ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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今回はラース戦です!


火竜ラース・フレイム・ドラグニル

竜獄の宴(ドラゴニック・ヘルズ)』による勝ち抜き戦

 

ここまでグレモリー&シトリー陣営は3勝1敗で駒を進めており、今は祐斗達も大広間にて新達と合流を果たしているだろう

 

残るは1枠……

 

竜星(りゅうせい)の間』にいるリアス、朱乃、渉、祐希那とリュオーガ族のリーダー格―――ラース・フレイム・ドラグニル

 

どちらかが勝者となり次へ進める

 

戦場となっている『竜星の間』は星々を散りばめた空以外荒れ果てていた……

 

林立する柱も今では瓦礫の欠片と化しており、部屋の面影は微塵も残されていない

 

リュオーガ族の長の名は伊達じゃなく、リアス達も4人がかりであるにもかかわらず苦戦を強いられた

 

体も服もボロボロで呼吸も荒く、疲弊しきっている

 

一方、ラースはまだまだ余裕と言った様子を見せていた

 

赤い鱗に覆われた両腕で自らの翼を手入れする程に……

 

「アノンに続いてニトロとジュウゾウも(やぶ)れたようだね。全く……無能な奴らばかりで嫌気が差してくるよ」

 

ラースは相変わらず負けた者に対して辛辣な台詞を吐き捨て(けな)

 

自分の眷属を大事にするリアスにとってラースの言動は許せないものだった

 

「あなたはそうやって誰もを見下し、貶してきたと言うのね。それを同じ種族の者にも向けるなんて……非道ね」

 

「上位の生命体が下等生物を見下ろすのは当然の権利さ。その中で頂点に君臨すべきなのが―――僕達リュオーガ族、由緒正しき真のドラゴンの血族さ」

 

「はぁ?由緒正しい?バッカじゃないの!アンタみたいな自己中が上位だの下等だの、勝手に決めてんじゃないわよッ!私はアンタみたいに遊びでヒトを殺す奴らが大っ嫌いなのよ!」

 

ラースに猛反発する祐希那は尋常じゃない程の怒りを見せる

 

ただ、それは無理もない

 

祐希那は元々眷属悪魔だったが、闇人(やみびと)のストレイグ・ギガロプスに主と仲間を皆殺しにされた挙げ句、その時の恐怖とショックで精神が崩壊してしまったと言う過去があったのだから……

 

ラースもまた娯楽の為に殺戮を(おこな)う愉快犯的な嗜好を持っているようなので、彼女にとっては最も許しがたい人格なのだろう

 

「そんな腐った考えしか持たないから省かれてんのが分かんないの⁉」

 

「穴だらけの脳みそを抱えた口汚い腐れ悪魔にそんな事を指摘される筋合いは無いね。下等同士の馴れ合いは醜く、浅ましく、そして最も許しがたい罪だよ。種を失いたくないが為に共存などと言う逃げ道に踏み込んだ臆病者の末路……。その罪は君達が輪廻転生しなければ拭い去れない。君はそうだな……来世でパンダに生まれ変わると良いよ。それも白黒模様が逆のパンダ、見世物として笑い者にされ、下等生物共に指を差されながら生きていくんだね」

 

「勝手に人の来世を語るな!しかも、来世が白黒逆のパンダって何よ⁉」

 

「気に入らないならシマウマの方が良かったかい?縞模様無しのシマウマになれるよう祈っておくと良いよ」

 

「お言葉ですけど、僕達はあなた方に負けるつもりはありません。それに縞模様無しのシマウマって―――それはただの白いウマです」

 

「どうでも良い事を真顔で言うなぁっ!」

 

相変わらず炸裂する渉の天然ボケと祐希那のツッコミ

 

駒王学園(くおうがくえん)一の夫婦漫才は伊達ではない(笑)

 

ラースは“もう付き合ってられない”とばかりに右手を向け、高熱の炎を溜め込む

 

リアス達が何度も見てきたラースの炎―――『火竜の咆哮(デリート・プロミネンス)

 

ラースの右手から放たれた炎は竜の形となってリアス達に襲い掛かっていく

 

渉はすぐさま前に出て体内から魔狼剣(まろうけん)フェンリオスを取り出し、逆手に持つ

 

刀身に金色のオーラを纏わせ、向かってくる火竜を一刀両断に切り裂いた

 

2つに分断された火竜はあらぬ方向へ飛んで霧散していく

 

次に渉はその場を駆けながら2丁拳銃型の武器―――魔海銃(まかいじゅう)アリエスを取り出した

 

魔狼剣(フェンリオス)を口にくわえ、魔海銃(アリエス)を両手に(たずさ)える

 

足元から水流を噴かし、滑る様にラースの周囲を回りながら弾丸を連続で撃ち込む

 

しかし、ラースは焦る事も無く全ての水弾を叩き落としていった

 

渉は魔狼剣と魔海銃を体内に戻し、魔鉄槌(まてっつい)ロンドを取り出す

 

