ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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かなり修正を施しました


闇皇&赤龍帝VS不死鳥

魔王サーゼクス・ルシファーの計らいで急遽作られた空間

 

 

 

その空間の中央で対峙する新&一誠組とライザー

 

 

 

一誠の手には既に『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が出現していた

 

 

 

『竜崎くん、もう来ないかと思ってたよ』

 

 

 

「リアス部長の兄、魔王様に頼まれちゃ行かない訳にもいかねぇだろ?」

 

 

 

白いタキシード姿の祐斗に言葉を返す新

 

 

 

すぐ近くでは着物を着た朱乃とドレス姿の小猫もいる

 

 

 

「それに―――――女の涙を見ても助けに行かねぇなんざ、男として失格だと思ったんだ」

 

 

 

『あらあら。新さんらしいですわね』

 

 

 

『……見直しました』

 

 

 

バトルを取り仕切る審判が戦いの開始を告げ、ライザーは炎の翼を生やす

 

 

 

「赤龍帝、お前の能力は既に全て割れている。自分の能力を倍にしていく神器(セイクリッド・ギア)、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』で、レーティングゲームでの戦いの最中に発現した―――――倍増した力を仲間や武器に譲渡する能力だ。しかし、お前みたいなクズに使いこなせる代物じゃない」

 

 

 

一誠の新しい力とは先程ライザーが言った様に、倍増した力を仲間や武器に譲渡する能力『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)

 

 

 

レーティングゲームでライザーと戦ってる最中に発現した能力らしいが、今は殆ど使えそうにない

 

 

 

一誠の基本スペックが壊滅的に低すぎるからである

 

 

 

だが、一誠は満面の笑みを見せる

 

 

 

「新、10秒でケリをつけるぞ」

 

 

 

「10秒?やけに強気じゃねぇか。良いぜ、速攻であのクソッタレをぶっ飛ばしてやろうや」

 

 

一誠の提案に新は拳を打ち付ける

 

 

モニター越しに訝しげな顔をするリアスに向けて一誠が叫んだ

 

 

 

「部長!プロモーションの許可をお願いしますッ!」

 

 

 

一誠の叫びにリアスが頷く

 

 

 

プロモーションの許可が下りた

 

 

「『プロモーション』!『女王(クイーン)』!」

 

 

「そんじゃ俺もッ!」

 

 

新と一誠が最強の駒に昇格

 

 

 

一誠はブーステッド・ギアを頭上に掲げながら再び叫ぶ

 

 

 

「部長!俺は木場みたいな剣の才能はありません!朱乃さんみたいな魔力の天才でもありません!小猫ちゃんみたいなバカ力もないし、アーシアの治癒の力もありません!新みたいに特別な力を持っていません!それでも最強の『兵士(ポーン)』になりますッ!」

 

 

 

一誠が現す誓いに新は口の両端を吊り上げる

 

 

 

「最強の『兵士(ポーン)』になる―――――か。良い目標を持ってんじゃねぇか。しっかし、プククッ。小猫みたいなバカ力って!」

 

 

 

『………笑い過ぎです』

 

 

 

小猫がムスッとした顔で新を睨んでいた

 

 

 

「あなたのためなら、俺は神様だってぶっ倒してみせます!このブーステッド・ギアで!俺の唯一の武器で!俺はあなたを守ってみせます!輝きやがれぇぇぇぇぇッッ!!オーバーブーストォッ!!」

 

 

Welsh(ウェルシュ) Dragon(ドラゴン) Over(オーバー) Booster(ブースター)!!!!』

 

 

 

籠手の宝玉から赤い閃光が解き放たれ、一誠の体を包み込む

 

 

 

そして、一誠の肉体に赤い鎧が纏っていく

 

 

 

姿はまさにドラゴンその物だった

 

 

 

「鎧!?赤龍帝の力を鎧に具現化させたのか!?」

 

 

 

「これが龍帝の力!禁手(バランス・ブレイカー)、『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』――――――俺を、俺達を止めたきゃ魔王さまに頼み込め!何しろ、『禁じられた忌々しい外法』らしいからな!」

 

 

 

「赤い鎧……!俺に宿ってる『闇皇の鎧』と同じ様な感じだが、伝わってくる魔力が半端じゃねぇな。さぁ一誠、ブッ潰してやろうぜ!」

 

 

 

