ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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VS神代剣護回です!


師弟対決!ゼノヴィア&イリナVS神代剣護

「ゼノヴィア、イリナ。本気で俺に勝てると思ってんのか?」

 

「剣護さん、もうあの頃の私達とは違う」

 

「そうよ、私達だって成長してるんだから!」

 

「よく言うぜ。悪魔や異端者を見れば“断罪”だの“斬る”だの、片っ端から斬りまくってたジャジャ馬が今更平和主義を気取りやがって……目障りなんだよ」

 

剣護は自分の周囲に高熱の火球を幾重にも生み出し、更に『灼熱の邪聖剣(デスカリバー・イグニッション)』にも高熱を帯びさせる

 

左手を向けると周囲に(ただよ)う火球の群れがゼノヴィアとイリナのもとへ飛来し、デスカリバーを振るって灼熱の斬撃を飛ばした

 

イリナは天使の翼を広げて飛び出し、それらを縫うように(かわ)していく

 

ゼノヴィアはエクス・デュランダルに聖なるオーラを蓄積させ、向かってくる火球と斬撃を一振りで斬り払う

 

「今度はこちらの番だ!」

 

ゼノヴィアはその場を駆け出して距離を詰め、エクス・デュランダルを振り下ろす

 

剣護は右手に持ったデスカリバーで難無く受け止める

 

ゼノヴィアは更に『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』の破壊力も上乗せして力を込めるが、微動だにしない

 

「ぐ……っ!」

 

「それで本気を出してるつもりか?―――ッ」

 

剣護は背後から迫ってくるイリナの気配を察知し、ゼノヴィアを蹴り飛ばす

 

イリナの量産型聖魔剣による一太刀をデスカリバーで受け流した

 

ゼノヴィアとイリナは2人がかりで剣戟を繰り出すが、剣護はそれらを片手で防ぎきる

 

3本の得物が起こす火花が煙臭い空間を(いろど)っていく

 

『何故だ、何故この人にエクス・デュランダルの刃が一太刀も通らない……⁉剣護さんは片手で私とイリナの剣を防いでいる……っ!強くなった筈なのに、どうしてここまで差を見せつけられているんだ……ッ!』

 

ゼノヴィアは焦燥感に駆られていた……

 

鍛え直した筈のエクス・デュランダルが、グレモリー眷属に入ってから強くなった筈の自分の力が全く通用しない

 

何が足りないのか、何かが欠けているのか?

 

ゼノヴィアの脳裏にそんな思いが(よぎ)る中、剣護はゼノヴィアとイリナを突き返す

 

横に構えた得物で何とか防いだものの、ハッキリと実力の差を見せつけられている

 

剣護はつまらなそうに嘆息した

 

「お前らの剣は軽すぎるんだよ。いくら強い剣を持とうが、使い手がカス同然なら武器の真価を発揮できない」

 

「私達の剣が軽いですって?そんな事ないもん!」

 

「事実だ。ゼノヴィアはデュランダルとエクスカリバーのパワーに頼りきり、イリナは自前の速度だけで剣を振るってきたのが手に取るように分かる。そんな見せ掛けの腕じゃあ振るう剣も軽くなるんだよ」

 

デスカリバーを握る剣護の手がギリリと強くなる

 

「昔の俺は聖剣を託された日から、いや……それ以前から教会と人々の為に信じ続け、聖剣を振るってきた。世のため人のため、自分の(おこな)いが人を救う力になると本気で信じてな……」

 

剣護はダッシュで距離を詰め、ゼノヴィア目掛けてデスカリバーを振りかぶった

 

ゼノヴィアもエクス・デュランダルで応戦するが……刃同士が衝突した瞬間、とてつもない重量感がゼノヴィアの手に襲い掛かってくる

 

―――デュランダルとエクスカリバーのパワーを合わせたエクス・デュランダルが押されている―――

 

『ぐ……っ!剣が、重い……⁉』

 

剣護が振るうデスカリバーの衝撃、重みに驚愕の色を隠せず、更に力負けしてしまい後方に飛ばされる

 

