ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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怒りが生み出した進化

「『騎士(ナイト)撃破(テイク)

 

 

 

空に浮かぶライザー眷属の『女王(クイーン)

 

 

 

新はそいつを見上げた

 

 

 

「あいつが……小猫の、朱乃さんの、祐斗の仇か……!」

 

 

 

「朱乃さんと木場をやったのもてめぇか!降りてこい!朱乃さんの!小猫ちゃんの!木場の仇を取ってやる!降りてきやがれぇぇぇぇっ!」

 

 

 

一誠が拳を向けて『女王(クイーン)』を挑発するが、相手はただ嘲笑するだけだった

 

 

 

その後に通信でアーシアから、リアスと共に敵本陣である新校舎の屋上に侵入し、ライザーと一騎討ちをしていると報告を受ける一誠

 

 

 

一方で、新は空にいるライザーの『女王(クイーン)』を睨みながら拳を震わせ、歯軋りをしていた

 

 

 

「グロギャァァァアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

 

獣や龍とは違う奇怪な咆哮を上げる新

 

 

 

その雄叫びに周りの木々は折れ、大地に亀裂が入る

 

 

 

一誠のとは比べ物にならない怒り

 

 

 

仲間を含む全員を戦慄させた

 

 

 

「あ、新……?」

 

 

 

咆哮が止み、新は一度下を向いてから再び敵の『女王(クイーン)』を見上げる

 

 

 

「一誠。ここは俺に殺らせてくれないか?あの『女王(クイーン)』だけは許さねぇ。戦略とはいえ、平気で仲間を捨て駒みたいに扱いやがるあいつを……小猫に朱乃、祐斗を殺りやがったあいつを……。お前はリアスとアーシアの所へ行け」

 

 

 

「新!俺だってあいつを許せねぇんだ!ここは2人で――――――」

 

 

 

「無駄に戦力を減らす気か?向こうは正攻法で戦う気なんざ全く無かったんだよ。だったら、こっちも一騎討ちなんてブチ壊してやれ。『(キング)』を倒せばゲーム終了だ……リアスと共に、クソフェニックスをブッ殺してやれ!」

 

 

 

「言ってる事は外道に近いが……分かった!必ずお前も来いよ!あの『女王(クイーン)』をブッ倒してな!」

 

 

 

一誠は主であるリアスのもとへ駆け出していく

 

 

 

ユーベルーナが行かせまいと一誠を攻撃しようとするが、新の放った魔力弾に阻まれる

 

 

 

すぐに新の足場を爆発させるが、新は既に横へ回避していた

 

 

 

「爆発系の魔法か。しかも、かなり強力だな」

 

 

 

「その通り。私は気に入らんが『爆弾王妃(ボム・クイーン)』と呼ばれている」

 

 

 

「『爆弾王妃(ボム・クイーン)』……そらぁ大層な名前だ」

 

 

 

新の右手に螺旋状の魔力が集まる

 

 

 

「俺が爆発させられるか、あんたが爆発させられるか……勝負だ!」

 

 

 

新は勢い良く空へ飛び上がる

 

 

 

ユーベルーナは爆発の魔法を撃ってくるが、新は空中で方向転換して回避しながら接近していく

 

 

 

螺旋状の魔力を纏わせた右手を突き出す

 

 

 

ユーベルーナはギリギリでかわすものの、螺旋状の魔力の渦で下の服が破かれる

 

 

 

「……ッ!っ!?服が!」

 

 

 

「隠してる暇はねぇぞ!」

 

 

 

新は勢いを利用して、回し蹴りをユーベルーナの腹に入れる

 

 

 

鎧の足で蹴られて大ダメージを受けるユーベルーナ

 

 

 

「カハっ……!」

 

 

 

「まだまだぁ!」

 

 

 

新は右足を振り上げ、カカト落としを相手の腹に決める

 

 

 

ユーベルーナは隕石の様な勢いで地面に落下した

 

 

 

「ゴホッ、ゴホッ!おのれ……!――――っ!?」

 

 

 

ユーベルーナが空を見上げると、新の姿は何処にもいない

 

 

 

新は既に地上に降り立ち、ユーベルーナの真正面に立っていた

 

 

 

「ハァッ!」

 

 

 

ドゴッ!新の魔力を込めた右拳がユーベルーナの腹に食い込む

 

 

 

ユーベルーナに攻撃の隙を与えず、拳打を与えていく

 

 

 

一切の妥協もせず……

 

 

 

「おぉぉぉぉおおらぁぁぁぁあああっ!」

 

 

 

「グハッ!」

 

 

 

新の渾身の一撃でユーベルーナは地面を転がりながら吹っ飛ぶ

 

 

 

「ぐっ……!私はライザー様の『女王(クイーン)』……!こんな『兵士(ポーン)』相手に、負ける事など許されない!私の魔法で砕けろぉっ!」

 

 

 

ドゴォォォォンッ!

