ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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第2章突入です


第2章 戦闘校舎のフェニックスとマッドサンダー
蝙蝠とフライドチキン(笑)


新とアーシアが転校してから数日が経った放課後

 

 

 

新は最近オープンしたファーストフード店でフライドチキンを買って、旧校舎の部室に行こうとしていた

 

 

 

因みに新とアーシアはリアスの計らいで、一誠と同じクラスに所属する事となり、転校初日は注目の的になった

 

 

 

特に新はシャープな目付きと制服の着こなしで女子生徒からの人気が大爆発

 

 

 

男子からは嫉妬と殺意がプレゼントされ、一誠のダチである元浜と松田が闇討ちを仕掛けてきたが、新は2人の両腕両足の関節を外して撃退した

 

 

 

高校生である以前にバウンティハンター

 

 

 

格闘術で素人に負ける筈もなかった

 

 

 

「あむっ…………なかなか美味いな、このフライドチキン。リアスや一誠達にも早く食わせてやるか――――――っ?」

 

 

 

部室の前まで来ると、新は妙な気配を察知した

 

 

 

数は8人、オカルト研究部のメンバーは6人なのに2人多い

 

 

 

扉を開けようとしても何故か開かない

 

 

 

新は次第にイライラが募っていく

 

 

 

「チッ、何か結界が張られてるな。壊すか」

 

 

 

新は右手に『闇皇の鎧』を展開して魔力を集中、右拳の一撃で扉を破壊した

 

 

 

立ち上がる煙を腕で払いのけ、部室の中に入る

 

 

 

「いや〜悪い悪い。開かなかったから破壊しちまった―――――って、あれ?」

 

 

 

新の前にいたオカルト研究部のメンバー、銀髪のメイド、赤いスーツを着たホスト風の男は全員呆然としていた

 

 

 

「新、扉を壊して入ってくるなんて………どういう神経してるの?」

 

 

 

「いやいや、何かただ事じゃなさそうな雰囲気だったから」

 

 

 

「だからって壊さないでよ!」

 

 

 

「こりゃどうも失礼しました」

 

 

 

「新、ちゃんと謝る気ある?」

 

 

 

「それ程には」

 

 

 

リアスは額を押さえながら溜め息を吐く

 

 

 

「ところで……そこのメイドはなかなかの逸材じゃないか。俺と一緒にお茶でも―――――――っ!?」

 

 

 

新は銀髪のメイドに近づこうとしたが、足を止める

 

 

 

背中どころか全身に走る悪寒に、新は慎重にならざるを得なかった

 

 

 

「どうされました?」

 

 

 

「ははっ……あんた、すげぇ力の持ち主なんだな?数多くの女を攻略してきた俺でも、これ程恐ろしいと思ったのは初めてだ」

 

 

 

「初対面でそこまで察知するとは驚きました。では、改めてご挨拶させて頂きます。はじめまして、私はグレモリー家に仕えるグレイフィアと申します。以後、お見知りおきを」

 

 

 

「あ、どうも。リアス・グレモリーの眷属悪魔、竜崎新です」

 

 

 

頭を下げて挨拶するグレイフィアに対し、新も丁寧に挨拶する

 

 

 

「おいおいリアス。お前の下僕は教育がなってないんじゃないのか?いきなり扉を壊して入ってくるとは、正気の沙汰じゃないな」

 

 

 

ホスト風の男が新を見て嘲笑していた

 

 

 

新はすぐに、その男の方を向いて目を細める

 

 

 

「グレイフィアさん。あの男は誰すか?」

 

 

 

「この方はライザー・フェニックスさま。純血の上級悪魔であり、古い家柄を持つフェニックス家のご三男であらせられます。そして、リアスお嬢様の婚約者です」

 

 

 

婚約?新はライザーを見た後、すぐにリアスの方を向いた

 

 

 

「リアス部長。このホストと結婚すんのか?」

 

 

 

「バカ言わないで!私はライザーと結婚なんてしないわ!」

 

 

 

「リアス。さっきも言った様にキミのところの御家は切羽詰まってるだろ?それに、この縁談には悪魔の未来がかかっているんだ」

 

 

 

話が全く分からない新は、一誠を呼んで簡単な説明をさせた

 

 

 

―――――――――

 

 

 

