ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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シドとの再戦です!


新&一誠VSシド!

夜の校庭にて、情報提供の交換条件としてシドと再び相見(あいまみ)える事となった一誠

 

今回は新と組んでのリベンジマッチ、気兼ね無く本気で取り組める

 

「それじゃイッセー先輩、竜崎先輩、準備はOK?」

 

相変わらず余裕綽々な態度のシドは準備運動をしていた

 

新は即闇皇(やみおう)に変異し、一誠も禁手化(バランス・ブレイク)した

 

戦闘準備は万端、2人の様子を見たシドも額のゴーグルを下ろして戦闘形態と化す

 

リアス達は少し離れた場所で待機、外部に被害が及ばないよう結界を張っている

 

双方の準備が整ったところでシドは早速能力を発動させた

 

――『深淵の闇錬成術(パーフェクト・アルケマイズ)』――

 

シドは校庭の土を媒介に錬成術を(ほどこ)し、強化アイテムを生成する

 

生成したのは剣にも可変するハンマー型の武器と氷炎一体(ひょうえんいったい)の剣

 

シドの錬成術の多様性に驚くしかなかった

 

「まるで武器のバーゲンセールじゃねぇか。一誠、お前こんなの相手にしてたのか」

 

「気を付けろよ、あいつマジで強いんだ!」

 

「んじゃ、いっくよ~ッ!」

 

シドは逆手に持った氷炎一体の剣を2度振るい、一際(ひときわ)大きい炎の弾と氷柱を幾重にも飛ばす

 

新と一誠は飛来してくる氷柱を拳や蹴りで砕き、炎の弾は剣戟波(けんげきは)とドラゴンショットで相殺

 

その間にシドは素早く一誠の背後に回り、右手のハンマーを勢い良く振り下ろした

 

しかし、その打撃は即座に反応した新の蹴りによって防がれる

 

ハンマーを防がれたのを見るや否や、左手の剣で斬りかかる―――が、今度は一誠がそれを拳打で防ぐ

 

両方の攻撃を防がれたシドに新と一誠の同時攻撃が炸裂

 

互いに魔力を込めた拳をシドの腹に打ち込み、シドは後方へ飛ばされる

 

シドは即座に次の攻撃へ転向

 

ハンマーを銃に、剣を弓に錬成し直して弾幕射撃を開始した

 

無数に飛んでくる弾丸と矢に対し、一誠が前に出る

 

「『龍剛の戦車(ウェルシュ・ドラゴニック・ルーク)』ゥゥゥゥゥッ!」

 

一誠は鎧を肉厚な装甲に変化させ、肥大化した両腕で弾丸と矢を防ぐ

 

分厚い装甲で弾幕射撃を防いだ後、装甲をパージさせてトリアイナ版『騎士(ナイト)』形態に変化―――神速の体当たりをシドにかました

 

吹き飛ばされたシドに対して新は追い討ちを掛ける

 

剣に赤い魔力を(うなが)し、一気に振り抜いた

 

地を(えぐ)りながら走る剣戟波(クロス・バースト)がシドを捉え、凄まじい放電と共に爆破する

 

一誠も負けじとトリアイナ版『僧侶(ビショップ)』に昇格、両肩のキャノンに魔力を集束させていく

 

倍加の音声を何度も鳴らし、高密度に溜めた魔力を一気に解き放った

 

「ドラゴンブラスタァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアッ!」

 

2門の砲身から極大のオーラが放射され、赤い奔流はシドを呑み込んだ

 

校舎にも砲撃の余波による被害が及ぶものの、新と一誠の連携攻撃は見事に決まった

 

爆煙の中から地に落ちた1つの人影―――シドはブヘッと煙を吐き出す

 

「……アハハッ、アハハハハッ。アハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」

 

狂った様に笑い声を上げるシド

 

あれだけの攻撃をまともに食らったにもかかわらず、致命傷を負っていない

 

そればかりか、シドのテンションが上がる一方だった

 

