ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

11 / 263
10日間の修行

「合宿?」

 

 

 

「そう。明日から10日間、山籠りで修行しに行くんだ。だから、お前らはその間留守番って事」

 

 

 

新からレーティングゲームと合宿の話を聞いた堕天使三人組

 

 

 

酒を飲むレイナーレ、風呂から上がったカラワーナ、足をパタパタするミッテルトは何故か不満そうだった

 

 

 

「その間、うちらはどうすれば良いの〜?」

 

 

 

「お前らだけで生活すれば良いだけだろ」

 

 

 

「食事や酒の用意は?」

 

 

 

「それもお前らが」

 

 

 

「アラタ。私達が家事なんて仕事、やると思ってる?」

 

 

 

「じゃあどうすんだよ」

 

 

 

レイナーレは嫌な笑みを浮かべながらボンテージを脱ぎ捨て、ある人物の格好をする

 

 

 

レイナーレの仮の姿――――天野夕麻(あまのゆうま)

 

 

 

「っ?何の真似だ?」

 

 

 

「決まってるじゃない。その合宿に勝手に参加するの。食事の用意担当がいない生活なんて真っ平だわ」

 

 

 

「そうだな。最近は目ぼしい賞金首を見ないから丁度良い」

 

 

 

「やっほぅ♪タダ飯食い放題〜♪」

 

 

 

「テメェらなぁ………まぁ、電話してリアス部長に聞いてみるか。却下されたら余計な荷物が減るだけだし」

 

 

 

その後でリアスに電話してみたら「新が監視役なら大丈夫そうね」と、堕天使三人組の同伴が認められた

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

「ひー……ひー………」

 

 

 

「ほらイッセー、早くなさい。新は私達よりずっと先にいるのよ」

 

 

 

一誠は巨大なリュックを背負わされ、両肩に荷物をかけて山を登っていた

 

 

 

行く時も修行の一環と言う物だろう

 

 

 

「待てコラ堕天使!飛ぶなんてズリぃぞ!1個ぐらい荷物持て!」

 

 

 

「嫌よ。そんな汗臭い事やりたくないもの」

 

 

 

黒い翼を羽ばたかせながら山を登る堕天使三人組と追い掛ける新

 

 

 

彼も一誠と同じ様にリュックを背負っているが、現役バウンティハンターなので体力は一誠よりある

 

 

 

「俺………頂上に着く前に死ぬかも………」

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

レッスン1、木場祐斗との剣術修行

 

 

 

バシィバシィッ!ガッ!バシィンッ!

 

 

 

新と祐斗が互いの木刀で打ち合っている

 

 

 

祐斗は元々剣の才能に秀でており、新もバウンティハンターでの実戦経験で剣の扱いはお手の物

 

 

 

一誠は自分との実力差に唖然としていた

 

 

 

「やっぱり凄いね、竜崎くん!」

 

 

 

「祐斗もなかなかの剣捌きだ」

 

 

 

ザッ!新が木刀で地面を抉り土を飛ばす

 

 

 

祐斗が気を取られた隙に、喉元へ切っ先を突きつけた

 

 

 

「参りました」

 

 

 

悔しくてもにこやかに木刀を下ろし、頭を下げる祐斗

 

 

 

「悪いな。こういうやり方もしてくるんじゃないかと思ってやってみた。勝負の世界は皆クリーンじゃないから気を付けろよ?」

 

 

 

「そうだね。参考にさせてもらうよ」

 

 

 

新は一誠に木刀を渡して堕天使三人組のところへ

 

 

 

「お疲れアラタ〜」

 

 

 

「流石悪魔ね。やる事が汚いわ」

 

 

 

「少なくともお前らよりマシだ。それより、ちゃんとタオルと飲み物用意しとけよ」

 

 

 

「分かっている」

 

 

 

新がドリンクを飲み干す中、一誠は祐斗に何度も打ちのめされていた

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

レッスン2、姫島朱乃との魔力修行

 

 

 

「そうじゃないのよ。魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集めるのです。意識を集中させて、魔力の波動を感じるのです」

 

 

 

丁寧な説明を受けているが、一誠の手には全く魔力が集まらない

 

 

 

作り出せるとしても米粒程度だった

 

 

 

隣のアーシアは緑色の魔力を手のひらに出現させ、新は赤と黒が混ざった魔力を両手に生み出していた

 

 

 

「アラタ凄いね〜」

 

 

 

「鎧を展開してないと炎や氷を作れないのが難点だけどな」

 

 

 

「私達の光には遠く及ばないわね」

 

 

 

「喧しいな」

 

 

 

この後も一誠だけが魔力をうまく作れなかったが、途中で何やら凄い事を思い付き、朱乃に耳打ちしていた

 

 

 

新はその様子を見ながら、魔力を増大させようとして爆発させてしまった(被害は新のみ)

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

レッスン3、塔城小猫との組手

 

 

 

「ぬががあああああ!」

 

 

 

