夜の校庭にて、情報提供の交換条件としてシドと再び
今回は新と組んでのリベンジマッチ、気兼ね無く本気で取り組める
「それじゃイッセー先輩、竜崎先輩、準備はOK?」
相変わらず余裕綽々な態度のシドは準備運動をしていた
新は即
戦闘準備は万端、2人の様子を見たシドも額のゴーグルを下ろして戦闘形態と化す
リアス達は少し離れた場所で待機、外部に被害が及ばないよう結界を張っている
双方の準備が整ったところでシドは早速能力を発動させた
――『
シドは校庭の土を媒介に錬成術を
生成したのは剣にも可変するハンマー型の武器と
シドの錬成術の多様性に驚くしかなかった
「まるで武器のバーゲンセールじゃねぇか。一誠、お前こんなの相手にしてたのか」
「気を付けろよ、あいつマジで強いんだ!」
「んじゃ、いっくよ~ッ!」
シドは逆手に持った氷炎一体の剣を2度振るい、
新と一誠は飛来してくる氷柱を拳や蹴りで砕き、炎の弾は
その間にシドは素早く一誠の背後に回り、右手のハンマーを勢い良く振り下ろした
しかし、その打撃は即座に反応した新の蹴りによって防がれる
ハンマーを防がれたのを見るや否や、左手の剣で斬りかかる―――が、今度は一誠がそれを拳打で防ぐ
両方の攻撃を防がれたシドに新と一誠の同時攻撃が炸裂
互いに魔力を込めた拳をシドの腹に打ち込み、シドは後方へ飛ばされる
シドは即座に次の攻撃へ転向
ハンマーを銃に、剣を弓に錬成し直して弾幕射撃を開始した
無数に飛んでくる弾丸と矢に対し、一誠が前に出る
「『
一誠は鎧を肉厚な装甲に変化させ、肥大化した両腕で弾丸と矢を防ぐ
分厚い装甲で弾幕射撃を防いだ後、装甲をパージさせてトリアイナ版『
吹き飛ばされたシドに対して新は追い討ちを掛ける
剣に赤い魔力を
地を
一誠も負けじとトリアイナ版『
倍加の音声を何度も鳴らし、高密度に溜めた魔力を一気に解き放った
「ドラゴンブラスタァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアッ!」
2門の砲身から極大のオーラが放射され、赤い奔流はシドを呑み込んだ
校舎にも砲撃の余波による被害が及ぶものの、新と一誠の連携攻撃は見事に決まった
爆煙の中から地に落ちた1つの人影―――シドはブヘッと煙を吐き出す
「……アハハッ、アハハハハッ。アハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
狂った様に笑い声を上げるシド
あれだけの攻撃をまともに食らったにもかかわらず、致命傷を負っていない
そればかりか、シドのテンションが上がる一方だった
「凄い凄いッ!凄いよ、先輩!この前戦った時とは段違いだね!やっぱり邪魔が入らない方が本気を出せるって事なんだよね!心が踊るよッ!」
「……喜んでやがるぞ、あいつ」
「ヴァーリと同じバトルマニアだからな……。しかも、あんな強い奴らがあと12人もいるんだぞ?」
「頭が痛くなってくるな……後でお前にも頭痛薬を進呈してやる」
共に肩で息をする中、シドは跳び起きて腕をブンブン回す
「ここまで心が
「……どういう意味だ?」
新が
「先輩達のデータは充分に採取させてもらったよ。そして、先輩達の体内にある『
「戦う前に……?あの短時間で俺達の能力を解析したって言うのか⁉」
「うん、そうだよー。でも最近はつまんないデータばかりだったからさぁ、この『
シドは黒い魔方陣を開いた両手を合致させ、双方から出た黒い粒子を混ぜ合わせる
