宿命始動、2つの危機
先日、朱乃と
最近はバウンティハンターの仕事もパッタリ来なくなり、暇を持て余している
メインレースが終わり、ゲートを出て飲み物を買った
「はぁ……昨日は想像を絶する程疲れたわ……。俺は1ダースの鉛筆かっての……」
ついでに買った栄養ドリンクを一気飲みし、新はバイクに
「いくぞ!カーラマイン!」
「来い!シーリス!」
ガキィンガキィンッ!
剣と剣がぶつかり合って金属音が発生し火花が散る
シーリスとはライザー・フェニックスの眷属で、カーラマインと同じ『
違う方向からも打突音がするので見てみると―――― 猫耳『
更に別の場所ではチェーンソー双子のイルとネル、『
その近くでは『
どうやらライザー眷属総出で特訓中のようだ
「はぁ……はぁ……カーラマイン、お前最近強くなってないか?以前は私と殆ど変わらなかったと言うのに」
「竜崎新に鍛えられたんだ。お陰で私達の力は向上した」
「竜崎新?あの『
「ああ、私達に戦い方を教えてくれてな。今では
「そうだったのか……。私も、その男に教わった方が良いのだろうか……」
ブゥンブゥンッ!
新はエンジンを噴かして修業中の彼女達に近づく
「よー、元気そうだな」
「……っ?誰だお前は?」
「おいおい、これじゃ分からねぇのかよ。ほれっ」
新が頭部を覆っていたヘルメットを外して顔を見せると、真っ先に
「お兄さんだ!わ〜い!」
「すご〜い!カッコいい〜!」
新はバイクを降りてイルとネルの頭を撫でる
新は大体把握してはいるが、一応何をしていたのか訊く事に
「この空き地で何してんだ?」
「見ての通り、修業だ。シーリスが相手して欲しいと言うので打ち合っていたんだ」
「久しいな、
「あぁ、覚えてるぜ。見事な乳首と裸だったからな」
新のセクハラ発言にシーリスは顔をしかめ、得物である大剣を構える
「カーラマインから聞いたぞ。お前、カーラマイン達を鍛えてやったそうだな。私にも教えてくれないだろうか?私自身の強さがどれ程のものなのか……。お前に裸にされて体を撫で回されて以来――――私は悔しかった。あれ程簡単にあしらわれたのは初めてだ。だから、私も自分を高めたい」
「私達だって鍛えたんだからね!」
「次はもうあんな負け方はしないにゃ!」
続くように猫耳『
ご指名を受けた新は自信ありげにこう言った
「人気者はツラいぜ。よしっ、丁度良い暇潰しになりそうだ。相手してやるか」
――――VS『
新は大剣を構えたシーリスと向かい合い、右手に『
「私だって、あれからどうかしてる程鍛えたんだ。はあっ!」
ババババババババババッ!
シーリスが『
「多くの残像を生み出す程の速度を手に入れたのか。やるじゃねぇか。そぉらよぉっと!」
新は右手から魔力の弾を発射して全ての残像を撃ち抜く
しかし、シーリス本人の姿が何処にも見当たらない
殺気を探る新――――そして、上を見上げて彼女を見つけた
「もらったぁっ!」
「甘いぜ」
ガキイィィィンッ!
金属音と閃光の後、新とシーリスが互いに背中を向けている
新が右手を横薙ぎに振るとシーリスの大剣が手から離れ、ついでに彼女の服が消し飛んだ
「あっ……いやんっ!」
可愛らしい悲鳴をあげて裸を隠すシーリス
新は右手を元に戻してシーリスに歩み寄る
「残像を作ったのは良かったが、やはり攻撃に無駄な動きが目立つな。大振りだと簡単に隙を作ってしまい、敵にチャンスを与えちまう。ソレを無くす様に細かな動作を身に付ける必要があるな」
新はシーリスの欠点と対処法を的確に説明する
「お、お前はいつも女を裸にする……どうしてこんなふざけた戦法しかしないんだ?」
「俺は良い女を傷付けるのが好かないだけだ。お前だって立派な裸体を持ってんだ。その裸体に傷を付けたくねぇの」
「……それは私を褒めているのか?こんなガサツで剣を振り回すような女を……?」
「『
ハッキリ告げる新にシーリスは顔を紅潮させた
1、2回視線を逸らした後、再び新の目を見る
「不思議だな、お前は。カーラマインや他の皆がお前を好きになる理由が分かった気がする……」
「あ、聞いたのかよ?」
「聞いたさ。どうやら私も……お前を――――いや、あなたを好きになってしまった……」
ムニュンッ
シーリスが新に胸を押し付ける様に抱きつく
不意を突かれた新は一瞬ギョッと驚愕してしまった
「まさか、シーリスまで堕ちるとは……竜崎新、キミは本当に女を堕とすのが得意だね」
