それから1日経ったある日、新はフィリアンノ城の空き部屋のベッドに横たわっていた
伊坂を自らの体内に封じ込めた後、半日以上も意識を失い、今やっと目が覚めた所である
フロニャルドの問題は解決したものの、今度はここからどうやって帰還するのかを模索していた
「……ダメだ、疲れ過ぎて考えが纏まらねぇ……」
やはり寝覚めたばかりで頭が回る訳でもなく……転移魔法の
こう言う場合は専門家に聞くのが妥当だと結論付け、ベッドから出ようとした時――――ドアをノックする音が鳴る
新が「誰だ?」と訊いてから扉が開かれ、2人の人物が入ってくる
「アラタさん、目が覚めたみたいですね」
「お見舞いに来たであります~」
部屋に入ってきたのはシンクとリコだった……が、新は2人の手に握られている物体を見て顔をひくつかせる
コップに並々と注がれた謎の液体……
ボコボコと小さく泡立ちながら怪しい色の煙が漂っていた
「アラタさんが元気になるようにドリンクを作ってきましたよ」
「これを飲めば疲労回復、元気いっぱいであります~♪」
新が「おい……それは何を入れて作った……?」と恐る恐る尋ねると、2人は自信満々に答えた
「勿論、疲労回復に効果のある薬草とハーブをバランス良く調合したであります♪」
「僕は持ってきた青汁の粉末とサプリメントとプロテインを混ぜて、隠し味にヨーグルトを加えました」
「病人に病原菌を飲ませて殺す気か!?どっちも疲労回復の効果を発揮する色じゃねぇだろッ!」
「えー、でもこれを飲んだ方が良くなりますよ?」
「アラタさま、せっかく作ったんですから飲んでいただきたいであります!」
“自分に体力が戻ってるなら力一杯拒絶したい”と思っている新だが……2人のキラキラした視線が新を追い詰める
仕方無くシンクとリコが持ってきた疲労回復ドリンク(らしき液体)のコップを持ち、ゆっくりと飲んでいく
ドロドロと喉を通り過ぎる感覚はもはや液体にあらず、何故か時折固体らしき食感も混ざり込んでくる……
その味も凄まじく、新は何度も吐き出しそうになったが堪えて謎の液体2つを飲み干した
「ッブハァ!はぁ……はぁ……はぁ……っ。おえぇぇぇぇええええ……っ」
「どうです?元気が出たでしょ?」
「出るかボケェッ!クソ
「はぅぅ、やっぱりお料理は薬品や機械油の調合のように上手くいかないのでありますぅ」
「おかしいなー。普通ならこれで元気が出る筈なのに」
「寧ろトドメを刺されそうになったぞ!?……ったく、これからどうやって帰ったら良いのか分からねぇってのに、余計な体力を使わせんな……」
新が
後で聞いて判明したのだが、フロニャルドには向こうの世界から召喚した者を送り返す事が出来る“送還の儀”と呼ばれる方法があり、シンク・ナナミ・レベッカはそれでフロニャルドから元の世界に帰還しているらしい
本来なら新もその方法で帰れる――――筈だったのだが、“送還の儀”には幾つかの条件を満たしてないといけない
その条件とは『儀式は召喚主が
新は元々フロニャルドの召喚の儀で呼ばれた勇者ではなく、あくまで伊坂が張っていた転移魔方陣によってここに飛ばされた者
つまり……ミルヒ、レオ閣下、クーベルの誰からも召喚されていないので“送還の儀”の条件に当てはまらない――――ゆえに“送還の儀”で帰還させる事が出来ないのだ
フロニャルドでもこの様な前例は皆無なので対処しようが無い……
「それでも俺は帰らなきゃならねぇ。向こうで仲間達を待たせてるからな」
「ではアラタさま、自分がビスコッティ国立研究学院で調べてみるであります!もしかしたら、資料・文献を読んでいけば何かお役に立ちそうな情報があるかもしれないのでありますぅ!」
