ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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シド戦、後半です!


VSシド・ヴァルディ 後編!勇気を貰った乙女達

一誠と祐斗の奮起、立ち振舞いに歓喜するシド

 

再度『深淵の闇錬成術(パーフェクト・アルケマイズ)』を発動し、手持ちの鎌を他の武器へと変えていく

 

次に出てきたのは1本の剣―――炎と氷が混ざり合った様な造形だ

 

「くそ……っ、次から次へと……っ!」

 

イラつく一誠をよそにシドは剣を振るい、膨大な質量の火炎を周囲に放つ

 

周りの木々が火に包まれ、パチパチと悲鳴を上げ―――崩れていく

 

無造作に倒れる木々が一誠と祐斗、ユキノ達の頭上より襲い掛かる

 

燃え盛る倒木での無差別攻撃……

 

祐斗は持ち前の速度と剣捌きで倒木を切り払う

 

一方、一誠はユキノ達を庇いつつ、拳と蹴りで倒木を破壊していく

 

だが、数が多い為か何本かの倒木が直撃し、一誠の体を痛めつける

 

その隙を見逃さないシド

 

「先輩っ、守りながら戦うのは大変だよねぇ!」

 

剣を逆手に握り、再び振るうと―――今度は凍えるような冷気が発生

 

凄まじい勢いで地面を凍らせ、そのまま一誠の全身を氷で捕縛する

 

四肢を封じられた一誠は何とか抜け出そうとするが、微動だにしない

 

シドが地面に張られた氷の上を滑りながら向かってくる

 

その際、また錬成術で強化アイテムの黒いメダルを生み出し―――マスク部分に投入する

 

Muscle(マッスル) Energy(エナジー)‼』

 

音声が発せられると同時にシドの体が大きく脈動、鬼気に満ちたオーラが滲み出てくる

 

「攻撃力の倍増なら、こっちも負けてないよ!そのまま砕いてやる!」

 

「そうはいかない!―――『魔剣創造(ソード・バース)』ッ!」

 

地面から大量の聖魔剣が飛び出し、シドの行く手を阻む壁の様に形成される

 

二重、三重と聖魔剣の壁を(そび)えさせる祐斗

 

シドは氷炎一体の剣を構え、力強く横薙ぎに払う

 

彼の一撃は三重に張った聖魔剣の壁を容易く破壊した

 

どうやら先程飲み込んだ黒いメダルは言葉通り、攻撃力を倍増させる強化アイテムの様だ

 

遮蔽物を木っ端微塵に破壊した時―――その場にユキノ達の姿は無かった

 

しかし、シドは一誠への攻撃を最優先

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)!!!!』

 

一誠は力を倍増させ、自身を捕縛している氷を強引に壊してシドに右の拳打を放った

 

攻撃力を倍増させた者同士の一撃が正面衝突する……っ

 

「先輩、さっきの人達を逃がす為に囮役を買って出たの?その選択はあまり賢くないと思うんだけど!」

 

「うるせぇっ!ユキノさん達に攻撃が飛び火しないよう一旦遠ざけただけだ!」

 

「その時点で負けフラグが立ってるんだよ!」

 

シドが更に力を込めて剣を振り下ろし、一誠の右手を叩き伏せる

 

体勢を崩した一誠に返しの剣戟が襲い掛かる……っ

 

無防備な腹部に食い込む横薙ぎの剣

 

シドは思いっきり振り抜いて一誠を宙へ跳ね上げた

 

「イッセーくんッ!」

 

「今度はそっち行くよッ!」

 

Kousoku(高速) Energy(エナジー)‼』

 

シドはまたもや錬成した黒いメダルを飲み込み、今度は自身のスピードを上げてきた

 

幾重もの残像を生み出しながら高速移動で攻める

 

祐斗も負けじと自前のスピードで応戦、高速且つ熾烈な剣戟合戦を繰り広げる

 

しかし、シドのスピードが予想以上に速かったのか……徐々に押され気味となり―――振り抜いた一撃で聖魔剣を粉々に砕かれた

 

シドは振り抜いた勢いを利用して後ろ回し蹴りを祐斗の腹に叩き込む

 

一瞬の隙を突かれた祐斗は吹き飛んで転がり、口から血を吐き出す

 

元々耐久力が乏しい祐斗にとって通常の蹴りですらダメージは大きい上、先程の蹴りで肋骨が何本か折れたようだ

 

同時に宙へ跳ね上げられた一誠が地面に落ち、鎧の破片が舞う

 

「アハハハハッ!先輩達、もう終わり?これじゃあ面白味に欠けるよ」

 

余裕綽々で挑発するシドに対し、一誠と祐斗は険しい表情で歯噛みするしかなかった

 

圧倒的とも言える力の差、手も足も出ない歯痒さが2人の思考を鈍らせる……

 

シドは再度ハンマー状の武器を木の破片から錬成して刃を出し、二刀流スタイルで飛び出した

 

シドが眼前まで迫ってきた……その刹那―――

 

ドガァァァァァンッ!

