ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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新サイドメインです!


襲撃のキリヒコとデンジャラスなゾンビ

一誠とシド、両者の技の激突は膨大な爆発と衝撃波を生み出し……周囲に林立していた木々を隅々まで破壊

 

祐斗、ユキノ達もその余波を食らってしまい、後方に吹き飛ばされる

 

爆煙が晴れると―――両者の姿があった

 

一誠は右腕を痛めたのか下に垂らしており、拳から血が流れている

 

鎧も強制解除され、疲弊と傷の具合が激しい

 

一方、シドはゴーグルとプロテクターの破損があるものの―――大きなダメージは受けていなかった

 

「アハハ……っ!やっぱりイッセー先輩は面白いねー♪最っ高だよ」

 

「はぁ……はぁ……男に褒められても嬉しくねぇんだよ……っ。そんな事より……どうだ?耐えてやったぞ、このバトルジャンキーが……っ」

 

「うんうん。今回は僕の負けだね。約束通り退()いてあげるよ。じゃあね、イッセー先輩。―――また明日♪」

 

シドは(てのひら)から転移用と思われる魔方陣を開き、それを(くぐ)って姿を消した

 

とりあえず難を逃れた一誠

 

脱力感がグッとのし掛かり、その場に座り込む

 

祐斗とユキノ達も駆け寄る

 

「おう……木場。大丈夫か……?」

 

「肋骨が折れた程度、かな……。イッセーくんよりはマシだよ。……それにしても、厄介な事になってきたね」

 

「シドみたいな奴が後12人もいるとか……反則過ぎるだろ……っ。よく無事でいられたな、俺達……」

 

「彼の気まぐれで助かったと言うのが皮肉だね……」

 

その通り……シドはまだまだ本気を出していなかった上、彼自身が定めたルールによって一誠達は助かったのだ

 

まともに戦っていれば無事では済まなかっただろう……

 

疲労困憊の一誠の体勢が崩れそうになり―――ユキノが支えに入る

 

一誠の顔は……ちょうど彼女のおっぱいに埋もれる形となった

 

「……私達の為にここまで傷付いて……本当に申し訳ありません……っ。何とお詫びを致しましょうか……」

 

『ふおぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおっ!お、おっぱいがぁ!ユキノさんのおっぱいがクッションンンンンンンンンッ!なんて心地よさなんだ……!まるで天然素材100%のフカフカ枕……っ!く~っ!さっきまでの傷と疲れが癒されていく……!やっぱりおっぱいは最高だ……!』

 

重傷でありながら下心全開の一誠(笑)

 

祐斗は一誠の顔を見て心境を察したのか、苦笑するだけだった

 

「イッセーくん、今なら通信が使える筈だから部長達を呼ぶね?早くアーシアさんに手当てしてもらわないと」

 

そう言って祐斗は通信用魔方陣でリアス達に連絡を入れる

 

数分後、リアス達も一誠達と合流を果たし、アーシアによる治療も進んだ

 

その際に現状までの経緯を説明する

 

「そう、彼には逃げられてしまったのね」

 

「逃げられたと言うより、自分から逃げたって感じですかね……。それでも余裕ぶってましたけど」

 

「まさか、こうも簡単に敵が侵入してくるなんて……それも学園の生徒に成り済まして……っ。不覚だわ……!」

 

リアスはシドやシドの背後に潜む組織に対して(いきどお)りを見せる

 

自分の管轄にあっさりと侵入された事がよっぽど悔しいのだろう

 

「……で、彼女達が今回の1件での証人―――『禍の団(カオス・ブリゲード)』の構成員ね」

 

「は、はい。リアス・グレモリー様ですね?この度はありがとうございました。兵藤一誠様と木場祐斗様は私達の恩人です」

 

「……妙な気分ね。『禍の団(カオス・ブリゲード)』からお礼を言われるの」

 

リアス達オカルト研究部はユキノ達の腰の低さ、そしてテロリストとは思えない程の礼儀正しさと感謝の意に少々戸惑い気味

 

何はともあれ、彼女達の無事により大公からの依頼は成功に終わった

 

一安心する一誠にユキノがコッソリ呼び掛け、小声で話してくる

 

『今回は本当にありがとうございました。お仕事はいえ、見ず知らずの私達の為に……』

 

『いやいやいや、何のこれしきっ。ユキノさん達が無事でいられて何よりですよ。ただ……やっぱり冥界へ移送される事になるんで、その点だけはどうしても……』

 

『気に病む事はありません。遅かれ早かれ、そうなる筈でしたから。今は命があるだけで充分過ぎます』

 

『この人、良い女性(ひと)過ぎるッ!涙が出そうだ……!』

 

一誠が感涙を流していると……ユキノが更に耳打ちしてくる

 

『あの、私などが大変おこがましいと思うのですが……1つ、お願いがあります』

 

『……?』

 

『もし、あなたにその気があれば……いつか私達をあなたの眷属にしていただけませんか?』

 

『ふぁっ⁉』

 

