ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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オリジナル回、一誠サイド編です!


一誠が怨敵!?地獄から来た兄弟

『お掛けになった電話は、電波の届かない所にあるか、電源が入っていないため掛かりません』

 

新から帰りが遅くなる事を伝えられてから約1時間

 

リアスは催促するように何度も何度も新のスマホに電話を掛けるが、いずれも出なかった

 

遂には膨れっ面で机に突っ伏してしまう

 

「もう、何度電話しても出てくれないなんて。新はいったい何をしてるのよ……」

 

「リアス部長からの連絡にも応答が無いのか。私も電話とメールを繰り返し送っているのだが、未だに返事が来ていない」

 

因みにゼノヴィアはこの時点で既に100通以上のメールを送ったらしい

 

大半がソワソワする中、朱乃だけが何故か冷静な雰囲気だった

 

「あらあら、リアスってば。まるで結婚したてなのに浮気されてると思い込んだ新妻(にいづま)みたいな感じになっているわよ?」

 

「……っ!?に、新妻って……!べ、別にそんな意味じゃ……っ。私はあの子の『(キング)』だから心配してるだけよ!」

 

「心配って、どんな?」

 

「た、例えば……向こうでまた女性と……ゴニョゴニョ……したりとか……」

 

「うふふ、リアスは純情ね♪」

 

「朱乃は心配じゃないの?」

 

「私は大丈夫よ。それに――――もし新さんが浮気していても、それは彼の性分。素直に受け止めて最後に愛してもらえるなら何も問題は無いわ」

 

朱乃は頬に手を添えてにこやかに浮気公認を宣言する

 

リアスは複雑そうな表情となり、それを見た朱乃はからかうように耳打ちする

 

「心配しなくても、正妻のポジションは譲りますわ♪」

 

「ひゃあっ!?あ、朱乃!」

 

リアスは真っ赤になって慌てふためき、朱乃はウフフと微笑む

 

そんな時、リアスの携帯電話に着信音が鳴る

 

リアスは直ぐに通話ボタンを押して確認するが……相手はアザゼルだった

 

「……もしもし?」

 

『随分と機嫌が悪いな。俺が何かしたのか?』

 

「いいえ、新じゃなかったのが残念に思っただけよ……。それで、何か用かしら?」

 

『用も何も、「禍の団(カオス・ブリゲード)」の奴らが集まって何かしようとしてんのを見つけたから知らせておこうと思ったんだよ』

 

禍の団(カオス・ブリゲード)』の名を聞いたリアスは机から跳ね起き、アザゼルに詳しい事情を訊く

 

「それで『禍の団(カオス・ブリゲード)』は何を?」

 

『詳しい事はまだハッキリ分かっちゃいない。何せ俺も偶然見掛けた部下からの連絡を受けたんでな。場所が近いから、お前らに報告して取っ捕まえてもらおうと連絡した次第だ』

 

「そうだったの。良いわ、場所は?」

 

『2駅ほど離れた神社だ。テロリスト共にしては良い密談場だったが、運が悪かったな。後はお前達に任せる。取っ捕まえたらたっぷり尋問してやらぁ。じゃあな』

 

アザゼルからの連絡が切れ、リアスは早速出動の準備を始めた

 

 

―――――――――

 

 

問題の神社に辿り着いたグレモリー眷属+イリナは気配を消しながら散策を開始

 

新との連絡がつかない以上、新抜きでやる他無い

 

まずは草陰から『禍の団(カオス・ブリゲード)』構成員の様子を(うかが)う事にした

 

相手の数は約10人程

 

以前の三大勢力会談時に襲ってきたのと同じ様な魔術師連中が辺りをキョロキョロと見回し、まるで誰かを待っているようだった

 

割合は男性5人と女性5人である

 

それを見た一誠はある事を思い付いた

 

「部長、ここは俺に任せてください。良い考えがあります」

 

「……イヤらしい顔になってる事に関しては目を瞑るとして、イッセーに任せるわ」

 

リアスからの承諾を受けると一誠は直ぐに『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』を出して力を高める

 