石突きの部分から雷の球体を発生させ、それをフルスイングでラースに向かって打ち飛ばした

 

祐希那も負けじと氷斧を振るい、幾重もの氷柱を飛ばす

 

リアスも消滅魔力を撃ち放ち、朱乃もラースの頭上から雷光を落とす

 

前方と上方から来る同時攻撃にラースは―――余裕の表情を揺るがさない

 

「―――『火竜の鉤爪(イグニ・クロー)』」

 

ラースの両足が炎で覆われた爪と化し、前方の波状攻撃を切り裂く

 

頭上から降り注ぐ雷も蹴り上げて霧散させた

 

(ことごと)く力の差を見せつけてくるラースにリアスは歯噛みしてしまう

 

両足を元に戻したラースは広げた両翼に炎を纏わせ、斬撃を放つ

 

「―――『火竜の翼撃(フレイム・スパーダ)』」

 

灼熱の炎を帯びた斬撃がリアス達を焼き殺さんと向かっていく

 

リアス達は先程以上に力を込めた攻撃で迎撃する

 

4人の一斉攻撃は何とか炎の斬撃を相殺したが……その分の消費は激しい

 

長期戦に持ち込まれては不利になってしまう

 

『渉、一か八かだけど……一気に全力を出して倒しに行くわよ。このままだとこっちが先に倒れるわ』

 

『……そうだね。これ以上時間を掛けるのは得策じゃないよね』

 

コッソリと話し合う渉と祐希那

 

作戦を確認した後、渉は少し後ろにいるリアスと朱乃にも指でサインを送る

 

“僕達が時間を稼ぎますので、魔力を溜めてください。合図したら全力で攻撃を放ってください”

 

サインを送られたリアスと朱乃は無言で頷き、深呼吸してから構えに入る

 

「何を企んでいるのかは知らないけど、無駄な足掻きはやめた方が良いよ。苦しまずに済むからね」

 

「ええ、そうですね。ではお言葉に甘えて―――全力で決めさせてもらいますよッ!」

 

渉は魔狼剣、魔海銃、魔鉄槌を同時に排出し、3つの光を鎧に纏わせる

 

左腕は刃が連なった紺碧の腕に変化、右腕は翡翠色の鱗に包まれ、胸部は紫電色の様相へと変貌

 

3体の魔族の力を同時に引き出した強化形態―――『三魔族憑依(トリニティ・スタイル)

 

一方、祐希那も氷斧を前に掲げて禁手化(バランス・ブレイク)を唱えた

 

青白い閃光が彼女を包み込み、氷の軽鎧(ライト・アーマー)を形成する

 

禁手(バランス・ブレイカー)―――『極光に凍える戦姫(アウローラ・ヴァナディース・ドレッサー)

 

氷の戦姫と最強の光帝が肩を並べ、オーラを解き放つ

 

先陣を切った渉は左腕から無数の斬撃を放ち、右腕から螺旋状の水流を放射

 

それらは寸分の狂いも無くラースに直撃及び()ぜる

 

祐希那が氷斧を地に突き立てると下から巨大な氷の牙が飛び出し、ラースに強襲

 

ダメ出しとばかりに頭上からも巨大な氷山を落とす

 

渉も紫電をバチバチと(ほとばし)らせ、全速力で突っ込んでいく

 

爆煙の中から出てきたラースに雷付きの拳打と蹴りを見舞う

 

勿論、一撃二撃では留まらない

 

息も尽かさぬ乱舞でラースを追い詰めようとする

 

ただし、短期戦で決着をつける為にはかなりのスタミナを消費してしまう

 

度外視した配分のせいで全身に痛みが走る……

 

しかし、目の前の竜人(ラース)を倒す為に今だけは耐え抜く

 

渉はラースを上に打ち上げ、自らも高く飛び上がる

 

両足に翼状のオーラを纏わせ、急降下しながらラースに必殺の蹴りを食らわせた

 

何度も何度も蹴り抜き、トドメにラースを地に叩きつけた

 

叩きつけた衝撃で地面も()ぜ、渉は上空で魔力を溜めていく

 

「皆さんっ、今ですッ!」

 

「「ええっ!」」

 

渉の合図でリアスと朱乃が最大級の攻撃をラースに向けて撃ち放った

 

祐希那も氷斧を振るって青白い波動を飛ばし、渉も上空から紫電・水流・斬撃の3つを融合させた極大のオーラを解き放った

 

全身全霊全力の攻撃が地面にめり込んでいるラースを容赦無く飲み込む

 

凄まじい爆発と爆風が巻き起こり、その様はまさに終焉の如し……

 

一斉砲撃が終わった後、渉がリアス達の側に降り立つ

 

流石に魔力を使い過ぎたのか、全員の疲弊度が半端じゃなかった

 

「はぁ……はぁ……予想以上に、魔力を使っちゃいました……」

 

「ええ。でも、それぐらいじゃないと厳しかったでしょうね」

 

肩で大きく息をする一同

 

流石のラースもこれだけの一斉攻撃を受けては一溜まりも無い

 

誰もがそう思った時だった……

 

ググググ……っ

 

「…………やってくれたじゃないか。下等生物の分際で」

 

「「「「――――っ⁉」」」」

 

“信じられない”……そんな言葉しか頭を過らせない様な光景だった

 

あれだけの攻撃をまともに受けたラースがゾンビの如く体を起こしてきたのだ

 

流血しているものの、本人は至ってピンピンしていた

 

ラースは全身に付着した土埃(つちぼこり)を払い、キッとリアス達を睨み付ける

 

「今のは流石に痛かったなぁ……。下等生物ごときがこの僕に―――っ」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!

