ドラえもん のび太の大魔境 second season 〜もう一つの伝説〜   作:田舎者

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ドラえもん
「皆さん! 夏休みはエンジョイしてますかー!?」

ジャイアン
「夏といえば花火やスイカ! そして海や川だよな!」

スネ夫
「皆さん! 一年に一度の夏休み! しっかりと楽しみましょう!」

リルル
「ちなみに作者は毎日資格試験の補習! 今にも泣きそうって言ってたわ!」

ジャイアン
「ざまあみろだぜ! それじゃあ始まるぜ!」

一同
「ドラえもん のび太の大魔境 second season!」


新たな障壁

サベールとザンダクロスの闘いが激化していた頃……

 

ドラえもんらの下へ向かっていたのび太達は、ポセイドン達から救出した王妃、スピアナの話をタイムホールの中で聞いていた……

 

 

 

 

スピアナ

「皆さん、改めてお礼をさせて下さい……ありがとうございました…」

 

 

スピアナはのび太達に深く頭を下げ、のび太達に感謝の言葉を述べた。

 

 

スネ夫

「当然の事をしたまでです…。 それより、僕らから幾つか聞きたいことがあるのですが……宜しいですか?」

 

 

スネ夫は丁寧な口調でスピアナの言葉に笑顔で受け応えた後、真剣な顔でスピアナに質問を投げかけようとする。

 

 

スピアナ

「ええ、私に答えられる事なら何なりと質問して下さい…」

 

 

スピアナは畏まり、毅然とした態度で質問を聞く態勢に入った。

 

 

のび太

「じゃあ僕から……」

 

 

最初に質問をしたのはのび太であった。

 

 

のび太

「あなたを誘拐した者………それは誰だか分かりますか?」

 

 

一同

「…!」

 

 

のび太はいきなり核心を突くような質問をした。

あまりの唐突さに、一同の視線はのび太に集中する。

 

 

スピアナ

「それが………申し訳ありません。私にも……よくわからないのです……」

 

 

のび太

「そうですか………なら、その者の特徴を分かる範囲で教えてくれませんか? ほんの小さな事でもいいんです」

 

 

分からないと答えたスピアナであったが、のび太は更に質問を続ける。

 

 

 

スピアナ

「そうですね……顔までは確認出来ませんでしたが……まず、人間や私達犬人類の肌とは思えない程の"青白い肌"をしておりました……それから……長い黒髪、長身痩躯、そして鋭い爪と牙……このくらいでしょうか…」

 

 

スピアナは相手の一通りの情報を言い終えると、フッと息をついた。

 

 

のび太

「十分な情報です。ありがとうございました…」

 

 

のび太はスピアナに会釈をした。

 

 

スピアナ

「それと………陛下らからの逃亡に成功する直前、その者は陛下にこんな事を言っておりました……」

 

のび太

「?」

 

 

のび太は再び視線をスピアナに戻す。

スネ夫とドラミも彼女に注目した。

 

 

スピアナ

「「なんだ。どんな奴かと思ったら…こんなもん? お前………王様辞めろよ。あははは!」と………。」

 

 

のび太

「……………!」ギリッ!

 

 

のび太は拳を握りしめ、憤慨していた。

何者かもわからない者に、自分の友を侮辱された事に……

 

 

スネ夫

「のび太……」

 

ドラミ

「のび太さん……」

 

 

そんなのび太を2人は心配そうに見つめる。

 

 

のび太

「………大丈夫。話を続けよう…。」

 

 

暫くするとのび太は我を取り戻し、話を再開するように促した。

 

 

スネ夫

「う、うん。…さっきのスピアナさんの言った敵の特徴から察するに…そいつは明らかに"人間じゃない"ね……。」

 

 

ドラミ

「そうね……のび太さん、スネ夫さん、今までそんな感じの者と出会ったり、戦ったりした事とかはない…?」

 

 

ドラミがのび太達に達に問いかけた。

もしかしたらその者はなにかのび太達と接点があるのではないかと考えたからである。

 

 

スネ夫

「いや、記憶にないね……。」

 

 

スネ夫は首を横に振った。

 

しかし……

 

 

のび太

「………心当たりなら………あるよ。」

 

 

のび太は暫く黙り込んだ後、気まずそうに口を開いた。

 

 

スネ夫

「? のび太、僕たちは今まで色んな所を冒険してきたけど……そんな特徴のある奴となんか出会った覚えなんてないよ?」

 

 

スネ夫はのび太の言葉に疑問を呈した。

しかし、のび太は続けた…

 

 

のび太

「知らないのも無理はないよ………だってーー」

 

スネ夫

「…?」

 

 

一同の視線は完全にのび太の方へ向いていた……

 

そしてのび太は口を開いた。

 

 

 

 

のび太

「ドラミちゃんを除いて、僕やドラえもんと一緒に"奴ら"と戦った時のスネ夫達は……"別世界のスネ夫達"だったんだから……。」

 

 

ドラミ

「……なるほどね。」

 

 

スネ夫

「………え?」

 

スピアナ

「それは……どういう事でしょうか?」

 