ビルの壁だった瓦礫に背中を叩きつけられ、痛みと窒息感が込み上げた

 

「ゼノヴィアッ!」

 

「人の心配してる場合かよ」

 

次に剣護はデスカリバーをイリナの頭上に振り下ろしてきた

 

イリナは量産型聖魔剣を上に掲げ、デスカリバーの刃を受け止めようとする

 

しかし、剣護が繰り出す剣戟はそのどれもが重く……耐えられるものではなかった

 

地面へ押し潰されるイリナ……衝撃と痛みに(さいな)まれ、血反吐を吐き出す

 

それでも剣護は一切容赦せず、義手の左手でイリナを無理矢理起こしてから殴り飛ばす

 

ゼノヴィアのもとへ転がるイリナ、ゼノヴィアがヨロヨロと駆け寄る

 

「お前らはただ闇雲(やみくも)に正義を信じて聖剣を振るってきたクチだろう?それを愚直に信じて俺は……10年、20年、聖剣を振るってきた。神が死んでからはその過ごした時間さえ無駄となった。お前らに想像できるか?自分の(おこな)ってきた事が全部無駄にされる気分がよぉ」

 

過ぎ去った時間は戻らないし、戻れない……

 

剣護は自身の人生の大半を教会と人々の為に捧げてきた

 

だが、それも今となっては全くの無意味

 

報われず、神も死んだ今、何を信じて良いのか分からない……

 

『力』―――もうそれだけしか信じられなかった……

 

ゼノヴィアとイリナには想像もつかないだろう……

 

拠り所が無く、孤独に彷徨(さまよ)った者の事など当初は考えもしなかった

 

だからこそ、剣護は教会を見限り、闇人(やみびと)側―――神風一派についたのだ

 

「神がいなけりゃ、俺が神になってやる。この理不尽極まりない世の中を正してやる。お前らもそれを望んでんだろ?だったら、俺の邪魔してんじゃねぇ。―――今すぐ消え失せろ……ッッ!」

 

怨恨にまみれた怒声を吐き出す剣護

 

理不尽な世の中、理不尽な仕打ち、理不尽な民の反応に対し、刃を向ける……

 

邪悪な聖剣と化した得物と共に……恨みの炎を燃やす……

 

それが今の神代剣護……

 

ゼノヴィアは「……ダメだ……ッ」と言ってエクス・デュランダルを杖代わりにして立ち上がっていく

 

「剣護さん……確かに私もイリナも、神の死を知った時は何も考えられなくなった……。今までの自分のやってきた事を全否定されたようだった……っ。けれど、それでも……それでも祈りを捧げる事を止めなかった者を、私もイリナも知っている……ッ」

 

立ち上がったゼノヴィアは再びエクス・デュランダルを剣護に向ける

 

「アーシアは異端だと(ののし)った私を許してくれた。イリナとも仲良くしてくれた。だから、だから私達もアーシアと共に歩んでいこうと決めたんだ!アーシアがいるグレモリー眷属と共に!仲間と共に!あなたにどう言われようと、どう(さげす)まれようとも、私は歩みを止めない!立ち止まる事だけはしてはならないんだ!剣護さん!あなたは今、立ち止まっているだけなんだ!進む事から逃げ、無用な逃げ道を作り、ただそこに逃げ込んだだけなんだ!」

 

「――――ッッ」

 

「剣護さん!あなたの罪は教会を見限った事じゃない!ましてや死んだ神のせいでもない!―――自分が歩こうと思える道を見つけず、人の道を壊してきた事だッ!」

 

「……何も知らないガキどもが偉そうな口を……ッ!たとえ、それが俺の罪だとしても―――もう戻れねぇんだよ!戻れねぇところまでドップリ浸かってんだよッッ!だったら、後は“沈む”か“死ぬ”しか道はねぇだろうがッ!」

 

耳を貸そうともしない剣護にイリナが叫ぶ

 

「……今からでも遅くないの!剣護さん……!罪を(つぐな)って、やり直しましょう!あなたにその気があるなら……私も、ゼノヴィアも、アーシアさんも、リアスさんも力を貸します!」

