ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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龍神と『初代クイーン』とのお茶会

兵藤家のVIPルームに集う異様なメンツ

 

グレモリー眷属(祐斗とギャスパーが駆けつけるも小猫は竜崎家の部屋で休んだまま)+イリナ、レイヴェル、アザゼル、ヴァーリチームのルフェイ、フェンリル、黒歌、闇人(やみびと)枠のダイアン、そして今回の主役であるオーフィス&『初代クイーン』マヤ・トゥルーイブニングと言う普通ではあり得ない顔ぶれの集まりとなった

 

「お茶ですわ」

 

「はい、いただきます」

 

「Thank-you」

 

朱乃が警戒しつつもヴァーリチームとオーフィス、『初代クイーン』マヤ、ダイアンにお茶を淹れる

 

ルフェイはお茶を口にして、黒歌はお茶請けのお菓子を食べていた

 

フェンリルはルフェイの近くで寝ている

 

『初代クイーン』マヤとダイアンも我が家で過ごすかの如く(くつろ)いでいた

 

『緊張感無さ過ぎだろ、こいつら……』

 

祐斗も合流して後ろに待機している

 

表情はいつもと変わらないが、感覚を研ぎ澄ませており、何かあれば直ぐにでも飛び出せる気配だった

 

ギャスパーは小猫の事が心配なので、小猫のもとにいる

 

一誠は隣に座るアザゼルに耳打ちした

 

『具体的にどうすれば良いんでしょうか?』

 

話を聞いてくれと頼まれたものの、どの様な接し方で事を進めれば良いのか見当もつかない

 

他の皆も顔をしかめ、緊張した状態でこの場に列席している

 

アザゼルが不安がる一誠にこう返した

 

『奴はお前に、「初代クイーン」は新に興味を持っている。とりあえず質問されたら返せ。あいつらを理解する良い機会だ』

 

『って、言われましても!あ、あいつ、テロリストの親玉で世界最強のドラゴンなんでしょう……?しかも先生やサーゼクスさまよりも強いって!』

 

『暴れる事はしないだろうよ。あれはヴァーリや曹操に比べたら好戦的な意志は無いに等しい。グレートレッド以外にはそう攻撃を加えるもんじゃないだろう。お前らは各勢力の代表として会談をするって事だ。いいか?とにかく良いお茶会にしとけ!いいな!』

 

『結局ほぼ丸投げじゃねぇか……』

 

新は頭を、一誠は頬をポリポリと掻いて当惑するしかなかった

 

この事態も赤龍帝(せきりゅうてい)闇皇(やみおう)の力が呼び込んだのだろう

 

実際、彼女達は興味を抱いてやって来たのだから

 

嘆息していると、オーフィスがジッと一誠を見つめてくる

 

一誠は口元を引きつらせながら、笑みを無理矢理浮かべて訊いた

 

「そ、そ、それで、俺に用って何でしょうか……?」

 

オーフィスはお茶を口にして、ティーカップをテーブルに置くと口を開いた

 

「ドライグ、天龍をやめる?」

 

いきなり理解し難い質問が飛ばされてきた

 

一誠は笑顔を絶やさないまま声を絞り出す

 

「……いや、言っている意味が……」

 

「宿主の人間、今までと違う成長している。我、とても不思議。今までの天龍と違う。ヴァーリも同じ。不思議。とても不思議」

 

どうやら一誠とヴァーリの成長ぶりは把握しているようで、その成長具合を不思議に思っているようだ

 

オーフィスは話を続ける

 

「曹操との戦い、バアルとの戦い。ドライグ、違う進化した。鎧、紅色になった。初めて。我の知っている限り、初めての事。だから、訊きたい。ドライグ、何になる?」

 

首を(かし)げながら訊いてくるオーフィス

 

その姿に“あら、可愛い”等と思いながらも、どう答えたら良いのか分からなかった

 

実際は無我夢中で鍛え、おっぱいを求めた末のパワーアップでしかない

 

