ドラえもん のび太の大魔境 second season 〜もう一つの伝説〜   作:田舎者

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前半は私にしては頑張った方だと思います笑
最近投稿のペースが落ちてはいましたが………

これから本格的に連載を再開したいと思います!!


ドラえもん一同
「それではどうぞ!!」



大切なモノ

静香

「あれは……誰…? ドラちゃんでも武さんでもない…?」

 

 

ザンダクロスとの交戦で足を骨折し、内蔵も深く痛めてしまった静香は地面に横たわりながら、こちらへ誰かが走って来ている事に気が付いていた…

今にも意識が途切れそうな程の激痛の中で、静香はその者が誰なのかを確かめるべく、凝視した。

 

 

静香

「サ……サベールなの……?」

 

 

 

 

 

サベール

「………!!!」

 

 

サベールはひたすら走った。目の前の巨大な敵、ザンダクロスへ向かってひたすら走った!

 

 

リルル

「真っ直ぐ向かって来るの…!?………無謀としか思えないわね…!」

 

 

ザンダクロスのコックピットに搭乗していたリルルはサベールの行動に驚き、心底困惑した。当然である、サベールが持ち合わせている武器は見たところ、腰に携えた剣一本なのだから……

加えてザンダクロスの武装はまだ十数個ある。

どう見てもサベールの行動は"無謀"なのであった…

 

 

ジュド

「そうかな? 僕には彼の行動は"ある勝算"に裏打ちされたものだと思うな」

 

 

しかしジュドはリルルとは違う考えをリルルに唱えた。

 

 

リルル

「ある勝算? 確かに彼は私たちが放ったライフルの弾を見事に両断したわ……。あれには空いた口が塞がらなかったけれど……だからって彼には勝算があるとは思えないわ」

 

 

リルルはジュドの考えを否定した。

しかし、ジュドは反論する。

 

 

ジュド

「このライフルの弾丸の強度……実は"僕たちの乗っているこのロボットの装甲の強度"に匹敵するんだ……それを彼は切り裂いた……もう分かるね?」

 

リルル

「まさか……!」

 

 

ジュドは意味深な言葉をリルルに言い、リルルはその言葉の意味に気付き、ありえないというような表情で固まってしまった……

 

 

リルル

「ありえないわ! たかが地球で作られた剣ごときが……メカトピアの技術を結集して作られたこのロボットに敵うわけがないじゃない!」

 

ジュド

「……!! 見て…! 考えてる暇は無いみたいだよ!」

 

 

ジュドは何かに気付いたように、ザンダクロスのメインカメラの映像を映し出したモニターを見ろとリルルに促した。

 

 

リルル

「なっ…!? 予想よりも速い…!」

 

 

リルルはジュドの言うままに、視線をモニターに向け、驚愕した……

モニターに映っていたもの……それは、ザンダクロスとの距離をたった数秒の間で数mまで縮め、ザンダクロスに急接近しているサベールであった。

 

 

サベール

「懐へ入ればその図体が仇になるだろう…!」

 

 

ザンダクロスはその大きさゆえ、足下が死角になる……

そう考えたサベールは持ち前のスピードを活かし、素早くザンダクロスの足下へ飛び込んだ!

 

 

ジュド

「しまった! メインカメラの死角に入られた…!」

 

 

サベールの読みは正しかった。

ザンダクロスの頭部に付いていたメインカメラは、足下に入ったサベールを完全に見失っていた。

 

 

サベール

「脚を奪う…!」

 

 

ブンッ!

 

 

サベールは走りながらザンダクロスの右脚へ剣を振りかざす!

 

 

グオオオン!

 

 

すると剣は弾かれる事なくザンダクロスの、人間で言う「くるぶし」辺りに食い込んだ!

 

 

サベール

「うおおおお!!」

 

 

サベールは脚を完全に切断しようと、渾身の力を込めて剣を振り切ろうとする!

 

 

 

 

ドラえもん

「おいおい嘘だろ…!? 切れ味が良いってレベルじゃないぞ…!?」

 

 

ドラえもんはサベールの超人的な剣技と、ザンダクロスの装甲に食い込むほどの剣の切れ味に驚愕した。

 

 

ドラえもん

(ありえない……!! 一体どんな原理であれ程の切れ味を…!?)

 

 

 

 

 

 

リルル

「まさか…! 彼は右脚を切断する気だわ!」

 

ジュド

「あの剣一体どうなってるんだ…!!…させないよ!!」

 

 

サベールの意図に素早く気付いた2人は、ザンダクロスへ指令を出した。

 

 

ザンダクロス

「ーーー!!!」

 

グォン!

