ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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ようやく投稿です…。長いことお待たせしてすみません


フロニャルド陣との手合わせ開始!

「うっはは~!速いのじゃ~っ!」

 

「しっかり捕まってろよ?振り落とされないようにな!」

 

リアス達との連絡を終えた新は現在、中庭でバイクに興味を持ったクーベルを乗せて走り回っていた

 

リコから話を聞いたクーベルは目を光らせて「ウチも乗せるのじゃ~!」と(なか)ば強引に迫ってきたのだ

 

梃子(てこ)どころかブルドーザーで押しても微動だにしなさそうな雰囲気にやむ無く搭乗を許可し、今に至る

 

初めて見る異世界の機械(バイク)にクーベルだけでなく、ミルヒにユッキー、ガウルやジェノワーズ達も興味津々だった

 

その中でもリコは爛々と目を危険な具合に光らせており、瞳の奥には“やっぱり隅々まで調査したい、分解したい”と言う危険な願いが映っていた……

 

「ん~っ!やっぱりあの未知の機械を隅々まで研究したいでありますぅ~っ!」

 

「あはは……。リコがいつも以上に輝いてるよ……」

 

シンクが苦笑していると、先程まで大広間にいたレオ閣下とダルキアンがやって来た

 

彼女達が自分の方に近付いてくるのに気付いた新はバイクを停め、エンジンを切りスタンドを立てる

 

「およっ?もう終わりなのか?」

 

「あぁ、ちょっとな」

 

「ぶ~……っ。つまらんのじゃぁ」

 

新は膨れっ面のクーベルをスルーしてレオ閣下とダルキアンに話し掛ける

 

「んで、俺に何か用か?」

 

「うむ。アラタ殿、フロニャルドに来て早々申し訳ないが――――お主に折り入って頼みがあるのでござる」

 

「頼み?頼みって何だ?」

 

新の問いにレオ閣下が胸を張って答えた

 

「率直に言うぞ?ワシらと手合わせしてもらいたい」

 

『―――――っ!?』

 

レオ閣下の言葉に誰もが驚愕に包まれる

 

新は「何でだ?」と訊くと、レオ閣下は淡々と告げた

 

「単にお主がどう言った者なのかを見極めたいだけじゃ。なんと言うか……お主はただのガキではない、そう直感出来る」

 

「それに先程の話では“やみびと”とやらの軍勢をたった1人で鎮圧したお主の力量にも興味が湧いてきたのでござる。是非、拙者達との手合わせをお願い申すでござる」

 

ダルキアンも微笑みながら新に手合わせを申し出る

 

うーんと考え込む新を他所に、ガウルやナナミも名乗りを挙げた

 

「待てよ姉上!そんな面白そうな展開に俺を出さねぇつもりか!?俺にもやらせろ!」

 

「レオ様、そんな楽しそうなイベントを聞かされたら私だって参加したくなっちゃいますよ~!」

 

「ガウル、ナナミ、勿論お主らが参加したいと言うなら構わんぞ。どうせならこの場で参加したい者を集めようじゃないか」

 

レオ閣下の発言にナナミは子供の様に『やった~!』とはしゃぎ回り、新はテンションの高い空気についていけなかった

 

そこで説明係(シンク)に訊いてみる事に……

 

「シンク、手合わせって一応勝負の事だよな?なんで勝負でテンションが上がってるのか説明してくれ」

 

「え~っと……フロニャルドでは戦興行(いくさこうぎょう)と言うのがあってですね。この世界じゃ国同士の戦いはスポーツの一環なんですよ。僕らの世界が考えてる戦争とは全く違うもので、簡単に言うと費用さえ払えば誰でも参加出来るお祭りイベントみたいなんです」

 

「国同士の戦いがスポーツぅ?プロレスみたいなもんか?」

 

新はフロニャルドの(いくさ)と自分達の世界の(いくさ)の価値観及び違いに少し羨ましいなぁと思ったりする

 

染々とフロニャルドのホンワカさに浸っていると、ダルキアンが再び話し掛けてきた

 

「アラタ殿、宜しいでござるかな?」

 

「ん~……まぁ良いか。この国の領主や騎士がどれぐらい強いのか興味あるし」

 

「うむ?それはワシらに対する挑戦と見ても良いのか?」

 

新の言葉にピクッと反応したレオ閣下が迫力ある視線を向ける

 

若干ピリピリした空気の中、新は腕組みしながらハッキリと告げた

 

「それぐらいの器量が無かったら領主なんか務まらないんじゃないか?」

 

カチーン……ッ

 

レオ閣下の頭に何かが当たるような音が響き、ただでさえ気まずかった空気が更に険悪な感じになってしまった

 

「フッフッフッフッフッ……お主はハッキリ言ってくれるなぁ?そこまで言うなら“何人”相手でも問題は無かろう?」

 

「ん?おぉ、集団戦は得意分野だ」

 

「うむ、よく言った!ならば直ぐに模擬戦の仕度せいっ!」

 

レオ閣下が高らかに叫ぶと兵士達が急いで外へ飛び出し、模擬戦の準備を始めた

 

 

――――――――――

 

 

パン!パン!パン!