そう答えたところでオーフィスが求める回答には繋がらないだろう……

 

すると、一誠の左手に籠手が勝手に出現

 

ドライグが皆に聞こえるように声を発した

 

『分からんよ、オーフィス。こいつが何になりたいなどと、俺には分からん。分からんが……面白い成長をしようとしているのは確かだ』

 

オーフィスは一誠の籠手に視線を移して話を続ける

 

「二天龍、我を無限、グレートレッドを夢幻(むげん)として、『覇』の力の呪文に混ぜた。ドライグ、なぜ、覇王になろうとした?」

 

『……力を求めた結果だろうな。その末に俺は滅ぼされたのだ。「覇」以外の力を高める事にあの時は気付けなんだ。俺の赤が紅になれるなぞ、予想だにしなかった』

 

「我、『覇』、分からない。『禍の団(カオス・ブリゲード)』の者達、『覇』を求める。分からない。グレートレッドも『覇』ではない。我も『覇』ではない」

 

『最初から強い存在に「覇」の(ことわり)なぞ、理解出来る筈も無い。無限とされる「無」から生じたお前と夢幻の幻想から生じたグレートレッドは別次元のものだったのだろう。オーフィスよ、次元の狭間から抜け出てこの世界に現れたお前は、この世界で何を得て、何故故郷に戻りたいと思ったのだ?』

 

「質問、我もしたい。ドライグ、なぜ違う存在になろうとする?『覇』、捨てる?その先に何がある?」

 

質問を質問で返す(いたち)ごっこが続く

 

会話の内容も全く理解出来ないものだった

 

普段のドライグや元龍王のタンニーンは人間臭いところもあるので分かりやすいが、こうして見ると全く別の価値観を持つ存在だと改めて認識される

 

「……実に興味深い。龍神と天龍の会話なんてそう見られるもんじゃない」

 

アザゼルは目を爛々と輝かせて2体の会話を聞いていた

 

『……ったく、他人に押し付けといて何言ってやがんだ。このクソ教師は』

 

『落ち着け、新。もうここは相棒に任せるしかないだろう』

 

苛つく新を宥める一誠だったが、オーフィスが次に投げつけてきた質問によって事態は激変する

 

「ドライグ、乳龍帝(ちちりゅうてい)になる?乳揉むと天龍、超えられる?ドライグ、乳を(つかさど)るドラゴンになる?」

 

それを聞いたドライグは過呼吸気味となった

 

『うぅ……こいつにまでそんな事を……。うっ!はぁはぁ……!意識が途切れてきた!カウンセラーを!カウンセラーを呼んでくれぇぇぇぇっ!』

 

ドライグは精神的なダメージを受け過ぎて壊れそうになっていた

 

一誠は(ふところ)から薬を取り出して、籠手の宝玉に振りかけた

 

「落ち着け、ドライグ!ほら、お薬だ!」

 

『……あ、ああ……す、すまない……。この薬、き、効くなぁ……』

 

薬をかけられたドライグは気持ちを和らげ、次第に落ち着きを取り戻していく

 

「我、見ていたい。ドライグ、この所有者、もっと見たい」

 

まだジッと見つめてくるオーフィス

 

無表情ではあるが、瞳だけは興味の色に染まっている

 

“こっちは一誠に任せておこう”と新は切り替え、自分も目の前にいる『初代クイーン』と話をする事にした

 

「……で、『初代クイーン』様はどう言ったご用件で?」

 

低姿勢な体裁を(よそお)いつつ、『初代クイーン』マヤに訪問の目的を問いただす

 

新の問いに対して彼女は足をパタパタさせながら言った

 

「私もあなたに興味があって、お話を(うかが)いたいな~と思って来ました」

 

「興味?」

 

「はい。あのヒト―――『初代キング』が使用していた鎧の宿主さんが異質な進化を遂げた事を耳にしまして、それも他の力が混ざり合った独自の路線を描いていると」

 