 

「フギャッ⁉」

 

「「……っ⁉」」

 

なんと突然、シドが目の前で()ぜた……!

 

爆煙の中から不規則に転がり回るシド

 

一誠と祐斗から少し離れた距離で停止し、起き上がってブヘッと黒い煙を吐き出した

 

「ちょっとちょっと、邪魔したの誰?」

 

シドが不機嫌そうに呼び掛けると爆破の実行犯が姿を現す

 

それは……先程一誠が逃がした筈のユキノ、ディマリア、チェルシーの3人だった

 

その内の1人、チェルシーがドヤ顔で腕を組む

 

「は~いっ、犯人は私で~したっ♪」

 

小悪魔な笑顔で自白するチェルシー

 

よく見れば、いつの間にか彼女達の表情からシドに対する恐怖が消えているように思える

 

「お姉さん、何のつもり?さっきまでブルブル震えて怖がってたのに」

 

「……今でも怖いわよ?正直言って、今すぐにでもこの場から逃げ出したい気分。でもね……私達のせいでこの人達が死んじゃったら申し訳無いもん。だから―――私達も逃げずに戦おうって決めたの」

 

チェルシーが一誠の手を取って起こす

 

「果敢に立ち向かっていくあなた達を見て、勇気が沸いてきたわ。ありがとっ♪」

 

可愛い笑顔を見せるチェルシーに続き、ユキノとディマリアも凛々しい顔付きで言う

 

「私達も一緒に戦わせてください。微力とは思いますが……ここまでしていただいたあなた方の恩に応えたいのです」

 

「元々は私達の問題に巻き込んでしまったんだ。その尻拭いをさせてほしい」

 

ここに来て彼女達に戦意の火が灯り、一誠と祐斗は当然断る理由も無く受け入れた

 

「ありがとうございますっ、ユキノさんッ!」

 

「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」

 

「ありゃりゃ、まさかの展開だねー。でも……それはそれで面白いから有りかもッ!」

 

シドは嬉々とした様子で再び突っ込もうとする

 

チェルシーがピストルサインを彼に向け、撃つ様な仕草をした瞬間―――またまた爆破現象が起こる

 

しかも、今度は1回だけで終わらず2回、3回、4回と連続で爆発する

 

「まただ!またシドが爆発に呑み込まれたぞ⁉」

 

「チェルシーさん、ひょっとして……それが君の力かい?」

 

祐斗の指摘にチェルシーは得意気な顔で自分の能力を明かす

 

「そう♪君達が言ってた神器(セイクリッド・ギア)ってヤツよ。空間に見えない爆弾を仕掛けて爆破させる―――『爆炎の舞踏会(ロンド・エクスプロジオーネ)』。規模も数も自由自在に調整出来るわ」

 

「ス、スゲェ……。お茶目に見えてエグい物をお持ちで……」

 

恐々とする一誠

 

人は見かけに寄らないとはまさにこの事だ

 

しかし、シドが爆煙を切り払って姿を現した

 

「でも残念!僕を倒すには力不足だよ!」

 

シドは2本の剣を振り下ろして斬撃を放つ

 

2つの凶刃が地を抉りながら突き進んでくる

 

「私に任せろ!」

 

そう叫んで前に出てきたのはディマリア

 

彼女は両目を光らせて向かってくる斬撃を睨む

 

すると……2つの斬撃が突然ゆっくりとした速度になる

 

まるでスローモーションでも見ているかの如く

 

動きが遅くなった斬撃を一誠と祐斗が側面から打ち払う

 

「い、今のは何だ⁉シドの放った斬撃が遅くなったんだけど!」

 

「私の神器(セイクリッド・ギア)は『速度世界の眼差し(ツァイト・カリキュレート)』。視界に入れた物の速度を一定時間加速、または減速させる能力よ」

 

「それって人体にも効くんですか?」

 

「勿論。次はお前達の速度を速めよう!」

 

ディマリアが一誠と祐斗を視界に入れると……2人の体が不思議な感覚に包まれ、2人揃ってその場から駆け出す

 

凄まじい速度で動き回る一誠と祐斗に翻弄されるシド

 

動きを捉えようとしてもなかなか捉えられない

 

「スゲェェェェェェッ、テープの早回しみたいぃぃぃぃぃぃぃぃっ」

 

「ちょっ、速い!速い!先輩達速過ぎっ!」

 

「よし、私も参戦だ!」

 

ディマリアは鞘にしまっていた剣を取り出し、刀身に映った自分自身を視界に収める

 