 

広大な草原にてカラフルな花火が小気味良く打ち上がり、新はその中央に立たされていた

 

キョトンとした顔で周りを見渡していると上空に映像が出現し、画面の中の男性が意気揚々と実況を開始する

 

『さあ!急遽開催が決まりました!異世界からやって来た謎の戦士アラタを歓迎する、参加者自由型の模擬戦を(おこな)いますっ!実況及び解説は私、お馴染みガレット獅子団の熱き報道員フランボワーズ・シャルレーがお送り致します!』

 

暑苦しそうな実況につられて周りの兵士達も大歓声を上げる

 

新は『何かレーティングゲームみたいな空気だな』と若干落ち着かない様子でいた

 

『さて、今回のルールをご説明致しましょう!ルールは簡単!それぞれ三国からエントリーした者達が戦士アラタと戦い、戦闘不能もしくは降参させた者の勝ちとなります!』

 

「ん?ちょっと待て!俺1人で戦うのか!?」

 

新の物言いに実況のフランボワーズは『その通りっ!』とグッドサインしながら答えた

 

新は理不尽な扱いに激怒しようとしたが、実況は止まる事無く次へ次へと進んでいく

 

『えー、長話はここまでにして。それではいよいよ!第1試合の選手を発表致します!』

 

「おいコラ話を聞けッ!」

 

『まずは我らがガレット獅子団から、王子ガウル・ガレット・デ・ロワ殿下!そしてノワール・ヴィノカカオ、ジョーヌ・クラフティ、ベール・ファーブルトンこと――――ジェノワーズ!』

 

ガウルは民兵達の上を飛び越えてフィールドに参上し、ジェノワーズも同じ様にフィールドに降り立った

 

新は欠伸しながら投げやりな拍手を送る

 

「あ~あっ、随分と派手な登場の仕方だな」

 

「当たり前だろ!戦いってのはなぁ、ド派手に見せるもんなんだよ!」

 

ガウルはビシッと指差しながら言い、ジェノワーズも「その通り!」とハモってポーズを決める

 

新はフロニャルド人の何処までも楽天的な思想がちょっと羨ましいなぁと思ったりする

 

シンク達が見守る中、遂に開戦の狼煙(のろし)が上げられた

 

『それでは早速ー!勝負開始ーっ!』

 

実況のフランボワーズが高々と試合開始の合図を送ると同時に花火が打ち上がり、ガウルとジェノワーズは各々の武器を構えた

 

ガウルは素手、ノワールはナイフ、ジョーヌは身の丈以上ある大斧、ベールは弓矢とラインナップは多数

 

新は考えるのはやめたとばかりに首や指、肩、足を鳴らし――――早くも闇皇(やみおう)に変異する

 

ガウル達は勿論、ミルヒやレオ閣下、実況は驚きを隠せなかった

 

『な、な、な、なんとーっ!?謎の戦士アラタが光った途端、この世の物とは思えない禍々(まがまが)しき姿へと変わったーっ!もしかして、これが異世界ならではの力なのでしょうかーっ!?場内はどよめきに包まれておりますっ!』

 

「うるせぇ実況」

 

鬱陶しかったのか、新は暑苦しい実況を一蹴した……

 

闇皇(やみおう)姿の新を目の当たりにしたジェノワーズ――――特にジョーヌとベールは少々ビビり気味になってしまう

 

「な、何か思ってた以上に凄い威圧感やねんけど……」

 

「強そうで怖いです~……っ」

 

2人は弱気を吐いているが……ガウルは逆に今にも飛び出しそうなぐらい興奮していた

 

「うおぉおおおおおっ!面白ぇ!そんぐらいじゃなきゃ戦いは盛り上がらねぇんだ!行くぞ、てめぇら!輝力武装(きりょくぶそう)獅子王爪牙(ししおうそうが)ァッ!」

 

ガウルの背中にフロニャルド特有の紋様が現れ、彼の四肢に爪のごときオーラが宿る

 