やがて1つの魔方陣が出来上がり、シドの眼前に
「先輩、もっと心を踊らせてあげるよ」
黒い魔方陣がシドを飲み込む様に通過していく
そこからシドに異変が生じる……っ
魔方陣から出てきたのはメタリックブルーのスマートなボディ、それに反比例するかの如く巨大な両肩アーマー
先程までとは全く違う様相のシド・ヴァルディが姿を見せた
シドの異変に度肝を抜かれる面々、シドはその場でクルッと回って右手でシュートサインを決める
「これが先輩達の『
両手を広げてアピールするシド
まさかの事態に誰もが言葉を失った……
「あれ~?ダンマリ決め込んじゃってどうしたの?せっかく僕も先輩達の様に進化したんだから―――無理矢理にでもテストプレイに付き合ってもらうよ」
低い声音で告げてくるシドに対し、新と一誠は身構えた……と同時にシドの姿が ブレてその場から消え、2人の腹部に衝撃が走る
気付けばシドは2人の間に割って入り、拳打と蹴りを食らわせた体勢だった
「が……っ!何だと……っ⁉」
「さっきより動きが速くなってやがる……っ⁉」
あまりにも速いシドの動きに呆気に取られる新と一誠
シドは得意気に現時点での自分について話し始めた
「この『
シドは自分を中心に黒い波動を放つ
その瞬間、周囲の土から無数の何かが飛び出し、シドの周りに集まる
周りに浮遊するのは―――シドが使用する強化メダル
様々な効果をもたらす黒いメダルが幾重にも錬成され、シドの周りを漂う
「普段は1度に1枚ずつしか使用出来ないけど、この姿になれば強化メダルを大量に錬成する事が出来るんだよ。更に―――強化メダルを組み合わせて使う事もね」
「「組み合わせる……?」」
シドが両手を
そして、その内の3枚がシドの手元に集まり―――メダルをマスク部分に投入した
『
『
『
3種類の音声が鳴り、シドは空中高く跳び上がった
脚力を強化したジャンプは圧巻の一言に尽きるモノだった
跳び上がった直後、今度はシドの体が金属の様な色合いと化した
パワーアップを遂げたシドが拳を突き出すと―――彼の腕が凄まじい勢いで伸びていき、新に強烈な一撃を与える
左手も同じく伸びて一誠の腹に突き刺さり、更には両足も伸びて2人に蹴りを食らわせた
トドメとばかりに両手両足を一斉に伸ばし、4点打撃で2人を吹っ飛ばすシド
地に降り立ち、決めポーズを取る
「どう?『
「何だよ、あれ……っ!反則過ぎんだろ……ッ!」
新が憎々しげに吐き捨てる
シドのバカげた強さに一誠も歯を噛み締めた
リアス達も思わず飛び出しそうになるが、アザゼルに止められる
今出たところでシドには全く
「さ~て、次のコンボは何にしよっかな~」
シドは再び強化メダルを大量に錬成して、メダルの選別に取り掛かる
そうはさせじと新は痛む体を無理矢理起こし、剣戟波を放つ
しかし、シドは前方にパズルピースの様なシールドを張って簡単に防ぐ
そうしてる間にも選別が終わり、再び3枚の強化メダルをマスク部分に放り込む
『
『
『
音声が鳴った直後にシドの姿が端から透明化していき、完全に見えなくなる
そして地面を削る勢いで高速移動し、新に連続攻撃を見舞う
攻撃力を上げ、透明にもなったシドは容赦無く新をフルボッコにしていく
流石の新も成す術が無いのか、シドの攻撃によって宙を舞い続けるだけだった
最後の蹴りで校舎にまで吹っ飛ばされた新
鎧も強制解除され、傷だらけで地に倒れ伏した
「新っ⁉新ァッ!」
リアスが叫びながら新に駆け寄り、朱乃達も後に続く
急いでアーシアが治療に取り掛かる