 

 

ジュドが指令を出すと、ザンダクロスの左腕はサベールの方へ向いた。

 

 

サベール

「!! 何か来るな…!」

 

 

サベールは素早く攻撃を止め、その場を離れようと走り出した。

 

 

ババババババ!!

 

 

すると、ザンダクロスの左腕に装備されていた小型のバルカン砲が鬼の様な連射を開始した。

威力は先ほどのライフル程では無いが、サベールが喰らえば即死レベルの威力である。

 

 

ババババババ!

 

 

サベール

「くっ…!」

 

 

バルカンはサベールを執拗に追い回す。

サベールはひたすら走り回ってバルカンを躱すが、その回避法は長くは持たないことなど、サベールには分かっていた……

 

 

サベール

(このまま走り続けていてもいつかは追いつかれるだろう。それだけならまだいい……だかこのままでは横たわっているあの少女にまで被害が及ぶ…!)

 

 

 

そしてサベールは再びザンダクロスの足下へスライディングをし、懐へ潜り込んだ!

 

 

リルル

「また足下に入ったわよ!」

 

ジュド

「分かってる! 何度やったって同じことさ!」

 

 

ババババババ!!

 

 

2人はザンダクロスの足下にバルカンをばら撒き、サベールを(いぶ)り出そうとする!

 

しかし、ただ闇雲に足下に潜り込んだサベールではなかった!

 

 

リルル

「…!? 燻り出そうとしても出て来ない!?」

 

ジュド

「な…!? 奴はどこだ!?」

 

 

2人は困惑した。

なんとザンダクロスの足下を牽制射撃しても、サベールはメインカメラの前に一向に姿を現さないのだ。

ザンダクロスは辺りを見回すが、サベールは何処にも居ない。

 

 

リルル

「一体どこに……!?」

 

ジュド

「……!? リルル! レーダーを!!」

 

 

ジュドはザンダクロスに搭載されていたレーダーを見て驚愕した。

慌ててリルルもレーダーに視線を移す。

 

 

リルル

「な…!? これは…!」

 

 

ジュドに続き、リルルも驚愕した。

レーダーを見る限り、サベールは消えた訳では無かった。

 

ただし、ザンダクロスとサベールとの距離は"0m"を指していた……

そしてジュドは全てを悟ったような表情を浮かべた……

 

 

ジュド

「やられた…! 消えたんじゃない……僕たちは奴がすぐそこに居ることで、逆に気付けなかったんだ……!!」

 

リルル

「すぐそこにって………まさか……!」

 

 

2人は唾を飲み込んだ。

そしてその2人の読みは的中した……

 

 

???

「その通りだ」

 

 

グオン!

 

 

ジュド

「何!?」

 

 

どこからか聞き覚えのある声がしたかと思えば、

"見覚えのある剣"がザンダクロスの装甲、そしてコックピットの内壁を貫通し、コックピットの中に侵入して来た。

 

 

そう、サベールは足下に潜り込んだ際にザンダクロスにしがみつき、コックピットのあるザンダクロスの胸部までよじ登っていたのである。

 

 

更に、サベールは驚異的な耳の良さを兼ね備えており、コックピットに乗っていたリルル達の会話をサベールは聞き取り、コックピットの位置を特定し、剣を突き刺したのである…

 

 

 

ジュド

「くそっ! 装甲だけでなく、コックピットの内壁まで貫通させるなんて……!! リルル! 奴を振り落とーー」

 

 

 

 

ジュドが咄嗟にリルルの方を向いた瞬間、ジュドはその言葉を言い終える前に固まってしまった……

 

 

 

ジュド

「リル……ル……?」

 

 

思わず彼女を呼ぶ声が途切れ途切れになる。

 

 

 

リルル

「ジュド…………ごめんなさい…」

 

 

 

リルルは必死に胸の辺りを抑えていた……

 

 

 

ジュド

「リルル…! そんな……っ!!」

 

 

 

ジュドが見た光景…

それは、コックピットに侵入してきたサベールの刃が、リルルの胸を貫いているところであった……

 

 

リルル

「うっ…!!」

 

 

そしてサベールの刃はゆっくりと引き抜かれ、コックピットの外へと消えていった。

剣を抜く際の痛みで、リルルは苦痛の声を上げ、再び傷口を抑えた。

 

不思議と、サベールからの追撃は来なかった……

 

 