 

「今更それを信じて何になるッ⁉どれだけの希望を得る⁉所詮、力の無い奴が(さえ)ずる希望なんてたかが知れてんだよッッ!俺を納得させたいなら剣で示せッ!力で示せッ!殺す気でかかって来やがれェェェェッッ!」

 

漆黒の邪悪な剣士(神代剣護)は赤い目を光らせ、高熱の炎が噴き出したデスカリバーを構えて駆け出していく

 

今までに無い程の熱量……

 

彼自身の怒りや悲しみを体現したかのような炎がデスカリバーの刃にまとわりつく

 

ゼノヴィアとイリナも得物に聖なるオーラを流し、真っ向から受けて立とうとする

 

握る手に力を込め、互いの剣を交差させるようにデスカリバーと刃と衝突した

 

インパクトの瞬間、衝撃波が周りの瓦礫を吹き飛ばし、足元の地も細かく割れていく

 

『……何だ?さっきよりも剣の圧力が増してやがる……ッ⁉俺の方が優位に立っていたのに……ッッ!』

 

迷いが無くなったゼノヴィアとイリナの剣がデスカリバーを押し始めていた……

 

その事態に剣護は驚愕し、焦り始める

 

自分のしてきた事を否定された時から、心に隙が出来てしまったのだ

 

その隙が剣に出てしまい、彼女達の迷い無き剣に押されている……

 

『…………ふざけるな……ッ。ふざけるな……ッッ!このまま言われっぱなしで終わってたまるか……ッッ!何が共に歩むだ!何がやり直すだ!今の俺に……居場所なんかあるわけねぇだろ……ッ!てめぇらの正義面(せいぎづら)した欺瞞(ぎまん)には―――もうウンザリなんだよッッ!』

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

デスカリバーから凄まじい炎が噴き上がり、周りの瓦礫や建物を熱風で溶かしていく

 

轟々(ごうごう)と噴き上がる炎の熱がゼノヴィアとイリナの肌を焼き焦がそうとする

 

今までに無い程の質量を持つ炎だが……それは諸刃(もろは)(つるぎ)とも呼べるものだった

 

凄まじい炎を発したせいで義手である左手は熱に耐えきれず、溶けていってしまったのだ……

 

義手を失い、隻腕となっても剣護はデスカリバーの勢いを止めようとしない

 

まるで自分の存在、命その物を懸けた一撃……

 

「ゼノヴィアァッッ!イリナァッッ!この一撃で―――滅びろォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 

吼える剣護のデスカリバーがゼノヴィアとイリナの剣を押し始める

 

激しい怒りの炎を燃やすデスカリバー

 

全てを焼き尽くそうとする恨みの炎を前に、ゼノヴィアとイリナは気圧され気味だった

 

しかし、彼女達は直ぐに迷いを断ち切り、その想いを剣に乗せる

 

「剣護さん……っ!あなたがどれだけの怒りを孕んできたか、どれ程の悲しみを背負ってきたのか、私達には想像も出来ない……っ。だが、これだけは言える!それを罪の無い人達にぶつけてはいけないっ!」

 

「あなたが道を間違えたのなら、私達が呼び戻してみせるっ!」

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇっ!エクス・デュランダァァァァァァァァァァァァァァァァァァルッッ!」

 

ゼノヴィアの想い、イリナの想いに呼応したのか、エクス・デュランダルのオーラがドンッ!と跳ね上がり、莫大な聖なるオーラが噴き荒れる

 

イリナの聖魔剣にもその影響が及び、2人の剣の重圧が増していく

 

剣護のデスカリバーが少しずつ押し戻される

 

『……ッッ⁉バ、バカな……ッッ!こんな、こんな事が……ッ⁉』

 

目の前の事態に驚愕する剣護

 

認めたくないとばかりに力を込めるが、それでも彼女達の剣を押し殺す事が出来ない……

 

挙げ句、デスカリバーの刀身に亀裂が生じてきた

 

小さな亀裂は徐々に刀身を侵食していき、細かな破片が宙に消える

 

