ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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女の子を泣かすのは最大の罪だ!

青白い閃光がドーム状の結界を照らしてから(しばら)く経った後、祐希那の禁手(バランス・ブレイカー)が披露される

 

視点によって異なる色の輝きを見せる軽鎧(ライト・アーマー)が腕、足、胸などを覆い、頬や頭部を保護する兜も形成されていく

 

まるで神話に出てくる戦乙女(ヴァルキリー)の如き神々(こうごう)しい様相だった

 

外に弾き出された新達、果ては敵であるオッパイジャーの3人も感服してしまう程に……

 

「これが私の禁手(バランス・ブレイカー)―――『極光に凍える戦姫(アウローラ・ヴァナディース・ドレッサー)』よッ!―――アンタ達、覚悟は出来てんでしょうね!?」

 

戦姫と化した祐希那の全身から氷のオーラが滲み出てくる

 

禁手(バランス・ブレイカー)のオーラで牽制を掛けるつもりだったのだが……オッパイジャーの3人は逆に打ち震えていた

 

「……素晴らしい。素晴らしい程に綺麗で強いオーラを感じるぞ。女の子でここまで強いオーラを放つ者などいなかった」

 

「最近の女の子は直ぐにヘタレ込んでしまうからね。こう言うお嬢さんと戦える日が来るのを楽しみにしていたのだよ!」

 

「強い女を仕留める事も我々のレベルアップに繋がる。良い機会だ。……で、誰がやる?」

 

「当然、俺だ。後のフェニックス眷属はお前らがジャンケンで決めろ」

 

コジュウロウがそう言うと―――リョウマとノブナガは「ズルいぞ!」と猛反論

 

仕方無いのでコジュウロウもジャンケンする事に……

 

「じゃあ1番最初に勝った者が氷姫(こおりひめ)、残った2人が他のフェニックス眷属―――それで良いな?」

 

「よぉし、では始めよう!」

 

「「「ジャンケンポンッ!あいこでしょっ!あいこでしょっ!あいこでしょっ!あいこでしょっ!あいこでしょっ!」」」

 

オッパイジャー3人はこの緊迫した状況下でジャンケンを始めた……

 

油断ならないのか能天気なのか分からないチームに開いた口が塞がらない面々……

 

ジャンケンは(しばら)く続き……勝敗が決定する

 

「やったーッ!ワタシが氷姫(こおりひめ)だーッ!」

 

勝ったのはオッパイジャー・2号のリョウマ

 

負けたコジュウロウとノブナガは残ったライザー眷属を相手にする

 

「さ~て、氷姫(こおりひめ)のお嬢さん。ワタシが相手だよ。何ならフェニックス眷属のお嬢さん方と共闘しても構わないよ?」

 

「アンタ1人で私と戦うって訳?バカにしてんの?」

 

「いやいや、寧ろこれぐらいの方がスリリングだと思ってね」

 

飄々とした態度に怒りを見せる祐希那

 

1歩前に出ようとしたその時……ライザー眷属の『戦車(ルーク)』―――イザベラと雪蘭(シュエラン)も出てくる

 

「私も手伝おう」

 

「加勢するわ」

 

「そう?ありがと。悪いけどこんな変態集団、さっさと終わらせるわ」

 

「ほう、『戦車(ルーク)』のお嬢さん方も参戦かい?良いよ良いよ~。どんどん加勢してくれたまえ」

 

リョウマは3対1の勝負を嬉々として受け入れるようだ

 

それと同時にカーラマイン、シーリスの『騎士(ナイト)』コンビはコジュウロウ、『女王(クイーン)』ユーベルーナと『僧侶(ビショップ)美南風(みはえ)はノブナガと対峙する

 

緊迫した空気が渦巻く中、リョウマは呑気に準備体操で体をほぐし―――

 

「オッパイジャァァァァァァァ、にっ号!迫撃のォォォォォォ―――リョウマッ!行きまーすッ!」

 

片足立ちで何処かへ飛び立つかの様なポージングを決めた……

 

そのふざけた言動がよほど(かん)(さわ)ったのか、祐希那はコメカミに青筋を浮かべる

 

「……ソッコーで潰すっ!」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!