そして自分の脳に魔力を流し込み――――『乳語翻訳(パイリンガル)』を発動させた

 

そう、一誠のアイディアとは女魔術師に『乳語翻訳(パイリンガル)』を使って胸の内を探ると言うものだった

 

これなら相手側の狙いや行動も筒抜けになる

 

一誠は瞑目して女魔術師のおっぱいの声に耳を集中させた

 

『まだかなー?闇人(やみびと)の皆さん♪』

 

『私達と手を組みたいって言うから、せっかく出向いてあげたのにねー』

 

『早くしないと誰かに見られちゃうよぉ。女を待たせるなんて最低ねぇ』

 

『でも、そろそろ来てくれる筈よ。楽しみ楽しみ♪』

 

禍の団(カオス・ブリゲード)』が待っているのは闇人(やみびと)だと知った一誠は直ぐにリアスに知らせる

 

闇人(やみびと)と手を組む為に……。それならあまり時間を掛けない方が賢明ね。一気に取り押さえましょう」

 

リアスの言葉に全員が無言で頷き、戦闘体勢に入る

 

草陰から飛び出して散開、魔術師達を取り囲んだ

 

「しまった!悪魔どもに嗅ぎ付けられたか!」

 

「仕方無い!やれ!」

 

魔術師達は一斉に魔術の攻撃を一誠達に放ってきた

 

リアスは滅びの魔力で打ち消し、朱乃とロスヴァイセは防御障壁で防ぐ

 

祐斗は聖魔剣(せいまけん)、ゼノヴィアはデュランダル、イリナは光の剣で魔術を斬り伏せた

 

ギャスパーは双眸(そうぼう)を赤く光らせて砲撃を停め、一誠は籠手で殴って霧散させる

 

自分達の魔術が瞬殺された事に魔術師達は言葉を失う

 

「お次はこちらの番ですわ」

 

朱乃は手から雷光(らいこう)(ほとばし)らせ、ロスヴァイセが魔術砲撃を放つ

 

これにより魔術師2人は戦闘不能

 

小猫は瞬時に距離を詰め、魔術師の1人を拳で殴って気絶させる

 

祐斗とゼノヴィアも魔術師を1人ずつ斬り払った

 

そして残された女魔術師5人は……

 

「くっ!何故こちらの攻撃が当たらない!?」

 

「私達の行動が読まれているのか!?」

 

「あぁ、その通り!あんた達のおっぱいが俺にしか聞こえない声で喋ってくれているのさ!」

 

一誠は『乳語翻訳(パイリンガル)』のお陰で女魔術師達の行動を先読み出来ており、向かってくる魔術をものともせず避けきっていた

 

そして隙を見て女魔術師達の体にタッチしていき、もう1つの必殺技を高々に叫ぶ

 

「『洋服崩壊(ドレス・ブレイク)』ッ!」

 

バババババッ!

 

女魔術師達の衣服が一瞬で弾け飛び、その衝撃で豊満なおっぱいがプルンプルンと揺れる

 

女魔術師達は全裸の恥ずかしさに耐えられず、手で裸体を隠してその場に屈み込んだ

 

「ぐふふっ♪『乳語翻訳(パイリンガル)』からの『洋服崩壊(ドレス・ブレイク)』、やはりこのコンボは最強だ!」

 

あっという間に場を制圧し、リアスが女魔術師達の眼前に立つ

 

「抵抗は無駄よ。おとなしく投降してもらうわ」

 

「くっ……!」

 

状況はリアス達が圧倒的に優勢、『禍の団(カオス・ブリゲード)』は諦めるしかなかった

 

そんな時――――不穏な空気が走り、朱乃が警戒しながらリアスに告げる

 

「部長、複数の気配が……。それに数も多いですわ」

 

「ええ、闇人(やみびと)ね?」

 

リアスの指摘は見事に的中

 

草陰や木々の後ろから闇人(やみびと)がわんさか現れる

 

それも前に見たネズミ型ではなく、固そうな外殻に覆われた甲殻類の如き姿の闇人(やみびと)だった

 

それを率いるのは若い男3人組

 

どうやらこの集団の頭角のようだ

 

禍の団(カオス・ブリゲード)』の男性魔術師が傷を押さえながら闇人(やみびと)集団にすがり寄る

 

「ようやく来たか……っ。は、早く我々を助け――――」

 

ドズッ!