予想だにしない申し出に一誠の目が飛び出し、ユキノは話を続けた

 

『私達がもう一度勇気を持てたのは……あなたのお陰なんです。あなたの言葉が、戦ってる姿が、私達の心に火を灯してくださった……。あなたに貰った命を―――あなたの為に捧げたいんです……っ。……ダメ、でしょうか……?』

 

頬を紅潮させ、注がれるユキノの眼差しに一誠は断れる理由など無かった

 

寧ろ願ったり叶ったり

 

一誠が『こ、こちらこそ大歓迎っす!』と答えた途端、ユキノの表情がパァッと明るくなる

 

そこへチェルシーが割り込んでくる

 

『やっぱりね、そんな事だろうと思ってたわ。ユキノが君を見てる時の顔―――完全に恋する乙女の顔してたもん』

 

『マ、マジすか……』

 

『と言っても、ユキノに限った事じゃないんだけどね。……私も君の事が気に入っちゃった♪私も予約して良いよね?』

 

『も、勿論!美人も美少女も大歓迎っす!』

 

『フフッ、ありがと♪』

 

一誠の了承にチェルシーは可愛らしい笑みを見せる

 

最後にディマリアもストレートに伝えてきた

 

『私もお前の眷属になりたい。この命を救ってくれた恩人だ。何処までもついていきたい』

 

『そ、そこまで言われると逆に照れるな……っ。じゃあ、約束します!必ず上級悪魔になるから―――その時こそよろしくお願いしますッ!』

 

『ああ、楽しみにしているぞ』

 

こうして一誠の将来の眷属が3人も確定し、彼が目指すハーレム王へ1歩近付いたのだった

 

程無くしてユキノ達は事情聴取のため冥界へ移送され、一件落着を迎える

 

「グフフ……っ、遂に俺にも春がキタ……!あんな可愛い娘達が将来、俺の眷属に……」

 

「むぅっ、イッセーさん……何かエッチな事を考えてます」

 

「うえぇっ⁉ア、アーシア⁉い、今の見てたの……?」

 

「はい……見てました。やっぱりお胸の大きい女性が良いんですか……?」

 

「ちょっ、そう言う訳じゃない事も無いけど!俺にとってアーシアが1番さ!アーシアをぞんざいにするなんてあり得ない!いつまでも一緒だ!だから、機嫌直して!お願い!」

 

「……ふふっ。冗談ですよ、イッセーさん」

 

「冗談か……勘弁してくれ……」

 

一誠もちょっと悪戯を仕掛けてきたアーシアには敵わないようだ(笑)

 

 

―――――――――――――――――

 

 

翌日、協会の依頼でイリナを連れて某国に足を運んでいた新

 

ユナイト・キリヒコの襲撃を1度は退(しりぞ)けたものの、追い返せた訳ではない

 

また来る事を宣言してキリヒコ自ら退いていったのだ

 

同じく正教会からの遣いでやって来たミラナ・シャタロヴァとガブリエルも巻き込まれ、事態は更に複雑化

 

彼女達と共にホテルで夜を明かしたのだが……残念な事に新は快眠出来なかった

 

―――と言うのも、同じ部屋でイリナ、ミラナ、ガブリエルが寝ており……気になり過ぎて眠れなかったのだ

 

特にガブリエルとミラナの寝間着は着崩れ、より扇情的な姿になっている

 

眠気も重なっているせいか、新の思考力は著しく低下

 

睡眠欲を最優先してしまい、二度寝する

 

しかも、イリナの傍で……

 

「ん……っ。……っ?…………ふえっ⁉」

 

違和感から目を覚ましたイリナは仰天する

 

それもその筈……目と鼻の先で新が寝ており、手と足も彼女自身の体にガッチリと絡ませていた

 

恐らく日頃の寝相癖が出てしまったのだろう……

 

イリナは何とか新をどかそうとするが、寝ている新はテコでも動かない

 

「ちょっ、あ、新くん……!ダメだって……!ガブリエルさまもミラナさんもいるのよ……?こんな所を見られたら―――」

 

「……あらぁ?お二人は仲良しさんですねぇ」

 

「あぅぅっ、だ……大胆です……っ」

 

時既に遅し、いつの間にか起きていたガブリエルとミラナは現状を目撃

 

顔を極限にまで真っ赤に染め、穴があったら入りたい衝動に駆られたイリナは―――ひとまず叫んだ

 

「新くんのバカァァァァアアアアッ!」

 

 

―――――――――――――――

 

 

「イリナ、そろそろ機嫌直してくれよ。眠かったんだ、仕方無かったんだ」

 

「仕方無いじゃないもん!死ぬほど恥ずかしかったんだからね⁉あんなに絡ませてくるから襲われるかと思ったのよ⁉」

 

プンスカ怒るイリナを宥めようとする新だが、イリナはなかなか機嫌を直してくれない

 

彼の頬にはイリナに付けられたビンタの痕が生々しく残っていた……

 