 

祐希那は全身から青いオーラを(ほとばし)らせ始めた

 

結界内の空気が震撼した刹那―――祐希那は地を蹴って飛び出し、リョウマの顔面に氷で覆われた拳を打ち込んだ

 

リョウマの体が宙に浮き、祐希那は追撃とばかりに両手を合わせて打ち下ろす

 

地面に叩きつけたリョウマの腹に膝落としを決め、背中を蹴り飛ばす

 

「そこの2人!ボーッとしないっ!」

 

祐希那の指摘にイザベラと雪蘭(シュエラン)もハッと我に返り、飛んできたリョウマに拳打や蹴りの乱舞を入れていく

 

2人の同時攻撃で浮かび上がったリョウマの頭上に巨大な氷山が出現する

 

祐希那の両手が青白く輝き、氷山がリョウマを押し潰す様に落下した

 

「まだまだぁっ!はぁぁぁぁあああああああああっ!」

 

更に上空から幾重もの氷柱(つらら)が降り注いでいく

 

息も尽かさぬ連続攻撃……

 

粉塵と氷の破片がリョウマのいた場所に舞い、祐希那は肩で大きく息をする

 

結界の外で一部始終を見ていた一誠は祐希那の禁手(バランス・ブレイカー)の威力に身震いした

 

「……こ、怖いな。あの禁手(バランス・ブレイカー)……」

 

「渉、お前もこれから大変そうだな」

 

「そうでしょうか?それにあの禁手(バランス・ブレイカー)は僕や新さん、一誠さんの鎧を基に発現させたらしいですよ?」

 

「そ、そうなんだ……。でも、これ以上無いくらい頼りになるな。一瞬で倒しちまったもん」

 

一誠が安堵する中、結界内の祐希那も額の汗を(ぬぐ)い、フンッと鼻を鳴らす

 

「まず1人終了!次はアンタ達よ!変態ども!」

 

コジュウロウとノブナガに指を突きつける祐希那―――だが……当の2人は肩を(すく)めるだけだった

 

「まさか、あれだけの攻撃で倒せたと思っているのか?」

 

「おめでたい女だ」

 

「はぁ?何余裕かまして―――」

 

バコォォォンッ!

 

祐希那が言い終わる寸前に発生した破砕音

 

その方向へ顔を向けてみると―――氷山を木っ端微塵に破壊したリョウマの姿があった……

 

「はぁい、お嬢さん♪」

 

「……っ!?」

 

祐希那だけでなく他の面々も絶句する

 

あれだけの攻撃を受けたにもかかわらず、リョウマは殆どダメージを受けていない……

 

多少の(へこ)みや傷が目立つ程度だった……

 

「ウォーミングアップはそこまでかな?なかなか良い動きをしていたよ。では、こちらも反撃させてにもらおうかな!」

 

屈伸やストレッチをするリョウマに対し、祐希那は攻撃体勢を固める

 

だが……

 

「サァァァイクロォォォォォォン―――キィックッ!」

 

ドンッッ!!

 

爆発でも起こすかの如く地を蹴って飛び出したリョウマ

 

その速度は(またた)く間に祐希那との距離を詰める程で、祐希那も反応すら出来なかった……

 

気付いた時には―――リョウマの膝蹴りで吹き飛ばされていた

 

「―――っ!?」

 

近くの岩に体を打ち付けられる祐希那

 

禁手(バランス・ブレイカー)の鎧には亀裂が生じていた……

 

全身を(むしば)む蹴りの衝撃のせいで口から血が飛び出す

 

「―――祐希那ッ!」

 

「あいつ……なんて速さだよ……!?」

 

「どうやら口先だけじゃなさそうだな……」

 

完全に見くびっていただけに歯軋りをする新

 

その間にもイザベラと雪蘭(シュエラン)が飛び出し、リョウマに攻撃を仕掛けていく

 

彼女達は拳や蹴りの乱舞を繰り出すが、リョウマは次々と攻撃を防ぐ

 

硬い鎧に覆われた腕や足が次第にイザベラと雪蘭(シュエラン)の動きを鈍らせる

 

「ハッハッハッハッ!良いね良いねえ、君達!まだまだ元気いっぱいじゃないか!しかぁし!」

 

リョウマの拳にオーラが集まっていく

 

再びあの技を繰り出すつもりだろう

 

イザベラと雪蘭(シュエラン)は身の危険を察知して退避しようとするが……リョウマの並外れたスピードに追いつかれ―――

 

「おっぱい解放!『洋服破拳(ドレス・ナックル)』ゥッ!」

 

ドンッッ!

