「くそったれ、やりやがったな。まさかこんなにも早く行動した上に唯一の回復役であるアーシアを盾にするとは……」
偽の依頼先(正確には脅されていたらしい)から戻ってきた一誠は直ぐ様アーシアが
特に一誠は自分が居たにもかかわらず、アーシアを拐われてしまったので自分の不甲斐無さを思い知らされてしまう
「イッセー1人を来させる為にアーシアを拐うなんて、何処まで卑劣な真似をすれば気が済むのかしら……ッ!」
リアスは幽神兄弟の所業に我慢の限界を迎えそうだった
だが、ここで全員が派手に動けば幽神兄弟に気付かれ、アーシアの身に危険が及ぶ事になるだろう……
やはり要求通り一誠が1人で幽神兄弟の指定した廃教会に向かうしか無い
「それまでアーシアさんが無事でいるかどうかが問題だね……」
「幽神の野郎……アーシアに何かしやがったら、ただじゃおかねぇ……ッ!例えば――――」
※ここからは一誠の勝手な妄想が入ります
『はぅぅ……っ、やめてください……っ。こんな格好で……な、何をするつもりなんですか……?』
『俺達に鼻血を噴かせたお返しだ。溜まりに溜まったこの鼻血をお前にぶっかけてやる』
『兄貴、スポイトに入れ終わったぜ。ジワジワとぶっかけてやろうじゃねぇか』
『よぉし、まずは腹にかけてやれ』
ピュッ!ピュッ!
『ひゃあぁっ!はうぅ……な、生暖かいですぅ……っ』
『次は足だ』
『俺は脇の下にかけるぜぇ』
『へうぅぅ……っ。だ、駄目ですぅ……!そんなにかけないでください……っ』
『ゴフッ……!なんて破壊力のあるエロさだ。相棒、覚悟は良いな?ラストは――――』
『あぁ、俺達を生死の狭間に追いやった――――あの乳だな。おらおら、おとなしく両手を広げろよ!』
『いやぁっ!や、やめてください……っ!ここだけは……』
『『恨むなら俺達を殺しかけたその乳を恨みな!』』
ピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュピュッ!
―――妄想が途切れる―――
「あんのゲス野郎どもおぉぉぉぉぉっ!アーシアのおっぱいに何をぶっかけてんだあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「イッセーくん、今物凄くスケベな事を考えてないかい……?」
一誠は自身の妄想の内容に吼え、その様子を見た祐斗は頭を痛め、小猫に至っては「……最低です」と毒づく始末……
アザゼルは顎に手を当てて何か良い手は無いかと模索する
「せめてアーシアの安否だけでも知れれば良いんだが……。いっその事こっちも奇襲を仕掛けてみるか……?」
「奇襲?まさか俺が単身でって事すか?」
「俺が考えてるのとは少し違うが、まあ
イッセー以外出撃禁止とも取れるアザゼルの言葉にリアスが“納得いかない”と言った様子で待ったを掛ける
「それはいったいどういう事なの?」とリアスが問いただすとアザゼルはノートパソコンを開き、幽神兄弟が所持する
「奴らの
アザゼルの言う事は
眷属への情愛が深いリアス、仲間意識が強いグレモリー眷属全員から集められた怒りと憎しみの濃度は幽神兄弟の
集団で攻め込んでもアーシアを盾にされれば攻撃が出来なくなってしまい、全員が幽神兄弟のリンチを受ける事は必至
故に一誠が単身で行くしか方法は無いのだが……
「あー、どうせならこっちも奴らの弱点を突いてやりたいんだけどなー」
アザゼルがふと漏らした言葉の意図を察した一誠は目を爛々と輝かせ、リアスは腕を組んで嘆息する
「幽神兄弟の弱点――――と言っても、女性の裸でしょ……?」
「そう言うこった。イッセーの『
「要はあいつら、木場みたいにムッツリスケベだって事スよ!」
「イッセーくん、それはどういう意味かな?」
祐斗は一誠に静穏な怒りのオーラを発し、それに気付いた一誠は即土下座していた……
その間にアザゼルは何かを思い付いた
「イッセー、名案を思い付いたぞ。幽神兄弟が指定した時間は午後4時、場所は町外れの教会跡だったよな?」
