ペッ。まあまあまあ待ちなさいよ……。良いアイディアが思い付いたぜ?そうだ、ジャンケェンで決めようっ。俺がグー出すからテメェはチョキ出せやァァァァァアアッ!』
フリードが不意打ち気味に巨大な拳を放ってくるが―――正義の蹴りによって敢えなく撃沈
フリードの拳は砕かれ、あらぬ方向にねじ曲がった
『……ヘッ?』
「悪いが俺の
ゴキンッッ!
フリードの卑劣で愚かな手腕に正義は更にヒートアップ
激昂しながら起き上がったフリードにサイドキックを叩き込み、フリードの鼻をへし折る
立て続けに飛び乗ってフリードの頭を掴み、膝を添えて全体重を掛けて落とす
徹頭徹尾痛めつける正義の鬼畜な所業……
フリードは正義を睨み付けるも、正義は一切揺らぐ事無く倒れたフリードを見下す
『クソッタレのぉぉ……クソクズのぉ……ファッキン野郎がァァァァァアアッ!ファッキンファッキンファッキンッ!俺様を見下してんじゃ―――』
ドゴォッッ!
またもや有無を言わさない鬼の蹴りが炸裂
正義はフリードの周りを縦横無尽に飛び交いながら、蹴りの乱舞を繰り出していく
倒れる事すら許さない正義の蹴りが1発、2発、3発、次々とフリードの体を破壊する
蹴りと共に巻き起こる大爆発、断末魔が発せられても止む気配は無い……
蹴っては
その惨状はリアス達も思わず目を
炎を操る錬金術師の大佐の如き凶悪なリンチを執行した正義
最後の一撃と言わんばかりにフリードを宙へ蹴り上げ、右足に毒々しいオーラを纏わせる
自分も飛び上がり、フリード・セルゼンと言う存在その物を吹き飛ばす勢いで蹴り抜いた
『アビバァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』
フリードは神速で地面に落とされ、五体が爆散四散
ゆっくり降り立った正義の頭上から飛び散ったフリードの血や肉の破片が雨のように降り注ぐ
肉体の9割を破壊されたフリードは首だけになっても尚、正義への敵意を消していなかった
しかし、もはや勝負は見えたも同然……
正義が首だけとなったフリードを無慈悲に踏みつける
「貴様を見ていると昔の自分を思い出す。嫉妬と狂気にまみれた自分を……。……なるほど、醜いな」
『……アァ……ッ?』
「昔の俺は醜かったが、貴様はそれ以上の醜さだ。顔も、言動も、思想も、何もかもが醜い。見るに耐えん程にな」
『……ヘへッ、よく言えたもんだな……。テメェの愛しい愛しいクソビッチアーシアちゃんの前でよぉぉぉ……?ドン引きしてやがるぜぇぇぇ……?今のテメェは俺様と同じく醜いバケモノのくせによぉぉぉ……っ』
フリードは正義を動揺させようとするが、正義は一切引っ掛からない
フリードを踏みつけている足の力を徐々に強めた
「それがどうした。あの女を―――アーシア・アルジェントに手を出す
ギチギチギチ……ッ!とフリードの頭蓋骨が軋む音が強くなり、フリードの目から血が滲み出てくる
何か言おうとしても決して何も言わせない……
鬼と化した正義には慈悲の欠片も無い……
「俺の前から―――消え失せろ……ッッ!」
ゴシャッッ!
耳を塞ぎたくなる音が木霊し、先程までフリードの頭部を踏みつけていた正義の足が血に染まる
まさに鬼畜が成せる業……
一部始終を見てしまったリアス達は口元を手で押さえ、込み上げてくる吐き気を
アーシアとイリナ、祐希那は耐えきれず顔を逸らし、嘔吐してしまう
フリードを殺した正義は次の獲物を見据える
「さて、次に死にたい奴は誰だ。―――前へ出ろ」
修羅の化身と化している正義の気迫にディオドラは完全に萎縮してしまい、村上も体の震えを抑えられずにいた
「ぁ……あぁぁ……っ。嫌だ……嫌だ……!せっかく生き返ったのに、あんな殺され方は嫌だァァァァァアアッ!」
恐慌状態に
一方、村上は逃亡せずに
「逃げたところでいずれは殺られる。なら―――返り討ちにしてやろうッ!」
村上は幾重もの巨大な薔薇の怪物を召喚し、その群れと共に正義に向かって突っ込んでいく
正義は一気に蹴散らすべく更にオーラを高め―――背中から怨霊の如く揺らめく両翼を広げた
その瞬間、先程よりも強い衝撃が発せられ―――両翼がまるで1対の眼のように妖しい輝きを放つ
両翼に
そして、正義は冷酷に言い放った
「―――死ね」
ゴオォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!
両翼から凄まじいオーラの奔流が放射され、怪物の群れごと村上を呑み込み―――跡形も残さず滅ぼした
悲鳴の一欠片も上げさせなかった鬼の奔流は空へ突き進み、逃げるディオドラを捉える
「ヒイィィィィイイイイイイイイイッ!」
絶叫するディオドラを容赦なく襲い、空の遥か彼方へと追放した……
圧倒的……圧倒的な鬼の業……
復活した3人を早々に片付けた正義は残る神風一派を睨み付ける
「次は貴様らの番だ。貴様らは肉の一片まで、骨の
「……注視すべきは赤龍帝、闇皇、聖魔剣だけだと思っていたが、グレモリー眷属にこんな隠し球が存在したとは。―――少し
バリーはグレモリー眷属の戦力を見誤った事に多少の焦りを見せる
幽神兄弟の乱入はリアス達も予想だにしなかった事態だが、完璧だった筈の策を打ち破られたのは事実
足止めはしているものの、新と一誠が
バリーは体から戦意に満ちたオーラを揺らめかせ、
「神風が来るまでの時間稼ぎだ。グレモリー眷属が結界内で動けない今、お前達が1番の脅威となり得よう。ガーラント、奴らを排除するぞ」
「分かりやした、バリーの旦那。あっしらが最後の防衛ラインみたいなもんでありやすからね」
バリーとガーラントが並び、鬼と化した正義と対峙する
相手は2人と言う事で、悪堵も兄の隣へと並ぶ
「兄貴、俺も手伝うぜ。あいつら、今までの奴らとは違う感じがしやがる」
「……ああ、明らかにさっきまでの奴らとはレベルが違う。相棒、決して気を抜くな」
地獄の兄弟と神風の近衛兵、予測不可能な戦いの火蓋が切って落とされる……
待望の幽神正義大暴れ回です!
復活した敵は噛ませ犬感が半端ないですが……
今回登場した正義の強化形態のイメージモデルはディープスペクターおよびゲキコウスペクターです
彼にピッタリ過ぎる形態かと……