ジュド

「早く手当を……! 君はガイア達と違って、耐久性は人間とまったく同じなんだから…!!」

 

リルル

「駄目よ……ジュド」

 

 

ジュドはリルルに応急処置を施そうとするが、リルルはそれを制止し、傷口に視線を移す。

そしてジュドも視線を傷口に移した。

 

 

ジュド

「…………!」

 

 

ジュドは絶望の表情を浮かべた。

傷口を抑えるリルルの手は、既に傷口から溢れてくる彼女の血液によって、真っ赤に染まっていたのである……

 

 

リルルは確信していた。

"この傷は助かるような傷ではない"、と………

 

 

リルル

「ジュド……私はもう……駄目みたい…。ごめんなさい…。」

 

 

ジュド

「何言ってるんだよ…! 僕たちは…まだ始まったばかりじゃないか……そんなこと……言わないでくれよ!!」

 

 

リルルはジュドを不安にさせまいと、笑顔でジュドに言うが、それがかえってジュドを更に哀しくさせた……

 

 

リルル

「覚えてる…? あなたに初めて会った時の事………、ボロボロだったあなたを……私が直してあげてたわよね…」

 

 

ジュド

「忘れるもんか…! !」

 

 

ジュドの目は既に、涙で潤っていた……

 

 

ジュド

「あの時の君のおかげで…僕はどん底から這い上がれた…! 初めて心から思える友達を見つける事が出来たんだ!!」

 

 

ジュドは更に大粒の涙を流しながら、リルルにしがみついた……

 

 

ジュド

「なのに………どうして!!!」

 

 

リルル

「泣かないでよ……私まで泣きたくなっちゃうじゃない………ほら……」

 

 

ジュド

「…!」

 

 

ジュドが顔を上げると、リルルもまた、泣いていた……

 

 

ジュド

「うっ……うっ……」

 

 

そして再びジュドは俯いた……

必死に涙を止めようとしても、止められなかった……

 

 

リルル

「ジュド………もっと……近くにきて…?」

 

ジュド

「…………え?」

 

リルル

「いい…から…」

 

 

ジュドは更にリルルの方へと顔を近づけた……

 

 

リルルはそっとジュドの顔に優しく手を添える……

 

 

リルル

「やっぱり………綺麗ね……私もあなたのように綺麗に産まれたかった……」

 

 

リルルは涙を流してはいたが、それでも満面の笑みでジュドに言った……

 

 

 

ジュド

「何言ってるんだよ………リルルは……リルルは……」

 

 

 

ジュドは若干恥ずかしそうに、少しだけ俯いた。

 

 

 

ジュド

「綺麗……だよ……」

 

 

 

リルル

「…………え?」

 

 

 

ジュドの言葉に、リルルは困惑した表情を浮かべたが、

ジュドは顔を上げ、リルルを真っ直ぐ見て言った……

 

 

 

 

ジュド

「とっても……綺麗だよ…!……宇宙で……一番…」

 

 

 

 

そしてジュドはまた顔を赤くして俯いた。

 

不器用な言葉であったが、その言葉はリルルの胸に響いた……

 

 

リルル

「ジュド………ありがとう……」

 

 

リルルは痛みを堪えながら、ジュドを優しく腕いっぱいに抱き締めた。そしてジュドも翼を広げ、リルルを覆うように抱き締める。

 

 

2人は抱き合いながら、大粒の涙を流し、泣いた……

 

 

 

2人は抱き合っている間、ずっとこのままで居たい、そう考えていた……

 

 

 

 

彼女の泣き声が段々小さくなっていく

 

 

 

 

肌も段々冷たくなって来た

 

 

 

 

彼女が自分を抱いている腕も、徐々に力が抜けていっている

 

 

 

 

そして気付けば彼女の声は…………まったく聞こえなくなっていた

 

 

 

 

ふと彼女の顔を見ると………目を閉じ、とても幸せそうな顔をしていた。

 

 

ジュドはそんな彼女の顔を見ると、優しく微笑んだ。

 

そしてジュドは再びコックピットの操縦席についた……

 

 

 

 

 

 

ジュド

「…………リルル、待っててね………。すぐに………終わらせるから…………」

 

 

ザンダクロス

「ーーーーーー!!!!」

 

 

 

 

そして再び、ザンダクロスは動き出した…………

 




のび太
「リルルゥゥゥ!!」

静香
「こんな事って……」

ジャイアン
「作者の野郎………なんつー展開だよ……」



正直私………書いててけっこうキツかったです。

リルルファンの皆さん………


"しばらくの間"ご辛抱を………

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