「え?はい。そうですけど」
「よーし、明日その時間まで普通に過ごしとけ。具体的な作戦はまた明日に話すからな」
アザゼルの悪巧み顔にリアスを始めとする一誠以外のメンバーが苦笑するしか無かった……
――――――――――――
翌朝、幽神兄弟の仮アジトでもある廃教会
そこに囚われているアーシアは割れた窓から射し込む日光によって目を覚まし、大きな
「お、起きたか」
カチャカチャとコンロやヤカン、フライパンを用意しているのは幽神兄弟の弟、
アーシアは半開きの目を擦り、兄の
「あの……、あなたのお兄さんは?」
「ん、兄貴か?兄貴なら直ぐそこの小川で魚を獲ってるぜ。朝飯の追加メニューだ。お前、何味にする?薄口醤油味でも良いならそれにするけどよ」
カップ麺初心者のアーシアは勧められるがまま頷くしかなく、悪堵は自分が食べるきつねうどんと正義が食うであろうたぬきそばのカップ麺を用意
ヤカンをコンロに乗せ、火に掛ける
暫くしてお湯が沸き、1度ヤカンを下ろしてから今度はフライパンを乗せる
「さてと、塩焼きかムニエルにでもするか」
「あ、あの~……」
「あ、何だ?」
「もし良かったら……お食事の用意、私もお手伝いして良いですか?」
アーシアの突然の言葉に悪堵は一瞬固まるが、直ぐに我に返って「何でだよ?」と訊く
「だって、あんなに美味しい食べ物を貰ったの初めてで……。そのお礼がしたいんです」
「か~、本当に変な女だぜ。たかがカップ麺1個でそこまで言えんのか?まあ、良いか。じゃあカップ麺にお湯を
「は、はいっ」
アーシアは慣れない手付きでカップ麺の封を開け、表記されている作り方の注意書を読みながら手順に従う
正義が食うであろうカップ麺(たぬきそば)のかやく袋を開けて粉末を入れる
手こずりながらも何とか粉末スープを入れ終えた所で正義が戻ってきた
網には
「おっ、兄貴」
「相棒、あいつはいったい何してんだ?」
「あぁ、何か自分も手伝いたいとか言い出したもんでよ。ちょうど良いから手伝わせてんだ」
「自分から手伝うだと?全く……数奇な女だ――――」
言い切ろうとした瞬間、正義は言葉を止めてアーシアの手元を凝視した
その理由は……アーシアがたぬきそばに必ず付いているサクサクの天ぷらを器に入れ、お湯を注ごうとしていたからだ……
カップ麺玄人とも言える正義にとっては衝撃的な光景、川魚が入った網を落とし――――絶叫した
「それを入れるなァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」
熱湯が口から流れ落ちたと同時に正義は神速のダイビングキャッチでたぬきそばを救出するものの、その熱湯は背中に直撃した
アーシアは先程の絶叫と正義の登場に驚いてヤカンから手を離してしまい、ヤカンから
「あ、兄貴ッ!?」
「ぐ……ッ!……心配するな、カップ麺は無事だ」
「きゃあっ!?ご、ごめんなさい!背中にお湯が……す、すぐに治療しますっ!」
「そんな事はどうでも良いッ!お前……今たぬきそばに於いて、やってはならない事をしようとしたんだぞ……ッ!」
正義は怒りを表しながら器に入っていた天ぷらをつまみ上げる
「カップ麺の天ぷらは“後乗せ”が鉄則なんだ!先にお湯を入れてしまったら、天ぷらのサクサクとした食感を殺す事になる!中には柔らかい天ぷらの方が良いと言う奴もいるだろうが、徐々にスープを吸って柔らかくなるのに――――何故先にお湯を入れる必要があるんだ!“後乗せ”ならどちらの食感も味わえると言うのに……ッ!そもそも天ぷら自体が揚げた物で――――」
「あちゃ~……始まっちまったよ、兄貴のたぬきそば理論……」
カップ麺(主にたぬきそばのルール?)を知らな過ぎたアーシアに説教するかの如く、正義は“たぬきそばの天ぷら後乗せ理論”を唱え続けた
15分ノンストップで持論を唱え続けた正義はようやく口を止めて深い溜め息をつく