「「お兄さんのエッチ蝙蝠♪」」
「少しは節度を持ってくださいよ」
「私達だけじゃ物足りないの?」
イザベラ、イルとネル、ミラ、
カーラマインだけは少し狼狽していた
「シ、シーリス!前までは竜崎新に興味無いと言っていたじゃないか!」
「うるさい、気が変わったんだ。私は今日から竜崎新を師匠と呼び慕う。よろしいですか?師匠」
「師匠ねぇ……まぁ悪くねぇけど」
「やった♪では、これからもよろしくお願いします。師匠」
「いい加減に離れろ!シーリス!」
――――VS『
「この前の借りを返してあげるにゃ!」
「今度はあの時みたいにはいかないにゃ!」
猫耳『
新は首、肩、腕、脚を鳴らしてから
ギラリと爪と眼孔を光らせて構える
「良い度胸だ、かかって来な」
新の挑発にカチンときたニィとリィは両サイドからの挟撃を開始した
鋭いパンチと蹴りを連続で出し続けるが、新は焦りを全く見せずに鎧の腕で受けたり、いなして体勢を崩す
「スピードは及第点だが、お前らもまだ動きに無駄があるな。そろそろ決めさせてもらうぜ」
新は右籠手から
黒く染まった剣を地面に突き刺し、得意技――――『
剣から放たれた闇が地面を滑り、彼女達をあっという間に捕らえる
「にゃ、にゃにこれぇ!?」
「力が……入らにゃいぃ……!」
ニィとリィは何とか抜け出そうともがくが、闇に力を吸い取られるせいで徐々に体が言う事を聞かなくなる
新は仕上げとばかりに刀身を爪で擦り、横薙ぎに払う
その瞬間に闇は霧散し、捕らえていたニィとリィを全裸で解放した
自分達の痴態に気付いたニィとリィは慌てて裸体を隠す
新は即座に距離を詰めて彼女達の前に立ち――――胸を鷲掴みにした
右手でニィのおっぱいを、左手でリィのおっぱいを交互に揉み比べる
「ひにゃぁんっ!や、やめてぇ……っ。にゃにこれぇ……っ!?ふわぁぁっ!」
「ひにゃぁぁ……っ!こ、声が……おしゃえられにゃいぃ……っ。ふみゅぅぅんっ!」
「ふ~ん……リィは少しボリュームと張りがあって、ニィは感度が高いようだな。乳首の方はどうだ?」
新はニィとリィの乳首を指先でなぞる様に動かす
その手技に彼女達の顔は次第に蕩けていき……トドメにデコピンで乳首を弾いた
「「はひゃあぁんっ!」」
2人揃って喘ぎ声を発してしまい、裸体を痙攣させた後――――背中から地面に倒れた
蕩けきった表情で艶っぽい息遣いをしている姿はAV女優に負けない程の色気が出ていた
「……ま、また負けたにゃぁ……っ」
「お、覚えてにゃさいよ……っ」
「やる気があるならいつでも相手になってやるぜ?拳でもベッドの上でもな」
――――VS『
「悪いが速攻で決めさせてもらうぜ。実を言うと昨日から体力使い過ぎてヤバいんだ」
「あら、わざわざ自分が不利な事を教えるなんて。サービスかしら?」
「それでも手抜きは致しませんわ」
「速攻で終わらせるのはこっちの台詞よ!」
シュリヤー、マリオン、ビュレントの『
3つの魔力が合わさった相乗攻撃は螺旋を描きながら突き進む
新は前方に『
そして両足に赤いオーラを纏い、
紋章と炎は蹴りで吹き飛ばされ、絶句する3人の目前で爆散
3人はその爆発に巻き込まれる……
やがて爆煙が晴れると――――シュリヤー、マリオン、ビュレントの衣服は爆発の余波で全て消し飛んでしまい戦闘不能状態となっていた
「う、嘘でしょ……。一撃で……?」
「ま、またこの様な格好……恥ずかし過ぎます……っ」
「あんなに特訓したのに、まだこの人には勝てないって言うの……?」
「魔力を混合させるのは悪くない発想だ。けどな、それを防がれた後の反応と防御面が欠けてる。今後はその点を中心に鍛えていった方が良い」
――――VS『
「残ってるのは私達だけのようね?私もあれ以来、爆発の魔力と魔法を鍛えてきたわ。雪辱を晴らす為に」
「では、よろしくお願いします」
いよいよ最後、その相手は『
開始早々、ユーベルーナは杖を振るって新の周りに幾つもの魔方陣を展開する
「いきなり爆発か!」
新は瞬時に察知するものの、逃げ場を絶たれているのでどうする事も出来ない
更に
魔方陣を輝き始めると同時に一斉攻撃が始まった
何重もの爆発と帯状の魔力が新に襲い掛かり、大規模な爆煙が立ちこもる
「さあ、これでもまだ余裕を持てるかしら?」
ユーベルーナが冷笑を浮かべて攻撃の中心地点を確認するが――――そこに新の姿は無かった
消し飛んでしまった……?