(テン)

 

 

 

籠手からカウントが開始され、一誠は両手の間に魔力の塊を生み出し、ライザーに向けて発射する

 

 

新も両手に赤い魔力を集束させ、帯状の波動を撃ち放った

 

 

ライザーは撃ち出された魔力を避ける

 

 

(ナイン)

 

 

一誠の鎧の背部にあるロケット噴出口から魔力が噴き出し、猛スピードで攻撃しようとしたが、制御出来ずに壁へ激突してしまった

 

 

 

新はライザーの背後に回り込み、右爪に魔力を纏わせて斬りかかっていく

 

 

危険な気配を察知したライザーは急降下で新の爪を回避した

 

 

(エイト)

 

 

「赤龍帝……ッ!闇皇……ッ!クソガキどもッ!!悪いが手加減しないぜ!認めたくないが、今のお前達はバケモノだ!主であるリアスの前で散れ!火の鳥と鳳凰!そして不死鳥フェニックスと称えられた我が一族の業火!その身で受けて燃え尽きろォォォッ!」

 

 

 

ライザーの背中に巨大な炎の両翼が出現し、火炎に身を包みながら高速で2人に迫る

 

 

「「てめぇのチンケな炎で俺達が消える訳ねぇだろぉぉぉぉぉっ!」」

 

 

(セブン)

 

 

 

3人の拳が顔面にぶつかり合う

 

 

その衝撃で三者は吹き飛び、新は何とか着地に成功するものの、一誠は痛みと熱のせいで吐血してしまう

 

 

 

「赤龍帝!やはりお前はブーステッド・ギアが無ければただのクズ――――――ゴバッ!」

 

 

 

「何だ?ライザーが血を吐いた?」

 

 

 

新が疑問の視線を一誠に向けると、その理由が分かった

 

 

一誠の左手に悪魔の天敵アイテム、十字架がある

 

 

「へ、へへ……っ。うちの『僧侶(ビショップ)』は元シスターでね。奥にしまっていた物を借りてきたんだ……!十字架の効果を神器で増大させて、あんたを殴った。高めに高めた聖なる攻撃は、たとえ不死身のフェニックスでも早々癒せないんじゃないか?」

 

 

(シックス)

 

 

十字架は悪魔の苦手なもの

 

 

 

そんな物は持つだけで自身を激しく痛めつける

 

 

新はその問題を考察しながら一誠の左手に注目した

 

 

 

「……っ!まさか一誠、籠手に宿るドラゴンに自分の腕を……!?」

 

 

 

「ああ、新の言う通り。俺はこの力を一時的にでも得るために、左腕を代価にくれてやった。俺の左腕は本物のドラゴンの腕だ。だから、十字架は効かない」

 

 

 

「正気か貴様!?そんな事をすれば二度と元の腕には戻らない!お前はそれが分かっているのか!?」

 

 

 

(ファイブ)

 

 

 

狼狽するライザーに一誠は迷いなく言い放つ

 

 

 

「それがどうした。俺みたいな奴の腕一本で部長が戻ってこられるんだぜ?こんなに安い取り引きは無いだろう?」

 

 

 

その言葉を聞いた新は目を見開いた

 

 

 

「一誠。今のお前は……俺よりも恐ろしいな。だが、良い覚悟じゃねぇか!」

 

 

「新!次で決めるぞ!」

 

 

「おう!お前のその覚悟を無駄にしてたまるかよ!」

 

 

(フォー)

 

 

 

一誠は手に握っている十字架に力を込め、新も右手に強大な魔力を流し込む

 

 

2人はそのまま最大の一撃を繰り出した

 

 

ライザーの拳とぶつかり合い、閃光が走った瞬間……一誠は吹き飛ばされ、更にドラゴンの鎧が解除されてしまった

 

 

一誠に残ったのはドラゴンの腕と化した左腕のみ

 

 

突然の禁手(バランス・ブレイカー)解除に一誠は焦りを交えて籠手に叫ぶ

 

 

「おい!何だよ、なんで元に戻っちまったんだよ!まだ10秒経ってねぇだろ!?」

 

 

 

『残念ながら時間切れだ、小僧』

 

 

「左腕だけじゃダメなのか!?今度は何を支払えば良い!?目か!それとも足か!何だってくれてやる!」

 

 

『今のお前の基礎能力ではこれが限界だ』

 