爪状のオーラを装備したガウルは地を蹴って飛び出し、新との距離を詰めていく

 

「くらいやがれぇぇぇぇっ!」

 

気合い充分且つ勢い良く右手を突き出してきたが……新の視点から見たガウルの攻撃は――――

 

「単調だな」

 

そう酷評した新は直ぐ右手に魔力を流した拳打でガウルの爪状のオーラを砕いた

 

たった一撃で自分の爪を粉砕された事に、ガウルは言葉を出す事すら出来なかった

 

『あーーーっとぉ!?何と言う事でしょう!ガウル殿下の十八番(おはこ)獅子王爪牙(ししおうそうが)がたった一撃で砕かれてしまったーっ!?』

 

「ほう……言うだけの実力、いや――――思ってた以上に力の差があるようじゃな」

 

この結果にレオ閣下も楽しみでありながらも眉を寄せる

 

一方のガウルは悔しそうに歯を食い縛りながら怯まず攻撃を続けた

 

「ナメんなァッ!」

 

蹴りを放ってきたガウルに対し、新は右腕でガード

 

その後はガウルの連続攻撃を余裕で(かわ)し続けていく

 

「アカン!ガウ様がピンチや!ベル、うちらも行くでぇ!」

 

「了解です~」

 

ここでジョーヌとベールが参戦

 

ベールは弓具で矢を放ち、ジョーヌは飛び上がって大斧を振り下ろす

 

それに気付いた新は右籠手から闇皇剣(やみおうけん)を取り出し、飛来してきた矢を全て斬り払い――――ジョーヌの大斧も軽々と受け止めた

 

大斧ごとジョーヌを弾き返した新は剣をクルクルと回す

 

「まあまあって所か」

 

「……隙あり」

 

背後から気配と姿を消していたノワールがナイフで奇襲を仕掛けてきたが……新はそのまま剣で防ぐ

 

振り向きざま横薙ぎの剣を振るうが、ノワールは間一髪頭上に飛んで回避

 

「……輝力武装(きりょくぶそう)、セブンテイル!」

 

ノワールの背中にもフロニャルドの紋様が出現、彼女の尻尾が7つに分かれ――――先端に刃が付いた

 

伸縮自在になったその尻尾が豪雨の如く新に襲い掛かっていく

 

しかし、新は爪で研いだ刀身に魔力を流し込み、高速の剣捌きで全て斬り落とした

 

ガウル達のもとに着地したノワールは「……強い」と一言だけ漏らした

 

『つ、強い!強すぎます!ガウル殿下の怒濤の攻撃だけでなく、ジェノワーズの連携プレーをいとも簡単に凌いだーっ!これが異世界の戦士アラタの実力かー!?本人は余裕である事を示すかの様にストレッチをしております!』

 

「だからうるせぇ実況」

 

ストレッチを終えた新は剣を右籠手に収納し、拳をパキポキと鳴らす

 

「ガウル、悪いがこれじゃあ俺の相手は務まらねぇようだな」

 

「んだとぉっ!?そいつは俺が弱いって言いてぇのか!?」

 

「そうじゃねぇよ。フロニャルド、だっけ?ここじゃお前は強いかも知れねぇが……所詮は井の中の(かわず)、俺のいた世界には俺以上に強い奴がゴロゴロいる。それに……」

 

「あ?それに何だよ?」

 

「……俺はこの世界が羨ましい。命賭けた戦争じゃなく、人を楽しませたいと思う戦興行(いくさこうぎょう)ってヤツは良い考えだと思ってる。向こうでもそう言った物はあるけどさ……そこでは自分の夢と理想も賭けなきゃならねぇ。勝てば前進、負ければ終わり。そんなシビアな世界だ……。俺はそれよりもハードな弱肉強食の世界を生き抜いてきた、死に物狂いでな……」

 

新は今自分が素直に思っている事を吐露し始めた

 

新は元々バウンティハンターとして他人を蹴落とす毎日を送ってきた……

 

生きるか死ぬかの瀬戸際、一本橋より狭い綱渡り人生

 

だからこそ、フロニャルドの思想が羨ましく思えるのだ

 

ガウル達を始め、シンク達は新の言葉に染々(しみじみ)としてしまう

 

話を終えた新は気持ちを切り替えて構えを取った

 

「だから見せてやるよ。向こうで鍛えたパワーとスピードをなぁ」

 

急に悪役っぽい口調と化した新は全身からオーラを溢れさせ、その場を駆け出した

 

幾重もの残像を生み出しながらガウルとジェノワーズを翻弄し、ガウルの背後に出現

 

「オラァッ!」

 

ドゴッ!