新の成長具合も既に知られているようだ

 

『初代クイーン』マヤは紅茶を一口飲んだ後、こう言い放った

 

「あなた方に共通しているのはただ1つ―――お二人が女性のおっぱいによって窮地を脱しただけじゃなく、未知の進化を遂げたと言う事です」

 

『さぁて、頭痛薬の準備はOKだ……』

 

「女性のおっぱいに対する探求心、それによって得た新しい進化。……そう、名付けて―――乳進化(ニューシンカ)ですっ」

 

『メガシ○カみたいに言うな……』

 

「…………乳進化(ニューシンカ)ですっ!」

 

“なんで2回言った?”と心中でツッコミを入れる新

 

最初はドヤ顔だったマヤが次第に悲しげな表情となり―――涙目になった

 

「ぅぐ……っ、ひん……っ、(ニュー)……進化(シンカ)っ、ですぅ……」

 

「なんで泣くんだよ⁉」

 

「だって……だって……乳進化(ニューシンカ)って、良い響きじゃないですか……っ。せっかく名付けたのに……誰もっ、反応してくれなくて……っ」

 

子供の様に泣きじゃくるマヤを見たアザゼルが慌てて新に進言する

 

『お前っ、バカ野郎!泣かしてどうすんだ!ここで気分を害されたら最悪交渉決裂しちまうだろ!嘘でもおだてろ!ここでしくじれば、せっかくの交渉がパァになる!』

 

『わ、分かったよ、うっせぇな……』

 

新は仕方無くお茶菓子を持ってマヤの機嫌直しに取り掛かった

 

「い、いやー、秀逸な名付け方だな。乳進化(ニューシンカ)か!うんうん、誰も思い付かないネーミングをスパッと言い切る自信!よっ、流石は『初代クイーン』!あんたが大将!」

 

『新、褒め方が安っぽいぞ……』

 

なりふり構っていられない新は『初代クイーン』マヤをとにかく褒めまくる

 

最悪の事態を避ける為に……

 

褒め言葉に気付いた『初代クイーン』マヤは途端に表情を明るくさせた

 

「そうでしょう、そうでしょう♪渾身のネーミングですから、やっぱりそう思いますよね~♪」

 

『チョロいっつーか、テンションの上がり下がり激しいな……』

 

心中でめんどくさいと思っていると、アザゼルが息を吐いて新と一誠の肩に手を置いた

 

「てなわけで、数日だけそれぞれの家に置いてくれないか?この通り、オーフィスはイッセーを、『初代クイーン』は新を見ていたいんだとよ。そこに何の理由があるかまでは分からないが、見るぐらいなら良いだろう?」

 

そんな事を言われて互いに顔を見合わせる新と一誠

 

助け船を出してもらおうとリアスに視線を送るが―――

 

「2人が良いなら私は構わないわ。勿論、警戒は最大でさせてもらうし、何か遭ったら全力で止めるしか無いでしょうね。それで良いなら、私は……呑むわ、アザゼル」

 

なんとリアスからOKが出た

 

きっとオーフィスと『初代クイーン』の真意に興味を持ったのだろう

 

それによって『禍の団(カオス・ブリゲード)』と闇人(やみびと)が瓦解する糸口を見つけられるなら、それに越した事は無い

 

話し合いだけでテロ組織を止められ、無血で戦いが終われるなら……

 

しかし、そんな簡単にあの曹操と神風が諦めるとは思えない

 

今は各地で暴動を煽り、幾つか事件が散見する程度で済んでいるが……1歩間違えば大惨事、甚大な被害に発展しかねない

 

どっち道、彼女達の用件を呑むしかなかった

 

「……このまま膠着(こうちゃく)状態って訳にもいかないからな。虎穴に入らずんば虎児を得ず……危ない橋を渡ってでもやってみる価値はある。……良いぜ、俺は」

 

「……俺もOKですよ。ただ試験が近いんで、そちらの邪魔だけはしないでくれるなら」

 