「凄い凄いッ!凄いよ、先輩!この前戦った時とは段違いだね!やっぱり邪魔が入らない方が本気を出せるって事なんだよね!心が踊るよッ!」

 

「……喜んでやがるぞ、あいつ」

 

「ヴァーリと同じバトルマニアだからな……。しかも、あんな強い奴らがあと12人もいるんだぞ?」

 

「頭が痛くなってくるな……後でお前にも頭痛薬を進呈してやる」

 

共に肩で息をする中、シドは跳び起きて腕をブンブン回す

 

「ここまで心が(たぎ)ったのは久々だなぁ。お陰で僕も更に強くなれそうだよ」

 

「……どういう意味だ?」

 

新が(いぶか)しげに訊くと、シドは両手に錬成術の魔方陣を開く

 

「先輩達のデータは充分に採取させてもらったよ。そして、先輩達の体内にある『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』ってヤツのデータもね。2人のイレギュラー色が濃く出てる―――最高のデータだよ。戦う前にサッと解析して分かったんだけど、相当な無茶をしてきたんだね」

 

「戦う前に……?あの短時間で俺達の能力を解析したって言うのか⁉」

 

「うん、そうだよー。でも最近はつまんないデータばかりだったからさぁ、この『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』って物には俄然興味が湧いたよ。しかも、様々なイレギュラー現象を引き起こした先輩達はまさに情報の宝箱みたいな物さ。だから僕も―――先輩達の様に強くなれる」

 

シドは黒い魔方陣を開いた両手を合致させ、双方から出た黒い粒子を混ぜ合わせる

 

やがて1つの魔方陣が出来上がり、シドの眼前に(そび)える

 

「先輩、もっと心を踊らせてあげるよ」

 

黒い魔方陣がシドを飲み込む様に通過していく

 

そこからシドに異変が生じる……っ

 

魔方陣から出てきたのはメタリックブルーのスマートなボディ、それに反比例するかの如く巨大な両肩アーマー

 

先程までとは全く違う様相のシド・ヴァルディが姿を見せた

 

シドの異変に度肝を抜かれる面々、シドはその場でクルッと回って右手でシュートサインを決める

 

「これが先輩達の『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』のデータを解析・応用して僕の『深淵の闇錬成術(パーフェクト・アルケマイズ)』と組み合わせた形態―――『連携操師(パズリング・フォーム)』だよ♪」

 

両手を広げてアピールするシド

 

まさかの事態に誰もが言葉を失った……

 

「あれ~?ダンマリ決め込んじゃってどうしたの?せっかく僕も先輩達の様に進化したんだから―――無理矢理にでもテストプレイに付き合ってもらうよ」

 

低い声音で告げてくるシドに対し、新と一誠は身構えた……と同時にシドの姿が ブレてその場から消え、2人の腹部に衝撃が走る

 

気付けばシドは2人の間に割って入り、拳打と蹴りを食らわせた体勢だった

 

「が……っ!何だと……っ⁉」

 

「さっきより動きが速くなってやがる……っ⁉」

 

あまりにも速いシドの動きに呆気に取られる新と一誠

 

シドは得意気に現時点での自分について話し始めた

 

「この『連携操師(パズリング・フォーム)』は『深淵の闇錬成術(パーフェクト・アルケマイズ)』に特化させた形態なんだ。当然、通常形態(ノーマル・フォーム)の時よりも格段に戦闘力は上がってるよ。その上―――こんな事も出来るのさ!」

 

シドは自分を中心に黒い波動を放つ

 

その瞬間、周囲の土から無数の何かが飛び出し、シドの周りに集まる

 

周りに浮遊するのは―――シドが使用する強化メダル

 

様々な効果をもたらす黒いメダルが幾重にも錬成され、シドの周りを漂う

 

「普段は1度に1枚ずつしか使用出来ないけど、この姿になれば強化メダルを大量に錬成する事が出来るんだよ。更に―――強化メダルを組み合わせて使う事もね」

 

「「組み合わせる……?」」

 