「おぉ、気が利くじゃねぇか。よしっ、早速行ってみるか」
「あ、でもアラタさんはフロニャ文字読めないでしょ?僕も一緒に――――」
「ガキに勉強教えて貰う程バカじゃねぇよ。こう見えても仕事柄、外国を転々と渡り歩いて来たんだ。英語はソコソコ話せるんだよ」
シンクの忠告を無視した新はリコと共に国立研究学院に足を運んだが、資料の1冊を読み始めた途端に後悔
全く見た事の無い文字の
「Hey, what is this letter? It is the letter of what country? No, in the first place is it a thing to be able to call a letter? Such an incomprehensible letter does not have what I saw so far!? I do not know it at all I do strange form, and what is written!」
「おお落ち着いてくださいでありますぅ!」
何故か英語でリコに説明を求めてしまい、知恵熱まで出る始末に……
蒸気でも噴き出しそうな状態にまで
リコも資料・文献を読み
「はふぅ……。やはり前例が無い事態ゆえ、有力な情報がなかなか見つからないであります……」
溜め息を吐いて資料探しを再開しようとした時、椅子に座って書物の1つを熱心に読んでいる新が彼女の視界に入る
先程まで1字たりともフロニャルドの言語――――フロニャ文字が読めなかった筈……
怪訝に思ったリコはコッソリと背後に回って確認してみた
新が読んでいる書物は――――フロニャルド人(女性)の性知識に関するちょっと卑猥な本だった……
目を通した瞬間、リコは顔を真っ赤にして書物を取り上げる
「はわわわわっ!こ、これは違うのでありますぅ!あくまで研究に用いる参考書の様な物で、決していかがわしい気持ちは――――」
「やっぱりこのホンワカ世界でもこう言った本はあるんだな。……興味あるのか、リコ?」
「ほえぇ!?そ、そんな事は……」
慌てて弁明しようとするリコを無言で見つめる新
1分くらい見つめた所で、遂にリコは折れた
「…………お恥ずかしながら……少しだけ興味……あります……」
「よしよし」
新は慰めの意でリコの頭を優しく撫で、リコは恥ずかしさと嬉しさのあまり尻尾を大きく振る
気を取り直して資料探しを再開させようとした時、リコが突然「ひゃあっ」と軽く悲鳴を上げる
その理由は新がリコの背後に回って、彼女を抱き締めたからである
耳元に優しく息を吹き掛けられたリコは華奢な体をプルプルと震わせる
「ひん……っ。ア、アラタさまぁ……。くすぐったいでありますぅ……っ」
「興味あるなら――――してみるか?」
「ほえぇっ!?で、でも……」
「俺はリコに感謝してるぜ?右も左も分からない俺にフロニャルドの事を教えてくれたり、仲間との通信が出来る様にしてくれたり。今だって前例が無いのに、俺が元の世界へ帰れる方法を解明しようと必死になっている。俺はそう言う女が好きだ。リコは――――どう思ってる?勿論、無理にとは言わない。嫌なら嫌とハッキリ言えば良いさ」
優しい声音で問い掛ける新にリコの耳と尻尾は再び振る速度を早める
そしてリコは新の手にそっと触れた
「……アラタさまが自分を助けてくださったあの時、不思議な感じになったのであります……。アラタさまの“ばいく”を見た時とはまた違ってて……尻尾の付け根だけじゃなく、胸の中がキュ~ンって締め付けられる様な感じがしたであります……。い、今も……そのキュ~ンと同じ感じになってるでありますぅ……」