「なるほど。そこのライザーは純血悪魔の子孫を残す為にリアス部長と結婚したがってる。だが、リアス部長はそれを嫌がっている。埒があかないから『レーティングゲーム』で決めようって話か」

 

 

 

「あぁ。しかも、あいつ―――――ライザーはかなりいけすかない野郎なんだ。俺達を焼き尽くしてでも部長を連れていくって言うんだ」

 

 

 

一誠の説明と言葉を聞いて、新は一層ライザーが気に入らなくなった

 

 

 

「要するに、本人の意見を無視した政略結婚か……なら話は早い。俺達がレーティングゲームで勝てば良いだけだろ?」

 

 

 

新は単純に結論を述べる

 

 

 

「そう。私達が勝てば婚約は解消。こんな好機はないわ。ライザー、あなたを消し飛ばしてあげる!」

 

 

 

「いいだろう。そちらが勝てば好きにすればいい。俺が勝てばリアスは俺と即結婚してもらう」

 

 

 

「承知致しました。お二人のご意見は私グレイフィアが確認させて頂きました。ご両家の立会人として、私がこのゲームの指揮を執らせてもらいます。よろしいですね?」

 

 

 

グレイフィアの問いにリアスとライザーは了承

 

 

 

非公式ではあるが、新もレーティングゲームに参加出来る

 

 

 

「なぁ、リアス。まさかここにいる面子がキミの下僕なのか?」

 

 

 

「だとしたらどうなの?」

 

 

 

答えるリアスにライザーはおかしそうに笑い出す

 

 

 

「これじゃ話にならないんじゃないか?キミの『女王(クイーン)』である『雷の巫女』ぐらいしか俺のかわいい下僕に対抗出来そうにないな」

 

 

 

ライザーがパチンと指を鳴らすと、魔方陣が光り出す

 

 

 

その魔方陣からライザーの下僕が続々と出現していく

 

 

 

「おおっ!全員女じゃねぇか!」

 

 

 

レーティングゲームに参加出来る駒の数は最大で15

 

 

 

一方のリアス組は7人しかいない

 

 

 

7vs15…………圧倒的に不利だが、それ以上に驚いたのは――――――ライザーの下僕が全員女性だった事だ

 

 

 

鎧を着込んだ女騎士、魔導師のような美女、チャイナドレスの女の子、猫耳を生やした女の子二名、体操服を着た双子、和服で童顔の女の子、ナイスバディな露出過多のフリフリメイド二名、大和撫子風の女の子、ドレスを着たお姫様、剣を背負ったワイルドっぽい女性、踊り子の女の子、顔半分に仮面をつけた女性

 

 

 

新はヒュウッと口笛を吹き、一誠は大号泣していた

 

 

 

「お、おいリアス……。この下僕くん、俺を見て大号泣しているんだが」

 

 

 

ライザーはドン引きの表情で一誠を見て言った

 

 

 

リアスもそれを見て、困り顔で額に手を当てる

 

 

 

「その子の夢がハーレムなの。きっと、ライザーの下僕悪魔達を見て感動したんだと思うわ」

 

 

 

ライザーの下僕悪魔は一誠を心底気持ち悪そうにした

 

 

 

当然の反応である

 

 

 

「そう言うな、俺のかわいいお前達。上流階級の者を羨望の眼差しで見てくるのは下賤な輩の常さ」

 

 

 

ワリィ。俺は数だけならお前に勝ってると思う

 

 

 

新は心の中で突っ込んでしまった

 

 

 

「よし。あいつらに見せつけてやるか―――――ユーベルーナ」

 

 

 

「はい」

 

 

 

ユーベルーナと呼ばれた女性がライザーの側へ行き、2人は濃厚なキスをし始めた

 

 

 

その光景にリアスは呆れ、アーシアは湯気を放出、一誠は羨ましそうにしていた

 

 

 

「わーおっ。スゲェなこりゃ―――――って、胸まで揉むか!?それはやり過ぎ―――――いや、乳首が見えたから良いか」

 

 

 

新は乳首を見れた事に合掌する

 

 

 

そして同時に『一誠じゃ、こんな事は一生出来ない』と思った

 

 

 

「お前達じゃ、こんな事は一生出来まい。下級悪魔くん」

 

 

 

「俺が思っている事をそのまんま言うな!」

 

 

 

「いや、正論だ。一誠、お前じゃあ一生あんな事は出来ない」

 

 

 