 

バババッ!

 

リョウマの『洋服破拳(ドレス・ナックル)』が見事に決まり、イザベラと雪蘭(シュエラン)の衣服が全て消し飛んだ

 

プルプルと揺れる彼女達のおっぱい

 

雪蘭(シュエラン)は羞恥に耐えきれず顔を赤らめ、イザベラも下の大事な部分を手で隠す

 

「いやぁっ!」

 

「く……っ!」

 

「ん~、良いおっぱいだねえ♪サァァァイクロォォォォォォン・エルボォォォオオオオッ!」

 

リョウマは強烈な肘打ちでイザベラと雪蘭(シュエラン)を吹っ飛ばし、地面に叩きつける

 

倒れ伏す彼女達に迫るリョウマ

 

そこへ復活した祐希那がリョウマの周囲に氷柱を出現させて取り囲む

 

「舐めんじゃないわよッ!」

 

手を振り下ろすと同時に氷柱の群れが四方八方からリョウマに降り注いでいく

 

しかし、リョウマはその場で体を丸めて高速回転を始める

 

まるで円盤の様な体勢になったリョウマは飛来してくる氷柱を全て弾き返していった

 

氷柱を全て破壊した直後、祐希那の方へ猛然と突進

 

激突と同時に祐希那を捕まえ、空高く飛び上がる

 

「離しなさいよ!この変態!」

 

「氷姫のお嬢さんはトンだじゃじゃ馬みたいだね。でも、ワタシはそう言うのも好きだよ。サァァァイクロォォォォォォン・ドライバァァァァアアアッ!」

 

リョウマはその体勢のまま後方に回転し、加速しながら地面へ落下していく

 

一瞬で地面に激突……砂煙を大量に巻き上げた

 

晴れた砂煙の中から見えたのは―――投げ終えた体勢のリョウマと頭から地面に突き刺さり、上半身が完全に埋もれた祐希那だった……

 

あまりにも凄惨な光景にレイヴェルは思わず目を(そむ)ける

 

「どうやら勝負は着いたようだな。ならば、こちらも手早く終わらせるとしよう」

 

「ああ。あの女はこれ以上戦えまい」

 

付近で残りのライザー眷属と戦っていたコジュウロウとノブナガも必殺技の体勢に入り―――発動

 

コジュウロウの剣戟波(けんげきは)―――『洋服斬壊(ドレス・スラッシュ)』がカーラマインとシーリスの鎧と衣服を粉々に刻み、ノブナガ『洋服消弾(ドレス・トリガー)』がユーベルーナと美南風(みはえ)の衣服を消滅させる……

 

あっという間に裸にされた彼女達も行動不能となり、その場にへたり込む

 

「ふむふむ、あの娘達も良いおっぱいをしている。さて……氷姫のお嬢さんは―――」

 

リョウマは祐希那の足を掴んで地面から引っ張り出す

 

祐希那の体は既にボロボロ……

 

全身が血と傷にまみれ、呼吸も弱まっていた

 

「おやおや、大丈夫かい?もしかして気絶しちゃったのかな?よし、ワタシが心臓マッサージをしてあげよう♪」

 

そんな事を言いつつ祐希那の胸に手を伸ばそうとするリョウマ

 

その刹那―――祐希那が目を覚ました

 

「触んなぁっ!」

 

「ホゲェッ!?」

 

危機感から目覚めた祐希那の不意打ち

 

手から出した氷の塊をリョウマの顔面にぶつけ、更に爆発させた

 

その勢いでリョウマは後方に吹き飛び、祐希那も解放される

 

だが、ダメージは深刻なもので……もう殆ど避ける気力など残されていない

 

その上……吹き飛ばされて倒れたリョウマが飛び起き、ズダンっと着地

 

兜が多少損壊しただけで決定的なダメージには至ってなかった

 

祐希那の表情から絶望の色が見え始める……

 

「嘘、でしょ……!?顔面に、まともにくらわせたのに……!?」

 

「フッフッフッ、良いね良いねえ♪そう来なくちゃ♪」

 

「リョウマ、お前は本当に嫌な性格をしているな。しつこ過ぎる」

 