「アハハハハッ。竜崎先輩はここで脱落だねぇ」
「……シドォッ!てめぇぇぇぇぇええええええええええええええええっ!」
怒りに燃える一誠は立ち上がって倍加の音声を何度も鳴らす
それを見たシドは高揚感を高めた
「イッセー先輩、あんまり僕を楽しませちゃいけないよ?」
不気味に言うシドは前方に先程と同じ魔方陣を展開し、それを
そこから再び彼に変化が訪れる……っ
今度は顔が反転し、両肩の巨大なアーマーが分離―――両手に装備される
『
両肩アーマーをグローブとして装着した手をぶつけ合い、肩を回す
「こっちは打撃に特化させたもう1つの形態―――『
嬉々として駆け出すシドに対し、一誠も背中のブーストを噴かして突っ込んでいく
一誠は力を溜め込んだ拳を突き出す
シドも同じく炎に包まれた拳を繰り出し、両者の拳打が正面から激突する
バチバチと火花と衝撃の余波が飛び散り―――やがて一誠の拳が悲鳴を上げる
ミシミシと不快な音を立てる骨
一誠は激痛に耐えながらも拳を引かないが、シドの拳打の威力に押し負けてしまう
拳を弾かれた一誠に追い討ちを掛けるべく、シドは滑り込む様に一誠の
そこから猛烈な拳打のラッシュ
腕が何本もあるかの様に見えるパンチを次々と打ち込み、一誠の鎧を端々から破壊していく
最後に強烈なアッパーカットが一誠の顎に直撃
空中高く跳ね上げられた一誠は不規則に回転し、そのまま地面に落下する
一誠の鎧も強制解除され、シドは右手を高々と上げた
「ゴポッ……。なん、なんだよ……こいつの、強さは……っ⁉」
「イッセー先輩~、僕の勝ちだね♪」
「イッセーくんっ!」
後ろから祐斗が
しかし、祐斗は一誠の救出を最優先
折られた聖魔剣をシドに投げつけ、その一瞬の間に一誠を
シドの圧倒的な強さに攻めあぐねるリアス達
警戒が強まる中、シドは元の姿に戻った
「そう恐い顔しないでよ。大丈夫、先輩達を殺すつもりなんか無いから。殺したらまた遊べなくなっちゃうもん。今日はここまで。約束通り、僕達の事を少しだけ教えてあげるからさ」
自ら戦闘の意志を解いたシドにアザゼルが問い掛ける
「……お前らの目的は何だ?これだけの力を持っておきながら、何故今まで出てこなかった?」
「ん~、目的?とりあえず今は“僕達が邪魔と判断したテロ組織や害悪の抹殺”ってところかな?」
「テロ組織が他のテロ組織を壊滅させるだと?聞いた事ねぇよ、そんな話」
「だろうね。でも必要な事らしいよ。こっちもこっちで色々あるからさ。んで、もう1つ。今まで僕達が出てこなかった理由は単純。―――最近結成されたばかりなんだよ、僕達の組織は」
シドの言葉に耳を疑うアザゼル
秘匿にしてきた訳でもなく、単に結成されたのがごく最近だった為……
呆れ果てる様な理由を持っておきながら、圧倒的な戦力を見せつけてくる
新興勢力でありながら底知れぬ組織……
未知の強敵にアザゼルも冷や汗が止まらない
答え終わったシドは転移用の魔方陣を展開
魔方陣の光に包まれながら、最後にこう言い残す
「あ、そうそう。僕達の組織名、教えてあげるね。―――
そう言ってシドは魔方陣の中へと姿を消す
シド・ヴァルディ……ユナイト・キリヒコ……
その2人が所属する組織―――
背景が見えぬ新興勢力にアザゼルは顔を歪めっぱなしだった
シドの圧倒的な強さと組織の判明
色々と超展開な回でした。
今回出てきたシドの形態は仮面ライダーパラドクスをモデルとしております
次回を今章のラストにしたいと思います!
早く11巻編に進ませたいので……