ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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さあお待ちかね、修学旅行編です!


第9章 修学旅行のパンデモニウムとファーストキング
闇皇と天龍と大王の拳


「んっ……ぁん……っ。はぁ……アラタ……っ。もっと……もっと揉んでぇ……っ」

 

「レイナーレ様~、そろそろ代わってくださいよ~!ウチもアラタにマッサージされたい~っ!」

 

「我慢しろ、ミッテルト。私だってマッサージされたいが、今はレイナーレ様の順番なんだ」

 

修学旅行を目前にしたある日の夜

 

新は自室のベッドの上で性的なマッサージを(おこな)っていた

 

レイナーレ、カラワーナ、ミッテルトの堕天使3人組は既に全裸になっており、今はレイナーレが新のマッサージを受けている最中

 

カラワーナとミッテルトは待機中だが、感じているレイナーレを羨ましそうに見つめ、もどかしさから自分達の胸を揉んでしまっている……

 

新はレイナーレと濃厚なキスを交わしながら彼女の胸を揉み、乳首を摘まみ指で擦る

 

「どうだ?気持ち良いか?」

 

「き、気持ち……良過ぎるのぉぉ……っ。私の感じる所、全部知られちゃってる……っ。ぁはぁっ!んぁぁんっ!……はぁ……はぁ……っ、ビクンってイッちゃった……っ。交代の合図ね……」

 

「やった~!次はウチの番!」

 

上手く力を入れられないレイナーレが四つん這いで離れ、ミッテルトと交代

 

ミッテルトは新の膝の上に座り、自ら新の手を小振りな胸に持っていく

 

小生意気な小動物のミッテルトだったが……マッサージが始まった途端、急に可愛らしい娘へと変貌する

 

「ふゃぁぁぁ……っ!アラタの指っ、良いよぉ……!ウチのロリおっぱい……(とりこ)になっちゃってるよぉ……っ」

 

顔はすっかり紅潮して蕩け、身体(からだ)をピクピクと震わせるミッテルト

 

そんな彼女に新はもっと攻め立てるべく、鎖骨に舌を這わせながら指を乳首に埋没させていく……

 

その刹那、ミッテルトの華奢な身体(からだ)がビクンっと腰を跳ねさせた

 

「ぁ……っ、はぁ……っ。嘘ぉ……もうイッちゃった……っ。交代したくないのにぃ……っ」

 

「ワガママ言うな。さあ、アラタ。次は私の番だ」

 

「おう」

 

新はミッテルトを抱きかかえて少し横に寝かせ、カラワーナがベッドに上がって仰向けに寝転がる

 

寝転がった拍子に揺れる豊満な胸を鷲掴み、強弱を付けて揉んでいく

 

カラワーナの口から(つや)っぽい吐息が漏れ、次第に快楽に溺れた喘ぎ声も聞こえてくる

 

「んぁ……っ。ふっ、ふわぁぁ……っ!ぁん……っ。だ、駄目だ……っ!声をっ、抑えられない……っ。きゃっ……」

 

「見た目と違って本当に可愛い声出すよな」

 

ナチュラルに核心を突かれたカラワーナは恥ずかしさのあまり顔を逸らす

 

新はそんな彼女に追い討ちを掛ける

 

固くなったカラワーナの乳首を舌で一舐めしてから甘噛み――――不意を突かれたカラワーナは大きく腰を跳ねさせた

 

「はぁぁんっ!……んぁ……っ、ぁぁっ……っ。こ、この鬼畜め……っ。弱い所ばかりぃ……っ」

 

「結局全員直ぐにイッちゃったのね……」

 

崩れた正座で座り込むレイナーレが身体をピクピクさせているカラワーナとミッテルトに視線を移す

 

ベッドに横たわり“来て……”と言わんばかりの甘えた表情で両手を伸ばし、新はレイナーレに覆い被さった

 