ドンッ!ズルズルズル………

 

 

 

一誠が本日10回目の巨木とのハグに成功した

 

 

 

組手を見ていた新と堕天使達は皆大爆笑

 

 

 

「………弱っ」

 

 

 

「は〜い!小猫からキツい一言が一誠に放たれました〜っ!」

 

 

 

「アハハハハハハッ!おっかしい!よっぽどその木が好きなのね!」

 

 

 

「もううち、お腹痛過ぎてヤバイ〜!」

 

 

「笑ってやるなミッテルト……!あれでも必死なんだろう………プククッ!」

 

 

 

小猫は見掛けによらず、立ち技、寝技、色んな格闘技を使いこなす

 

 

 

素人の一誠では、まず当てるだけでも難しい

 

 

 

更に小柄な体格を活かした俊敏性も備わっているので、普通に強い

 

 

 

「………打撃は体の中心線を狙って、的確かつ抉り込むように打つんです。では次、新先輩」

 

 

 

腕を振り回す小猫の呼び掛けに応じる新

 

 

 

静かに構えを取る

 

 

 

ビュッ!ビシッ!

 

 

 

新が素早く動いて拳を当てようとするも、小猫の手に阻まれる

 

 

 

しかし、小猫も拳を鳩尾に入れようとするが、新は掌で止める

 

 

 

そこから激しい拳と蹴りの合戦が始まり、しばらくして距離を取る

 

 

 

「………新先輩。ただのドスケベじゃないんですね。強いです」

 

 

 

「小猫もな」

 

 

 

小猫との組手は更に続き、一誠は組手途中で三回ほど死にかけたとか

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

レッスン4、リアス・グレモリーとの修行

 

 

 

「イッセー!気張るのよー!」

 

 

 

「おおっス!ハヒー……ハヒー……」

 

 

 

新と一誠は背中に岩を括り付け、険しい山道を何度も往復していた

 

 

 

新は一誠より体力があるので、岩の大きさは三倍

 

 

 

それを何十往復ともなると、流石に疲弊の色が出てくる

 

 

 

「はぁ……はぁ……ま、まだ往復しないと……いげねぇのか……?」

 

 

 

「新の基礎体力はイッセーを大幅に上回っているから、イッセーと同じメニューじゃダメよ。さ、もう一個岩を乗せてあげる。あと十往復したら次は腕立て三百回よ」

 

 

 

「三百か。それぐらいなら何とか」

 

 

 

「新は千回よ」

 

 

 

「ぬがぁああああああああああああああっ!」

 

 

 

新の悲痛な叫びは山全体に響き渡り、堕天使三人組は腕立ての間、新の上に乗っかってずっと笑っていたらしい

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

修行を開始してから一週間過ぎたある夜、新は眠れずにいた

 

 

 

堕天使三人組と同部屋と言う男のロマンを独り占めしている

 

 

 

いつも裸で寝ているレイナーレ、カラワーナ、ミッテルトに毛布を掛けて外に出る

 

 

 

別荘を出た新は林の中を進む

 

 

 

少し離れた場所で足を止め、辺りを見回す

 

 

 

「出てこいよ闇人。いるんだろ?」

 

 

 

そう言うと、木の陰から続々と異形の化け物が出てくる

 

 

 

以前見たネズミ型十匹と、初めて見る馬型がいた

 

 

 

「こんな山奥で森林浴か?お気楽だな」

 

 

 

「森林浴じゃなくて修行だ。三日前から妙な気配を感じると思ってたら、案の定いたか」

 

 

 

「『闇皇の鎧』を宿している限り、貴様は何処にも逃げられはしない。おとなしく我らの元に下れば、命だけは助けてやるぞ?」

 

 

 

闇人の提案に新はペッと唾を吐き捨てる

 

 

 

「今の俺の主はリアス・グレモリーだ。お前らみたいなゲスな化け物の所なんか行くかよ」

 

 

 

「ならば仕方ない。『闇皇の鎧』だけでも返してもらうぞ」

 

 

 

闇人が体内から剣を生み出し、ネズミの化け物が囲うように陣形を取る

 

 

 

新は『闇皇の鎧』で闇皇と化し、腕から剣を取り出す

 

 

 

闇人が剣で合図をすると、ネズミ達が一斉に襲い掛かる

 

 

 

「ネズミに用はねぇんだよ」

 

 

 

新は刀身に魔力を注入してネズミ達を切り払う

 

 

 

「一匹、二匹、三匹、四、五、六、七、八、九、ラストォ!」

 

 

 

ネズミ達は全員死骸となって地面に落ちた

 

 

 

「やはり普通の量産型では意味が無いか」

 

 

 

闇人の下半身が闇に包まれ、ケンタウロスみたいな姿となった

 

 

 

地面を蹴って駆け出し、新に斬りかかる

 

 

 

足を斬ろうとするも、闇人は後ろ足で立ち上がり回避

 

 

 

そのまま新を踏みつけようとした

 

