ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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やっと書けました……。この回でいよいよ謎の5人の全貌が明らかに……っ


新VS総司!忍び寄る竜の一族!

モシキューハイランド、現在使用されていないプールエリアで史上最悪の親子喧嘩が始まろうとしていた

 

闇皇(やみおう)姿の新と闇人化(やみびとか)した父親―――竜崎総司

 

(総司)()によるガチ喧嘩……

 

開始の怒号を放ったのは―――新だった

 

「いくぞ、クソ親父ィィィィィィィィイイイイッ!」

 

足にオーラを溜め、爆発的な勢いで飛び出した新は右の拳打を見舞おうとする

 

総司もすかさず右拳にオーラを溜め、新と殆ど同じタイミングで拳打を放った

 

両者の拳がお互いの顔面に打ち込まれた瞬間、突き抜けた衝撃がプールの壁や床、備品等を破壊する

 

一旦距離を取って口から血を吐き捨て、再び壮絶な殴り合いを始めた

 

ノーガードの拳、蹴りが空を切り、お互いの体を痛めつけていく

 

新が右の拳を放った瞬間、総司はそれを左手で防ぎ、続けて放たれた左の拳も右手で止める

 

殴り合いを中断した総司は全身から莫大なオーラの波動を放出した

 

禁手(バランス・ブレイカー)状態の一誠ですら耐えられなかった波動をまともに食らってしまう

 

極大の波動に呑み込まれ、後方へ吹き飛ばされていくが……『騎士(ナイト)』形態に変異し、出現した槍先に魔力を集中させ、そのまま波動の中を突き進む

 

一点集中の突撃によって波動を裂き、推進力を活かした飛び蹴りを総司の鳩尾(みぞおち)に食らわせた

 

攻撃の手が止まった所ですかさず『戦車(ルーク)』形態に昇格

 

攻防特化の姿になった新は巨大な拳を振り下ろし、総司を地面に叩き付けた

 

クリーンヒットしたかに思えたが……総司は両足を踏ん張らせてダメージを最小限に抑え、新の顔面を鷲掴み

 

地面に思いっきり叩き付けてから高速で引きずっていく

 

分厚い装甲を削り、空中へ放り投げてから自分も飛び―――縦横無尽の空中コンボを見舞った

 

そして真上から急降下、その勢いを利用した蹴りが炸裂

 

新の体が“くの字”に折れ曲がり、総司はそのまま踏み潰すよう落下した

 

踏み潰された新を中心に亀裂が広がり、大地が()ぜる

 

「グボハ……ッ!クッソォッ!」

 

新は全身を駆け巡る痛みに耐えながら今度は『僧侶(ビショップ)』形態になり、両肩の砲口と銃から魔力弾を撃ちまくる

 

砲撃の連射を浴びた総司は退(しりぞ)くものの、負けじと両腕の刃物からブーメラン状の波動を幾重にも解き放つ

 

飛来してくる刃を新は全て撃ち落とす

 

お互い1歩も引かない苛烈な攻撃の嵐にリアス達はすっかり萎縮気味となっていた……

 

「はぁ……はぁ……なかなか強くなってるじゃないか、新。私は嬉しいよ」

 

「今更褒められても嬉しくねぇし……まだまだ殴り足りねぇんだよ!」

 

「その意気だよ……。その意気で―――もっともっと力を出し切れェェェェェッ!」

 

ブゥゥンッ!

 

総司は駆け出しながら右手に(つるぎ)状のオーラを出現させ、大きく振りかぶった

 

危険を察知した新は横っ飛びで回避、総司の剣戟はさっきまで新がいた場所を深々と切り裂いた

 

総司は先程一誠達を圧倒した高速移動で新に斬りかかる

 

視認出来ない速度で動き回る総司を(とら)えられず苦戦する新は『女王(クイーン)』形態の呪文を唱え始めた

 

「我、目覚めるは……ッ!闇と(ほのお)を受け入れし、魔の(おう)なり……ッ!」

 

しかし、その間にも総司が斬りかかってくるのでスムーズに唱えられない

 

それでも何とか呪文を唱え続け、ようやく最後の部分を口に出す

 

「―――(なんじ)らを光無き漆黒の闇へと沈めよう……ッ!」

 