 

闇人(やみびと)の男は有無を言わさず魔術師の腹を右手で貫いた

 

その右手は大きな鉤状に変化していて、先端から血が(したた)り落ちる

 

突然の出来事に全員が呆気に取られ、魔術師は金魚のように口をパクパクさせながら絶命した……

 

右手を引き抜いた闇人(やみびと)は侮蔑の視線で吐き捨てる

 

「せっかく『禍の団(カオス・ブリゲード)』の情報やら何やらを聞き出そうと思ってたんだが、こんなに早く嗅ぎ付けられるとはな。構わねぇ、全員殺して証拠隠滅しろ」

 

殺意満載の言葉を発した男の体がメキメキと不気味な音を立てる

 

男は赤い体躯と触角、両手に鉤爪を持った海老のような闇人(やみびと)に変貌を遂げた

 

連れの2人もそれぞれ青い海老型闇人(やみびと)と黄色い海老型闇人(やみびと)に変異し、右手の鉤爪を研ぐ

 

赤海老闇人(やみびと)が爪を振るのを合図に量産闇人(やみびと)の軍勢がリアス達に襲い掛かっていった

 

「アーシア、ギャスパー、小猫!あなた達は魔術師を安全圏へ避難させて!今回の件の証人として、みすみす失う訳にはいかないわ!」

 

「は、はい!」

 

「が、頑張りますぅぅぅ!」

 

「……了解です」

 

アーシア、ギャスパー、小猫の3人は指示通り捕まえかけた魔術師達を連れて少し離れた(やしろ)の中へ避難させようとする

 

リアスと朱乃は滅びの魔力と雷光(らいこう)、ロスヴァイセは魔術砲撃で闇人(やみびと)を迎撃するが……闇人(やみびと)は直撃をくらっても怯む様子を全く見せなかった

 

聖魔剣(せいまけん)、デュランダル、光の剣で斬りつけても量産闇人(やみびと)の勢いは止まらない

 

特に一誠は禁手(バランス・ブレイカー)のカウントが終わるまで手出しが出来ないので、ひたすら避けるしか方法は無かった

 

幾度も避け続け――――ようやくカウントが終了する

 

「よっしゃ、反撃開始だ!禁手化(バランス・ブレイク)ッ!」

 

Welsh(ウェルシュ) Dragon(ドラゴン) Blance(バランス) Breaker(ブレイカー)!!!!』

 

赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』を纏った一誠は今までのお返しとばかりに拳や蹴り、ドラゴンショットで量産闇人(やみびと)を吹き飛ばしていく

 

だが、赤龍帝(せきりゅうてい)のパワーでも量産闇人(やみびと)はなかなか倒れない

 

苦戦を強いられる中、一誠は先程までいた3人の海老型闇人(やみびと)がいない事に気付く

 

「ぶ、部長!あの変な海老野郎がいません!」

 

「何ですって!?まさかアーシア達の所に……イッセーはそっちを追ってちょうだい!こっちは私達で食い止めるわ!」

 

一誠は直ぐ様背中のブーストを噴かして量産闇人(やみびと)を蹴散らしながら建物の中へ突入する

 

木造の壁を破壊して飛び込むと、小猫とギャスパーが量産闇人(やみびと)及び3体の海老型闇人(やみびと)相手に奮闘している姿が視界に入った

 

猫又モードの小猫が打撃戦を繰り広げ、ギャスパーは無数のコウモリとなって撹乱している

 

しかし、3体の海老型闇人(やみびと)は量産タイプよりも更に手強く、小猫の『気』を纏った攻撃をいくら受けても平然としており、尚も果敢に向かっていく

 

小猫の拳も硬い外殻によって出血が止まらず、次第に勢いも落ちてきた

 

「……ギャーくん、動きを停めて」

 

『任せて、小猫ちゃん!ぼ、僕の眼で――――』

 