 

 

 

巨大な爆発、いなくなった敵、ユーベルーナは勝ち誇った表情をした

 

 

 

「正常な判断が出来なくなったら終わりだぜ?『爆弾王妃(ボム・クイーン)』さんよぉ」

 

 

 

ドムッ!

 

 

 

新は巨大な爆発から回避し、ユーベルーナの真後ろにいた

 

 

 

そして、拳が『爆弾王妃(ボム・クイーン)』の背中にめり込む

 

 

 

「カッ……い、いつの間に……!?」

 

 

 

「シメェだ―――――――ブッ飛べ」

 

 

 

ギュォォオオオオオオッ!

 

 

 

拳に力を入れると、魔力の衝撃波がユーベルーナを通り過ぎる様に放出される

 

 

 

「きゃぁぁぁあああっ!」

 

 

 

完全に油断していたユーベルーナは、裸のまま地に伏せる

 

 

 

本来なら、新は裸のユーベルーナに猥褻行為をする筈だが、今回はしない……いや、してる暇が無いほどキレていた

 

 

 

「小猫の無念、朱乃さんの無念、祐斗の無念。その全てをまとめてぶつけてやった。もう立てない筈だ」

 

 

 

傷だらけの状態で憎々しげに新を睨むユーベルーナ

 

 

 

そこへレイヴェル・フェニックスがユーベルーナに近づき、何かを飲ませた

 

 

 

すると―――――――ユーベルーナの傷が綺麗サッパリ消え、立ち上がった

 

 

 

「まさかユーベルーナをここまで追い込むとは予想外でしたわ……でも、結局あなた方の負けになりますわ」

 

 

 

「……今そいつに何をした?」

 

 

 

「フェニックスの涙。聞いた事あります?」

 

 

 

フェニックスの涙とはフェニックス家に伝わる秘薬

 

 

 

使用すれば如何なる傷も、体力も回復するアイテムである

 

 

 

それを聞いて、新はすぐに理解出来た

 

 

 

「朱乃さんを倒せたのは、そのフェニックスの涙を使ったからか」

 

 

 

「そうですわ。卑怯と仰らないで下さるかしら?そちらだって、『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』を持つ者がいるでしょう?それにちゃんとルールにも記載されてますわ。『フェニックスの涙はゲームに参加する悪魔二名までしか所持できない』――――――と。あまりに強力なので規制されてしまいましたけどね。それに私達の一族の涙は高値で取り引きされますのよ。おかげでフェニックス家の財政はとっても潤ってますわ。そして今、あなた方が相手をしてるのは『不死鳥』。どんなに絶対の力を持っていても不死身が相手ではどうしようもありませんわ。不死身と涙、私達の自慢でしてよ」

 

 

 

ペチャクチャと自慢気に話すレイヴェル・フェニックス

 

 

 

最初からリアス陣営に勝ち目など無いと言ってやったつもりだろうが―――――新は不気味に笑っていた

 

 

 

「クックックックック……。不死身かぁ……そいつぁ良いねぇ。だが、それがどうした?何度でもブチ殺せば良いだけの話だ。何か今の俺なら――――――それぐらい余裕で出来そうだ」

 

 

 

ゴォォォオオオオオッ!

 

 

 

新の全身から放出される赤と黒の魔力が混ざり合う

 

 

 

混ざり合った魔力が新を――――――闇皇を変えていく……

 

 

 

両肩、両腕、両足に鋭い爪の様な刃物が生え、更に異形さを増した

 

 

 

「な、何なんですの……!?何で、あの殿方は魔力も体力も尽きないんですの……!?それにあの姿は……!?」

 

 

 

「レイヴェル様!下がってください!我が全魔力をもって、あの男を打ち砕きます!」

 

 

 

レイヴェルが炎の翼を広げ空へ舞うと、ユーベルーナが全力の爆発魔法を新に向かって放つ

 

 

 

巨大な爆発の渦が、異形さを増した新を飲み込もうとした

 

 

 

カコッ……ギュォォオオオオオオッ……!

