ドラえもん のび太の大魔境 second season 〜もう一つの伝説〜   作:田舎者

45 / 47
エル
「最近作者、自動車学校に通いだしたらしいね」

ジャイアン
「ああ、鬼畜インストラクター共に毎日しごかれてるって噂らしいぜ」

静香
「けどそのせいで更新が遅れたって言われても……言い訳にならないわよね」

一同
『うんうん』


えー、皆さん。世の中には理不尽な事が沢山あります。
しかしそれを乗り切る事で、新しい道が拓ける筈だと、
言うことが矛盾だらけのインストラクター達を相手にしながら、私は思います。
皆さんもそれらを乗り切って頑張って行きましょう!!
それではどうぞ!!



目覚め

(ここは…どこ……?)

 

 

少女が目を覚ますと、そこは辺り一面真っ白に囲まれた病室であった。

 

 

(私は……一体……え…?)

 

 

意識が朦朧としている中、少女は自身の口に人工呼吸器が付けられている事に気がついた。腕にも点滴が繋がれている。

 

 

(まさか……?)

 

 

おもむろに胸に手を当て、そこに目をやる。

 

 

(……塞がってる……一体誰が…?)

 

 

剣士に付けられた筈の刺傷が塞がっている事に少女は気がついた。不思議に思いながら少女は辺りを見渡した。

少女のベッドは窓際に置かれたものであった。

少し開いた窓から心地よい風が吹き込み、軽く閉められたレースカーテンが風に靡いている。

窓から差し込む陽光と相まって、少女は言い知れぬ心地良さを覚えた。

 

 

すると突然、病室のスライド式の戸が開いた。

入って来たのは、純白のナース服に身を包んだこの病院のナースのようだった。替えの点滴等を乗せたワゴンを押しながら、ナースは少女に近づいた。

 

 

ナース

「……!!」

 

 

ナースは少女が目を覚ましている事に気付くと、駆け足で病室を後にして行った。

 

そして数分後、ナースは白衣を着た"猫型ロボット"を連れて病室へ戻って来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王ドラ

「私の手を握ってみて下さい」

 

 

王ドラは少女……リルルに手を差し出した。

 

 

リルル

「…………」

 

 

リルルはゆっくりと王ドラの手を握った。

 

 

王ドラ

「よし、意識は大丈夫ですね。チューブ外しますね。」

 

 

そして王ドラとナースはリルルに付けられていた人工呼吸器を外し、代わりに酸素マスクをリルルに取り付け、ゆっくりとベッドを起こした。

 

 

 

王ドラ

「話す事は出来ますか?」

 

 

王ドラはリルルに問うた。

そしてリルルはゆっくりとマスク越しに口を開いた。

 

 

 

 

リルル

「どうして………私を助けたの?」

 

 

リルルは王ドラに冷たい眼を向けた。

その言葉を聞いた王ドラは、少しの間沈黙した後、口を開いた。

 

 

王ドラ

「貴女は私の仲間の友人だとお聞きしました。何よりも、私は医者です。医者は患者を治す、その事が全てです。患者が誰で、"どのような行い"をしたかは問題では無いんです。」

 

 

 

どのような行い。

リルルの胸にはその言葉が引っかかった。

自身が行なった筈の虐殺が許されるのか。

リルルはそれがわからなかった。

 

 

リルル

「……普通私は捕虜として扱われる筈でしょう? なぜ拘束具を着けないの? 逃げてくれと言っているようなものでしょう。」

 

 

リルルは冷たく問うた。

 

 

王ドラ

「拘束具を着けるのは医者として同意できません。それに、貴女を捕虜として扱おうとしている人は誰一人居ませんよ。」

 

 

王ドラは物腰柔らかく答えた。

リルルはそんな王ドラの穏やかな言動に不快感を覚えた。

 

 

リルル

「そもそも…私の友達はジュドだけよ…。ーージュド?」

 

 

 

何気なく言ったジュドという名前。

リルルなそれがどれほど重要なものか、その時気が付いた。

 

 

リルル

「ジュド…!! ジュドはどこなの…!? 教えなさい…!!」

 

 

リルルは目の色を変えて、王ドラに問い詰めた。

 

 

王ドラ

「彼は別室で安静にしています。同じく彼にも、拘束具等は着けていません。」

 

リルル

「敵である貴方の言葉を……信じろと言うの?」

 

 

リルルは鋭い視線を王ドラに向ける。

 

 

王ドラ

「嘘をつく理由がありません。そんな嘘をつく暇があるなら、とっくに貴女を拘束している筈だ……違いますか?」

 

 