無数のコウモリとなっているギャスパーの眼が赤く輝きかけた刹那……3体の海老闇人(やみびと)は口から何かを連続で吐き出した

 

吐き出された物体はコウモリギャスパーの顔にヒットし、ギャスパーの変身が強制解除される

 

「ふえぇぇぇぇっ!な、何なんですかこれぇぇぇぇっ!?ネバネバして取れないよぉぉぉぉぉ!」

 

どうやら吐き出された物体は視界を封じる粘着弾らしく、くらってしまったギャスパーはのたうち回る

 

そこへ量産闇人(やみびと)が群がり、ギャスパーを殴る蹴る等でリンチしていく

 

「ギャーくん!」

 

助けに向かおうとした小猫だが、赤海老闇人(やみびと)の不意打ちをまともに受けてしまい……鉤爪で切り裂かれる

 

よろめいて直ぐ青海老闇人(やみびと)が強烈な蹴りを加え、黄海老闇人(やみびと)が右手の爪で叩き付ける

 

最後に赤海老闇人(やみびと)の横薙ぎの一撃で小猫は壁際まで吹っ飛ばされてしまった……

 

「案外チョロかったな」

 

「あぁ、さっさとこいつらを殺して向こうも片付けるぞ」

 

3体の海老型闇人(やみびと)は男性魔術師を全員殺し、次のターゲットをアーシアと女魔術師に定める

 

目の前の惨状と恐怖に震え出す女魔術師

 

アーシアは彼女達を庇うように両手を広げて立ち塞がるが、海老型闇人(やみびと)はケラケラと嘲笑う

 

「大した力も無いくせに健気だな」

 

「安心しな、女は必要だから殺さねぇよ」

 

「精々、神風さんや俺達の肉奴隷になってくれや」

 

ゲスな言葉を並べて爪を伸ばしてくる闇人(やみびと)に一誠は怒りを(たぎ)らせ、背中のブーストを噴かしたタックルで突き飛ばした

 

続けてギャスパーと小猫にリンチしている量産型の軍勢にもドラゴンショットを浴びせて吹き飛ばす

 

「俺のアーシアと後輩に何しやがんだッ!アーシア、大丈夫か!?」

 

「はい、大丈夫です!」

 

「そうか、良かったぁ……。あいつら全員俺が引き付けておくから、アーシアはギャスパーと小猫ちゃんを治療してくれ!」

 

一誠の指示にアーシアは直ぐギャスパーと小猫に駆け寄り、淡い緑色の光を発生させる

 

聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』の輝きでギャスパーと小猫の傷が回復していく

 

その間に海老型闇人(やみびと)3人が起き上がり、先程ドラゴンショットをくらった筈の量産闇人(やみびと)軍団も集まってきた

 

集団で襲い掛かってくる量産型に対し、一誠は拳や蹴りで対抗するものの――――やはり多勢に無勢、数が多過ぎて捌きれない

 

量産型に混ざって飛び込んできた黄海老闇人(やみびと)の突きをくらい、後退(あとずさ)ったところで背後から青海老闇人(やみびと)が鉤爪を振るい攻撃

 

その直後に赤海老闇人(やみびと)の爪が一誠の鎧を切り裂く

 

(もてあそ)ばれるかの如く集団リンチを受け続ける一誠は血を吐きながらも必死で抵抗した

 

量産闇人(やみびと)が一誠の動きや視界を制限させる中、3体の海老型闇人(やみびと)は自らの爪に魔力を注ぎ込む

 

バチバチと電撃を(ほとばし)らせた爪を振り上げ、3体同時に駆け出す

 

一誠は何とか量産闇人(やみびと)退(しりぞ)けるが――――3つの凶悪な爪は既に目の前まで迫っていた……

 

「……ッ!?ヤベ――――っ」

 

ズガガァァァァァァァァンッ!