シドが両手を(かざ)すと周囲に漂っているメダルは呼応する様に動き、縦横無尽に交差を繰り返す

 

そして、その内の3枚がシドの手元に集まり―――メダルをマスク部分に投入した

 

Shinsyuku(伸縮) Energy(エナジー)‼』

 

Jump(ジャンプ) Energy(エナジー)‼』

 

Koutetsu(鋼鉄) Energy(エナジー)‼』

 

3種類の音声が鳴り、シドは空中高く跳び上がった

 

脚力を強化したジャンプは圧巻の一言に尽きるモノだった

 

跳び上がった直後、今度はシドの体が金属の様な色合いと化した

 

パワーアップを遂げたシドが拳を突き出すと―――彼の腕が凄まじい勢いで伸びていき、新に強烈な一撃を与える

 

左手も同じく伸びて一誠の腹に突き刺さり、更には両足も伸びて2人に蹴りを食らわせた

 

トドメとばかりに両手両足を一斉に伸ばし、4点打撃で2人を吹っ飛ばすシド

 

地に降り立ち、決めポーズを取る

 

「どう?『連携操師(パズリング・フォーム)』の必殺技―――パーフェクト・コンボの威力は。脚力強化、肉体の硬化と伸縮化、それぞれの強化メダルを組み合わせて繰り出すから、威力も底上げされるんだよ」

 

「何だよ、あれ……っ!反則過ぎんだろ……ッ!」

 

新が憎々しげに吐き捨てる

 

シドのバカげた強さに一誠も歯を噛み締めた

 

リアス達も思わず飛び出しそうになるが、アザゼルに止められる

 

今出たところでシドには全く(かな)わないからだろう……

 

「さ~て、次のコンボは何にしよっかな~」

 

シドは再び強化メダルを大量に錬成して、メダルの選別に取り掛かる

 

そうはさせじと新は痛む体を無理矢理起こし、剣戟波を放つ

 

しかし、シドは前方にパズルピースの様なシールドを張って簡単に防ぐ

 

そうしてる間にも選別が終わり、再び3枚の強化メダルをマスク部分に放り込む

 

Kousoku(高速) Energy(エナジー)‼』

 

Muscle(マッスル) Energy(エナジー)‼』

 

Toumei(透明) Energy(エナジー)‼』

 

音声が鳴った直後にシドの姿が端から透明化していき、完全に見えなくなる

 

そして地面を削る勢いで高速移動し、新に連続攻撃を見舞う

 

攻撃力を上げ、透明にもなったシドは容赦無く新をフルボッコにしていく

 

流石の新も成す術が無いのか、シドの攻撃によって宙を舞い続けるだけだった

 

最後の蹴りで校舎にまで吹っ飛ばされた新

 

鎧も強制解除され、傷だらけで地に倒れ伏した

 

「新っ⁉新ァッ!」

 

リアスが叫びながら新に駆け寄り、朱乃達も後に続く

 

(かろ)うじて息はあるものの、ダメージが予想以上に凄まじく何度も血を吐き出す

 

急いでアーシアが治療に取り掛かる

 

「アハハハハッ。竜崎先輩はここで脱落だねぇ」

 

「……シドォッ!てめぇぇぇぇぇええええええええええええええええっ!」

 

怒りに燃える一誠は立ち上がって倍加の音声を何度も鳴らす

 

それを見たシドは高揚感を高めた

 

「イッセー先輩、あんまり僕を楽しませちゃいけないよ?」

 

不気味に言うシドは前方に先程と同じ魔方陣を展開し、それを(くぐ)

 

そこから再び彼に変化が訪れる……っ

 

今度は顔が反転し、両肩の巨大なアーマーが分離―――両手に装備される

 

連携操師(パズリング・フォーム)』とは対照的なメタリックレッドを基調とした形態

 

両肩アーマーをグローブとして装着した手をぶつけ合い、肩を回す

 