いや、そんな筈は無い
そう思って辺り一帯を見渡していると――――足元の影が
「残念だったな、俺はここだ」
「――――っ!ま、まさか影に……!?」
影から聞こえてきた新の声に気付くが時既に遅し、影から『
技が決まったと同時に出てくる新
実は爆発の魔力をくらう寸前で『
「それじゃあ仕上げだ」
新は即座に剣の刀身を爪で1往復擦る
先程のニィ&リィ戦と同じ様にユーベルーナと
色気たっぷりのお姉さんボディと清楚な和風美少女ボディに新もグッドサインを向ける
「あ……っ、またはしたない姿にされてしまいました……っ」
「あん……っ。もう、エッチなボウヤね」
「さてと、たっぷり堪能させてもらった所で悪いが……そろそろ帰らないといけねぇんだ。じゃあな、また何かあったら言ってくれ」
新はサッとバイクに跨がってヘルメットを被り、エンジンを掛けて走らせる
マフラーから煙を上げながら空き地を去っていった
「私達も参加した方が良かったか……」
「何だ、カーラマイン。竜崎新に脱がされたかったのか?」
「なっ!?何を言うんだイザベラ!私はそんな安っぽい女ではない!」
「そうか、私は脱がされても構わないのだが」
「最近恥じらいの感じ方がおかしくなってないか?」
「ふふっ、これも彼のせいだろうね。竜崎新に脱がされると心まで裸になってしまう。私達全員、彼に攻略されてしまうかもしれないな」
―――――――――――
『それで?新、今から帰ろうとしたけど緊急の仕事が入ったからもう
「ハイ、ホントウデス。チカッテウソハイイマセン」
『………………嘘は言ってないようね。分かったわ。ただし、仕事を終えたら直ぐに帰ってきなさい。良いわね?』
「はい、了解しました」
リアスからの通信を受け取り、通話を切る新
帰ろうとした矢先にバウンティハンター協会から緊急の任務が飛び込んできた為、未だにバイクを走らせていた
その任務とは――――“ある遺跡の調査”らしい
リアスの怒気を帯びた声を聞いて「早く終わらせないと殺されそうだ……」と呟く新は、更にバイクを加速させて現場へ向かった
この任務が自分の身に降りかかるトンでもない事態への予兆だと知る由も無いまま……
現場に到着した新はヘルメットのバイザーを上げて周囲を見回す
到着した問題の地点は荒れ果てた遺跡
協会からの話によると不定期ではあるが、ここで多くの人が行方不明になっているらしい
一見すれば何の変哲も無い遺跡なのだが……新は真剣な面持ちになる
「何だぁ……?この異様な『気』の流れは……。突っ立ってるだけなのにビリビリしやがる……」
周囲を取り巻く『気』の流れの異常さに警戒心を強め、バイクをゆっくり走らせる
人の気配が一切感じらない遺跡を走り続けること20分、遂にはこんな光景まで目にしてしまう……
「あれは――――転移用の魔方陣?けど、何なんだ……この数は……?」
言葉を失うのも無理はない
広大な遺跡のあちこちに転移用魔方陣らしき物が展開されていれば、誰だって驚く
異様を通り越して不可解な現状を目の当たりにする新
すると……崩壊した遺跡の陰から複数の
形状はネズミ型、何度も見かける量産タイプだ
怪訝そうに
その一部始終を見た新は「また
「何があるのか分からねぇが、
新は思いきって転移魔方陣の上に乗ってみた
しかし、いくら待っても魔方陣はウンともスンとも言わず……時間だけが過ぎていく
ただ待つだけではやはりダメかとスマホを取り出し、一誠達に連絡しようとした――――その時……突如魔方陣が輝き始め、新とバイクを包み込む
不意討ちをくらった新は「嘘だろ!?こんな時に!」と急いで連絡を入れようとするが……徐々に体が消えていく
「ちょっ、待て!まだ転移するなあぁぁぁぁぁぁぁぁ――――」
叫び虚しく、新はバイクと共に転移魔方陣によって遺跡から姿を消されてしまった……
複数の転移魔方陣、それに出入りする
それらが意味するモノとはいったい何なのか……?
――――――――――――
「ここが
「確かだぜ、兄貴。この町に俺達の人生を狂わせた奴らがいる。俺達を陥れておきながら、自分達はのうのうと学園ライフを満喫してやがる。そんなクソ野郎どもがなぁ……っ」
「相棒、怒りを見せるのはウォーミングアップを済ませてからだ。今じゃ奴は人気者らしいからなぁ」
「あぁ、良いよなぁ。どうせ俺達なんか……」
「どうせ俺達は忌み嫌われる賞金首、こんな町なんざ汚してやる……」
「汚してやろうぜ、あいつらごと……」
「「まずはお前からだ、兵藤一誠ェ……!」」
何処かに消えてしまった新、一誠を敵視する2人組……
今章は2人の物語を交互に描いていきます