 

のび太がそう言い終えると、ドラミは納得の表情を浮かべたが、スネ夫とスピアナはのび太の言葉の意味が理解出来ない様子であった……

 

 

そんなスネ夫達に、のび太はその言葉の意味を話し始めた……

 

 

のび太

「別世界のスネ夫達…………それは僕が4年前、ドラえもんの道具である『もしもボックス』を使って生み出した世界のスネ夫達だったんだ……。」

 

 

スネ夫

「もしもボックス? 自分の想像した世界を体験できる道具か………のび太達は一体どんな世界に行ってきたの……?」

 

 

スネ夫が問いかける。

スピアナも真剣そうにのび太を見つめていた。

 

そしてのび太は続けざまに応えた……

 

 

 

のび太

「"魔法の世界"………だよ。」

 

スネ夫

「………え?」

 

 

 

魔法の世界……

 

 

のび太は確かにそう言い、その世界であった出来事をスネ夫とスピアナに話した……

 

 

 

科学ではなく、魔法が日常と化した世界。

 

 

そこで出会った魔法使いの少女、"満月美夜子"とその父親、"満月牧師"。

 

 

地球侵略を目論む巨大な軍勢との死闘。

 

 

そして、少女との別れ……

 

 

 

 

 

 

のび太

「…………というわけなんだよ。」

 

 

のび太は一通り魔法の世界について話した後、疲れたように息を吐いた。

 

 

スネ夫

「………なるほど、つまりのび太はこう言いたいんだね?」

 

 

スネ夫はのび太に向かって言った。

 

 

スネ夫

「スピアナさんを攫った奴は、のび太がさっき話した世界で戦った勢力………"悪魔族"の1人だと…。」

 

 

悪魔族……魔法の世界で存在した星、"魔界星"に居を構えていた種族。

 

個体自体の強さによってそれぞれ階級が分けられており、その階級はそれぞれの個体が被っている帽子等に刻印された"星の数"によって知ることが出来る。

 

人間並みの高い知能に加え、熟練の魔法使いでも使いこなすのが難しい魔法であっても難なく使いこなす魔力を有し、集団戦法で相手を追い詰める戦いを得意とした。

 

4年前にのび太達によって絶滅させられた筈なのだが……

 

 

のび太

「うん………特徴としては長い黒髪以外は完全に一致するんだよ。奴らは僕達が過去に倒した筈……でも現に同じく僕達が倒した筈のポセイドンも、何かしらの方法で復活を遂げていたんだから不思議じゃないと思うんだ。」

 

 

のび太は、スピアナを連れ去った者の正体は魔法の世界でのび太らが戦った勢力、悪魔族だと考えていた。

 

しかしドラミはのび太の発言の矛盾に気が付いた…

 

 

ドラミ

「だけど………魔法の世界は私たちの住んでいる世界とは別の世界、『パラレルワールド』なのよ? それなのに今回の事件に悪魔族が関わっているというのはおかしいと思うわ。」

 

 

のび太らの世界と魔法の世界は別物であり、

悪魔族がのび太らの世界に関与することは実質的には不可能なのである……

 

しかしのび太はこう言った…

 

 

のび太

「一つだけ………奴らがこの世界に関与できる方法があると思うんだ…。」

 

スネ夫

「? どんな方法なんだ…?」

 

ドラミ

「まさか……!」

 

 

ドラミは既にその方法というのを察している様子であった。

 

そしてのび太は口を開いた……

 

 

のび太

「……22世紀の人間の力を借りるんだよ。もしもボックスなんて物が作れるなら、パラレルワールドから悪魔族を連れてくることなんかも可能だと思うんだ。ドラミちゃん、僕のこの考えについてどう思う?」

 

 

のび太はドラミの方を向いてドラミに問いかけた。

 

 

ドラミ

「………十分考えられるわ。だけど……もしそうだとすれば……私たちに新たな障壁が現れる事は間違いないわ…。」

 

スピアナ

「新たな障壁? それは一体……?」

 

 

スピアナは首をかしげる。

そしてドラミはその障壁というものについて説明を始めた……

 

 

ドラミ

「実際、パラレルワールドの世界の人間を私たちの世界に連れてくるという実験には成功しているわ。しかしそれは"極秘裏"に行われた実験だったの…。」

 

ドラミ

「私のいる時代から2年ほど前だったかしら……もしもボックスの技術を更に応用して、パラレルワールドとパラレルワールドの接触を計ろうとするプロジェクトが始動したの。そして数ヶ月前、ついにその実験は成功した……。」

 

のび太

「ちょっと待って。極秘裏だったんでしょ? じゃあドラミちゃんはどうしてそんな事を知っているの?」

 

 

のび太はドラミの言葉が引っかかり、ドラミに問いただした。

 

 

ドラミ

「これでも私、色々と"コネ"があるのよ……詳しくは言えないけど。」

 

 

ドラミはのび太の質問に簡潔に答え、話を元に戻した。

 

 

ドラミ

「そしてその実験を成功させた研究チームのメンバー全員は、実験が成功した直後に謎の死を遂げている……チームの最高責任者を除いて…。」

 