「アラタが突然いなくなったから、おかしくなるかと思ったのよ……?帰ってきたのは嬉しいわ。でも……また直ぐにいなくなるなんて……っ。どれだけ女を泣かす気……っ?」

 

「仕方ねぇだろ、修学旅行なんだから。それに家を空けるのもたかが3日ぐらいだ。そんなの我慢しろよ」

 

「アラタのいない3日がどれだけ長いと思ってるのよ……っ」

 

「その通りですわ」

 

突然第四者の声が聞こえてくる

 

周りを見回すといつの間にか部屋に入ってきた朱乃がベッドの上で新に迫っていく

 

髪を下ろし、薄生地(うすきじ)の浴衣を着崩した朱乃は四つん這いでジリジリと近付く

 

「新さん……を、ください……。もうすぐ新さんは私を置いて京都に行ってしまうのですね……」

 

悲しそうな声音を発しながら新の首に手を回し、そのまま柔らかな身体を密着させる

 

「丸二日、あなたのいない日があるのですよ……?私、寂しくて死んでしまうかもしれない……」

 

「ちょっと!私の方が寂しいわよ!あなたは学園でアラタに触れられるだけまだマシじゃない!私達は家にいる時しかアラタに触れられないのよ!?」

 

「……そうですわね。だから、3泊4日分の新さんを一緒に補充しません?」

 

「ほ、補充?」

 

「そう、補充。新さんの肌に触れて、新さんに触れられて、新さんの男を感じて、私達は女である事を体験するのよ」

 

刺激的過ぎる言葉のオンパレードに新だけでなく、レイナーレ達も心臓の鼓動が早くなる

 

朱乃は新の指に自分の指を絡ませるよう重ねてくる

 

「私も新さんのマッサージ……受けたい……っ。おっぱいも……お尻も……うぅん、好きな所を好きなだけ揉みほぐして……っ。あなたの舌を身体中に這わせて舐めて……っ。(とろ)けきるぐらい感じさせて……っ」

 

「……っ!あ、朱乃………っ」

 

エロ過ぎる朱乃のお陰で新は沸き上がる性欲の衝動に(あらが)えず、彼女の胸を力一杯揉みしだく

 

朱乃は「ぁはぁぁんっ!」と軽くイキ声を発してしまい、新にされるがまま身体を委ねる

 

堕天使3人組はその光景を羨ましそうに見つめた

 

「す、凄い……。あんなメチャクチャに揉まれて……気持ち良さそう……っ」

 

「うわぁ……アラタ、すっげー興奮してるし……。さっきの台詞も超エロ過ぎてウチらもドキドキしてるよぉ……」

 

「ま、まずいな……。こんなの見せつけられたら……また濡れてきてしまう……っ」

 

レイナーレ、カラワーナ、ミッテルトは局部を手で押さえてモジモジと身体を(よじ)らせる

 

そんな3人を見た朱乃は休憩ついでに言ってきた

 

「はぁ……はぁ……っ。うふふ……じゃあ、ここにいる皆さんでしましょう?」

 

「朱乃、良いのか?」

 

「断る方が変ですわ。新さん……私と堕天使さん達に……もう一度あなたの男を――――」

 

「朱乃?何をしているのかしら……?」

 

鬼気・殺気を感じる程の恐ろしい声音に気付いた新は首をギギギ……と動かす

 

開けられた部屋のドアからリアスが赤いオーラを(ほとばし)らせていた……

 

凄まじい迫力に長い紅髪(べにがみ)までザワザワと(うごめ)き、流石(さすが)の新も畏怖せざるを得なかった

 

朱乃は「うふふ」と妖艶に笑みながら自分の黒髪をさらっと手で撫でる

 

「あらあら、こわーいお姉さんが私と新を睨んでいますわ。きっと私達があまりにも熱々だから嫉妬しているんですわね。うふふ」

 

「私がちょっとお風呂に行っている間にこんな事をするだなんて、随分と大胆になったわね?さすが欲にまみれた堕天使と言った所かしら?」

 