「そう、それが“相手を好きになる”って感覚だ」
「はぅぅ……っ」
新は更なるモーションを掛けるため、右手をリコの服の中へと忍ばせる
腹部から右手を這わせ、徐々に胸へ進めていき――――胸に到達
膨らみかけの小さな胸を
彼女は先程のモーションからピクピクと体を震わせるが、抵抗の気配は無かった
「どうする?やめるなら今の内だが」
最後の通告を言い渡す新にリコは首を横に振った
“やめてほしくない”と言う素振り……つまりOKの合図だった
新は肯定の意を受け取り、リコを一旦抱えて床に寝かせる
彼女のリボンを
ボタンが外れる度にリコの心臓の鼓動は早くなり、顔に緊張の色が走る……
そして新はリコのシャツを取り払い、リコの膨らみかけの小さな胸が
「……っ。ア、アラタさまぁ……っ」
「そう言えばリコの裸を見るのはこれが初めてだったな。じっくり拝ませてもらうぜ?」
「へうぅ……っ。そ、そんなに見られると恥ずかしいでありますぅぅ……っ」
「何言ってんだ。これからもっと過激な事をするんだぜ?」
新は顔を近付け、そのままリコの唇に自らの唇を重ねた
優しく軽く
リコは顔が爆発しそうなくらい感極まっていた
優しいが一瞬の呼吸もさせない新のキスにリコはすっかり
ようやく唇が離れると唾液の糸が輝き切れる
「さて……学院首席さん。これから始めさせてもらうぜ?良いか?」
「……はい。よ、よろしくお願いしますであります……っ」
神聖な研究学院の一室で性の勉強会が始まった
――――――――――――――
性の勉強会を終えた新はリコと共に資料探しを再開したものの、やはり有力な情報は見つからずじまい……
国立研究学院からフィリアンノ城に戻る為、バイクで駆けていた
先程の余韻に浸りきっているのか、リコはしっかりと新の腰にしがみついている
「あれだけ探して収穫無し、か……。さて、どうしたものかな……」
新はあらゆる可能性の思考を駆け巡らせる
伊坂は正規の方法じゃなく、独自の転移魔方陣で兵隊をここに送ってきた
それと同じ様に正規の方法が使えないなら――――“自分達ならではの方法”で戻れるのかもしれない……
可能性が0%じゃなければ……そう考えた新はフルスピードでフィリアンノ城へ爆進する
「ひゃあっ!ア、アラタさま?どうしたでありますか?」
「向こうにもいるんだよ。リコと同じ様に研究熱心な奴が1人。ただ……危険性が一気に高くなるけどな。この際だ、背に腹は替えられない!」
新の脳裏に浮かぶのは自分達オカルト研究部の顧問兼堕天使総督
その総督が嫌味に笑っているイメージだった……
フィリアンノ城に戻った新は急いで城の通信可能エリアに足を運び、スマホを起動させて向こうの世界にいるリアス達と連絡を取る
発信して直ぐに繋がり、リアスの声が聞こえてくる
まず新はこのフロニャルドで起きた戦いの経緯を打ち明けた
『それじゃあ
「あぁ、そうだ。後はここから元の世界へ戻るだけなんだが……
『そこから戻れないかもしれないと言う状況下なのに、随分と冷静でいられるわね』
「出来ない事を嘆いても帰れる訳じゃない。正規の方法がダメなら発想を変えてやるしかねぇんだよ」
『……分かったわ。ただ、アザゼルの事だからあまりいい方法じゃないと思うけれど』
リアスはそう言った後にアザゼルと交代し、アザゼルが電話に出る
頼み事をする前に新は
『「初代キング」の右腕か……。そう言えば聞いた事あったな。あの大戦以来消息不明になってたが、まさか別次元の世界に逃れていやがったとは驚きだぜ。しかも未完成だった
「そこでだ、アザゼル。伊坂が使った
『分かった。なら、今日中にその術式の仕組みを調べて、そいつを応用したマシーンでも作ってみるか。良い実験にもなりそうで腕が鳴るぜ……!』