「――――と言う事だ。カップ麺の天ぷらは“後乗せ”が原則、分かったな?」
「あ……はい」
「分かったなら良い。さっさと飯にするぞ」
「ま、待ってください!」
アーシアの呼び止めに溜め息をつきながら「何なんだ?」と尋ねる正義
「背中、火傷してる筈です!治療しますから上着を脱いでください!」
「……いらん。水で冷やせば充分――――」
「ダメですッ!ちゃんと治療しないと
いい加減にしろとばかりに断ろうとする正義だったが、アーシアは引き下がる様子を微塵も見せず――――逆に正義の方が
お人好しのバカだと侮っていたアーシアの決意固き眼差しに、正義は遂に折れた……
「……分かったよ」と不本意ながらも上着を脱ぎ捨て、アーシアに背中を向ける
火傷した患部にアーシアは手を当て、淡い緑色の光を発した
アーシアの『
「…………お前は本当に変な女だな。敵である俺の怪我を治すとは。恩でも売るつもりか?」
正義の皮肉な発言にアーシアは首を横に振った
「怪我をして困っている人に――――良い人も悪い人も関係ありません。私が治したいと思ったから治すんです」
「……っ」
濁りや陰りが一片も無いアーシアに正義は何も言えなかった
“この世の中、こいつみたいな奴がもっと多く居てくれたらな……”と不覚にもそんな考えを
その時、正義の目から温かい何かが頬を伝う
無意識に指でそれを拭い取ると――――小さな
それはもう心身共に枯れ果てた自分には無縁だと思っていた“涙”だった……
捨てた筈の
アーシアの優しさに触れたからだろうか……
『…………っ。こんな……こんな事が……っ』
一瞬揺らぎそうになった正義だが“信じられない、あり得ない”と自分に言い聞かせ、
アーシアの治療が終わると直ぐにカップ麺を並べ直し、獲ってきた魚の調理に取り掛かる
「……とりあえず礼は言っておく。飯にするぞ」
―――――――――――――
それから数時間の
リアスを含めた残りのメンバーは部室にて待機させられている
一誠とアザゼルはお互いの顔を見合わせて無言で頷き、アーシア救出に向かった
町外れの廃教会付近まで来た所で足を止める
「ところで先生?昨日言ってた名案ってヤツをそろそろ教えてもらえませんか?」
「おぉ。ちょうどお前の
それを聞いた一誠はグフフと変態成分100%の笑みを浮かべる
「何度も言うが、奴らがアーシアを拐ったのはお前を
「その助っ人、やっぱり女の子ですよね?」
「あぁ、しかもお前が知ってる顔ぶれだ」
その言葉の意味が何なのか気になる一誠だったが、答えは直ぐに訪れた
何かが羽ばたく音が複数こちらに向かってくる
バサバサと降り立つ助っ人らしき者達
一誠は内心ワクワクしながら振り返るが、助っ人の1人――――露出度の高い黒ボンテージを着た堕天使を見て顔色を変えた……
「せ、先生……まさか、助っ人って――――」
「その通り。いま新が世話してやってるレイナーレと元ディオドラ眷属『
そう、アザゼルが呼んだ助っ人とは……一誠の元カノであり一誠を1度殺した堕天使レイナーレ
一誠が顔を青ざめるのも無理は無かった……
更に彼女の周りには元ディオドラ眷属の『
彼女達もレイナーレ同様、新の紹介した寮に住み着き、酒場でウェイトレスとして働いている
余りの衝撃に固まっている一誠の肩にアザゼルが手を置く
「イッセー、一応グリゴリの若い女にも声を掛けてみたものの……見事に全滅しちまったんだよ。やっぱお前の『
「そ、そうなんですか……。ちょっと複雑っス……」
「まあ、そう固い事言うなって。アーシアを救出する人員はこいつらしかいないんだ。これ以上の適役は無いと思うぞ?それにだ」
「それに?」
「素材自体は悪くないだろ?」
「………………勿論っスッ!」
溜めはあったものの納得出来た一誠は親指を立てる
アザゼルはレイナーレと元ディオドラ眷属『
「――――と言う具合だ。頼めるか?」
「勿論です!アザゼル様のご命令とあらば、断る理由などありません!」
レイナーレはアザゼルの提案を直ぐに承諾したが、元ディオドラ眷属『