「私はいつだって大胆ですわよ?そ・れ・に……」

 

朱乃は着崩れていた浴衣を取り払い、全裸となって新を自分の胸に抱き寄せる

 

それだけじゃなく、新の耳や頬をチロチロ舐めながらリアスに向かってトゲのある言葉を飛ばす

 

「新さんに抱かれてもいないあなたがどうこう言える立場なのかしら?」

 

「……っ!?」

 

「私だけじゃないわ。この3人も既に新さんとエッチしてるのよ?順番こそ負けてるけど、私は気にしないわ。でも……リアスは?まだ抱かれていないでしょ?それとも怖がってるの?普段から気丈に振る舞っているのに、ここぞって時には意気地(いくじ)が無いのねぇ?」

 

「……っ!……っ!……っ!」

 

只でさえ殺気溢れるリアスから更に赤いオーラが噴き上がる

 

痛い所を抉られたせいか、目にはうっすらと悔し涙が……

 

想像以上にヒートアップしてしまった現場に新の背中は冷や汗でグッショリ濡れていた

 

「……そうです。朱乃さんばかりズルいです」

 

3度めの乱入発生

 

気付けば新の背中にピッタリと身体を寄せる小猫がいた

 

白装束を着込み、猫耳と尻尾を生やしながらスリスリと自身の身体を新の背中に擦り付ける

 

「小猫、最近妙に気配を消して俺にくっついてくるのが上手くなったな……?」

 

「……私だって先輩と離れるのは……。新先輩、仙術の治療を一気に数日分おこないます……」

 

「ちょっ、猫コラァ!ロリ枠はウチで間に合ってるっつーの!アラタはウチのロリおっぱいが良いんだから、ツルペタ猫は引っ込め!」

 

「……淫乱な堕天使より純真な猫の方が良いに決まってる」

 

「はぁぁぁぁ?悪魔の時点で何処が純真!?アラタの前で裸になれないチビ猫が偉そうに!」

 

「……なれるもんっ」

 

シュルシュル……ッ

 

布が肌から滑り落ちる音

 

小猫は顔を赤くしながらも白装束を脱いで裸になり、小さな裸体を新の背中に密着させた

 

更に上下に擦り続け、小猫の尻尾が新の右腕に巻き付く

 

「先輩……っ、どうです……?私だって……これくらい出来ますよ……っ?」

 

「小猫……いつの間にここまで……」

 

「うぅ~っ!アラタァ!せめて視線だけはウチのおっぱい見ててぇ!ほらっ、綺麗なロリおっぱいでしょ!?」

 

リアスVS朱乃が発端となったのか、小猫VSミッテルトの戦いまで始まってしまった……

 

それを見たリアスはブルブルと体を震わせ、頬を膨らませる

 

「こ、小猫までそんな過激な事を……っ。一緒にお風呂に入ったり、一緒のベッドで寝るだけじゃレベルが違うの……?新は私のなのに……」

 

「あらあら、リアス。そう言う所がいけないのよ?そんな上から目線だけじゃ男の人は振り向いてくれないわ」

 

「……うぐぅ……っ」

 

「朱乃、もう勘弁してやれ。そろそろマジ泣き入りそうだ……」

 

バタンッ!

 

更に扉を開ける音、そこに現れたのはゼノヴィアだった

 

この修羅場とも言える光景を見たゼノヴィアは言う

 

「凄いなこれは……。リアス部長だけでなく、朱乃さんに小猫、堕天使の3人まで……。出遅れてしまったが関係無い。新!私も参加するぞ!まずは裸になれば良いんだな!?」

 

「待て!これ以上事態を悪化させるな!」

 

「君さえ良ければ、この場で小作りしても構わない!とうっ!」

 

速攻でパジャマを脱ぎ捨て全裸になったゼノヴィアは新の足にしがみつく

 