最低限の条件だけ出して新と一誠は折れた

 

アザゼルが2人の頭に手を置く

 

「毎度悪いな、イッセー、新。大切な試験前だってのに、お前らに負担を掛けちまって。―――だが、これはチャンスなんだ。上手くいけば各勢力を襲う脅威が緩和されるかもしれん。俺が言える義理じゃないが、オーフィス、『初代クイーン』、黒歌、こいつらは大事な試験前なんだ。邪魔だけはしないでやってくれ」

 

「わかった」

 

「はいっ」

 

「適当に(くつろ)ぐだけにゃん♪」

 

オーフィス、『初代クイーン』、黒歌の三者は了解してくれたが、新と一誠は警戒心を(ぬぐ)えなかった

 

特に黒歌に対して……

 

半目で睨み付けている新にルフェイが何かを突き出してきた

 

サイン色紙を突き出し、モジモジしながら彼女は言う

 

「あ、あの!この間のバアル戦!感動しました!差し支えなければ、サインをください!」

 

「そういやこの子、新のファンだったね」

 

「へいへい」

 

新は苦笑しながらルフェイのサインに応じた

 

こうして、新達はトンでもない来客をそれぞれ迎え入れ、試験日まで共に過ごす事となった

 

 

―――――――――――――――

 

 

オーフィス、『初代クイーン』とのお茶会から数日が経過し、休日も試験勉強をする面々

 

その様子をリビングの片隅でジーッと見つめてくるゴスロリ少女オーフィス

 

相変わらず広いリビングにて部員の皆と共に参考書、教科書を広げて中間テストと中級悪魔の試験勉強をしている

 

なるべく気にしないように勉強しているのだが、チラチラとオーフィスに視線を送ったりしていた

 

敵の親玉が部屋の片隅で待機しているのだから、正直無理もない

 

だが、敵意も戦意も一切感じられないのは確かだ

 

黒歌、ルフェイ、フェンリル、『初代クイーン』マヤは現在、兵藤家の地下にある室内プールで遊んでいる(ダイアンは仕事のため不在)

 

彼女達には無闇に外へ出ない事を申し付けたのだが、黒歌が素直に言う事を聞くとは思えない

 

そんな危険性を(よぎ)らせつつ、試験勉強に集中する

 

今日は調子が良いのか、小猫も顔を出して新達と一緒に中間テストの勉強をしていた

 

「……小猫ちゃん、大丈夫?」

 

「……大丈夫だよ、ギャーくん」

 

気遣ってくるギャスパーに小猫は微笑んで返した

 

しかし、まだ顔が赤いので体の変化は継続中のようだ

 

あれから小猫が新のもとに来る事は無くなった

 

出来る限り顔を合わせないように必死で本能に耐えているようだ

 

体は望むのに心はそれを拒否する、とてもデリケートな状態にいる……

 

新は何とかしてやりたいと思うが、今大事なのは小猫に触れないようにする事だ

 

そんな中、アーシアが立ち上がり、紅茶の入ったティーカップをオーフィスに持っていった

 

「あ、あの、お菓子ばかりだとあれですから。これ、紅茶です」

 

オーフィスは無言でカップを受け取り、紅茶を飲む

 

アーシアはそれを確認すると、ニッコリ笑って戻ってきた

 

一誠はアーシアに耳打ちする

 

「ゆ、勇気あるな、アーシアは……」

 

「そ、そんなに怖い方じゃないような気がしまして……。昨夜もイリナさんがトランプに誘ってましたし……」

 

「「はぁ⁉」」

 

一誠だけじゃなく聞き耳を立てていた新も驚き、イリナに顔を向けると、彼女は自信満々な笑みを浮かべてVサインをしていた

 

「うん、誘ってみたの。最強のドラゴンとトランプ出来たわ!勿論、『初代クイーン』ともね!」

 

『なんて無駄に行動力のある奴だ……』

 