「新まで言うなーっ!ちくしょう!ブーステッド・ギア!」

 

 

 

一誠は嫉妬心+怒り全開で『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』を出した

 

 

 

「お前みたいな女ったらしと部長は不釣り合いだ!」

 

 

 

「はっ?お前、その女ったらしの俺に憧れているんだろう?」

 

 

 

一誠は痛いところを突かれた

 

 

 

「英雄、色を好む。確か、人間界のことわざだよな?いい言葉だ」

 

 

 

「あ、それには激しく同意」

 

 

 

「納得するな!だいたい何が英雄だ!お前なんか、ただの種まき鳥野郎じゃねぇか!火の鳥フェニックス?ハハハ!まさに焼き鳥だぜ!」

 

 

 

「っ!ブッハッハッハッハッハッハ!焼き鳥!ぷくくくくくくく………っ!一誠!ナイスな名前だ!アッハッハッハッハッハ!腹いてぇ〜!」

 

 

 

一誠の焼き鳥発言に新の笑いが止まらない

 

 

 

一方、ライザーは憤怒の表情へ一変した

 

 

 

「焼き鳥!?こ、この下級悪魔ぁぁぁぁ!調子こきやがって!上級悪魔に対して態度がなってねぇぜ!そこのお前も笑い過ぎだ!リアス、下僕の教育はどうなってんだ!?」

 

 

 

「ハハハ!そうだ一誠!流石に焼き鳥は失礼だ!こいつはな―――――――」

 

 

 

新は袋に入ったフライドチキンを取り出し、一誠やリアス達に渡していく

 

 

 

「焼き鳥じゃなくて、フライドチキンなんだよ」

 

 

 

「ブフゥゥゥゥゥゥゥゥッ!新!お前の方がよっぽど失礼だ!アッハッハッハッハッハ!」

 

 

 

「ぷくく………!やめて新……!堪えきれない……!」

 

 

 

一誠大爆笑、リアスは笑いを堪える

 

 

 

朱乃も祐斗も笑いを堪え、小猫はフライドチキンを黙々と食べる

 

 

 

アーシアだけは意味が分からず、首を傾げていた

 

 

 

「最近オープンしたファーストフード店のフライドチキン。結構イケるぜこれは。お前も食う?」

 

 

 

新はフライドチキンをライザーに差し出すが、ライザーはフライドチキンを叩き落とした

 

 

 

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!今すぐ焼き殺してやろうかぁ!?」

 

 

 

「え?『焼き鳥にしてやろうか?』って、自分に言ってるの?」

 

 

 

新はわざと間違えてライザーを煽る

 

 

 

「このクソ下級悪魔の分際でぇぇぇぇぇっ!」

 

 

 

「おっ?何だ、やる気か?面白ぇ。本当のフライドチキンに」

 

 

 

「待て新!この焼き鳥野郎は俺がぶっ倒す!ゲームなんざ必要ねぇさ!俺がこの場で全員倒してやらぁ!」

 

 

 

Boost(ブースト)!!』

 

 

 

籠手から音声が発すると、一誠の力がアップ

 

 

 

拳を固めて突撃する一誠に、ライザーは嘆息した

 

 

 

「ミラ。やれ」

 

 

 

「はい。ライザーさま」

 

 

 

ミラと呼ばれた童顔の女の子が長い棍で一誠をひと突き

 

 

 

一誠は攻撃を認識する間もなく吹っ飛ばされた

 

 

 

「イッセーさん!」

 

 

 

アーシアが一誠に駆け寄り、腹部に手を当て治療する

 

 

 

「弱いなお前。さっきお前が戦ったのは俺の『兵士(ポーン)』ミラだ。俺の下僕では一番弱いが、少なくともお前よりも実戦経験も悪魔としての質も上だ。ブーステッド・ギア?はっ!確かにそいつは凶悪で最強の無敵神器(セイクリッド・ギア)のひとつだが、ロクに使いこなせないお前じゃ大した事なくなっちまうな!こう言うのを、人間界の言葉ではなんて言ったっけな。……そうだ、『宝の持ち腐れ』、『豚に真珠』だ!フハハハ!そう、まさにお前の事だよ!リアスの『兵士(ポーン)』くん!」

 

 

 

ライザーは倒れている一誠をバカにする

 

 

 

弱いのは事実な為、一誠はグゥの音も出せなかった

 

 

 