 

「……俺が弱いからか……?くそぉッ!なんで俺はこんな肝心な時に……ッ!」

 

 

籠手に宿りしドラゴン――――ドライグの辛辣な言葉に一誠は歯噛みした

 

 

大事な場面なのに力が及ばない自分を恨めしく思い、噛み締めた口内からは血が出そうだった

 

 

ドライグから告げられる

 

 

『解除する瞬間、僅かだが力を宝玉に移せた。だが、それは一時的なものだ。フェニックスの再生能力には遠く及ばない。まあ……お前の隣にいる蝙蝠と協力すれば話は別だがな』

 

 

そう言われて一誠は自分の隣にいる新に視線を移す

 

 

確かに新の方は大きなダメージを負っておらず、鎧も解除されていなかった

 

 

諦めたくないと歯を食い縛る一誠は懐から何かを取り出す

 

 

「――――っ?一誠、その小瓶は何だ?」

 

 

「俺なりに頭振り絞って考えてきた、あの野郎に一泡吹かせる切り札――――火を消すなら、水だよな……!」

 

 

 

一誠が手にした物は聖水の入った小瓶

 

 

 

聖水も悪魔の苦手なものの1つ

 

 

一誠は小瓶を持ったまま新に耳打ちをする

 

 

新は一誠の提案に無言で頷き、炎の翼を展開させて向かってくるライザーを正面から押さえた

 

 

炎熱で両手を焼かれながらもライザーを逃がすまいと握力を維持し続ける

 

 

「今だ一誠!思いっきりぶちまけろォッ!」

 

 

「おう!ブーステッド・ギア・ギフト!」

 

 

Transfer(トランスファー)!!』

 

 

 

倍増した力が聖水に譲渡され、聖水がライザーの体を激しく痛めつける

 

 

「うがぁぁぁぁぁあああああああああああッ!」

 

 

聖水で顔を焼かれのたうち回るライザー

 

 

 

一誠は十字架を左手で拾い、二つ目の聖水を拳に振りかける

 

 

 

「アーシアが言っていた。十字架と聖水は悪魔が苦手だって。それを同時に強化して、同時に使ったら、悪魔には相当なダメージだよな」

 

 

一歩一歩足を進める一誠は新の右手を掴む

 

 

「木場が言っていた。視野を広げて相手と周囲も見ろと」

 

 

Transfer(トランスファー)!!』

 

 

自身が持っている十字架、聖水、そして新に力が譲渡される

 

 

「朱乃さんが言っていた。魔力は体全体を覆うオーラから流れる様に集める。意識を集中させて、魔力の波動を感じればいいと。ああ、ダメな俺でも感じられましたよ、朱乃さん」

 

 

2人は打撃を繰り出すために拳を構える

 

 

「小猫ちゃんが言っていた。打撃は体の中心線を狙って、的確かつ抉り込むように打つんだと!」

 

 

新と一誠が拳の照準をライザーに定めた

 

 

「そして新が言っていた!本気で守りたい物は、死んでも守れと!」

 

 

「一誠、まだ倒れんなよ?倒れるのはこいつをブッ飛ばしてからにしようぜ」

 

 

「ま、待て!分かっているのか!この婚約は悪魔の未来のために必要で大事なものなんだぞ!?お前らのような何も知らないガキがどうこうする様な事じゃないんだ!」

 

 

往生際悪くライザーは言い訳を述べるが、確固たる意志を掲げた2人には無意味だった

 

 

「難しい事は分からねぇよ。でもお前に負けて気絶した時、うっすらと覚えている事がある。――――部長が泣いてたんだよっ!」

 

 

「あぁ、俺もよ~く覚えてるぜ。最初は憤り過ぎて見落としちまったが――――アレは流させちゃいけねぇ(たぐい)の涙だ」

 

 

「俺が――――いや、俺達が!」

 

 

「てめぇを殴る理由は!」

 

 

「「それだけで充分だァァーーーーッ!」」

 

 

高められた新と一誠のダブルパンチがライザーの腹に突き刺さった

 

 

血を吐きながらライザーは床に倒れる

 

 

「やったな一誠」

 

 

「はぁ……はぁ……ああ、やった、ぜ……っ」

 

 

力を使い果たしたのか、一誠はガクンと崩れるように仰向けに倒れ、新と拳を合わせた


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