新の鎧が火柱を噴いて変質していき、『女王(クイーン)』形態―――『魔剣の闇焔皇(アークブレイズ・ロスト・エンペラー)』となった

 

火柱の火力で高速移動を止められた総司に新はオーラを溜めた剣戟を見舞う

 

同じくオーラの手刀で応戦する総司

 

殴り合いの次は激しい剣戟合戦が開始された

 

休む(いとま)も与えず、より苛烈さを増していく両者

 

お互いの刃が衝突した刹那、新は6枚の炎の翼を広げ、刃物の如く鋭く研ぎ澄ませて総司を突き崩す

 

総司はプールの壁に叩きつけられ、新は追撃とばかりに剣で刺し貫こうとした

 

だが、総司はギリギリ身を捻って刺突(しとつ)(かわ)し、その勢いで新の後頭部を掴んで壁に叩き付ける

 

剣を手放してしまった新は総司の腕を取って投げ返す

 

「いくぞ、この野郎ォォォォオオオオオッ!」

 

立ち上がろうとする総司の顔面に強烈な膝蹴りを入れる新

 

「ぐ……ッ!負ける訳にはいかないんだよォッ!」

 

新の肩を掴み、引き寄せて右肘を叩き込む総司

 

新はタックル気味に総司を壁に叩き付け、顔面に掌打(しょうだ)のラッシュ

 

負けじと総司は両手を捕まえて掌打を止め、新に頭突きを連続で繰り出す

 

腕を掴み、その場で高速回転した後―――思いっきり投げ飛ばした

 

地面を転がり回る新に総司はふらつきながら言う

 

「新……これ以上お前を……この先へ踏み込ませる訳にはいかないんだ……っ。ここから先には本物の修羅(しゅら)の道が待ち構えている……っ。だから、出来れば諦めて欲しい……っ」

 

「もうテメェの秘密主義はウンザリだ……!ここで全部吐いてもらうぜ……ッ!」

 

新は全身から莫大なオーラを噴出させ、全ての翼を広げて飛び出した

 

対する総司も極大のオーラを爆発させ、駆け出していく

 

再び壮絶な殴り合い、蹴り合いを始めた両者

 

拳や蹴り、それぞれ一撃を放つ度にオーラが飛び交い周囲を爆破する

 

何度も殴り、何度も蹴る2人の姿はもはや親子喧嘩の域を遥かに超えていた……

 

お互いに顔面を殴り合い、脇腹を蹴り合う

 

次に放たれた総司の左拳打を新は(かわ)すが―――その攻撃はフェイントで、総司はその勢いを利用して右の裏拳を新の側頭部に命中させた

 

不意を突かれた挙げ句、脳を揺らされた新の動きが一瞬だけ鈍り、総司は好機と見て両手で新の首をロック

 

その体勢で新の腹に膝蹴りの連打を叩き込む

 

腹部の装甲を砕かれ内部にまで衝撃が伝わり、新の口から血が飛び散っていく

 

トドメとばかりに顔面への飛び膝蹴りを見舞おうとしたが―――寸前で新が首のロックから逃れる

 

総司が右拳を放つと同時に新はカウンター気味に肘打ちを入れた

 

肘と拳の衝突

 

しかし、充分に力が乗っていなかった拳は負けてしまい、ミシミシと嫌な音を立てる

 

恐らくヒビでも入ったのだろう……

 

痛めた拳を押さえる総司に新は容赦無く重いハイキックを見舞った

 

クリーンヒットしたハイキックで総司は吹っ飛ばされ、地を転がる

 

よろめきながらも起き上がろうとする総司に―――新は追撃の拳打を食らわせた

 

壁に叩き付けられた総司を追い掛け、更に拳や蹴りを打ち込んでいく

 

総司も抵抗の拳を放つが呆気なく防がれ、一方的に殴られ蹴られる

 

新は総司を壁から引き離し、オーラを溜めた拳で打ち抜いた

 

ドゴォッと鈍く重い衝突音と共に宙を舞う総司……

 

背中から地面に落ちた総司を新が無理矢理起こし、首を掴んで詰め寄る

 