アザゼルの悪どい声音を新はスルーしつつ「じゃあ頼んだぜ」と言って電話を切ってスマホを
こちらではこれ以上何も出来そうに無いので、後はそれまで待つのみとなった……
大きな廊下を歩いていると、向かいの方向からシンクが走ってきた
「あ、いたいたー!アラタさーん、探しましたよー!」
「ん?あぁ、シンクか。どうした?」
「ついさっき通信でレオ閣下がアラタさんに話があるから、ヴァンネット城に来てくれって」
「そうか。じゃあ待たせちゃ悪いから――――」
そう言うと新は
両翼を展開し、背中のブースターから火を噴かせ一気に飛んでいった
「うわぁ~……便利」
――――――――――
出発してから僅か2分、ヴァンネット城に到着した新はレオ閣下の従者ビオレ・アマレットの案内で部屋の前まで来ていた
大扉を開けると玉座に腰掛けているレオ閣下を視界に捉える
「ご苦労じゃったな、ビオレ。下がってよい」
「それでは失礼します」
ビオレは一礼してからレオ閣下の部屋を立ち去り、新とレオ閣下の2人だけとなった
「わざわざ来てもらってすまなかったな、アラタ」
「国の領主からの呼び出しに応じない訳にはいかないだろう。……で、話ってのは何だ?」
「うむ。……だが、これから話す事は異世界人と領主としてではなく、あくまで個人的なものじゃ。出来れば他の者には漏らさないでほしい」
レオ閣下の真剣な
その内容とは――――――
「――――“俺から見てレオ閣下がどう映った?”何でそんな事を?」
「うむ……。お主は向こうの世界では強かろう?」
「ま、まぁ弱くはないが……上には上がいるな。実際俺より強い奴は何人か心当たりあるし」
新の言葉にレオ閣下「そうか……」と弱々しく呟く
何だか様子がおかしいなと思った新は探りを入れてみる事にした
「……もしかして、伊坂に言われた事をまだ引きずってるのか?」
「――――――っ」
核心を突かれたのか、レオ閣下の耳がビクッと震える
部屋の中で数分間沈黙が続き、重苦しい空気の下でようやくレオ閣下が口を開く
「……奴に言われたのじゃ。――――“戦いを嬉々としているが、心の底では臆病風に吹かれている”と……。あの時はただの
「何も言い返せなかったのが悔しかった、と?」
レオ閣下は無言で小さく頷き、徐々に内に秘めた思いを吐露していく
「ワシに
「…………」
「本物の
次第にレオ閣下の体が震え始め、彼女の脳裏に伊坂の姿や言葉が
恐怖心を徹底的に焼き付けられ、領主としての面影は見当たらず……ただ過去の記憶へ刻まれた伊坂に恐怖していた
新は無言でレオ閣下に歩み寄り、正面から優しく抱き締める
突然のハグにレオ閣下はハッと我に返り、顔を赤くした
「ア、アラタ……っ?」
「吐き出したい事は全部吐き出せ。それを責めたりしない。あんたも領主以前に1人の女だ。ツラい事があるなら言え。俺でよかったら聞いてやる」
新はレオ閣下の頭に手を置き、彼女の気持ちを落ち着かせるべく優しく撫で続ける
新の温もりにレオ閣下の表情が
「……スマンのう……最後までお主には敵わんな」
「なぁに、俺んとこにも似た様なお姫様がいるよ。そいつにそっくりだ。いつも主として気丈に振る舞ってはいるが、実は少し寂しがり屋で意地っ張り……凛々しい見た目とは裏腹に可愛い所もある女さ」
新にはレオ閣下がリアスとダブって見えたのだろう……
強く言葉を持ち掛け、優しい動作で気持ちを
暫くするとレオ閣下の表情がいつもの状態に戻り、新も手を離した
「……お主のお陰で気が楽になった、感謝する」
「気にすんな、泣いてる女を泣き止ませるのは男の仕事だ。……話はこれで全部か?じゃあ――――」