 

 

 

「っ!?わ、私の爆発を……喰らってる……!?バカな!この男は化け物か……!?」

 

 

 

なんと新は爆発の渦をいとも簡単に、口から吸収している

 

 

 

爆発の渦は小さくなっていった挙げ句、完全に新の口の中へ……

 

 

 

静寂に包まれる空気……

 

 

 

新の口が動き――――――

 

 

 

ギュバァァァァアアアアアアアアアッ!

 

 

 

巨大な赤い閃光を発射した

 

 

 

そしてユーベルーナは何も出来ずに消え去っていく

 

 

 

『ライザー・フェニックスさまの「女王(クイーン)」一名、リタイヤ』

 

 

 

リタイヤ報告が流れる中、レイヴェルも……裸にされたライザー眷属全員も恐怖した

 

 

 

「き、危険過ぎます……!あの殿方は……!お、お兄さまの所へ行かなければ――――――」

 

 

ギュゥゥゥンッ!ガシッ!

 

 

 

レイヴェルの体を、先端の尖った触手が拘束する

 

 

 

触手は新の腕から伸びていた

 

 

 

捕縛したレイヴェルを力任せに引っ張る新

 

 

 

「きゃあっ!」

 

 

 

レイヴェルは新のすぐ前に落ち、眼前の闇皇(バケモノ)が不気味な呼吸をしながら凝視してくる

 

 

 

「ひっ!た、助けて……!誰か、誰か助けて!」

 

 

 

レイヴェルは残った眷属に助けを求めるが効果なし

 

 

 

眷属達も今の新―――――異形の化け物に恐怖していたから

 

 

 

化け物となった闇皇はレイヴェルの腕と足を触手で縛り動けないようにする

 

 

 

更にドレスに手をかけ、強引に破り捨てる

 

 

 

上下の下着も破り、レイヴェルは裸にされた

 

 

 

「い、いや……!やめてください……こんなの……嫌です……!」

 

 

 

泣きじゃくるレイヴェル

 

 

 

だが、その声は化け物と化した新には届かないだろう……

 

 

 

化け物は唾液をレイヴェルの乳房に垂らす

 

 

 

ゆっくりと垂れる唾液は乳房を伝って地に流れていく

 

 

 

そして……化け物の舌がレイヴェルの乳房を味わう

 

 

 

犯される……レイヴェルは逃げる事も出来ず、ただ恐怖に怯え、泣くしか出来なかった

 

 

 

「う……ウゥゥッ……」

 

 

 

化け物から呻き声が出てくると、レイヴェルを拘束していた触手と全身から隆起していた爪が消えていく

 

 

 

元の闇皇―――――新の姿に戻った

 

 

 

「……っ?い、今……何があった?『女王(クイーン)』を倒そうと思ったら、いきなり目の前が真っ暗になって……って、何で乳首が目の前に?」

 

 

 

新はちゃんと乳房に反応した

 

 

 

どうやら本当に元に戻った様だ

 

 

 

「あ、あなた……何も覚えてないんですの……?」

 

 

 

「いや、一誠に必ず屋上へ来いって言われて。お前んとこの『女王(クイーン)』をボコボコにして、フェニックスの涙の説明を聞いたトコまでは覚えてるが……お前いつの間に裸になったんだ?」

 

 

 

新の言葉に顔を赤くしたレイヴェルはすぐに隠そうとするが、手が震え過ぎて動かない

 

 

 

手だけでなく、足も……

 

 

 

「か、体が……動きませんわ……せ、責任……取ってくださいまし……」

 

 

 

「ん~、そう言われてもな。もうお前らは全員戦えないみたいだし。悪いけど、新校舎の屋上へ行かせてもらうわ」

 

 

 

「ちょ、ちょっと!裸の私をこのままにするおつもりですか!?」

 

 

 

「今はお前らよりも、一誠とリアスの所に行かなきゃなんねぇんだよ。どうしても相手して欲しいなら、ベッドの上で頼んでくれや。じゃっ」

 

 

 

新は一誠とリアスがいる新校舎の屋上へ走っていった

 

 

 

自分の身に何が起こっていたのか分からないが、今は一誠達のもとへと急いだ

 

 

 

 

「あの殿方……最低ですわ……」


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