「さあ、クソ親父ッ!もうテメェの負けだ!観念しやがれッ!」

 

「……ま、まだ、まだまだ……だよ……っ」

 

全身ボロボロで血だらけになっているにもかかわらず、総司はまだ勝負を続けるつもりでいた

 

ここまで追い詰められているのに降伏の意思を示さない……

 

総司は新の手を振り(ほど)き、拳を握り締めて殴りかかる

 

しかし、その勢いは先程よりも圧倒的に弱々しい……

 

もはや勝負の行方は明らか

 

それでも降伏しようとしない総司に新は苛立ちを見せる

 

「いつまで見栄張ってんだ、クソ親父ッ!」

 

新の拳が総司の顔面に直撃するも―――今度は倒れない

 

踏ん張りを効かせ、尚も新に立ち向かおうとしている……

 

「まだ……まだ、負けないよ……っ」

 

顔も体もボロボロの筈なのに負けを認めようとしない……

 

“なんでここまで立ち向かってくるのだろうか?”

 

新は理解出来なかった……

 

徐々に戦闘心が薄れてしまい、拳の握りも甘くなる

 

「どうしたんだい……?ま、まだ勝負はついてないよ……。私が許せないんだろ……?だったら、遠慮しないで殴って来なよ……っ」

 

総司は新に殴ってくるよう促すが、新は拳を握らないどころか―――構えすら解いてしまった

 

兜のマスクを収納して素顔を見せ、父親に問い掛ける

 

「……親父、まさかとは思うけど―――わざと殺されようとか思ってんじゃねぇだろうな?」

 

「―――ッ」

 

核心を突かれたのか、総司は何も答えようとしなかった

 

父親の真意を知った新は怒りに震え、声を荒らげる

 

「ふざけんなバカ野郎ッ!テメェ、何考えてんだよッ!」

 

「さあねぇ……何を考えてるんだろうねぇ……」

 

「いい加減にしやがれッ!そうやっていつもいつも答えをはぐらかしてんじゃねぇッ!テメェは嘘を嘘で塗り固めて……いったい何がしたいんだッ!」

 

新の質問に対して総司は闇人(やみびと)の姿を解き、人間の姿に戻る

 

「何がしたいって……?新―――君を修羅の道から遠ざけたいだけさ……。父親としてね」

 

“修羅の道”

 

意味深な言葉に新だけじゃなくアザぜルも眉根を寄せる

 

アザゼルは総司に問い掛けた

 

「その“修羅の道”ってのはいったい何の事だ?それだけでも教えられないのか?」

 

「…………」

 

総司は気まずそうな表情で黙り込んでしまう

 

それだけでも新の正体に繋がりかねない事情なのだろうか……?

 

アーシアによる回復を終えたリアス達オカルト研究部及びシトリー眷属全員の視線に囲まれ、1度逸らした視線を戻す

 

「それは―――」と総司が何かを口ずさもうとした刹那……体の奥底からゾッと震える異様な気配が突如プールエリアを呑み込んだ

 

それは今まで感じた事など無い邪悪で異質なものだった……

 

「な、何だこの吐き気を(もよお)す様な気配は……ッ!?」

 

新を始め、アザゼルやリアス達も突如襲ってきた“気配”に警戒心を最大限に強めるが、一瞬でも気を緩めたら討ち取られそうな気配に戦慄してしまう

 

特にその(たぐい)に殆ど免疫が無いアーシアは疲労も重なったせいか今にも倒れそうで、一誠に支えられていた

 

気配の正体に気付いた総司は舌打ちし、セラフォルーも結界を解いて降りてきた

 

「この気配……っ、もしかして……ッ?」

 

「―――ッ?心当たりあるのか、セラフォルー?」

 

「心当たりどころじゃない……ッ。この気配……まさか―――」

 

セラフォルーが何かを得心した瞬間、ブゥゥンッと空気が震撼する様な音が鳴り、セラフォルーを取り囲むかの如く不気味なリングが現れ、セラフォルーを拘束する

 

不意を突かれたセラフォルーは成す(すべ)無く捕らえられ、その体が宙に浮かぶ

 

「きゃあっ!」

 

「お姉さまっ!?」

 

セラフォルーを捕らえたリングは彼女を離れた場所に連れていき、その下で閃光が走る

 