普通ならば全裸の美少女達に抱きつかれ、囲まれているこの状況は幸せの一言に尽きるが……とてもそんな空気ではなかった……

 

異常過ぎる状況にリアスは(たま)らず叫んだ

 

「もう!あなた達!どうして(あるじ)の私の言う事が聞けないの!」

 

リアスは主の権限を主張するが、その程度で黙る者は1人としていない

 

「「「だって、私の――――」」」

 

「新さんよ!」

 

「……先輩です!」

 

「新だ!」

 

「違うの!私のなのぉぉぉぉっ!」

 

涙目のリアスの訴えが家中に木霊(こだま)する中、新は「こんな調子で修学旅行大丈夫なのか……?」と小さく呟くしかなかった

 

 

―――――――――――――

 

 

「将来的にはグレモリー領に北欧魔術の学舎(まなびや)を設立したり、悪魔の女性からヴァルキリーを輩出(はいしゅつ)したりと新しい事業をしてみたいと思っております」

 

「天使の私が上級悪魔のお屋敷にお邪魔出来るなんて光栄の限りです!これも主と……魔王さまのおかげですね!」

 

ロスヴァイセが自身で思い描いている未来予想図を語り、イリナがはしゃぐ

 

修学旅行間近になり、グレモリー眷属+イリナはリアスの両親と共にグレモリー家のダイニングルームでお茶会をしていた

 

眷属が全て揃ったので、記念としてリアスの両親に紹介する事になった

 

優雅に紅茶を楽しみながらの世間話に新と一誠は固くなってしまい、他愛もない会話を続けていった

 

お茶会を終えた後に転移用魔方陣で帰ろうとしたが、サーゼクスが戻って来たと言うので挨拶に向かう

 

そしてサーゼクスともう1人――――客人として来ていたサイラオーグを見かける

 

「お邪魔をしている。元気そうだな、リアス、赤龍帝(せきりゅうてい)。そして闇皇(やみおう)

 

「相変わらずスゲェ覇気だな。普通の状態にしてるだろうが、ビシビシ感じてるぜ」

 

「ええ、来ていたのなら一言(ひとこと)言ってくれても良かったのに。けれど、そちらも元気そうで何よりだわ」

 

リアスが兄――――サーゼクスに挨拶をした後、サイラオーグがここに来た理由を訊く

 

「お兄さま、サイラオーグがここに来ていたのは……?」

 

「うむ。バアル領特産の果物などをわざわざ持ってきてくれたのだよ。従兄弟(いとこ)に気を遣わせてしまって悪いと思っていたところだ。今度是非ともリアスをバアル家のお屋敷に向かわせようと話していたのだよ」

 

サーゼクスが言う

 

サイラオーグはサーゼクスから見れば母方の従兄弟(いとこ)である

 

「今度のゲームについていくつか話してね。リアス、彼はフィールドを用いたルールはともかく、バトルに関しては複雑なルールを一切除外して欲しいとの事だ」

 

サーゼクスの言葉を聞いてリアスは驚き、新が真っ先にサイラオーグに問う

 

「それってよ、不確定要素を全部受け入れるって事か?大王家の次期当主さん」

 

「ああ、そういう事だ。時間を停めるヴァンパイアも、女の服を弾き飛ばし、心の内を読む赤龍帝(せきりゅうてい)の技も、規格外と言われる闇皇(やみおう)の力も、俺は全部許容したい。お前達の全力を受け止めずに大王家の次期当主を名乗れる筈が無いからな」

 

サイラオーグのカミングアウトに新以外の全員が息を呑み、新は口笛を吹いた

 

「うむ、ちょうど良い。サイラオーグ、イッセーくんか新くん――――どちらかと少し拳を交えたいと言っていたね?」

 

「ええ、確かに以前そう申し上げましたが……」

 

「軽くやってみたら良い。天龍(てんりゅう)の拳と闇皇(やみおう)の拳、その身で味わいたいのではないかな?」

 