「どうしてこんな事を」
「こんなスケベ男の為にしなきゃいけないなんて」
「アラタ様だっていないし」
「これなら戻った方がマシかも」
やはり予想通りの反応を見せたが、アザゼルにとっては想定内
そこでアザゼルは決定的な言葉を放った
「安心しろ、この任務の特別報酬は新だ」
「……え?先生、それどういう意味――――うおおっ!?目の色が変わってる!?」
“特別報酬=新”と聞いた瞬間、元ディオドラ眷属『
レイナーレもその事についてアザゼルに聞く
「アザゼル様、その報酬は私も同じですよね?」
「あぁ、勿論だ。好きにヤっても構わねぇ」
「ちょっ!このヒト新を餌にしやがった!良いんスか!?勝手にそんな事言って!」
「心配すんな。この場にいない新が悪いんだよ」
「
「何言ってんだ。あいつ1人の
「鬼だ……ここに鬼がいる……。しかも犠牲の“牲”が“性”に変わってるし……」
アザゼルの容赦無き贈賄行為に一誠は“あいつ帰ってきたら死んじゃうんじゃないか……?”と顔を引きつらせた
アザゼルは幾重もの翼を広げて飛び立つ
「俺がしてやれるのはここまでだ。イッセー、アーシアを助け出したら――――思う存分ぶちのめしてやれ。その為の作戦でもあるんだ」
「……っ。はいっ!」
一誠に
いざ、作戦を開始しようとした所で一誠がある事に気付く
「あれ、何か人数が少ないような……。もっと他にいなかったっけ?ロングヘアーのお姉さまとかゴスロリ服を着た
「ええ、カラワーナとミッテルトね。いるけど酒場が忙しいから残ってもらったのよ」
尚、衣装アイデアの提供源は新が大半だったりする(笑)
「それじゃあ、さっさと行きましょうか。……こっちの私の方が良い?イッセーくん♪」
「いや、出来れば素の方で……」
一誠は気を取り直してアザゼルから聞いたアーシア救出作戦の下準備に取り掛かった
―――――――――――――
「すぅ……すぅ……」
「この女、人質って立場を忘れてんのか?呑気に寝てやがる」
「全くだな。思った以上に図太い神経だ」
朝のちょっとした騒動からは特に何事も無く過ごし、現在の時刻は午後4時1分
2人にとって楽しみの時間がとうとうやって来た……
「どうした、兄貴?」
「……この女はこのままにしておこう」
「何でだよ?これからあのクソ兵藤が来るんだぜ。こいつを盾にして――――」
「このままにしろって言ったのが分からないのか?相棒」
正義から発せられたドスの利いた声と迫力ある眼差しに、悪堵は動きを止めてしまう
いつもなら嬉々として相手に必ず勝てる手段を行使してきた筈なのに……今はそれを拒否した
すかさず正義はこう言う
「今の俺達なら充分に兵藤を倒せる。あれから
「それに?」
「ボロボロにした兵藤をあの女に見せつけてやるのも面白そうじゃないか」
「ハハッ!さっすが兄貴、言う事が違くてエグいぜ!」
笑い飛ばす悪堵は早速右手に
我先にと外へ飛び出していく悪堵
正義は数歩進んで立ち止まり、眠っているアーシアの方を向く
「……本来の俺だったら有無を言わさずこいつを連れて、兵藤のストッパーにしてやるのに……。何だろうな……急に調子が狂っちまった」
彼らしくない哀愁漂う台詞を吐きながら眠っているアーシアに近付き――――彼女の頭を優しく撫でる
「お前の様な人種にもっと早く会っていたら、俺達は変われたかもしれないな……」
とうの昔に捨てた感情を甦らせてくれたアーシアに背を向け、正義は外へ向かう
その間際に「お前が作った魚のムニエル、涙が出る程美味かった」と言い残して……
―――――――――――――
外へ出て悪堵と合流した正義は視線の先からやって来る人影を見据えた
「来たか、兵藤」
幽神兄弟の前に現れた一誠は10メートル手前の距離で足を止め、キッと幽神兄弟を睨む
「幽神、アーシアは無事なんだろうな?怪我1つ負わせてみろ。俺はてめぇらを許さねぇぞ……!」
「ふんっ、眠り姫を助けに来た王子様のつもりか?兵藤。安心しろ、奥でぐっすり眠っている」