(ほとばし)った光の中から―――得体の知れない何者かが1人ずつ現れていく

 

「ニャハハハハハッ♪四大魔王の1人、セラフォルー・レヴィアタン―――確保だニャ~♪」

 

まず出てきたのはシルクハットを被り、右目にモノクルを付けた手品師の様な風貌をした少年

 

「……綿菓子、美味しい」

 

次に出てきたのは胸元を空けたゴスロリ服に身を包み、前髪で片方の目を隠したツインテールの少女

 

綿菓子やらポップコーンやらをモグモグと食べている

 

(ばく)(しん)(ねっ)(けつ)ゥゥゥッ!爆進帝王(ばくしんていおう)―――ニトロ様のお出ましだぜベイベェェェェェェェッ!」

 

やたらとテンションの高い3人目は―――爆音を鳴り響かせるバイクに(また)がった異形の男

 

レザー系統のファッションにバイクメットの様な頭部、一見すると暴走族の総長みたいな出で立ちだ

 

「何や、大した事無さそうな奴らやのう」

 

次に現れたのもまた異形で、こちらはより異形らしい不気味さを醸し出していた……

 

鮮やかな色合いなど皆無の灰色で統一された全身に左右の側頭部から大きな角を生やし、竜頭(りゅうとう)を模した両腕

 

歩く度に地を震わせる程の威圧感も孕んでいた……

 

そして最後に現れた人物―――その者に皆は驚愕せざるを得なかった

 

何故なら―――現れたのは新に酷似した緑眼の青年だからだ……

 

事件の度に世界各国を飛び回る『サトラッ!』な検事の如く法衣(ほうえ)に似た服を纏い、優しげな雰囲気を出しながらも、その目には冷たい感情が見え隠れしていた

 

突如現れた5人の異様なオーラに全員が戦慄する中、緑眼の青年が口を開く

 

「初めまして、四大魔王に仕える下等生物(あくま)(ども)

 

「お前ら、いったい何者だ?」

 

アザゼルが問いただすと緑眼の青年を始め、他の4人も一斉に嘲笑う

 

「これはこれは、知識の欠片も無い下等生物が紛れ込んでるようだね。僕達はリュオーガ族。そこにいる男とセラフォルー・レヴィアタン含めた四大魔王によって封印された―――由緒正しき竜の一族だよ」

 

「リュオーガ族……?」

 

緑眼の青年が男―――総司を指摘しながら言うと、新達は総司と緑眼の青年を交互に見る

 

緑眼の青年は胸に手を当てながら自分達の正体を語り始めた

 

「僕はリュオーガ族の(おさ)―――ラース・フレイム・ドラグニル」

 

「僕はアノン・アムナエルだニャ。宜しくニャ~♪」

 

「俺はリュオーガ族の爆進帝王(ばくしんていおう)ッ!黒き弾丸ッ!爆進熱血漢(ばくしんねっけつおとこ)ォッ!ニトロ・グリーゼだァァァァァァァッ!」

 

「ワシは長光重蔵(ナガミツ・ジュウゾウ)

 

「……レモネード・フォールン」

 

全員の紹介を終えた直後、リュオーガ族の1人―――アノン・アムナエルが手元にステッキを出現させる

 

「ここは少し狭いニャ。僕のマジックでもっと良い場所に変えてあげるニャ♪―――テジ・ナ~・ニャッ!」

 

アノンはリズミカルにステッキを振り、何処かで聞いた事のある台詞を言いながら上空に向けてステッキを(かざ)

 

その瞬間、ステッキから(まばゆ)い閃光が解き放たれ―――プールエリア全てを包み込んだ

 

再び目を開けてみると……プールエリアから一転、色彩豊富な花が広がる草原へと変わり果てた

 

遠くには幾つもの山々が連なっており、土地その物を変えたアノンの技量に舌を巻いてしまう

 

「どう、驚いたかニャ?僕の力でここにいる全員を疑似空間に転送してみたニャ♪さっきの場所は狭かったからニャ~」

 

「一瞬でこれだけの規模の疑似空間を作っただと?相当な使い手じゃないと出来ない芸当だぞ……ッ」

 