 

海老型闇人(やみびと)の三位一体攻撃が炸裂

 

赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』は大きく砕かれ、一誠は外まで吹っ飛ばされてしまった

 

かなりのダメージを受けたせいで禁手(バランス・ブレイカー)が強制解除される

 

「――――ッ!?イッセーッ!もう、どきなさいっ!」

 

一誠の危機にリアスは激昂して滅びの魔力を撃つが、更に増えた量産闇人(やみびと)に行く手を阻まれる

 

祐斗達が向かおうとしても量産闇人(やみびと)は飴玉に(たか)る蟻のように立ち塞がった

 

突き破られた壁から3体の海老型闇人(やみびと)が飛び出し、青海老型と黄海老型が倒れている一誠を捕らえ、無理矢理起こす

 

「ここまでボロボロだと赤龍帝(せきりゅうてい)とやらも形無しだな」

 

赤海老闇人(やみびと)が再び爪に電撃を(ほとばし)らせる

 

一誠にトドメを刺そうとした瞬間――――鈍い音と共に量産闇人(やみびと)の1体が宙を飛んで爆散した

 

その場にいた全員の視線が鳥居の方を向き、そこから2人の男が現れる

 

カチャカチャと音を鳴らす拍車付きの靴にボロボロの革コート

 

1人はボサボサの黒髪に赤いメッシュを施し、もう1人も同じ様なボサボサの茶髪に白いメッシュを入れていた

 

ならず者と言う雰囲気がピッタリの2人組の登場に全員が(いぶか)しげな表情となる

 

「何だ、あいつらは?」

 

「誰だろうと構わん。殺れ」

 

赤海老闇人(やみびと)が指示を出すと量産闇人(やみびと)はその2人組に襲い掛かっていった

 

黒髪の男は左足、茶髪の男は右腕を光らせる……

 

その部分に現れたのは――――緑色の脚甲と褐色に染まった籠手だった

 

リアスが思わず声を荒らげる

 

「あれは……神器(セイクリッド・ギア)!?」

 

そう、男達が出したのは紛れも無い神器(セイクリッド・ギア)

 

黒髪の男は脚甲に覆われた左足で蹴りを繰り出し、茶髪の男は右腕を豪快に振るって量産闇人(やみびと)を吹っ飛ばす

 

「行くぜ、相棒」

 

「あぁ、兄貴。ぶっ潰してやろう」

 

2人の男は脚甲と籠手を更に強く輝かせ、ある言葉を唱えた

 

「「禁手化(バランス・ブレイク)!」」

 

驚愕する一誠達を他所に、2人の男は全身鎧(プレート・アーマー)に覆われていく

 

数秒後、彼らは禁手(バランス・ブレイカー)たる鎧人(よろいびと)になった

 

黒髪の男は鮮やかなエメラルドグリーンの全身鎧(プレート・アーマー)に赤い眼孔を光らせ、茶髪の男は銅褐色(どうかっしょく)全身鎧(プレート・アーマー)で銀色の眼孔を輝かせる

 

2人の鎧人(よろいびと)は向かってくる量産闇人(やみびと)を片っ端から叩き始めた

 

緑の鎧人(よろいびと)は強烈な足技で圧倒し、褐色の鎧人(よろいびと)は荒々しいパンチで突き進む

 

危険度を認識した海老型闇人(やみびと)は一誠を放り投げ、彼らの駆逐に乗り出す

 

突き出した爪を緑の鎧人(よろいびと)が蹴りで払い、そのままサイドキックを打ち込んだ

 

褐色の鎧人(よろいびと)も重いパンチのラッシュで闇人(やみびと)を一方的に殴りまくる

 

足技と拳打のコンビネーション、その強さは闇人(やみびと)を全く寄せ付けなかった

 

「そろそろ殺るか」

 

緑の鎧人(よろいびと)の一言を合図に2人のオーラが高まる

 

緑の鎧人(よろいびと)は左足にオーラを流し込んで高く跳び上がり、褐色の鎧人(よろいびと)は右腕にオーラを(たぎ)らせた

 

「エクスプロード・スマッシュッ!」

 

先に高く跳び上がった緑の鎧人(よろいびと)がオーラを纏わせた蹴りを量産闇人(やみびと)に見舞うが、ただそれだけでは終わらなかった

 

蹴りの勢いを利用して回転しながら縦横無尽に跳び回り、次々と量産闇人(やみびと)に蹴りを打ち込んでいく

 