「言う通りに来たんだから、アーシアを返せ!」
一誠の物言いに悪堵はゲラゲラと笑う
「おいおい兵藤?そんな事言われて俺達が素直に返すと思ってんのかぁ?」
「最初はそのつもりだったが、気が変わった。返すのはお前をここで潰してからだ」
正義は親指を立てた右手を下に向け、悪堵はシャドーボクシングをしてから攻撃の構えを取る
普通なら幽神兄弟の言い草に腹を立てる一誠だが……今回は予想通りの反応だとばかりに頷いた
「へっ……やっぱそう来たか。だったら、遠慮なんかしなくて良いんだよな」
「何がおかしい。気でも狂ったか?」
「俺達が憎過ぎて逆に笑っちまうってか?」
「アーシアは絶対に返してもらう。お前らをぶん殴るのはそれからだッ!」
一誠が声を張り上げた刹那、正義は複数の異様な気配を察知して周りを見渡す
複数の人影――――元ディオドラ眷属『
「なるほど、あなた達が『
「「ブッ!」」
レイナーレを見た幽神兄弟は即座に何かを吹き出し、視線を逸らす
レイナーレは何故彼らがそうするのか理解出来ずにいたが、一誠は予想通りの結果にガッツポーズをした
「ぐっ……!兵藤!随分と姑息な真似をしてくれるな……!」
「うっせ!お前らだって散々卑怯な手を使ってきたくせに!これはその
そう言って一誠は『
その動作を見た元ディオドラ眷属『
この時、正義は一誠が何をやろうとしてるのか
「くらえっ!『
一誠が指を鳴らすと同時にレイナーレ、元ディオドラ眷属『
多種多様な女の子の裸やおっぱいが眼前に現れたのを目撃した幽神兄弟は無論――――ブッシャァァァァァァッと勢い良く鼻血を噴き出して体勢を崩す
足元に血溜まりが完成し、一誠は鼻血を出しながら得意気に語り始めた
「アハハハハハハハッ!ざまーみろ!これがお前らへの秘策だ!実はここへ来る前に、この
「ぐっ……!ゲフゥッ!やってくれたな……兵藤ォ……ッ!だが……お前はやはりバカだ……ッ。そんな事をすれば、あの女どもだって動けんだろう……!助っ人の意味が全く――――なぁっ!?」
正義は途中で素っ頓狂な声を上げてしまう
その理由は黒髪を結わえた元ディオドラ眷属『
自分が全裸である事もお構い無しに正義の顔面へ蹴りを入れる
不意討ちをくらった正義は背中から倒れ、鼻を手で押さえる
「あ、兄貴……!大丈夫……な
悪堵も正義と同じ様に素っ頓狂な声を上げた
茶髪にリボンを付けた『
悪堵は何とか回避したものの、次にやって来た赤い髪の『
よろめいた直後、正面から紫色の髪をした『
悪堵は顔面を押さえながら苦しむ
正義は直ぐに援護しようとするが、自分の前に金髪の『
しかも、素っ裸のおっぱいやアソコも丸見えだったので鼻血の噴出度が一気に増加した挙げ句、アゴを蹴り上げられてしまう
「がふっ……くそぉ……!何なんだ、こいつらは……!?」
「あーら、この程度の事で取り乱すなんて。思った以上に純情なお子様ね」
毅然とした態度でレイナーレが光の槍を手元に作り、それを正義に投げつける
正義はギリギリで
正義は手で目を覆ったままレイナーレに問いただす
「お、お前ら……何でそんな状態なのに向かって来れるんだ!?何で誰1人隠そうとしないッ!?」
「別に私はあなた達に見られた所で何の問題も無いし、服なんて後で作れば良いだけの話よ」
レイナーレは裸体を一切隠さず正義の物言いを一蹴
元ディオドラ眷属『
一方で一誠は相変わらず鼻血を出しながら、この桃源郷を目に焼き付けようとしていた……
「こ、これやぁ……!これこそまさに!俺が夢見たおっぱい天国やぁぁぁ……っ!」
「ほら、いつまで見とれてるのかしら?あの奥にアーシアがいるんでしょ?早く行きなさい」
「おっと、そうでした!じゅるり……っ。じゃあな幽神!ププッ、鼻血の噴き過ぎで死ぬなよ!お前らは俺がブッ飛ばしてやるからな!」
一誠はヨダレと鼻血を拭ってアーシアのいる廃教会内へと走っていく
それを見た悪堵は「待ちやがれッ!」と叫んで追い掛けようとするが、『