 

オーラを集めた新の蹴りはガウルの背中にクリーンヒットし、ガウルは空中へ放り出された

 

突然の事態にジェノワーズも反応出来ず、気付いた時には新の姿はそこになかった

 

新は空中へ飛んだガウルを待ち構える様に先回りして、今度は拳打で更に高く殴り飛ばす

 

再び吹っ飛ばされたガウルの頭上に回り込み、強烈な肘打ちで地面へ叩き落とす

 

隕石の如く落ちてきたガウルに対し、地上に先回りした新は両拳に魔力を流し込んだ

 

そしてトドメの両手突きをガウルの腹に深々と食い込ませた

 

「…………ッ!」

 

もはや悲鳴も出せない程のダメージを受けたガウルは白目を剥いて気絶

 

新は戦闘不能になったガウルをポイッと投げ捨てた

 

死~ん――――もとい、シ~ンとなった場内……それでもフランボワーズだけは頑張って実況を務めた

 

『しゅ、瞬殺……瞬・殺です!ガウル殿下、まさかまさかの瞬殺です!異世界の戦士アラタの動きが早過ぎて見えなかったと思っていたら、決着がついてしまっていたーっ!驚きを通り越した驚きの結果に場内も静まり返っておりますー!』

 

「さてと、次はお前らだな」

 

「「ひいっ!」」

 

「……ギクッ」

 

完全に萎縮してしまったジェノワーズは蛇に睨まれた蛙の様に固まっていた

 

新は問答無用とばかりに両(てのひら)から『闇皇紋章(エンブレム)』を展開、ジェノワーズの両サイドに位置付けた

 

新が両手を交差させると紋章が物凄いスピードでジェノワーズを挟み込み――――爆発した

 

これぞ挟み込み版『ヘル・プレッシャー』である

 

『おーーーっと!ジェノワーズ、異世界の戦士アラタの攻撃をまともにくらってしまったーっ!しかし、フロニャルドではフロニャ(ちから)による加護がございますので、フロニャ(ちから)が強い場所では負傷はしませんし、死者も出ません!』

 

「は?そうなのか?」

 

『その通り!その代わり、ダメージの具合は騎士達の防具破壊によって分かるのです!』

 

防具破壊……その言葉の意図を察した新は直ぐ様ジェノワーズの方に視線を直す

 

爆煙が晴れると――――そこには装備どころか衣服、下着すら失った一糸纏わぬジェノワーズの姿があった

 

「わお」

 

「ふえぇ~んっ!」

 

「イヤやーっ!」

 

貧乳つるぺたボディのノワール、隠してもはみ出してしまう程の巨乳ベール、健康的なプロポーションのジョーヌ

 

ジェノワーズ3人の裸に場内は大歓声に満ち溢れた

 

『ジェノワーズ、装備完全破壊!異世界の戦士アラタの攻撃はいとも簡単に装備完全破壊レベルに達する様です!ジェノワーズのセクシーショットを導いた異世界の戦士アラタに拍手ー!』

 

盛大に響いてくる拍手に新は照れ臭そうに頭を掻いてお辞儀する

 

せっかくなのでと、新は勝利の保養に裸となったジェノワーズの所へダッシュした

 

「いやーん、異世界人のえっち~」

 

「見ちゃいやんです~!」

 

「ちょっ、ホンマに見んといてーっ!」

 

「ハハハッ、だが断る!これは勝者の特権だからな!それにしてもノワールって言ったか、お前隠さないとは大した物だな」

 

新の言葉通り、ベールとジョーヌは自身の裸体を隠そうとしているのだが……ノワールだけは少し赤らめているだけで、しっかり隠してはいなかった

 

「……ガウルが見てたらちょっと恥ずかしい……」

 

「ガウル?あぁ、あいつなら今担架で運ばれていったよ。心配か?そりゃそえか、さっきはちょっとやり過ぎちまったもんな……」

 

新は苦笑しつつ担架で運ばれているガウルに申し訳無いと言う念を送った

 

新の戦いぶりを見たレオ閣下は楽しそうに口の端を吊り上げていた

 

「アラタ、お主の実力を見せてもらったが……正直言って圧巻じゃ。ガウルを軽くあしらうとはのう。だが……まだ実力の半分も出しておらぬ所を見ると――――真の実力は相当な物じゃろうな。もし、ワシを失望させるようなら許さんぞ?」




新無双が始まりそうですね(笑)
次は幽神兄弟編です

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