「こっちは打撃に特化させたもう1つの形態―――『鉄拳闘士(ファイター・フォーム)』。イッセー先輩は殴り合いが好きなんでしょ?さあ……遊ぼうぜ!」

 

嬉々として駆け出すシドに対し、一誠も背中のブーストを噴かして突っ込んでいく

 

一誠は力を溜め込んだ拳を突き出す

 

シドも同じく炎に包まれた拳を繰り出し、両者の拳打が正面から激突する

 

バチバチと火花と衝撃の余波が飛び散り―――やがて一誠の拳が悲鳴を上げる

 

ミシミシと不快な音を立てる骨

 

一誠は激痛に耐えながらも拳を引かないが、シドの拳打の威力に押し負けてしまう

 

拳を弾かれた一誠に追い討ちを掛けるべく、シドは滑り込む様に一誠の(ふところ)に迫った

 

そこから猛烈な拳打のラッシュ

 

腕が何本もあるかの様に見えるパンチを次々と打ち込み、一誠の鎧を端々から破壊していく

 

最後に強烈なアッパーカットが一誠の顎に直撃

 

空中高く跳ね上げられた一誠は不規則に回転し、そのまま地面に落下する

 

一誠の鎧も強制解除され、シドは右手を高々と上げた

 

「ゴポッ……。なん、なんだよ……こいつの、強さは……っ⁉」

 

「イッセー先輩~、僕の勝ちだね♪」

 

「イッセーくんっ!」

 

後ろから祐斗が聖魔剣(せいまけん)で斬りかかるも、シドの拳打で簡単にへし折られる

 

しかし、祐斗は一誠の救出を最優先

 

折られた聖魔剣をシドに投げつけ、その一瞬の間に一誠を(かか)えてリアス達の所へ戻る

 

シドの圧倒的な強さに攻めあぐねるリアス達

 

警戒が強まる中、シドは元の姿に戻った

 

「そう恐い顔しないでよ。大丈夫、先輩達を殺すつもりなんか無いから。殺したらまた遊べなくなっちゃうもん。今日はここまで。約束通り、僕達の事を少しだけ教えてあげるからさ」

 

自ら戦闘の意志を解いたシドにアザゼルが問い掛ける

 

「……お前らの目的は何だ?これだけの力を持っておきながら、何故今まで出てこなかった?」

 

「ん~、目的?とりあえず今は“僕達が邪魔と判断したテロ組織や害悪の抹殺”ってところかな?」

 

「テロ組織が他のテロ組織を壊滅させるだと?聞いた事ねぇよ、そんな話」

 

「だろうね。でも必要な事らしいよ。こっちもこっちで色々あるからさ。んで、もう1つ。今まで僕達が出てこなかった理由は単純。―――最近結成されたばかりなんだよ、僕達の組織は」

 

シドの言葉に耳を疑うアザゼル

 

秘匿にしてきた訳でもなく、単に結成されたのがごく最近だった為……

 

呆れ果てる様な理由を持っておきながら、圧倒的な戦力を見せつけてくる

 

新興勢力でありながら底知れぬ組織……

 

未知の強敵にアザゼルも冷や汗が止まらない

 

答え終わったシドは転移用の魔方陣を展開

 

魔方陣の光に包まれながら、最後にこう言い残す

 

「あ、そうそう。僕達の組織名、教えてあげるね。―――造魔(ゾーマ)。“魔”を“造”ると書いて造魔(ゾーマ)。先生も先輩達も、これから仲良くしていこうよ。生き延びたかったらね」

 

そう言ってシドは魔方陣の中へと姿を消す

 

シド・ヴァルディ……ユナイト・キリヒコ……

 

その2人が所属する組織―――造魔(ゾーマ)……

 

背景が見えぬ新興勢力にアザゼルは顔を歪めっぱなしだった




シドの圧倒的な強さと組織の判明

色々と超展開な回でした。

今回出てきたシドの形態は仮面ライダーパラドクスをモデルとしております

次回を今章のラストにしたいと思います!

早く11巻編に進ませたいので……

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