王ドラは鋭く切り返した。

リルルはむっとしたような表情で王ドラを見つめたが、少しして彼女の目は再び冷めたものに変わった。

不本意ながら、王ドラの言葉は理にかなっていると言うことを察したようだった。

 

 

 

リルル

「やはり人間は愚かな生き物ね……」

 

 

 

リルルはそうぼそりと呟き、窓の景色に視線を移した。

王ドラはそんな彼女の様子を真剣な眼差しで見た後、経過を電子カルテに記録し始めた。

 

 

王ドラ

「貴女に会いたがっている人がいます。この後会って頂けますか?」

 

 

電子カルテに経過を打ち込みながら、王ドラは尋ねた。

リルルはこちらを振り返った。

 

 

リルル

「…………いいわ」

 

 

リルルは素っ気なく答え、再び視線を窓に移した。

 

 

王ドラ

「では私はこれで失礼します。お大事に。」

 

 

王ドラはリルルに頭を下げた。

リルルは黙ったままだった。

 

 

そして王ドラとナースが病室を後にした後、再び病室のスライド式のドアが開き、リルルの耳に足音が聞こえてきた。

普通の足音では無く、松葉杖を使っているような足音だった。

 

 

そしてリルルの前に姿を現したのは、脚に怪我を負い、松葉杖をついている少女であった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静香

「リルル……………久しぶりね……」

 

 

静香はどこか乾いたような笑みをリルルに向けた。

 

 

リルル

「久しぶり? 実際にあなたと顔を合わせるのはこれが初めてでしょう?」

 

 

リルルは冷たい目で静香を見た。

その言葉を聞いた静香の表情には一抹の哀しみが見て取れたが、静香は続けた。

 

 

静香

「初めてなんかじゃないわ……私達は…一緒に戦った仲間よ、忘れてしまったの……?」

 

 

静香は自らの胸に手を当てて、リルルに問いかけた。

 

 

リルル

「何を言っているの? いつ私が貴女と共に戦ったというの? 私の初陣はついこの前……そう、貴女の脚をそんな風にさせた時よ。仲間どころか敵として戦っていたのよ?」

 

 

リルルは冷たく返す。

 

 

静香

「やっぱり………何も覚えていないのね……」

 

 

静香は俯いて声を震わせた。

リルルはそんな静香の様子を不思議そうに見た。

 

 

リルル

「……あなたたちは一体何が目的なの? 私はあなた達の仲間を大勢殺した張本人なのよ? そんは私を捕虜にするどころか、逆に傷の手当てをするなんて……到底理解出来ないわ。」

 

 

リルルは俯いている静香に問いかけた。

 

そんなリルルの言葉に、静香はハッと顔を上げた。

 

 

静香

「そんなの……決まってるじゃない…! あなたは私の……友達だから…!!」

 

リルル

「ーー!!」

 

 

その時リルルの中に、身に覚えのない筈の記憶が流れ込んで来た……

 

 

 

 

 

 

 

 

(大丈夫……必ず助けるから……)

 

 

 

 

(静香………ありがとう……)

 

 

 

 

 

 

 

リルル

「ーーッ!!」

 

 

その直後、リルルは激しい耳鳴りを感じ、苦しそうに頭を抑えた。

 

 

静香

「リルル…!?」

 

 

静香はそんなリルルの様子に驚き、心配した様子でリルルに近づこうとするが……

 

 

リルル

「来ないで!!」

 

 

リルルはそれを剣幕で制止した。

 

 

リルル

「これは……何…!? この記憶は……一体……!?」」

 

 

リルルは頭を抱え、苦しそうに狼狽する。

 

 

静香

「リルル…?」

 

 

静香はそんなリルルの様子をひたすら見守るしかなかった。

 

 

 

すると突然、病室の戸が開き、ナースが慌てた形相で入り込んで来た。

リルルのバイタルと精神状態が急激に変化した事が、ナースセンターに伝わったようであった。

 

 

ナース

「………これ以上の面会はご遠慮下さい。」

 

 

ナースはそう静香に告げた。

それを聞いた静香は、「はい」と一言だけ添えて、リルルの病室を後にした。

 

 

 

静香

「………必ずあなたの記憶を取り戻してみせるわ……」

 

 

 

 

そして静香は病室の戸を名残惜しげに見た後、松葉杖をついてその場を去っていった……。

 

 

 

 

 

 

 




ジャガー
「なんか医療ドラマみたいな回じゃったのう」

エド
「せやな、ドラえもんはそがいな作品とちゃうと思うで」

スネ夫
「まあまあ、少しは目を瞑ってもいいじゃないか」


そもそもこんな重っ苦しいシリアスな話を書いてる時点で、既にドラえもんから掛け離れている気がしないでもない、今日のこの頃です…(笑)
それでは、また次の回で!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。