コジュウロウからの指摘にリョウマは「いや~、それ程でも♪」と剽軽(ひょうきん)に返す

 

祐希那は自分が赤ん坊扱いされている事に腹を立てるが……実力差のせいで反論する気力すら湧かない

 

“このままでは本当にまずい……”

 

そう思っていても体が言う事を聞いてくれない

 

リョウマは肩を回し、またポーズを決めて言う

 

「お乳を頂戴―――とおっ!」

 

珍妙なポーズを決めてから「さあ、これでフィニッシュだ!」と叫んで技の体勢に入る

 

兜の口元が開き、その中に膨大なオーラが集束していく

 

どうやらレーザーの様な砲撃を出すつもりだ

 

祐希那も危険だと分かっていても、体が動かない事に焦りを隠せなかった

 

その間にもチャージが完了したリョウマは技名を叫ぶ

 

「サァァァイクロォォォォォォン・ブラストォッ!」

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

リョウマは口から極太のレーザーを放射

 

レーザーは真っ直ぐ祐希那の方へ飛んでいく

 

諦めかけたその時……祐希那を救出する人影と―――リョウマの頭上にもう1つ人影が現れた

 

1人は祐希那を抱えてレーザーを回避したイザベラ

 

もう1人はリョウマの脳天に炎の蹴りをくらわせた雪蘭(シュエラン)

 

真上から攻撃されたショックで口が閉ざされ、リョウマは遮断させられたレーザーの暴発を受けて倒れる

 

それでも先に照射したレーザーは結界を突き破り、空の彼方へと消えていく

 

突然の救出劇に祐希那はイザベラに詰め寄った

 

「ちょっとアンタら……私を助けたの……?そんな格好で……!?恥ずかしくないの!?あんな変態どもに見られて―――」

 

「勿論、恥ずかしいさ。だが……今だけは恥を捨てなければどうにも出来ないと思ったんでね」

 

「何その(いさぎよ)さ……」

 

「いつまでも恥ずかしがってたら相手の思う壺よ。それに……まだ倒せていないんだから……」

 

憎々しげにリョウマを睨む雪蘭(シュエラン)

 

そう、リョウマはまだ完全に倒れていなかった……

 

マスクから煙を吐き出し、(すす)を振り払う

 

「ブヘッ……今の不意打ちはなかなか良かったよ♪真上からまともにくらったので口が閉じてしまった。お陰でマスクが真っ黒焦げ」

 

「……本当にこいつらしつこいわね。だんだん嫌になってきたわ……」

 

「それが我々オッパイジャーの強みだ」

 

リョウマの右隣にコジュウロウが並び、逆サイドにノブナガが並び立つ

 

「苦戦してるようだな、リョウマ?」

 

「おぉっと、手出しは無用だよ、お二人さん。彼女達はワタシの相手だからね」

 

「元よりそのつもりだ。……しかし、フェニックス眷属の女の子がこれ程強いのは想定外だ。大抵の女の子ならおっぱい丸出しの時点で戦意を(うしな)うと言うのに……見事だ。それに引き換え―――」

 

コジュウロウはイザベラと雪蘭(シュエラン)の勇姿を賞賛した後、未だにレイヴェルの後ろで震えているライザーに視線を移す

 

「ライザー・フェニックスは情けない限りだ。自分の眷属が戦っていると言うのにその(てい)たらく。不死身の不死鳥フェニックスが聞いて呆れる」

 

「不死身の不死鳥から“不”を省いて『死身(しみ)死鳥(しちょう)』とでも改名しておけ」

 

コジュウロウとノブナガがライザーに野次(やじ)を飛ばす

 

侮蔑と嘲笑の意を込めた野次にレイヴェルはキッと2人を睨み付ける

 

「兄を……お兄さまを侮辱する事は許しませんわよ!今のお兄さまは確かに情けないですわ。負けたショックで半年以上も塞ぎ込んで、ドラゴンと闇人(やみびと)を怖がって……。それでも―――嫌々ながらも克服しようと励んでいますわ!そんなお兄さまをバカにしないでくださいっ!」

 

「レ、レイヴェル……」

 

「ほう。そこまで言うなら……お前自身はどうだ?」

 