「とにかく、セラフォルー様を放しなさいッ!」

 

リアスが指を突きつけながらセラフォルーの拘束を解くよう言うが、アノンは「や~なこった、パンナコッタだニャ~♪」と舌を出して拒否する

 

ふざけた態度にリアスだけじゃなく、その場にいた全員が怒りの色を見せた

 

次にリーダー格のラース・フレイム・ドラグニルが手を広げて言う

 

「僕達リュオーガ族はそこにいる男―――竜崎総司とセラフォルー・レヴィアタン含めた四大魔王に封印されていたんだ。冷たく暗い砂の中でね。その鬱憤を晴らさない限り……僕達の気が治まる事は無い」

 

ラースが指を鳴らすとセラフォルーを捕らえているリングが反応し、彼女の体を締め上げる

 

苦痛に顔を歪めるセラフォルーにソーナが「お姉さまッ!」と叫ぶ

 

その一言を聞いたラースは眉根をピクッと動かし、ソーナに視線を移した

 

「ふぅん、そこのメガネを掛けたお嬢さんはセラフォルー・レヴィアタンの親族かな?……良い事を思い付いたよ」

 

「―――ッ!やめてっ!ソーナちゃんには手を出さないでっ!」

 

ラースの悪巧みを察知したのか、セラフォルーが珍しく声を荒らげる

 

しかし、相手は聞く耳すら持ってくれない……

 

「アノン。あの娘、セラフォルー・レヴィアタンの親族を狙え」

 

「OK~♪テジ・ナ~・ニャッ!」

 

アノンがステッキを振るった瞬間、ソーナの姿が消え―――ラースの近くに転送されてしまった

 

突然の転移に皆も驚愕し、ラースが転送されてきたソーナの首を掴む

 

「あ……ッ、が……ッ!」

 

「やめてぇっ!ソーナちゃんを放してっ!あなた達の狙いは私でしょ!?ソーナちゃんはっ、リアスちゃん達は関係無いのっ!」

 

「悪いけど、そうはいかないよ。君は僕達を封印した奴らの1人。君に関わりのある者は―――1人残らず殺してあげる。ここで殺すだけじゃつまらないから、ゆっくりとお仲間を(なぶ)り殺しにするよ。―――僕達流の“おもてなし”でね」

 

ラースはソーナの首を締め、彼女を気絶させる

 

リュオーガ族の非道な行為と思考にリアス達は更に怒りを(たぎ)らせた

 

「セラフォルー様どころかソーナまで……ッ。許さないッ!消し飛びなさいッ!」

 

リアスは手元から膨大な質量の消滅魔力を解き放ち、他の皆も魔力の一斉攻撃を撃ち放った

 

幾重にも向かってくる魔力の群れに対し、ラースは右手を向けた

 

「―――『火竜の咆哮(デリート・プロミネンス)』」

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

ラースの右手から灼熱の火柱が放射され、リアス達が放った魔力を一瞬で相殺(そうさい)―――蒸発させた……

 

全員の一斉攻撃がたった1人の……たった一撃で全て掻き消されてしまった……

 

その実力に再び皆が戦慄し、ラースがフッと冷笑を浮かべる

 

「これが君達の実力かい?まるで話にならないな」

 

「うるせぇッ!会長とセラフォルー様を放しやがれェェェェェッ!」

 

怒号を上げながら突っ込んでいく匙、それに続くシトリー眷属と新、一誠、渉

 

その前に立ち塞がるのは―――

 

「ニトロ、ジュウゾウ、少し遊んであげなよ」

 

「おおっ!爆進帝王ッ!出撃だァァァァァァァッ!」

 

「つまみ食いには丁度えぇか」

 

バイクから飛び降りたニトロと地響きを鳴らしていくジュウゾウ

 

まずはニトロが匙の前に立ち塞がり、打ってこいと挑発する

 

「そこをどきやがれッ!」

 

「そんなにあの嬢ちゃんを助けたいか?(おとこ)なら拳で語りなベイベェ!」

 

「ああ、やってやるよ!オラァッ!」

 

匙は黒い炎を纏わせたパンチをニトロに放つが―――ガゴッと鈍い音が鳴り響き、匙の拳から血が噴き出す

 

苦痛に悶える匙を見てニトロがチッチッチッと指を振る

 

「拳の打ち方がなっちゃいねぇなぁ。拳ってのはこう打つんだよッ!(てっ)(けん)(せい)(さい)ィィィィィィィッ!」

 

グシャァッ!