部屋から立ち去ろうとしたその時……レオ閣下が「待て」と呼び掛け、扉に鍵を掛ける
振り向いたレオ閣下はそのまま新に歩み寄り、彼の手をギュッと握る
「……?どうした?」
「……お主は……ワシをここまで揺さぶっておきながら、何もせぬつもりか……?このワシを
レオ閣下の顔は明らかに紅潮しており、新に注がれる視線も熱が入っていた
この流れは間違いなく……
「今だけは……今だけは領主としての立場を忘れさせてくれぬか……?」
「それってどういう――――」
「アラタ……ワシと
レオ閣下の口から放たれた言葉に新は一瞬息を詰まらせた
彼女は当惑している新の手を自身の胸に当て、心臓の鼓動を聞かせる
「感じるじゃろう……?ワシの心臓の音が……っ。この高鳴る鼓動と気持ち、お主以外では抑えられんのじゃ……」
「…………」
「……ダメだろうか?やはり、異界の者同士で体を合わせるのに抵抗があるか……?」
恥ずかしそうにしながらも物欲しそうに見つめてくるレオ閣下の視線
それは男ならば一撃でKOされる威力を秘めていた……
レオ閣下の意思を汲んであげるべく、新は彼女の申し入れを
「……分かった。あんたが本気だって言うなら、断る方が失礼だ。喜んで受けよう。ただし、条件が2つある」
「う、うむ……何でも申してみよ……」
「1つは主導権を俺に
「……も、勿論じゃ」
「それじゃあ遠慮無く」
新はレオを抱きかかえると近くにあったベッドの上に寝かせ、自分は覆い被さる様に位置へ付く
レオの上着に手を掛け、ボタンを1つ1つ外していく
窮屈そうな服を取り払い、スカートも脱がしていく
あっという間に下着姿にされたレオは更に顔を紅潮させる
「良いか?」
「う、うむ……出来れば優しくしてれ……っ」
「勿論だとも」
新はまず彼女と唇を重ね、優しいキスを繰り返していく
最初は軽いタッチ程度だったが、徐々に濃厚なキスに移行する
舌で口内を舐められ、今まで感じた事の無い感覚にレオの緊張と鼓動が激しくなる
ギュッとシーツを握り締め、言い難い快感と羞恥心を誤魔化そうとするが出来る筈も無い……
新はキスしながらレオのブラジャーに手を伸ばし、後ろのホックを巧みに外す
そして支えが無くなったブラジャーを一気に取り払い、パンツも器用に脱がす
「――――っ!?」
何が起こったのか理解出来ぬまま、レオは一糸纏わぬ姿を晒された……
ジックリと裸体を凝視する新と目を合わせられないのか、レオは目を閉じて顔を横に向ける
『こいつ思ったより可愛い反応するな……』
火が点いた新はレオの豊満な胸を揉んでいく
揉む度にレオの口から火照った吐息が漏れ、体がピクピクと跳ね上がる
準備が整った所で新は最終通告を出した
「覚悟は良いか?これから何をされるか、分からない訳じゃねぇよな?」
「……うむ。た、頼むぞ……?」
本日2回目の情事が始まった
――――――――――――
「ふぅ……。大丈夫か、猫姫さん?」
「はぁ…………まだ体が
情事を終えた新はズボンを直し、まだベッドで横たわっているレオの頭を撫でる
レオは嬉しそうに尻尾を振る
「アラタ、ワシの我が儘を聞いてくれて助かる。その……気持ちよかったぞ……っ」
「こう言う我が儘なら大歓迎だ。さてと……そろそろフィリアンノ城に戻るか」
「ならば、その前に
「愚問だぜ?酒は男を磨く水、女の次に好物さ」
「ほぉ……なら、ダルキアンの
「あぁ、サンキュー」
新は軽く手を振ってから部屋を立ち去っていった……
レオはようやく体を起こし、巻いていたシーツをはだけて伸びをする
「フフンっ。アラタ、軽々しく受けていると後悔するぞ?奴のくだは長いからのう」
―――――――――――
再び『
新は森の奥地にあるダルキアンとユッキーの住み処――――