「ハハハハハ!っ?どうしたミラ?」

 

 

 

「あの、ライザーさま?何だかさっきから下がスースーして………。っ!?」

 

 

 

突然ミラが顔を真っ赤にして、自分の尻を押さえる

 

 

 

ライザーや皆は何がどうしたのか理解出来なかった

 

 

 

すると、新がクスクス笑い出した

 

 

 

「もしかして忘れ物でもしたのか?これとか」

 

 

 

新がヒラヒラと布みたいな物を見せびらかす

 

 

 

それを見たミラの全身が真っ赤に染まる

 

 

 

「そ、それは私の………っ!?」

 

 

 

「おい。まさか……?」

 

 

 

「その通り。今の最中にミラから盗った下穿きだ。しかし、フンドシとは驚いた」

 

 

 

これぞ新の手技『衝撃!神速で女性の下着を剥ぎ取るの術!』である

 

 

 

「イヤァァァァァァァァァ!」

 

 

 

ミラが慌てて下着を取り返そうとするが、新はヒョイヒョイと回避

 

 

 

動く度にチラチラ見える尻を見ながら、余裕であしらう

 

 

 

スッ…………サワサワッ………

 

 

 

「きゃひんっ!?」

 

 

 

新はかわしざまにミラの尻を撫でる

 

 

 

手技の餌食となったミラは、ペタリと崩れ落ちた

 

 

 

「なかなか良い感触の尻だが、お子ちゃまじゃ俺には勝てねぇよ。ほれ」

 

 

 

投げられたミラの下着が、ゆっくりとライザーの頭に着地

 

 

 

全員がポカ〜ンと口を開けていた

 

 

 

「お前はそこの『兵士(ポーン)』くんとは違うな。ランクは何だ?『騎士(ナイト)』か?スピードに秀でた『戦車(ルーク)』か?」

 

 

 

「いや、俺は一誠と同じ『兵士(ポーン)』だ。因みに消費数は一誠が7で、俺が1だけどな」

 

 

 

「なにっ?ミラの攻撃に反応出来なかったそいつの方が、駒の消費数が多いだと?何の冗談だ」

 

 

 

「何の冗談だって言われても事実だ。俺は元人間のバウンティハンター。ただそれだけだ」

 

 

 

「ふっ、面白い。カーラマイン、相手してやれ」

 

 

 

呼ばれた女騎士が剣を抜き、新に剣先を向ける

 

 

 

「私はライザー様に仕える『騎士(ナイト)』カーラマイン!リアス・グレモリーの『兵士(ポーン)』よ、いざ正々堂々と手合わせ願おう!」

 

 

 

「元気な女だな。騎士道精神ってヤツか?それにあんたもなかなか可愛らしいな」

 

 

 

「私を油断させようとしても無駄だぞ。さっきの様な………ハ、ハレンチな行為を仕掛けても、私は『騎士(ナイト)』だ。『騎士(ナイト)』の特性は速度にあるんだからな」

 

 

 

「俺は純粋な感想を述べただけなんだが………まぁ良いや。じゃあ、やるか」

 

 

 

新は右腕に『闇皇の鎧』を展開、更に中から剣を出現させる

 

 

 

「ほう。お前も神器(セイクリッド・ギア)を所持していたのか。しかし、何だ?その神器(セイクリッド・ギア)は今まで見た事が無いぞ?」

 

 

 

「ま〜たそれかよ。残念ながら、こいつは神器(セイクリッド・ギア)じゃない」

 

 

 

それを聞いたライザー陣営が全員驚く

 

 

 

神器(セイクリッド・ギア)でないなら、それはいったい何なのだ!?」

 

 

 

「そうだな〜。カーラマインって言ったな?あんたが脱いでおっぱい揉ませてくれたら話してやるよ」

 

 

 

「っ!?ふ、ふざけるな!そんなハレンチな事を誰がするか!」

 

 

 

カーラマインは新の提案に激昂する

 

 

 

ライザー眷属も「最低!」、「変態!」、「女を脱がして楽しむなんて愚劣よ!」等と罵倒を飛ばす

 

 

 

「今の俺は悪魔だぜ?何かを得るには、それなりの代価を払わなければならない。悪魔社会の基本じゃないのか?」

 

 

 

「うるさい!お前の様な不埒者は私が成敗してくれる!」

 

 

 

カーラマインは『騎士(ナイト)』特有のスピードで縦横無尽に駆け回る

 

 

 

一方、新はその場に留まり静止する

 

 

 

「速いな。流石は『騎士(ナイト)』か」

 

 

 

「どうだ!これだけ速く動けば、お前は私の動きについてこれまい!」

 

 

 

動き回っていたカーラマインが背後から新に斬りかかる

 

 

 

ライザーは「こいつも大した事なかったな」と、思ったその刹那だった

 

 

 

「気配が丸分かりなんだよ」

 

 

 

ガキィィィンッ!