 

 

「うおっ!」

 

 

 

新は剣で防ぎ、横へ払って距離を置く

 

 

 

闇人ケンタウロスは口から魔力の塊を三発放出

 

 

 

新はソレを斬り、剣を振って斬撃を飛ばす

 

 

 

「ぐわぁっ!」

 

 

 

新の斬撃はケンタウロスの左腕を切断した

 

 

 

「早速修行の成果が出てるな。斬撃を飛ばせた」

 

 

 

「ぐっ!おのれぇぇぇぇぇぇ………!」

 

 

 

ケンタウロスは憎々しげに新を睨み、新は少し余裕を持つ

 

 

 

今は誰もいないし、別荘から離れているからちょっとやそっとじゃ気付かれない

 

 

 

そう思っていた

 

 

 

パキッ

 

 

 

「ん……?小猫!?」

 

 

 

木の陰に何故か小猫がいた

 

 

 

それを見た闇人ケンタウロスはニヤリと笑い、小猫に魔力の塊を数発撃った

 

 

 

「っ!クソッタレが!」

 

 

 

新が小猫と魔力弾の間に割って入る

 

 

 

ドォォォォォォン!

 

 

 

「きゃあ!………っ!新先輩!」

 

 

 

珍しく声を荒げた小猫

 

 

 

新は少しばかり血を吐いた

 

 

 

「やっぱちゃんと防御してなかったから、少しくらっちまった……。このクソ馬が、ブッ殺す」

 

 

 

今のでキレた新は、再び刀身に魔力を込める

 

 

 

さっきよりも強い魔力を

 

 

 

「させるかぁ!」

 

 

 

闇人ケンタウロスが轟音を立てながら突進してきたが、その選択は間違いだった

 

 

 

「死ね」

 

 

 

魔力で形成された刀身がケンタウロスの肉体を貫く

 

 

 

闇人ケンタウロスは身体をピクピク痙攣させ、絶命した

 

 

 

生々しい音を立てて落ちたケンタウロスを余所に、新は人間の姿に戻る

 

 

 

「いってぇ〜、油断しちまったよ……」

 

 

 

「………新先輩。ごめんなさい………私が邪魔してしまったせいで」

 

 

 

「気にすんな。今のは俺のミスだから」

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

別荘近くまで戻った新と小猫

 

 

 

新は小猫に応急処置を施された

 

 

 

「………あとはアーシアさんに治療してもらって下さい」

 

 

 

「あ、あぁ………分かった」

 

 

 

新は平気だと言ったんだが、小猫の迫力に負けてしまい包帯を巻かれた

 

 

 

負けなくても無理矢理包帯を巻かれる光景は容易に浮かび上がったが、そこはスルー

 

 

 

「ところで、小猫は何であんな所にいたんだ?」

 

 

 

「………眠れなくて。散歩していたら、妙な気配を感じて」

 

 

 

「つい来ちまった、ってか?」

 

 

 

小猫は無言で頷く

 

 

 

「……不安だったんです。初めてのレーティングゲームだから……。もし皆さんの役に立てなかったらって思うと、怖くなって……」

 

 

 

「俺だって最初の仕事ん時はビビりまくってた。最初からビビらない奴がいたら、お目にかかりたいぐらいだ」

 

 

 

新は小猫の頭を撫でて落ち着かせる

 

 

 

「それに、リアスがそんな事で責める様な器の持ち主じゃないのは、俺より悪魔歴が長いお前らの方が知ってるだろ?ベストを尽くせ。俺から言えるのはそれだけだ」

 

 

 

頭を撫でる手を止め、新は立ち上がる

 

 

 

「………新先輩。少し見直しました」

 

 

 

「そりゃどうも。なら謝礼として乳首を」

 

 

 

「やっぱり最低です。ドスケベ先輩」

 

 

 

「せめて最後まで言わせてくれよ……まぁ良いや。寝る」

 

 

 

新は先に別荘へ戻っていった

 

 

 

「………先輩の強さが羨ましいです。私もいつか、新先輩みたいに強くなりたい」

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

「何処に行ってたの?アラタ」

 

 

 

「起きてたのかよレイナーレ。ちょっと夜の散歩だ」

 

 

 

「性欲の権化が裸の堕天使を置いて散歩?」

 

 

 

「何だ。寂しかったのか?」

 

 

 

「別に。いつも横にいる者がいなかったから眠れなかっただけよ」

 

 

 

「あっそ。じゃあもう寝る。3日後はライザーとのレーティングゲームだから」

 

 

 

「アラタの無様な姿を拝んで大笑いしてあげ――――――ひゃんっ!だ、だから乳首を弄らないでぇぇぇ……!敏感になっちゃったから――――――はあぁぁああああんっ!」

 

 

 

新は少しムカついたのでレイナーレの乳首を弄り、軽く絶頂させた

 

 

 

 

そして、遂にライザーとのレーティングゲーム、決戦当日を迎えた


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。