コジュウロウは手にした日本刀にオーラを流し、それを斜めに振り上げて剣戟波(けんげきは)―――『洋服斬壊(ドレス・スラッシュ)』を放つ

 

剣戟波(けんげきは)がレイヴェルを通過した刹那―――レイヴェルの衣服が下着ごと消し飛んだ

 

プルンとしたおっぱいが揺れる

 

「え……っ?……いやぁっ!」

 

レイヴェルは裸にされた事に気付くと悲鳴を上げて胸元を隠す

 

その様子を見たコジュウロウは冷淡に吐き捨てた

 

「それが答えだ。裸にすれば何も言えなくなる生娘(きむすめ)同然。どれだけ気丈に振る舞おうが強く出ようが、一手で弱さをさらけ出す。おとなしくした方がまだ可愛いげがあるものを―――出る杭は打たれると言うヤツだ」

 

更なる精神的な追い打ち……自身の檄を無駄に過ぎないと(くつがえ)されたレイヴェルは悔しさのあまり涙を浮かべる

 

コジュウロウの差別的な言動に怒りを(あらわ)にする祐希那

 

許せないとばかりに突貫しようとしたその時……後方よりとてつもない衝撃音が聞こえてきた

 

天地を揺るがす程の衝撃に全員の視線がそちらに移る

 

見てみると―――新が結界に拳を叩きつけ、亀裂を生じさせていた……

 

「バカな……っ。我々の結界にヒビを……?何故だ!?我々の力の全てを集めて作った結界が―――」

 

「おい、テメェら。今レイヴェルを泣かしたな?」

 

ドスを利かせた声音で問う新

 

コジュウロウが「それがどうした?」と返した途端―――新は拳の勢いを上げ、亀裂を更に広げていく

 

明らかに怒っている新の気迫にオッパイジャーだけでなく、一誠も祐希那もビビり始めた

 

「テメェらは男に於いて絶対にやっちゃいけねぇ事をやった」

 

「女の子を裸にする事か?それはお門違いだな。我々の必殺技は赤龍帝(せきりゅうてい)闇皇(やみおう)の戦いを基に具現化させた物だ。それをとやかく言われる筋合いなど―――」

 

「そうじゃねぇ。女を裸にするってのは確かにバカバカしい考えだと思われるが、それは男なら誰もが見る夢だ。俺だって他人の事は言えねぇ。……だが、俺が言いたいのはそう言う事じゃねぇ」

 

新の拳の威力が更に上がり、ドーム状の結界全体にまでヒビが広がっていく

 

「今テメェらはレイヴェルを―――女を泣かした」

 

「……?まさか、そんな事で我々の結界を破壊する程の力を……!?」

 

「男に於いて最も罪深いものは女を泣かす事だ!レイヴェルのひた向きな思いを傷付け、踏みにじったのが―――許せねぇだけだァッッ!」

 

バリィィンッ!

 

最後の一押しが結界を粉砕し、(はかな)く散った結界は粒子となって消え去る……

 

その光景にオッパイジャー3人は絶句、祐希那は思わず「……凄い……」と小さく呟き、レイヴェルは新の言葉に感極まっていた

 

「バ、バカな……!我々の結界が……!?」

 

驚くオッパイジャー3人を他所に新は闇皇(やみおう)に変異、渉も光帝(こうてい)と化し、一誠も禁手化(バランス・ブレイク)して『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』を纏う

 

「一誠、渉、一瞬で決めるぞ。俺は赤マフラーをやる。良いな?」

 

「おう!あいつらがおっぱい好きなのは良いが―――女の子を泣かしたのは男として許しちゃおけないよなッ!」

 

「じゃあ僕は青いマフラーのヒトを倒します。一誠さんは黄色いマフラーのヒトをお願いしますね」

 

相手を決めた新達はそれぞれ分かれて歩んでいく

 

新はコジュウロウ、渉はリョウマ、一誠はノブナガと対峙する

 

「フ……フフッ、慌てる事は無い。我々には常におっぱいへの渇望と言う力があるのだ。たとえ君達が強くとも、ワタシのストロングなボディの前には効かないッ!」

 

「では、試してみましょうか?」

 

先陣を切ろうとしたリョウマだが、渉は高速移動で距離を詰め―――光り輝くオーラを集めた拳をリョウマの腹に思いっきり打ち込んだ

 