『そういやロキ戦の時、ヴァーリチームのアーサーとも普通に話してたな……』

 

新と一誠はこう言う時どんな相手でも話せる天真爛漫なイリナの性格を羨ましく思った

 

もしかしたら、イリナがミカエルのA(エース)に選ばれたのもそう言った理由なのだろう

 

「……変質、か。伝承に聞くウロボロスとはだいぶ印象が違うね」

 

「混沌、無限、虚無を冠するドラゴンとは程遠い印象ですわよね」

 

祐斗と朱乃がそんな事を言い出した

 

こちらの世界に居続けた結果、大きく変質しまったのだろう

 

このオーフィスと言うドラゴンは疑問の尽きない存在だ……

 

その龍神が一誠に興味を持ち、『初代クイーン』も新に興味を持った

 

彼女達は2人から何を得ようとしているのか?

 

そんなこんなで勉強会は続いていく

 

 

―――――――――――――

 

 

中級悪魔昇格試験を目前に控えた深夜の竜崎家

 

試験勉強を切りの良いところで切り上げ、試験に備えて早めに寝たのだが……深夜にトイレに立ったところで“ある部屋”からいつもと違う空気が流れてくるのを察知した

 

新は(いぶか)しげに思い、部屋の前まで近付く

 

「―――っ」

 

「―――っ!」

 

部屋の中から話し声が聞こえてくる

 

気配を殺し、ソッと聞き耳を立てる

 

「ふふん♪一目で白音が発情期に入ったって分かったにゃん。リューくんの遺伝子が欲しくてたまらないのかにゃ?」

 

「……姉さまには関係の無い事です。ここから出てってください」

 

「まあまあ。なんだったら、リューくんを落とす方法でも伝授してあげても良いにゃん♪」

 

『……やっぱり黒歌か、あの性悪猫め』

 

会話の内容から察するに、黒歌は小猫に何やら吹き込もうとしているようだ

 

今の小猫はとても繊細なので下手に刺激してもらっては困る

 

新は入室するタイミングを計ろうとするが―――

 

「んふふ♪部屋の中を覗いているやらしい蝙蝠さんがいるにゃ~?」

 

『チッ、気付いてやがったか。まあ、良い』

 

新は開き直って小猫の部屋に足を踏み入れた

 

ベッドの前で対峙するパジャマ姿の小猫と黒歌

 

小猫は猫耳と尻尾を出しており、尻尾は縦横無尽に振り回されていた

 

興奮状態だと直ぐに分かった

 

目元も厳しく、顔も赤い

 

「黒歌、小猫に何を吹き込んでた?」

 

「心外にゃ。私は白音を見て直ぐに発情期に入っちゃってるって分かったから、様子を見に来ただけよ。姉として当然でしょ♪」

 

「嘘つけ。お前の事だ。どうせ興味本位で見に来たってところだろ」

 

「この状態はとても敏感にゃん。たとえば―――」

 

黒歌が不意に小猫の腕を引っ張り―――新の方に突き出してくる

 

小猫は新の胸に飛び込んでくる形となった

 

「………………っっ!」

 

新の胸に飛び込んだ途端、小猫は切ない表情を浮かべて目元を潤ませる

 

「……にゃぁぁ……先輩……」

 

小さな唇から甘く官能的な声音が発され、さっきまで振り回していた尻尾が新の右腕に巻き付いていく

 

「どんなに我慢していても好きな男の肌に触れてしまえば途端に子作りしたくなってしまうのよ。―――白音はリューくんの子供が欲しくてたまらない状態になっているにゃ」

 

黒歌がニヤニヤした表情でそう言い、小猫は身を刷り寄せ、自分の着ているパジャマを脱ぎ出す

 

小さなおっぱいが見え隠れし、非常に危険な状態となる

 

「……先輩、私の体じゃ、ダメですか……?エッチ出来ませんか……?私は充分に先輩を受け入れられます……。いろんなところがちっこいですけど、ちゃんとした女の子の体です。だから……先輩の赤ちゃんが欲しいです……」