その結果、彼女自身の速度も上がり、3人がかりでシドを翻弄

 

そして一斉攻撃を仕掛ける

 

行動速度が速まった事で手数も増し、一誠、祐斗、ディマリアの連続攻撃がシドに炸裂した

 

「ドベバブロロロロロラロッ」

 

呂律も回らない程の連続攻撃を受けたシドは最後に上空へ飛ばされ、一定時間が経過したので一誠達の速度が元に戻る

 

「次はお前の番だ、ユキノっ!」

 

「はいっ!―――獣化(アニマル・フォーゼ)……女豹(パンサーレディ)ッ!」

 

ディマリアの呼び掛けに答えたユキノはそう言って駆け出す

 

その直後、彼女に異変が起こる

 

頭部に動物の耳、臀部(でんぶ)から尻尾が生え、体に(まだら)模様が広がっていく

 

まるでファンタジーに出てくる獣娘の様な姿と化したユキノはしなやかに跳び、シドの体を鋭い爪で切り裂く

 

獣化(アニマルフォーゼ)―――鳥姫(ハーピィガール)ッ!」

 

変化はそれだけに留まらず、今度は両腕が翼と化し、足も猛禽類の様相へと変わる

 

真上から急降下してシドの顔を足爪で捕まえ、そのまま地面へと叩き付けた

 

体を旋回させて綺麗に着地、元の姿に戻る

 

一誠は驚きを隠せない

 

「ス、スゲェェェェェェッ!今のは⁉今のも神器(セイクリッド・ギア)なんすか⁉」

 

「はい。私は動物の特性を自由に扱う事が出来ます。『獣達の楽園(ゾーオン・ガーデン)』―――それが私の神器(セイクリッド・ギア)です」

 

「スゲェ……スゲェよ!可愛くて綺麗な上にこんなにも強いなんて……!」

 

「そ、そんなに褒められると……照れちゃいます……っ」

 

一誠の反応に戸惑いつつも微笑みを見せるユキノ

 

ディマリアとチェルシーも同じく頬を紅潮させていた

 

しかし、喜ぶのも束の間……シドはまだ倒れていない

 

『……フフフ……ッ。アハハハハ……ッ!ナニコレ、面白い!面白いよ!さっきまで怖がってたお姉さん達が僕に立ち向かってきてる!イッセー先輩の言葉、檄を受けてから急転、劇的な変化を見せた!……やっぱりイッセー先輩は面白いねぇ……!僕も心が(たぎ)ってくるよ!』

 

シドは狂喜に満ちた雰囲気で黒い魔方陣を開き、手持ちの剣2本を媒介に新たな錬成をする

 

武器とも黒いメダルでもない……もっと大きな物質への錬成……

 

「先輩ッ!ここまで僕を楽しませてくれたお礼だよ!この攻撃に耐えられたら、今日は僕の負けって事にしてあげるッ!」

 

そう言ってシドが錬成したのは―――BMX(競技用自転車)

 

それは一誠達が初めてシドに会った時、目にした物……

 

BMXは意思を持ったかの様にシドの頭上へ行き―――

 

「シャ~カ~リ~キ~大・変・身ッ!」

 

シドの掛け声と同時にBMXが分離

 

後輪パーツは右肩、前輪パーツは左肩に、胸部にプロテクターが装備され―――ヘッドギアが頭部に装着される

 

まるで鎧の如くBMXがシドと一体化し、更に強力な姿へと変貌を遂げた

 

シドのパワーアップを見て一誠達は言葉を失う

 

シドは右肩の後輪を取り外して構える

 

周囲を揺らす程のオーラがシドから溢れ、それは手にしたホイール状の武器にも伝染する

 

デカい攻撃が来ると察した一誠は直ぐに前に出て力を倍増させる

 

何度も何度も音声を鳴り響かせ、限界まで力を高めていく

 

「もう呆れるしか無いよな……っ。まだそんな力を隠し持ってたなんて……!」

 

「アハハッ!イッセー先輩、僕はこれでもまだ本気じゃないよ!でも……こんなに心が(たぎ)ったのは久しぶりさ!そのお礼だよ!」

 

お互いが力を高め切った所で一誠は背中のブーストを噴かし、シドは大きく振りかぶった

 

「ソリッド・インパクトォォォォォォオオオオオオオオオオッッ!」

 

「クリティカル・ストラァァァァァァァァァァァァァァァァイクッッ!」

 

唸り声を発しながら飛ぶシドのホイール

 

肥大化させた一誠の右拳

 

両者が正面衝突し―――森が揺れた……




今回はユキノ達にもスポットを当ててみました。

そして一誠の技とシドの技が大激突……ちなみにこの時のシドはスポーツアクションゲーマーです(笑)

次回は新サイドメインでお送りします!

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