やがて―――(はかな)い音と共に刀身は砕け散り、剣護の体に二筋(ふたすじ)の剣の痕が刻み込まれた

 

漆黒の鎧も砕け、傷痕から血も噴き出し、彼女達の迷い無き剣を食らって―――剣護はようやく確信した

 

『……ああ、俺は……負けたのか』

 

己の敗北、ゼノヴィアとイリナの成長、それに繋がる強き想い

 

それら全てを体で実感し、背中から地へ倒れ込んだ

 

手に持っていたデスカリバーも刀身が砕けて炎を消す

 

ゼノヴィアとイリナは息を切らしたので呼吸を整え、剣護のもとに歩み寄る

 

「剣護さん、私達はここまで強くなりました。強くなったから……あなたを止める事も出来た」

 

「誰にだって間違ってしまう時はあります。でも、それを独りで抱え込まないで欲しいんです……。剣護さんは痛みを、苦しみを独りで背負い過ぎてしまったんです……っ。私達はそれに気付けなかった……ごめんなさい……っ」

 

イリナは涙を流して頭を下げ、ゼノヴィアも同様に頭を下げる

 

そんな2人の姿を見て、剣護は自嘲した

 

「…………バカだったんだな、俺は……。こんな近くに話が出来る部下がいるってのに、そいつらに目を合わさず勝手に暴走していた……。俺はダメな上司だよ……」

 

「剣護さん、今からでも遅くありません。罪を償ってまた―――」

 

「悪いな、もう…………遅かったんだ…………」

 

サァァァァァァァァァァ……ッ

 

砂が落ちるような音が静かに聞こえてくる

 

よく見ると……剣護の体が端々から砂と化していた……ッ

 

剣護の異変に絶句するゼノヴィアとイリナ

 

剣護は自身に起きている異変について説明を始める

 

「あの小僧にエクスカリバーをデスカリバーに改造してもらった際、1つだけ警告をされたんだ……。デスカリバーの力を乱用すれば、いずれ俺の体はその力に耐えきれなくなり―――消滅するってよ……。結局、俺はただ利用されていただけだったんだ……。その事に気付かず、デスカリバーを使い続けた……その結果がコレだ……」

 

「そ、そんな……ッ!」

 

「さっきも言ったろ……?もう、戻れないところまで浸かってんだって……ッ。ハハハ……ッ、邪道に走った奴の末路なんて、所詮こんなもんさ……ッ」

 

剣護の下半身が完全に砂となって消え、それが残った上半身にも及んでくる

 

かつての上司の惨め且つ唐突な最期に、ゼノヴィアとイリナは泣き崩れる

 

「嫌だ……っ!嫌だっ!せっかくここまで、あなたを連れ戻せるところまで来たのに……っ!」

 

「ダメぇ……ッ!そんな、こんなのってないよぉ……っ!」

 

「おいおい……また泣いてんのか……?昔から泣き虫は変わらねぇな、お前ら……」

 

剣護は崩れていく右手をゼノヴィアの目元に差し伸べる

 

指で涙を拭い、イリナの涙も同様に拭い去った

 

「……まだまだガキだと思ってたお前らが、こんなに綺麗になっちまって……。俺の目が曇り過ぎてたんだな……。お前らは強くなってた、こんな簡単な事に気付けなかったとは……情けねぇ上司だったよ……。デスカリバーは砕けたが、芯は無事だ……。後は天界に渡して、エクスカリバーに直してやれ……」

 

「剣護さん……っ!そんな弱気な顔など、あなたらしくもない……っ!逝かないでくれ……っ!私はまだ、あなたから学びたい事が山程あるんだ……っ!」

 

「ミカエルさまにも私達からお願いしてくるから……っ!お願いだから、死なないで……っ!」

 

ゼノヴィアとイリナの懇願も虚しく、彼の肉体は

どんどん砂と化していく……

 

涙を拭った手も砂と化し、とうとう頭だけとなってしまった……

 

そして――――

 

「ゼノヴィア…………イリナ…………お前らは…………自慢の部下だったよ…………っ」

 