サーゼクスの言葉に一誠は驚愕し、新は片眉を吊り上げた

 

若手悪魔ナンバー1と言われるサイラオーグと組み手

 

普通ではあり得ない事態だ

 

サーゼクスがリアスに訊くと、リアスは(しば)し考え込み、意を決した様に答えた

 

「……お兄さま……いえ、魔王さまがそうおっしゃるのでしたら、断る理由がありませんわ」

 

「決まりだね。さて、サイラオーグ。どちらとやりたい?」

 

サーゼクスはサイラオーグに訊くが、新が挙手してきた

 

「何かな?新くん」

 

「どっちかなんて言わず、俺と一誠の両方とやりましょうよ」

 

新の発言に一誠の目は飛び出し、リアス達も驚愕した

 

新は頭を掻きながら続ける

 

「どうせ手合わせなんだろ?だったら、2人いっぺんに相手した方がお得だぜ?大王家の次期当主さん」

 

その誘いにサイラオーグは不敵且つ気迫溢れる笑みを浮かべながら答えてくれた

 

「良い機会を貰った。存分に見せましょう、我が拳を……ッ!」

 

 

――――――――――

 

 

グレモリー城の地下にある広いトレーニングルーム

 

リアス達は少し離れた場所で待機し、新と一誠とサイラオーグは中央で向かい合う

 

サイラオーグが貴族服を脱いでグレーのアンダーウェア姿になる

 

筋骨隆々の肉体が2人に重圧を与える

 

一誠は籠手を出して禁手(バランス・ブレイカー)のカウントを開始、新は直ぐ様闇皇(やみおう)に変異した

 

そしてカウントが終了し、一誠は『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』に身を包ませ、ドラゴンの翼を広げて攻撃の構えを取る

 

「一誠、とりあえず初手だ。同時に行くぞ」

 

「おう!」

 

新と一誠は揃って飛び出し、逃げる素振りを見せないサイラオーグの顔面に拳をくらわせた

 

新はすぐに後方へ飛び退き、一誠も背筋に寒気を感じて下がる

 

「……マジかよ。傷1つ付いてねぇや……」

 

「かなり力を込めたのに……無傷だなんて……」

 

サイラオーグは2人に殴られた部分を指で(さす)

 

「良い拳だ。真っ直ぐで、強い想いが籠められた純粋な拳打。並の悪魔ならこれで終わる。だが――――」

 

眼前にいたサイラオーグが消え、新は瞬時に危険を察知して横に飛ぶ

 

「――――俺は別だ」

 

一誠は背後の声を聞いて両腕をクロスしてパンチを受ける――――が、鎧の籠手は1発の拳で砕けてしまった

 

体勢を崩された一誠はブーストを噴かして距離を取り、新はサイラオーグの左頬に魔力入りの肘鉄をぶち込んだ

 

だが、サイラオーグに目立ったダメージは無かった……

 

「ハハッ……ヤバ過ぎるだろ?サイラオーグ、肘鉄食らっても無傷とかマジかよ……」

 

「俺の武器は3つ。頑丈な体、動ける足、そして体術だ」

 

新は肘を下ろし、感心した様子で訊く

 

「その強さを得るまで、相当鍛えまくったんだな?」

 

「己の体を信じてきただけだ」

 

「……凄いです。サイラオーグさん」

 

一誠と同じ様に、魔力の才能を持たずに生き抜いてきた男

 

残された自分の肉体だけをひたすら鍛え、次期当主にまで上り詰めた

 

それは生半可な覚悟で出来るものではない………

 

「――――良いぜ。そこまで強いなら、何処までやれるか試したくなっちまうよ!『進化する昇格(エボルシオン・プロモーション)』!『女王(クイーン)』!」

 

「俺だって負けていられない!『戦車(ルーク)』にプロモーションッ!」

 

新は『女王(クイーン)』形態の『闇皇(アーク・カイザー)()極限破滅女帝(オーバーカタストロフ・エンプレス)』に、一誠は『戦車(ルーク)』にプロモーションした

 