「にん♪我らが住み処、
「話はレオ姫より聞いているでござる。アラタ殿、上質の
「あぁ、俺は酒には目が無い方だ」
「その前に案内したい場所があるでござる。ついてきてくだされ」
言われるがままダルキアンとユッキーの後を追う新
少し歩いた先に――――湯気が立ちこもる何かが見えてきた
そう、露天風呂である
「ここは
「へぇ~、なかなか風流じゃねぇか。勿論頂くぜ」
新は直ぐに服をバサバサと脱ぎ捨て、露天風呂に浸かる
丁度良い湯加減に唸り、ダルキアンが提供してくれたフィリアンノ国産の
独特の香りと果物の酸味、甘味が合わさった美酒に満足気な表情となる
「く~っ、美味いな!まさか異世界の酒を飲めるとは」
「如何でござるか?露天風呂と
「最高だ、帰るのも惜しいぐらいにな」
「それは良かったでござる♪では……お館様」
「そうでござるな、ユキカゼ。せっかくなので――――拙者達も湯と酒をいただくとするでござる♪」
ダルキアンとユッキーの発言に酒を吹き出しそうになる新
その
サラシと下着も脱ぎ、2人はとうとう生まれたままの姿となった……
「おろ?アラタ殿、どうしたでござるか?戦場では拙者達の肌を充分見たのでござろう?」
「いや……つい見とれちまった」
照れ臭そうに頭を掻く新にダルキアンとユッキーはクスクス微笑む
2人が湯に浸かると……彼女達の見事なおっぱいが浮かんでいた
プカプカと浮かぶ魅惑の
ダルキアンとユッキーも
「アラタ殿」
「ん、何だ?」
「レオ姫と
「ブーーーーッ!」
追撃をくらった新は口に含んでいた酒を吹き出した……
頬を赤く染めるダルキアンとユッキーは更に畳み掛ける
「やはりそうでござったか。いやはや、通信に出たレオ姫が
「
「ゲホゲホッ!あの猫姫もう喋ってたのかよ!?」
「いや、拙者がそう尋ねたらあっさりボロを出したでござるよ」
テンパり過ぎだろ……と額に手を当てて嘆息する新にダルキアンが寄り添う
「しかし、
「アラタ殿っ、是非ともお披露目お願い申すでござる~♪」
ユッキーが新の背中に体を密着させてきた
フロニャルド1番の爆乳が背中を刺激し、新は一瞬で答えを導き出した
“据え膳喰うべし!!”
「……よし、じゃあ遠慮なんかしねぇけど良いか?」
「無論。そうでなければお相手は務まらないでござる♪」
「いざ尋常に、でござるっ♪」
湯気立つ露天風呂で2人の
――――――――
3回目の情事が終わり、
「もう出来たのか?」
『おう。急ごしらえで不安定だが、この際贅沢は無しだ。
「何っ!?じゃあバイクは――――」
『無理、諦めて新車を買え。じゃあな』
アザゼルからの通信が切れた途端、新はガクッと
車検に出したばかりで長年乗用してきた愛車を手放す事になろうとは……
しかし、これも自分が元の世界に戻る為……涙を呑んで決めるしかなかった
「……向こうの準備が整った。これでお別れだ」
「アラタさん、今度は勇者としてここに来てください。そうすれば気兼ねしないで済みますよ!」
「レオ様に召喚されたら、私と一緒に戦おうねー!」
「クー様も皆も楽しみにしてます」
シンク、ナナミ、レベッカから励ましの言葉を受け取り軽く会釈して手を振る新
次にリコの所へ歩み寄る
「リコ、俺が持ってきたバイクはお前にやるよ。どうせ持っていけないからな」
「ふえぇっ?よ、よろしいのでありますか?」
「あぁ、分解しても怒らねぇ。好きなだけ調べろ」
「分解は…………しないであります!だって……だって……アラタさまがフロニャルドに来てくださった証でありますから……」
「そうか。ま、それも良いか」
新はリコの頭を優しく撫で、リコは尻尾を振って喜ぶ
そこへレオが新に声を掛けてきた