その言葉を最期に―――神代剣護は砂となって散って逝った……

 

かつての上司の残骸をゼノヴィアは手で(すく)うが、砂は指の隙間からこぼれ落ちるのみ

 

ボタボタと涙も(こぼ)れ、悲痛に満ちた叫びが彼女の口から吐き出された

 

「あ……アアァァアア……ッ、ウアアァァアアアアアアアアアアアアアアアッッ!」

 

デスカリバーも使い手を失ったせいか輝きが消え、主に残ったのは柄から伸びる折れた刀身のみ

 

ゼノヴィアは地に拳を叩きつけ、やり場の無い怒りを吐き出す

 

「くそ……っ!くそ……っ!くそぉぉぉ……っ!どうして、どうして剣護さんが死ななければならないんだ……っ⁉まだやり直せた筈なのに……っ!くそぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおっ!」

 

「ぅぐ……っ、ひっぐ……っ!こんなの……酷い……!酷すぎるよ……っ!どうして、こんな事に……っ!」

 

イリナもやり場の無い怒りと悲しみを空振りさせる事しか出来なかった……

 

ゼノヴィアは砕けたデスカリバーを拾い、懇願するように泣き叫んだ

 

「なあ、頼む!剣護さんを返してくれぇ……っ!代わりに私の腕をくれてやる……!足でも何でも持っていけば良い!だから……頼むよ……っ!剣護さんを返せぇぇぇぇえええええええええええええええええええええっ!」

 

必死の叫びも無情に木霊するだけ、その願いが聞き入られるわけがない……

 

分かりきっていた…………その時、奇跡が起こる……!

 

デスカリバーが少しずつ輝きを取り戻してきた

 

それは邪悪なものではなく、本来の形―――聖剣としての輝き……

 

やがて光と化したそれはエクス・デュランダルの刀身に寄り添うようにくっつき、同化していく

 

光が止み、エクス・デュランダルの刀身に赤い紋様が刻み込まれた……

 

灼熱の聖剣(エクスカリバー・イグニッション)』がゼノヴィアの想いに呼応したのか?

 

何故この様な現象が起こったのか?

 

それはゼノヴィアにも、イリナにも、ましてや誰にも分からない……

 

ゼノヴィアは無意識に『灼熱の聖剣(エクスカリバー・イグニッション)』が同化した真のエクス・デュランダルを握る

 

―――“泣いてる暇は無いだろ”―――

 

微かに聞こえてくるのは先程死んだ筈の剣護の声……

 

―――“行ってこい、ゼノヴィア、イリナ”―――

 

―――“立ち止まる事だけはしちゃいけないんだろ?だったら、進め”―――

 

彼女達を鼓舞する声が微かに響く……

 

エクス・デュランダルから流れてくるオーラは力強さだけじゃなく、優しい温もりも感じられた

 

思わぬ事態、奇跡に打ち震えるゼノヴィア

 

涙をゴシゴシと拭い去り、力を入れて立ち上がる

 

「イリナ、聞こえたか?この剣を通して剣護さんが言ってくれたんだ。行ってこいって」

 

「うん!私にも聞こえた!剣護さんが……剣護さんが私達の事を応援してくれてる……っ!」

 

「ああ、そうだ。今は立ち止まってる場合じゃない。この冥界の危機を救わなきゃならないんだ。ここで止まってたら、また剣護さんに怒られてしまう」

 

ゼノヴィアはエクス・デュランダルを(たずさ)え、凛とした表情で空を見上げる

 

「行くぞ、イリナ!部長達のところへ戻ろう!『禍の団(カオス・ブリゲード)』も闇人(やみびと)も残らず倒す!剣護さんの遺志を無駄にしてはいけない!」

 

「うん!そうよね!新くんとイッセーくんが帰ってくるまで、私達で何とかしなくちゃだもんっ!」

 

恩師の死を乗り越えたゼノヴィアとイリナは翼を広げ、リアス達のいる場所を目指して飛んでいった




次回はサイラオーグ&大牙VSメタル戦です!

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