 

のび太

「最高責任者以外が怪死…? ……という事は…!」

 

 

のび太は全てを悟ったかの様な表情を浮かべた。

 

 

ドラミ

「ええ。もしのび太さんの推理が正しいのなら、今回の事件………その実験に携わった人間が黒幕と内通している可能性が非常に高いわ…!!」

 

 

スネ夫

「…………その研究チームの責任者の名前は…?」

 

 

スネ夫は冷や汗をかきながらドラミに問いただした。

 

 

ドラミ

「"黒崎 啓介"という日本人だと聞いているわ…。そして……黒崎は1カ月程前に謎の失踪を遂げているの…!」

 

 

のび太

「そうとなれば合点がいく…! …どうやら敵は僕たちが想像してたよりも遥かに大きな集まりだって事が分かってきたね…。」

 

 

スネ夫

「うん……ポセイドン、鉄人兵団、そして……22世紀の人間。のび太達が魔法の世界で倒した筈の悪魔族の王、"デマオン"も敵に回ってるとしたら……まずいぞ…! とても僕らだけで手に負えるような相手じゃなくなる…!!」

 

 

デマオン……全ての悪魔を束ねる魔界の王。

ドラえもんらを圧倒する戦闘力を誇り、4年前にのび太らを窮地まで追い込むが、最後にはのび太達の反撃により倒された。

 

 

 

のび太

「もし悪魔達が復活したのなら……必ずまた僕達が倒さなくちゃいけない……美夜子さんと満月牧師の為にもね……」

 

 

 

満月 美夜子……魔法の世界で出会った魔法使いの少女。

 

魔法の絨毯の操縦技術は、当時中学生ながらA級ライセンスを取得するなど、非常に優れている。

 

"ある事情"により彼女の実の母、「満月 美咲」を亡くしている…。

 

 

 

満月牧師……本名「満月 夜真斗」。

 

美夜子の父親であり、魔法学の権威である。

 

当時は人間界屈指の魔法使いという呼び声が高かった。

 

 

 

ドラミ

「ええ………敵は私たちに恨みを抱えてる者たちが集まって組織された連合軍……ってところね……。そして黒幕は未だに不明だわ…。」

 

 

死んだ筈のポセイドン、歴史上から消え去った筈の鉄人兵団、そして、のび太らが死闘を演じてようやく倒した悪魔族の王…デマオンとその部下達。

 

それらは何かしらの方法により復活を遂げ、のび太らに復讐をしようと考えている。とのび太らは考えていた……

 

 

 

 

のび太

「……! そろそろ到着だね…!」

 

 

のび太はタイムマシンに搭載されたタイムメーターを見ながら言った。

 

そしてしばらく経つとタイムマシンは停車し、出口のタイムホールが開いた……

 

 

スネ夫

「急いで行こう! ドラえもん達が心配だ!」

 

ドラミ

「ええ!」

 

 

4人は急いでタイムホールを通った。

タイムホールが開いた先は、集落から少し離れた真夜中のジャングルのようであった……

 

 

のび太

「ドラミちゃん! タケコプターを!」

 

 

のび太は慌てた様子でドラミにタケコプターを要求した。

 

 

ドラミ

「分かったわ! はい!」

 

 

ドラミはのび太にタケコプターを手渡した。

そしてその後スネ夫達にもタケコプターを渡し、一同は空中に飛び立った……

 

 

のび太

「ドラえもん達はどこに…!?」

 

 

のび太はキョロキョロと辺りを見回した。

 

 

スピアナ

「!!! あれを見てください!」

 

 

スピアナはある場所を指差した。

慌ててのび太達はその指が差す方向を凝視した。

そしてのび太達から1kmほど離れた所に、それは居た……

 

 

スネ夫

「あれは………ザンダクロス!?」

 

のび太

「まさか…! ペコの言ってた敵の兵器って…!」」

 

 

のび太達は驚愕した。

鉄人兵団が復活したとは言え、自分達の知ってたザンダクロスが再びのび太達の前に姿を現わすなど思ってもなかったのである。

 

 

ドラミ

「!!! 見て! ザンダクロスの前に誰かいる! お兄ちゃんでも静香ちゃんでもないわ!」

 

のび太

「何だって!?」

 

 

のび太は更にザンダクロスの周りを凝視した。

そしてその人物を確認したのび太はハッとしたような顔をした……

 

 

のび太が確認したそれは……

 

ザンダクロスを前にして膝を付いたボロボロの状態のサベールであった……

 

 

 

のび太

「サ、サベール!? どうして彼が!?」

 

スネ夫

「分からない……だけど彼……苦戦してるみたいだ…!」

 

スピアナ

「急いで彼らの下へ行きましょう!!」

 

 

 

 

 

サベールに何があったのか……

 

それを知らないまま4人は全速力で、サベールらの下へ向かって行った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




美夜子さんのお母さんと満月牧師の本名は完全にオリジナルです笑
これでもしっかりと考えたつもりなのでお許しを…


それではまたお会いしましょう!

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