打突と共に衝撃が体を突き抜け、リョウマの体がくの字に曲がる

 

言葉どころか息すら出来ないような一撃……

 

筆舌に尽くし(がた)い攻撃をくらったリョウマはピクピクと震え―――そのまま地に倒れ伏す

 

「な……っ!?リョウマを一撃で……!?」

 

「こんな事が……奴らの力は想像以上だと言うのか……!?」

 

あっという間にリョウマをKOされ、戦慄するコジュウロウとノブナガ

 

新が指を突きつけて言う

 

「俺達の前で女を泣かしたのが運の尽きだったよ。覚悟しとけ」

 

「ぐ……っ!むざむざとやられる俺達ではないッ!」

 

ノブナガは銃剣から無数の銃弾を放ち、更に周囲にも銃の形をしたオーラを幾重にも形成して撃ちまくる

 

一誠は両腕をクロスしてガードを固めたまま、背中のブーストを噴かせて前進

 

無尽蔵に降り注ぐ銃弾をものともしない

 

「俺の銃弾を弾き返しているだとッ!?」

 

「ブッ飛べェェェェッ!」

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)!!!!』

 

ドゴオォォォンッ!

 

一誠は威力を倍増させた拳をノブナガに打ち込む

 

ノブナガは咄嗟に銃剣を前に出して威力を緩和させようとするが……一誠の拳打はそれを無視してノブナガを後方に大きく吹き飛ばす

 

ノブナガは遠くの岩に激突し、崩れた岩の下敷きとなった

 

「ノブナガも一撃で……っ!?何なんだ、このパワーは……!?」

 

「さあ、覚悟は良いか?」

 

新は籠手から闇皇剣(やみおうけん)を取り出し、バチバチとオーラを(ほとばし)らせる

 

必殺剣技(クロス・バースト)の構えだ

 

それに対し、コジュウロウも自身の日本刀にオーラを集束させる

 

「負けてたまるか……!我々オッパイジャーが負ける訳にはいかん!男の希望を!夢を背負って戦わなければならないんだッ!」

 

「なら……その夢と希望を見つめ直してこい。泣かした女のおっぱいを見ても―――ただ(むな)しいだけだからな」

 

コジュウロウが日本刀を振るって強烈な剣戟波(けんげきは)を飛ばす

 

同時に新もクロス・バーストを解き放った

 

新の必殺剣技が向かってくる剣戟波(けんげきは)を飲み込み、そのままコジュウロウを巻き込む

 

「こ、これが……おっぱいドラゴンと蝙蝠皇帝……っ。我々はまだ足元にすら及んでなかったのか……っ」

 

激しい爆音と共にコジュウロウは後方の湖に転落、水没していった

 

 

―――――――――――

 

 

それから数日、オッパイジャーを撃退した新達は修行を再開

 

ライザーもドラゴンと闇人(やみびと)に対する恐怖心を克服しつつ、何とか修行メニューを終える事が出来た

 

そして迎えた修行最終日

 

新達は寝床となる洞窟を抜け出し、ある場所に向かっていた

 

「ぐふふっ。今頃部長達も来て温泉に入ってる筈だ。新、お前って本当に良い奴だな。わざわざ温泉の場所を教えてくれるなんて」

 

「今まで禁欲してばかりだったから、これぐらいは良いだろ。リアス達に連絡を寄越しといて正解だったぜ」

 

「ああ。……でも、渉まで参加してくれるとは意外だな」

 

「いや、僕もついていった方が良いのかなぁって。それにライザーさんは連れていかなくて良かったんですか?」

 

渉がそう訊くと新は前方を睨む

 

「あいつの事だ、恐らくは―――やはりな。先に抜け出してやがった」

 

「何っ!?」と声を荒らげる一誠

 

新の言う通り、視線の先には炎の翼を羽ばたかせて飛ぶライザーの姿が―――否、ライザーだけではない……

 

なんと撃退した筈のオッパイジャー3人までライザーと同行していたのだ

 

予想外の展開に新も驚き、急いで向かうとライザー達が接近に気付く

 

「チッ!バレたか!」

 

「あっ!その物言い!やっぱり温泉を覗く気か!」

 

「覗いて何が悪い!温泉に入る女がいるなら、それを覗くのが男だ!」

 