 

 

 

なんと後ろを向かずにカーラマインの剣を弾き返した上に、そのまま連続でカーラマインの鎧と下の服を破壊する

 

 

 

「っ!?鎧と服が!」

 

 

 

左手で純白パンツを隠そうとするも面積が足りず

 

 

 

一誠は見ようとしたがアーシアに目を塞がれ、小猫にボディーブローを入れられる

 

 

 

「どうした?俺はまだ一歩も動いちゃいねぇぞ」

 

 

 

「ど、どうやればあんな攻撃が出来る!?常人では不可能だぞ!」

 

 

 

「なら、俺は常人じゃないだけだ。まだやるか?後ろを向いとくから安心しな」

 

 

 

その場に留まり続ける新

 

 

 

カーラマインはパンツを隠そうとしている左手を放して構え直す

 

 

 

「はぁああああああっ!」

 

 

 

剣を振り下ろすカーラマインに対し、新はまた振り返らずに怒濤の斬撃を繰り出す

 

 

 

「ここだっ!」

 

 

 

カーラマインは長剣で新の剣とぶつかり合う瞬間に、左手の短剣と長剣で挟み込む様に新の剣を押さえる

 

 

 

これでもう、剣を持っている腕を動かす事は出来ない

 

 

 

そう思っていた

 

 

 

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」

 

 

 

全員が驚愕と畏怖の目を向けた

 

 

 

何故なら、挟んだ長剣と短剣のせいで動かせない筈の右腕が動き―――――――いや、あり得ない位グニャリグニャリと波打つ様に(ねじ)れていたのだ

 

 

 

「ひ、肘関節が捻れてるぅぅぅぅぅっ!?」

 

 

 

「イヤァァァァ!怖いですーっ!」

 

 

 

「あ、新!いったいどういう体の構造してるの!?」

 

 

 

「流石に僕も引いちゃうな………」

 

 

 

「あらあら。まだ捻れてますわね」

 

 

 

「………気持ち悪いです」

 

 

 

これは確かに気持ち悪い光景である

 

 

 

ようやく捻れが終了した新の腕は、そのままカーラマインを宙に放り投げる

 

 

 

ギュルルンっと腕を元通りにした新は、刀身に魔力を込める

 

 

 

「そろそろ決めさせてもらうぜ」

 

 

 

新が魔力を込めた剣で高速の斬撃を放つ

 

 

 

速すぎて反応出来なかったカーラマインは床に落ちる

 

 

 

「………っ?どこも斬られていない?貴様、何のつもりだ!?手合わせとはいえ、わざと攻撃を外すとは恥を知れ!」

 

 

 

立ち上がって怒るカーラマイン

 

 

 

新は剣と鎧を解除して首を鳴らす

 

 

 

「いや、外しちゃいねぇし――――――もう勝負は着いた」

 

 

 

ピシッ………パララララララララッ………

 

 

 

長剣と短剣が刃からバラバラになり、直後にカーラマインの服が弾け飛ぶ

 

 

 

騎士(ナイト)』さながらの引き締まった肢体、綺麗な乳房と乳首があらわとなった

 

 

 

「っ!?いやっ!」

 

 

 

カーラマインは顔を真っ赤にして、屈むように自分の裸体を隠す

 

 

 

もちろん一誠は見ようとしたが、小猫に吹っ飛ばされたせいで見れなかった

 

 

 

「………鬼畜変態のドスケベです」

 

 

 

小猫から痛い言葉をくらうも、新は全然気にしなかった

 

 

 

「残念だったな、俺の力の正体を知るのはお預けだ。あと、さっきの別に期待してないから気にすんな」

 

 

 

新が手を振ってその場から一歩踏み出す

 

 

 

二歩、三歩、四歩目で「待て」と呼び止められる

 

 

 