 

ニトロの拳が匙の顔面に鋭く突き刺さり、遥か後方にまで吹っ飛ばす

 

その光景を見た新、一誠、渉は仇討ちとばかりに3人がかりでニトロを叩く

 

しかし、拳を打てど蹴りを放てど……逆に新達の方がダメージを受けてしまう

 

「……ッ!何なんだ、こいつの体の硬さは……!?まるで鉄でもぶん殴ってるみたいだ……ッ!」

 

「ヒャッハーッ!この俺の耐久力はリュオーガ族(いち)ッだ!堅牢鉄壁ッ!金剛無双ッ!何人(なんぴと)たりとも俺を止められやしねぇぜベイベェェェェェェェッ!」

 

ドドドドドドドドドドドドッ!

 

ニトロはすかさず高速で動き回り、新達に連続の打撃コンボを食らわせた

 

それぞれ三方向に吹っ飛ばされ、直ぐにアーシアとレイヴェルが駆け寄る

 

一方、シトリー眷属の相手を務めるのは灰色の異形―――長光重蔵(ナガミツ・ジュウゾウ)

 

竜頭を模した豪腕を振り回す度に地が(えぐ)られていく

 

「小賢しいんじゃあッ!」

 

ジュウゾウが豪腕を地面に突き刺すと―――そこから衝撃波が放たれ、シトリー眷属に向かっていく

 

更に頭部の角から雷撃を(ほとばし)らせ、二重攻撃でシトリー眷属を痛め付ける

 

圧倒的な力でねじ伏せたニトロとジュウゾウ

 

総司との戦いで疲弊しているとはいえ、たった2人で新達を返り討ちにしてしまった……

 

ラースが「そこまで」と言うと2人は元の場所に集まり、5人を照らす様に光が走る

 

「今のはほんの挨拶代わりさ。今度は僕達の本拠地で殺してあげるよ。今夜0時、南極に来なよ。そこに(そび)える城―――フローズンパレスに招待してあげよう。この2人を返して欲しいなら、そこで僕達のパーティーに出席するんだ。ただし、“今この場にいるメンバーのみ”で来るようにしてね。他に助っ人を連れてこようものなら―――」

 

ラースが右手を遠くの山々に向け、先程リアス達の一斉攻撃を相殺させた熱線を放射

 

一瞬の閃光が山の根元で走った刹那―――極大の爆発と火柱が山々を呑みこみ……跡形も無く消した

 

「彼女達があの山と同じ運命を辿る事になる。じゃあ、期待して待ってるよ。下等生物(あくま)の諸君」

 

冷笑を浮かべて言い終わった直後、空間全体が光で包み込まれ―――ラース達は消えた

 

先程まで花畑だった疑似空間も元のプールエリアに戻っている

 

突如現れた凶敵(きょうてき)リュオーガ族……

 

彼らに捕まったセラフォルーとソーナ……

 

更にリュオーガ族は四大魔王と総司に並々ならぬ因縁と恨みも持ち合わせている……

 

まだ判明出来ていない事象があるのに、一時(いっとき)も待ってくれない……

 

新達は四大魔王、総司、リュオーガ族の因果に巻き込まれてしまった……




遂に出ましたリュオーガ族!
もうこいつらは半端無い強さですよ。
後、新キャラ登場ごとに後書きでちょこっと詳細と言いますか、分かりやすい説明を加えることにしました。

まずはニトロ・グリーゼですが、イメージは星獣戦隊ギンガマンの銃頭サンバッシュ

長光重蔵はドラゴンオルフェノクがイメージとなっております。

後はイメージCVですね。私のイメージでつけさせてもらいますm(_ _)m

ラース・フレイム・ドラグニル…宮野真守

アノン・アムナエル…山口勝平

ニトロ・グリーゼ…檜山修之

ナガミツ・ジュウゾウ…岩崎征実

レモネード・フォールン…野中藍

こんな感じです!

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