「アラタ、お主には本当に感謝しておる。今度は勇者としてここに呼んでやろう」
「あー!レオ姉ズルいのじゃ~!ウチだってアラタを召喚したいのじゃ~!」
「ハハッ、その時は宜しく頼むぜ?レオ、クーベル」
クスクス笑っていると頭上にグレモリーの紋様をした魔方陣が開かれる
どうやらアザゼルの作ったマシーンが上手く作動したようだ
赤く発光する魔方陣の中に足を踏み入れ、そのまま中央に歩みを進める
中央に立つと同時に新の体も輝き始め、魔方陣の光と共に姿を消していった……
「行っちゃったね」
「うん。アラタさんは本当に強い人だったよ。僕も……僕達も負けてられないや!」
――――――――――
「新っ!」
「新さんっ!」
そして赤い光から解放され、元の世界に戻ってきた新はオカルト研究部の部室にてリアスと朱乃に抱きつかれていた
すぐ側にはアザゼルが作ったであろう召喚マシーンが煙を噴いて破損していた……
「いやー、上手く作動して良かったな。もし途中でマシーンがイカレちまったら微粒子の状態で死んでたぞ」
「危な過ぎるだろ!?影も形も残らずに死ぬのは御免だ!」
「まあまあ、無事に戻れたんだから良いじゃねえか」
ケラケラと笑うアザゼルに殺意を向けていると、アザゼルが「あ、そうだ」と何か思い出したかの様に部屋の隅に置かれていた段ボール箱を持ってくる
「何だそれ、ギャスパーの同類でも届いたのか?」
「それどういう意味ですかぁぁぁっ!?ひどいですぅぅぅっ!」
「いや、オカルト研究部宛に届いたんだが……差出人が
新はフロニャルドに飛ばされていたので
「俺がいない間にそんな事があったのか……。そんな奴から来た荷物を受け取って大丈夫なのかよ?」
「その点は心配無い。届いて直ぐに調べたが毒物も爆発物の反応も無かった」
新が恐る恐る段ボール箱を開けてみると――――中には大量のカップ麺とライラックの花束の他、二つ
『アーシア・アルジェントへ、飯を作ってくれた礼だ。新発売のカップ麺を送る。中にある花束だが、部屋の隅にでも飾っておいてくれ。兵藤とはいずれ決着を付けるが、今だけこの町から手を引いてやる。
「……っ。
「はい、イッセーさん」
一誠とアーシアは段ボール箱の中にあったライラックの花束を持って花瓶に生けておく
ライラックの花束を見た新やリアスはコッソリと耳打ちする
「ねえ、新。紫のライラックの花言葉って確か……」
「あぁ、そうだ。……一誠の奴、少しは焦った方が良いな」
「あらあら、アーシアちゃんも罪な
「「……?」」
ヒソヒソと話し合う皆にキョトンとする一誠とアーシア
2人は知らなかった
紫のライラックの花言葉は――――『恋の芽生え』『初恋』である事に……
―――――――――
「なあ、兄貴。どういう風の吹き回しだよ?あの女の所にカップ麺を送るなんて」
「飯を作ってくれた礼ぐらい返してやろうと思っただけ、ほんの
「んな事する必要あったかぁ?しかも、わざわざ買った花まで添えてよぉ。あれ、ライラックって花じゃなかったか?確か花言葉は『初恋』……って、まさか兄貴、あのアーシアって女に惚れたのか?」
「…………………………そうだな」
「ゑ……っ!?おいおい、マジかよ……?」
「そう言う感情はリンゴが木から落ちるのと同じで、ある日突然やって来る物なんだろう」
「か~っ、兄貴の趣味は分からねぇ」
「あぁ、自分でも驚いている。あれだけ忌み嫌っていた筈なのに好きになっちまうとは……。全く罪な女だよ、アーシア・アルジェントは……」
やっとこさ書けました……。忙しすぎて全然暇が無い……っ。R18場面はまた後で執筆いたしますのでご容赦ください……っ。
さて、これにてオリジナル章は終結!次は修学旅行編とイキマショー!