 

ラースの口調に怒気が孕み始めたと同時に部屋全体が揺れる

 

凄まじい殺気を含んだオーラが漂い、リアス達を威圧する

 

「―――虫ケラ共がァッ!そんなにお望みなら一瞬であの世に送ってやるッ!俺を怒らせた事を悔いながら、(むご)たらしく死んで逝けェェェェッ!」

 

一人称が“僕”➡“俺”に変わったラース

 

激昂した彼は吼えながら自らを変貌させていく

 

真っ赤な鱗が全身に広がっていき、両翼や爪が雄々しく生える

 

腰からは尻尾も伸び、頭部もドラゴンの様なフォルムと化していく

 

変異を終えたラースは文字通りの竜人となった……

 

火竜をそのままヒト型にしたかの様な姿

 

鮮やかな翡翠色の双眸(そうぼう)からは僅かな怒りを見せる

 

同時に熱気が充満し、リアス達の肌をジリジリと焼く

 

「……なんて凶悪なオーラ……っ」

 

「覚悟しろよ、下等生物。こうなってしまった以上―――もう優しくはないからな」

 

変貌を遂げた赤き竜人ラースは再び右手をリアス達に向けた

 

右手から解き放たれる『火竜の咆哮(デリート・プロミネンス)

 

だが、それは先程とは比べ物にならない威力だった……

 

凶悪な形相の火竜が大口を開けて牙を見せつけ、地を蒸発させながらリアス達に向かっていく

 

渉は瞬時に彼女達の前に出て魔狼剣(フェンリオス)魔鉄槌(ロンド)を同時に取り出す

 

魔力を高めた2つの武器で死守しようとするが―――予想を遥かに超える威力だった為、押し退けられて火竜に呑み込まれる

 

「アァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

「渉ッ!きゃあッ!」

 

余波だけでリアス、朱乃、祐希那を後方に吹き飛ばす程の威力……

 

直撃を食らってしまった渉は無事では済まされないだろう……

 

火竜が消え去ると、渉の鎧は大きく崩壊していた

 

遠退く意識を無理矢理呼び覚ますが、体が言う事を聞かない

 

全身が焼け(ただ)れ、血も噴き出す

 

「……っ!渉ッ!渉ッ!」

 

「まだ息が残っているか。アレを食らえば大抵の輩は消滅するのだが、今までの下等生物よりはマシだったようだな。ならば―――こいつでトドメを刺してやろう」

 

ゴオオオオオオオオ……ッ!

 

ラースが右手を上に掲げると、灼熱のオーラがうねりながら上空に集まっていく

 

生き物の様に(うごめ)きながら“巨大な何か”を形成する

 

頭、首、胴、脚、尻尾と形作られたのは―――巨大な十字架に(はりつけ)にされた火竜(ドラゴン)だった……

 

禍々(まがまが)しく燃え盛る磔の火竜が双眸(そうぼう)をギラリと妖しく輝かせ、リアス達を睨み付ける

 

もはや言葉も出せないぐらい恐々とするリアス達

 

ラースは哄笑を上げた後に言う

 

「俺にコイツを出させただけでも及第点をくれてやる。ただ、残念だよ。この先で繰り広げられる地獄を貴様らは見る事が出来ないんだからなぁ」

 

「……っ?ど、どういう事よ⁉」

 

「あと1回、俺は他のリュオーガ族より多く変身出来る。つまり、四大魔王を追い詰めた俺の力は―――こんな物ではないんだよ」

 

絶望的な報せにリアス達は愕然とするしかなかった

 

徹頭徹尾打ちのめされた彼女達に更なる追い討ちが襲い掛かる……っ

 

「絶望に満ちて滅びろ、下等生物共ォッ!竜奥義(りゅうおうぎ)―――『消滅の十字火竜(クリア・ザ・グランドクロス)』ッッ!」

 

赤き竜人の放った十字架ドラゴンは雄叫びを上げながら強襲

 

『竜星の間』は十字架ドラゴンが引き起こした大爆発に包まれていった……っ




徐々に本性を表し始めたラース……宮野真守ボイスが非常に合うかと(笑)

ラースの第1形態は龍皇子サラマンデスがイメージモデルとなっております。
技のあて名はフェアリーテイルの滅竜魔法が大元です。

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