 

『ぐっ……!そんな表情(かお)でそんな事言わないでくれ……!俺だってシてぇよ!セッ○スしてぇよ!けど、今のお前は危険な状態なんだ……!もし子供を宿したら死んじまうかもしれねぇんだよ……!』

 

必死に理性を抑える新だが小猫は執拗に体を刷り寄せてくる

 

後退しようとした新は足元から崩れて尻餅をついてしまい、小猫が覆い被さる様に抱き付いてきた

 

「……鳥娘には負けたくない……。先輩を取られたくないです……。マネージャーは出来なくても、こうして先輩の欲求を満たす事は出来ると思います……」

 

小猫は何気無い素振りを見せていたが、内心ではレイヴェルの事を気にしていたようだ

 

同じ学年だからこそ気にしてしまっていたのかもしれない

 

黒歌はこの様子を楽しそうに笑って見ていた

 

このまま様子を見守っているのかと思いきや、黒歌は着物の帯を解いて着ている物をはだけさせていく

 

豊満なおっぱいがぶるんっと揺れて飛び出し、綺麗なピンク色の乳首まで視界に飛び込んできた

 

彼女のおっぱいはリアスや朱乃にも負けず劣らずのサイズだった

 

「ふふふ、白音の目の前でリューくんの貞操をいただくのも乙よね」

 

ペロリと唇を舐める黒歌

 

彼女は新の体から小猫を取り払うと、代わりに抱き付いてきた

 

大きなおっぱいが新の体に密着し、形を歪ませる

 

弾力も感触も極上で、新の理性が吹き飛びそうになるくらいだ

 

新の上に騎乗する格好の黒歌は見下ろしながら呟いた

 

「経験豊富だけど、スイッチ姫ちゃんとはまだ1回しかしてないのね?」

 

「―――っ⁉そんな事まで分かるのか?」

 

「スイッチ姫ちゃんともう毎晩やりまくりだと思ったんだけどね。そうでもないのかにゃ。それじゃ溜まってしょうがないわよね。良いわ……お姉さんがキミの相手をしてあげちゃうにゃん♪」

 

脳が沸騰する様なエロ台詞を呟かれ、抑え込んでいた理性が沸々と煮え(たぎ)

 

黒歌はお構い無しに新の腹部から舌を這わせ、首筋まで舐め取っていく

 

ザラつきながらも柔らかく暖かい感触が快感を刺激し、垂れてきた唾液の糸を舐め取る黒歌

 

「これがリューくんの味。覚えたにゃん。まさかヴァーリよりも早く覚えちゃうなんて、分からないものねー」

 

黒歌は小猫を手招きするとこう言った

 

「白音、お姉ちゃんが猫又流の交尾を教えてあげるわ。ほら、この男を舐めて味を覚えるの」

 

小猫は理性を失いつつあるのか、曖昧な瞳を浮かべたまま黒歌の言う事を聞いて―――小さな舌を新の首筋に這わせていく

 

「――――っ!――――ッ!」

 

形容し難い快感が新を襲い、たがが外れた小猫はペロペロと新の体をひたすら舐めていく

 

止める気配を見せない小猫の首筋を黒歌が指でチョンと突いた

 

すると、小猫の体が1度だけ跳ね、途端に力が抜けたかの如く新の体に倒れ込んできた

 

意識はあるようだが、小猫は体から力が抜けてへたり込んでいる様子だった

 

黒歌は小猫を横に寝かして言う

 

「とりあえず白音、ここで止めておいた方が良いわよ?他の女に感化されて、その体で発情期が来てしまったようだけれど、その体で子を宿せば母子で死ぬにゃん。どうしてもこの男の子供が欲しいなら―――。私みたいに発情期をコントロール出来る様になるまで待つべきにゃ。ねえ、リューくん。私の方がお得よ?」

 

“黒歌みたいに成長すれば発情期を自在にコントロール出来るようになり、それまで子作りは待った方が良い”