「わ、私はライザー様に仕える『騎士(ナイト)』……。主のライザー様を勝利に導く義務がある……。未知なる力が脅威となるならば、その正体を突き止める事もまた役目……!」

 

 

 

カーラマインがゆっくりと立ち上がる

 

 

 

「ライザー様の勝利の為なら、この身を落とす覚悟も出来ている……!リアス・グレモリーの『兵士(ポーン)』よ……さ、触るが良い!私はどんな恥辱にも耐えてみせる……!」

 

 

 

カーラマインは手を退けて自ら裸体を披露した

 

 

 

これには流石の新もビックリ

 

 

 

「えっ!?ちょ、ちょっと待った!確かに揉ませてくれたら話してやるとは言ったけど!そんな無理してまで」

 

 

 

「『騎士(ナイト)』に二言など無い!その力の正体を知る事は、ライザー様の勝利に繋がるんだ!さあ、触れ!」

 

 

 

「リ、リアス部長!何とか言ってくれって、なに耳塞いで後ろ向いてやがんだゴラァ!放置か!?俺を放置する気か!?ライザー!お前も止めろよ!眷属のおっぱいが大ピンチなんだぞ!?」

 

 

 

「いや、別の男に感じさせられるカーラマインも見てみたいな」

 

 

 

「何だこの新手の羞恥プレイはチクショウっ!」

 

 

 

新が地団駄を踏む中、カーラマインは涙を浮かべながら近づく

 

 

 

「い、いつまで私に恥をかかせる気だ………?お前が触りたいと言ったんだぞ………。は、早く触れ………」

 

 

 

カーラマインの涙を見て、新は覚悟を決めた

 

 

 

――早く終わらせて、この場から逃げよう――

 

 

 

新はかつてない心境を味わった

 

 

 

モニュッ………モミモミモミ………

 

 

 

「ふぁっ………んっ、んんっ………はぁっ」

 

 

 

「何故だ………!?今まで罪悪感など沸いた事無いのに………何故心が痛む………!?」

 

 

 

「ど、どうだ………?私の胸は………気持ち良いか………?」

 

 

 

「え………あ、あぁ。スッゲェ気持ち良い………形も感度も良く、張りがあって乳首も綺麗だが………なんかスッゲェ恥ずい!」

 

 

 

新は現状の空気に耐えられなくなり、カーラマインに自分の制服の上着を着せる

 

 

 

「いやぁ、何とも見事だったな『兵士(ポーン)』くん?あそこまで感じさせるとは。で、その力の正体は何だ?」

 

 

 

「………こいつはリアス部長やお前を含む悪魔、堕天使達を滅亡させようとした魔族、闇人が作った『闇皇の鎧』だ」

 

 

 

「闇人………?っ!まさか、先の三つ巴戦争時に悪魔や堕天使だけでなく、神をも滅ぼそうとした、全魔族の敵とも言えるあの闇人の力か!?そんな力が何故お前に宿っている!?」

 

 

 

「チョイと訳ありで、俺の中に入ってるんだよ」

 

 

 

「ただの元人間じゃなかったのか。なのに消費した駒が『兵士(ポーン)』ひとつとは………どうやら、ゲームで最初に潰す必要があるのはお前の方だな。リアス、ゲームは10日後でどうだ?こっちも作戦を立ててゲームを面白くしたいんでね」

 

 

 

「いいわ。10日、それだけあれば充分よ。覚悟してなさい」

 

 

 

レーティングゲームの日程が決まり、ライザーは眷属達と共に姿を消した

 

 

 

「ところで新。さっきのはらしくなかったけど―――――何であんなに取り乱してたの?」

 

 

 

「………流石にマジ泣きされると、良心が痛むっつーか何つーか………自分でも分からねぇ」

 

 

 

「あなたに良心なんて物があったの?」

 

 

 

「今まで無いと思ってたのかよチクショウ!」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「あの『兵士(ポーン)』の服………」

 

 

 

スー………クンクンクン………

 

 

 

「カーラマイン、何をしている?」

 

 

 

「っ!?イ、イザベラ?驚かさないでくれ」

 

 

 

「今、匂いを嗅いでなかったか?」

 

 

 

「――――っ!そ、そんな事あるはずがない!私は『騎士(ナイト)』だ!その様な不埒な真似は」

 

 

 

「していたぞ。今見てしまった」

 

 

 

「イヤァァァァァァァァァァァっ!」


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