ホテルを出た矢先―――新は外の違和感に気付く

 

得体の知れない不気味な雰囲気

 

首筋にネットリと絡みつく様な重苦しい空気がそこら一帯に充満している……

 

「早速お出ましか」

 

「またサバの人ね……」

 

“いい加減サバから離れろ”と言いたい所だが、新は敢えて言わないでおく事に

 

(しばら)く辺りを警戒していると……問題の人物(ユナイト・キリヒコ)が姿を現した

 

Bonjour(ボンジュール)、皆さん。良い夜を過ごせましたか?」

 

「出やがったな、悪趣味野郎」

 

「お褒めいただき光栄です。……それにしても、朝から女性を囲んでホテルに宿泊ですか。精が出てますね」

 

「ち、違うもんっ。ここに泊まったのは他に宿泊先が無いから―――」

 

「別に隠さなくても宜しいですよ、Mademoiselle(マドモアゼル)。首にキスマークがしっかりと付いてるじゃないですか」

 

「ふぇぇっ⁉嘘ぉっ!」

 

イリナは慌てて自分の首筋を押さえるが、直ぐにキリヒコが「Oui(ウィ)、嘘ですよ」と言う

 

カマを掛けられ、赤っ恥をかいたイリナはムムムッとキリヒコを睨み付けた

 

「もうっ、本当にあなたって失礼な人よ!純真な乙女をからかうなんて!天罰よ!ミカエルさまに代わって断罪しちゃうんだから!アーメンッ!」

 

イリナは手元に光の剣を出して斬りかかるが、キリヒコは軽やかに(かわ)

 

颯爽と何処かへ逃げていくキリヒコ

 

イリナは「待ちなさいっ!」とプンスカ怒りながら追い掛けた

 

「ったく、すっかり奴のペースに乗せられてるな……」

 

嘆息しつつ新もガブリエル、ミラナと共に2人を追い掛ける

 

暫く鬼ごっこが続き―――ある場所に入った時点でキリヒコが足を止める

 

そこは昨夜、キリヒコと戦った教会―――つまりは最初の場所

 

ただし、今回はその裏にある墓地……死者が眠る領域に誘い込まれた

 

「とことん悪趣味だぜ……。死者を(とむら)う厳粛な墓地でやろうってのか?TPOってモノを(わきま)えろよ」

 

Oh(オー) la() la()。これは失礼、墓標の設置場所に時間を掛けない様にと配慮したつもりなのですが……お気に召しませんでしたか?」

 

あざとく嫌味な笑みを見せるキリヒコに新は内心で沸々(ふつふつ)と怒りを煮えたぎらせる

 

それもその筈……この墓地にはかつての仲間の墓標も立てられている

 

わざとらしく新が戦いにくい場所を選んだキリヒコの手腕と嗜好にイリナ達も顔をしかめた

 

新は噴き出しそうになる怒りを静かに抑え、『闇皇(やみおう)の鎧』に身を包む

 

それを見てキリヒコもコートの内側から例の装置(デバイス)を取り出し、右手に装着した

 

「今日まで実に良いデータが集まりました。その中でもやはり―――“人の死”はそそられるモノです。苦痛に呻きながらの死、目の前の恐怖に発狂しながらの死、何が起きたのか理解出来ないまま遂げた死、どれも興味深く見応えのあるモノでした。本日はその(データ)の集大成をお見せ致します」

 

「データの集大成……?」

 

「―――『闇異培養(インフェクション)』」

 

疑問を浮かべていると、キリヒコが左手で装置(デバイス)に触れる

 

その刹那、装置(デバイス)の銃口から黒いモヤが噴出され―――

 

Genocide(ジェノサイド) Zombie(ゾンビ) Dangerous(デンジャラス) Up(アップ)……‼‼』

 

おどろおどろしい音声が発せられた直後、黒いモヤが繭の如くキリヒコを覆い隠していく

 

不気味な繭が(うごめ)き、ボコボコと形を歪めた末―――内部から破裂

 

繭を破って出てきたのは異形への変貌を遂げたキリヒコだった

 

白と黒の骨で構成された様な装甲、血の如く真っ赤な右目と相反する水色の左目

 

その姿は(さなが)()()ぎだらけの死霊の如き様相だ

 

禍々(まがまが)しいオーラを発しながら(いびつ)で不気味な動きを見せる

 

昨日よりも遥かに危険な匂いを漂わせるキリヒコに新達は戦慄せざるを得なかった……

 

やがて動きを止めたキリヒコが指先を新達に向ける

 

「では、始めましょうか。あなた方がどの様な恐怖を沸き立て、どの様に乱れていくのか拝見させていただきますよ?―――Bonne(ボヌ) chance(シャンス)

 

 




遂にキリヒコの異形化を出せました!
モデルは言わずもがな、ゾンビアクションゲーマーです。

また、彼は重要なキャラなのでこの姿だけでは終わらせませんっ。そこら辺も予測、期待を抱きながらお楽しみください♪


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