 

そう宣告され、理性を失いかけていた小猫の瞳に強いものが戻る

 

「……ダメッ!」

 

小猫は力の入らない体を必死に揺り動かし、黒歌から新を守るように抱き付く

 

「……先輩は、私の先輩です。姉さまには絶対にあげません!」

 

それは小猫の必死の叫びだった

 

土壇場で理性を取り戻し、強く意見を言い放った小猫を見た新は(ひそ)かに口元を笑ました

 

その様子を見ていた黒歌はポカーンと呆気に取られた後、小さく笑んだ

 

「……ちょっと、そこの黒猫さん?」

 

突然第3者の声

 

振り返って見ると―――そこにはレイヴェルがいた

 

「ありゃりゃ、フェニックス家のお嬢さんじゃないかにゃ」

 

レイヴェルはズカズカと黒歌に近付き物申す

 

「あなた、小猫さんのお姉さんだそうですね?小猫さんは今とても体調が優れませんわ。その子に何かをするのでしたら、クラスメートの私が許しませんわよ!それに新さまからも離れてください!」

 

レイヴェルに物申された黒歌は面食らったかの如く暫しキョトンとする

 

「白音の友達、かにゃ。ふーん。知らない間にこの子を心配する子が次々と増えるのね」

 

黒歌はレイヴェルの縦ロールを手のひらに乗せてバネを弾ませる様に触った後、「白音の友達に怒られちゃったにゃ♪」と言って舌を出した

 

着崩れた着物を直しつつ部屋を出ていこうとする

 

すれ違い様、黒歌はしゃがんで新の耳元で(ささや)

 

「今の白音は不安定なだけにゃん。無理はさせないで欲しいの」

 

「――――っ」

 

優しい声でそれだけ言うと、黒歌はレイヴェルを除けて退室していく

 

「貴重な猫魈(ねこしょう)、大事にしてもらわないと種族的に危機にゃん♪」

 

後ろでに手を振って去っていく黒歌

 

『あいつ、もしかして……本当は小猫を心配してたのか……?』

 

「小猫さん、大丈夫ですか?」

 

小猫の体調を気遣うレイヴェル

 

新は「どうしてここに?」とレイヴェルに尋ねると、彼女は頬を赤く染めて恥ずかしそうに答えた

 

「……そ、その、一応、クラスメートですから、毎晩小猫さんの様子を見に来ていただけですわ!まだ日本に慣れない私の面倒を見るのが小猫さんの役目ですもの!早く復調していただかないと私が困るんです!それだけです!」

 

素直じゃないが、彼女なりに小猫を心配していたようだ

 

「……2人ともゴメンなさい。先輩、私のせいで……」

 

申し訳無さそうに新とレイヴェルに謝る小猫

 

その時、新は小猫の顔色の変化に気付く

 

新は「ちょっとスマン」と先に断りを入れてから、手で小猫の頬に触れた

 

「小猫、体の調子はどうだ?」

 

新が訊くと小猫は自身の体の変化に気付き、(ひたい)や腹に手を当てる

 

「……普通に戻ってます」

 

“いつの間にか小猫の発情期が止まっている”

 

だから、新が触れても小猫が興奮する様子は見受けられなかったのだ

 

「……何が起こりましたの?」

 

レイヴェルも怪訝な様子だったが、新は直ぐに理解した

 

さっき黒歌が興奮状態の小猫の首筋を指で突いた

 

その直後に小猫は倒れ込んでしまったのだが、今の様子を見る限り、あの時の黒歌の行動は何らかの術で小猫の発情期を止めたのだろう

 

姉心ゆえか単なる気まぐれか、真意までは分からない……

 

しかし、小猫の体が復調しそうなのは確かであり、同時に喜ばしい事でもある

 

『……レイヴェルと同じで素直じゃねぇな、黒歌も』

 

試験までの憂いが1つ取れた事に新は心から安堵した


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