「それが貴族のする事かぁぁぁああっ!しかも、何でそいつらと一緒にいるんだよ!?」

 

一誠がオッパイジャーに指を差して問い詰めると、オッパイジャーはこう答えた

 

「「「おっぱいへの探求心が、この男を同志と認めたのだ!」」」

 

つまり、完全に利害の一致でライザーと同盟を結んだらしい

 

「それに我々も覗きたいのだ。おっぱいがあるから」

 

「体を痛めて来た甲斐があったよ」

 

「早く行かねば女達が温泉から出てしまうぞ」

 

「俺だってリアスの乳を見たいんだ!貴様らだけが堪能するだなんて許されない事なんだよ!」

 

ライザーもオッパイジャーも自分達の意思を吐き出し、攻撃の体勢を取った

 

新はフッと含み笑いをする

 

「その心意気は認めてやる。ただし……行くのは俺達だけだ」

 

「えっ、そうなんですか?」

 

「そうだ!部長や朱乃さん、アーシア達のおっぱいをあんたらに見せてたまるか!」

 

「「「「上等だッ!」」」」

 

斯くして……ライザー&オッパイジャー同盟VS新、一誠、渉の大バトルが空中で幕を開けた

 

一進一退の攻防は十数分に(わた)って続いたが……力及ばず、ライザー&オッパイジャー同盟は新達3人の波状攻撃をくらって墜落

 

しかし、落ちていった先にはリアス達が入っているであろう温泉があった

 

急いで追い付くと―――ライザーとオッパイジャー3人は頭から落下したのか、足だけ逆さまに飛び出ていた

 

新と一誠は鎧を解除してガッツポーズ、渉も“一応やっといた方が良いのかな”とノリでガッツポーズした

 

「……凄い音がしたから誰かと思えば、新とイッセーじゃないの」

 

聞き覚えのある声に振り向くと、そこには全裸のリアスがいた

 

更には―――

 

「うふふ、新さんも一緒に入りませんか?」

 

「イッセーさんもいらっしゃったのですか?」

 

「さすが新だ。私達の温泉を覗きに来たか」

 

朱乃、アーシア、ゼノヴィアもいた

 

まさに楽園と言うべき秘湯に一誠は歓喜の涙を流し、新もウンウンとリアス達の裸を眺めていた

 

「……新さま、お兄さま?」

 

「ア、アンタら……何してんのよっ!?渉まで!?」

 

突如レイヴェルと祐希那の声が聞こえてくる

 

そちらへ視線を送ると―――全裸のレイヴェルと祐希那もいた

 

2人ともおっぱいの大きさはなかなかの物で、特に祐希那の全裸は稀少価値が付く程美麗だった

 

一誠はレアな裸を見れた事に感激の鼻血を噴かし、新もしっかりと吟味する

 

それに気付いたレイヴェルと祐希那は胸元を隠しながら顔を真っ赤にした

 

レイヴェルの背に炎の翼が展開され、祐希那の手元に氷の斧が具現化される

 

「「あ、やべ……っ」」

 

「……?」

 

「新さまのエッチィィィィッ!」

 

「死に腐れド変態どもがァァァァッ!」

 

ゴオオオオオオオオオッ!

 

ビュオオオオオオオオッ!

 

レイヴェルから特大の火炎、祐希那から極大の吹雪をくらった新達は温泉で()ぜた……

 

 

――――――――――

 

 

かろうじて生き延び、洞窟に帰還したが丸焦げの新、一誠、渉と疲労困憊(ひろうこんぱい)のライザーとオッパイジャー

 

ふいにオッパイジャー1号ことコジュウロウが言う

 

「今回は我々の完敗だ。素直に敗北を認めよう。ただ……いずれ彼女達のおっぱいを見せてもらいたい」

 

「俺もリアスの事は諦める。だから、今度1度だけリアスの乳を見せてくれ」

 

「ふざけるな!この野郎!」

 

「こいつらのスケベ根性には負けそうだぜ……」

 

その後、ライザーはこの一件でドラゴン恐怖症と闇人(やみびと)恐怖症を克服し、オッパイジャー3人も放浪の旅を続けるべく去っていった

 

その際、新と一誠に「いずれ、おっぱいについて語り合おう」と言い残した

 

 




次回からようやく10巻のサイラオーグ編に突入します!お楽しみに♪

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