「『戦車(ルーク)』だと?」

 

一誠の昇格にサイラオーグは怪訝な表情になる

 

それは新も同じだった

 

「一誠、何故に『女王(クイーン)』にならなかったんだ?」

 

「実は現ベルゼブブ様から個人的にアドバイスを貰ったんだ。それをチョイと試してみたくて」

 

サイラオーグが瞬時に消え、一誠は踏ん張ってオーラを全身に纏う

 

新は上空に飛んでサイラオーグの気配を探す

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)!!』

 

一誠は倍増したドラゴンのパワーを防御に回して拳に力を込める

 

ゴッ!

 

正面に現れたサイラオーグが一誠の腹にボディブローをめり込ませた

 

「オォラァァッ!」

 

ガゴッ!

 

新はサイラオーグが攻撃を放った直後に、脳天を『戦車(ルーク)』形態の左拳で打ち抜く

 

一誠も歯を食い縛って痛みに耐え、サイラオーグの顔面に右ストレートを打ち込んだ

 

ブッ!

 

サイラオーグの鼻から血が噴き出す

 

「なるほど……赤龍帝(せきりゅうてい)は『戦車(ルーク)』へ昇格したか。誤った判断でもなさそうだ。こちらも力を込めて拳を放ったのだが、お前の『戦車(ルーク)』としての攻撃と防御は見事だった。多彩な『女王(クイーン)』よりも攻守のみが高まる『戦車(ルーク)』の方がパワータイプのお前に似合っているのかもしれないな」

 

サイラオーグは次に背後にいる新を見た

 

闇皇(やみおう)の拳も見事だった。北欧の悪神(あくしん)ロキを圧倒した『女王(クイーン)』の力、実に見事だった」

 

「サイラオーグだってスゲェよ。『女王(クイーン)』形態の拳を受けても平気そうにしてやがるとは」

 

「ハハッ。今日はここまでにしておこう。これ以上続けると歯止めが効かなくなってしまう。それはあまりにも勿体無い。お前達は今何かに目覚めようとしている最中なのだろう?」

 

「あ、バレた?一誠はどんなのか知らねぇが……俺の場合は当たってるぜ。以前、大牙(たいが)が使ったオリジナルの『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』―――――アレに対抗出来る力を模索してるところだ」

 

サイラオーグが貴族服を拾い、2人の肩に手を置いた

 

「ならば、それを得てからだ。最高の状態で殴り合う。それこそが、俺の求める赤龍帝(せきりゅうてい)闇皇(やみおう)との戦いだ」

 

サーゼクスに挨拶をした後、サイラオーグはこの場を去っていった

 

緊張感がすっかり解けた新と一誠は鎧を解除

 

サーゼクスが近づいて訊いてくる

 

「どうだったかな?彼の一撃は?」

 

「……似てました。俺の拳にそっくりで驚きました」

 

「確かに一誠と同じで、俺も驚いた。足りないものを補おうと練り上げたからこそ、力強い一撃……」

 

「そう、全てがストレートな攻撃。それは悪魔にないものだ……因みに彼は両手両足に負荷のかかる封印を施して戦っていた」

 

サーゼクスの告白に一誠は衝撃を受け、新は思わず吹き出してしまう

 

「アレでハンデ有りかよ……やべぇな、マジで強ぇ」

 

「彼はもうプロの『(キング)』と比べても何ら遜色(そんしょく)は無い。『禍の団(カオス・ブリゲード)』のテロも闇人(やみびと)の襲撃も何度か防止し、悪魔側に勝利をもたらしている。しかし、君達も大したものだよ。あのサイラオーグと拳を交えて尚も戦闘意識を失わないとは。彼と相対した者の中には軽い手合わせでも戦意を喪失した者が出た程だ。自慢の魔力が通じず、肉体のみで圧倒されれば、高い魔力こそがステータスの悪魔では心が折れてしまう。上級――――(くらい)が高い家の者程プライドが高く、1度折れたら再起が難しい」