大半に蹴りを打ち込んだ鎧人(よろいびと)が着地した直後――――蹴りをくらった闇人(やみびと)は1匹残らず爆散した

 

「エクスプロード・フィストッ!」

 

次に褐色の鎧人(よろいびと)がオーラの(ほとばし)るパンチで量産闇人(やみびと)1体を殴り飛ばす

 

飛ばされた闇人(やみびと)は炎を噴かせながら他の量産闇人(やみびと)に激突し、ピンボールのように跳ね回る

 

二次被害を受けた闇人(やみびと)も炎に包まれ、最初に餌食となった闇人(やみびと)鎧人(よろいびと)の所に戻ってきた

 

それを見計らった鎧人(よろいびと)は強烈なアッパーで上空にはね上げ、闇人(やみびと)は空中で木っ端微塵に消し飛ぶ

 

炎に包まれた闇人(やみびと)達も爆発し、量産型は見事に全滅した……

 

「あれだけの数を……たった2人で……っ?」

 

信じられないような声音でそう漏らす祐斗

 

2人の鎧人(よろいびと)は次の獲物を海老型闇人(やみびと)3人に決めて歩み寄る

 

青海老闇人(やみびと)と黄海老闇人(やみびと)が前に出て、先程と同じく爪に電撃を(ほとばし)らせていく

 

対して2人の鎧人(よろいびと)も再びオーラを(たぎ)らせた

 

先に闇人(やみびと)が飛び上がって必殺攻撃を見舞おうとするが……鎧人(よろいびと)の方が動きは早かった為、それぞれ必殺キック(エクスプロード・スマッシュ)必殺パンチ(エクスプロード・フィスト)をくらって爆発

 

飛び散った血飛沫(しぶき)を拭う鎧人(よろいびと)に残った赤海老闇人(やみびと)が襲い掛かり、鉤爪で串刺しにしようとした

 

2人の鎧人(よろいびと)は寸前で鉤爪を防ぎ、そのまま自ら体勢を崩す

 

「相棒、上にはね上げろ」

 

「分かってるさ、兄貴」

 

2人は赤海老闇人(やみびと)の腹に足を当て、巴投げの要領で空中にはね上げた

 

飛ばされた闇人(やみびと)はジタバタもがきながら落ちてくる

 

そして射程距離に入った所で緑の鎧人(よろいびと)後ろ回し蹴り(エクスプロード・スマッシュ)、褐色の鎧人(よろいびと)捻り拳打(エクスプロード・フィスト)でトドメを刺した

 

同時攻撃を受けた闇人(やみびと)はダメージを限界まで超え、全身から血を噴きながら爆散

 

血と肉が周りに散乱する

 

まさに圧倒的と言わざるを得ない実力だった……

 

土埃(つちぼこり)を払う鎧人(よろいびと)はヨロヨロと起き上がる一誠の方を向く

 

「誰だか知らないけど……助かったよ」

 

「……誰だか知らない……?お前は良いよなぁ、兵藤ォ……」

 

「えっ?なんで俺の名前知ってんの?何処かで会ったっけ?」

 

キョトンとする一誠に鎧人(よろいびと)は揃って溜め息をつく

 

「呑気で良いよなぁ、俺達の人生狂わせといてよぉ……。なあ、兄貴?」

 

「あぁ、兵藤……お前はいつもそうだよなぁ……。どうせ俺達なんか……」

 

「お、俺があんたらの人生を狂わせた?話がさっぱり見えないんだけど――――」

 

「どうせお前も俺達の事をバカにしてるんだろ?」

 

「だったら、笑えよ……。笑ってみろよ……あぁ?」

 

ギロリと睨みを利かせる2人の鎧人(よろいびと)

 

次第に足取りを速くし――――

 

「「笑ってみろよォォォォォォォォォォォッ!」」

 

怒りにまみれた叫びを上げて一誠に襲い掛かっていった




今回出てきた新キャラの2人組、完全に某ラ○ダーカブ○の地獄兄弟を意識して書きました(笑)
次回は主に新サイド編を書きます


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