やむを得ず方向転換しようとした矢先、緑髪のツインテールの『
悪堵は魔力弾を右腕で殴って弾き返す
その隙に『
更に『
前方から長い髪を
「ブシャァァァァァァ……ッ。くそったれ……!この露出狂どもがぁ……っ!」
悪堵はヤケクソ気味にパンチを放つも、勢いが無い為直ぐに受け止められてしまう
その上、何発も打撃を入れられ――――右手を捻られて転がされた
『
悪堵は正義の近くまで転がり、肩を借りて起き上がった
正義はこの
端から見れば裸の美少女達に囲まれたハーレム状態だが、幽神兄弟にとっては死活問題
「兄貴……ヤベェよ……っ。血が足りなくなってきた……!」
「くそぉ……ッ!こんな事で……俺達がぁ……ッ!」
歯軋りをどうしても止められない正義
そんな中、建物内に侵入していた一誠がアーシアを抱きかかえて飛び出してきた
それを見た正義のコメカミに青筋が浮かぶ
「へへッ、アーシアは返してもらったぜ!幽神ッ!今までよくも卑怯な手でやってくれたな。どうだ、散々バカにしてきた奴に出し抜かれた気分は?まあ、こんな素敵なおっぱいがいっぱいの策に引っ掛かって幸せ者だろうな、このムッツリ兄弟!」
今までのお返しと言わんばかりの罵倒に鬼の形相へと成り変わる幽神兄弟
特に正義の怒りは尋常じゃなかった
色仕掛けで惑わす彼女達を憎み、ふざけきった策を立案した一誠を憎み、そして何より……一誠の策にしてやられた自分自身を憎んだ
あらゆる方向に対する怒りと憎しみがかき混ぜられ――――遂に弾けた……
「おのれぇ……ッ!兵藤ォォォォ……ッ!兵藤ォォォォォオオオオオオオオオオオオオッ!」
怒り狂った様に正義は天に向かって咆哮を解き放つ
その声量や雰囲気は餓えた獣の如し……
正義の怒りに呼応したのか、左足の脚甲が激しく光り輝き――――
更にその光が正義を包み込み、彼を
だが、それだけでは終わらなかった……
右足と両腕にも刃が隆起し、両肩からは鉤状の爪が伸びてくる
そして背中から昆虫の様な
真っ赤に光る
オーラによる風圧が外壁を割り、木々を裂き、地を抉る……
「な……何だよ、このオーラ……!?昨日のあいつとは全くの別物みたいだ……ッ!」
一誠はアーシアをレイナーレ達に委ね、彼女達に退却するよう促す
レイナーレもこれ以上は足手まといになると理解し、元ディオドラ眷属達と共にアーシアを連れて去っていった
変化が終わった正義は全身から漂う殺気を鎮めて一誠を睨み付ける
「これで邪魔者は居なくなった。兵藤ォ、お前はもう殺すだけじゃ飽き足りない。お前が死ぬまで……地の果てまでも追ってやる……。自分から死にたくなるような苦痛と屈辱を永遠に味わわせてやる……ッ。今日がその記念すべき1日めになるだろうなぁ……ッ!」
「ハ、ハハッ……ヒャハハハハッ!兵藤!てめぇはもう終わり!終了!ジ・エンドだぁ!兄貴が完全にキレちまったぜぇ?ここまでキレた兄貴を見たのは俺も初めてだ!五体満足で帰れると思うなよぉ!?」
悪堵も右腕の籠手を光らせて
その直後、悪堵の背中にも同じ様に
昨日とは比べ物にならない迫力を見せつける
そこへドライグが語りかける
『相棒、奴らの波動がより凶悪性を増してしまったようだな。特にあの緑色の方はまずい事に成りかねん』
「まずい事?何だよそれ?」
『奴の尋常ならざる怒りと憎しみで成長の伸び代が大きくなっている。下手すれば化けるかもしれんぞ。――――「
「ロ、『
『そこまでは知らん。ただ……その“何か”が奴の憎悪で創造されてしまう可能性もある。あくまで可能性の話だが……
“正義の
それは神と魔王が居なくなった現在ならあり得ない話じゃなかった
現に一誠は相反する
可能性があったからこそ実現出来た事例である
「だったら……そうなる前に倒すしかないって事だよな!ドライグ、行くぞォッ!
『
『
彼ら以外居なくなった教会跡に
今回の戦闘描写はアニメ3期の第8話を参考にしました♪
いよいよ一誠との因縁も終盤に突入です