 

「俺は……もう負けたくないだけです。レーティングゲームで負けたくない。俺、ゲームではまともに勝てた事が無いんです。新みたいに……」

 

ディオドラ戦はノーカウント

 

ライザー戦、ソーナ戦の両方で一誠は黒星だった

 

一誠は悔しさを押し込んで決意を秘め、新は現『女王(クイーン)』形態を何とか昇華させようと決心した

 

 

―――――――――――

 

 

迎えた修学旅行当日

 

東京駅、新幹線のホームの隅に新達は集まっていた

 

見送りに来た朱乃は、来て早々に新とキスをする

 

「んちゅ……寂しくなっちゃいますわ。新さん」

 

「……先輩。私もナデナデしてください」

 

「へいへい」

 

新は小猫の頭を優しく撫でる

 

因みにレイナーレ達も見送りに来ていた

 

レイナーレはいつもの様に天野夕麻(あまのゆうま)に変装しており、新に抱擁(ハグ)する

 

「アラタ、京都のお酒買ってきてね?」

 

「修学旅行、満喫してくるんだ」

 

「帰ったらウチらにい〜っぱい話を聞かせてね♪」

 

カラワーナとミッテルトが笑顔で言う

 

リアスが旅に出る2年生全員にカードみたいな物を渡した

 

「これが噂の?」

 

「ええ、これが悪魔が京都旅行を楽しむ時に必要な、所謂(いわゆる)『フリーパス券』よ」

 

京都と言えば名所は寺

 

更にパワースポットも多いらしく、悪魔が歩き回るには不都合な事が目立ってしまう

 

京都の裏事情を牛耳(ぎゅうじ)陰陽師(おんみょうじ)及び妖怪やらが悪魔にフリーパス券を発行してくれているのだ

 

「私達の時もそうだったけれど、キチンとした形式のある悪魔にならこのパスを渡してくれるの。グレモリー眷属、シトリー眷属、天界関係者、あなた達は後ろ盾があって幸せ者なのよ?」

 

「グレモリーさまさまだな」

 

全員がフリーパス券を制服の裏ポケットに入れ、準備が整う

 

アーシアの携帯が鳴り、同じクラスの桐生から呼び出しが掛かる

 

「では、リアスお姉さま。私達、行ってまいります!」

 

「行ってきます」

 

「行ってきまーす!」

 

アーシア、ゼノヴィア、イリナの3人がリアスに別れの挨拶をして新幹線の方へ

 

祐斗も一礼してから自分のクラスが集まっている方へ去っていき、一誠もアーシアの後を追っていった

 

新も新幹線に乗るべく立ち去ろうとした時、リアスが呼び止める

 

「ん?どうした」

 

「……強がってみたけれど、私も朱乃と同じなのよ。あなたがいない間、寂しいわ」

 

大袈裟(おおげさ)だな。たかが3泊4日の修学旅行に……でも、そう言ってくれる相手がいるだけで嬉しいぜ。帰ったらリアスにもマッサージしてやろうか?」

 

「ふふっ、正直に言ってくれるのね」

 

チュッ……

 

苦笑した直後、リアスが新の唇に自分の唇を重ねた

 

不意を突かれた新は一瞬思考が停止してしまい、ハッと我に返る

 

「いってらっしゃいのキスよ。もう、何を驚いているの。過去にいろんな女性とキスしてきたでしょ?」

 

「……いきなりだったから“やられた”って思っただけだ」

 

「ふふっ、可愛い♪私はこれで充分。あなたが京都に行っても寂しさに耐えられるわ。いってらっしゃい、新」

 

「あぁ、行ってくる」

 

こうして新達の修学旅行は始まりを迎えた




第9章が始まりましたー!あとハイスクールDX2巻限定版手に入りましたよー!

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