ドラえもん のび太の大魔境 second season 〜もう一つの伝説〜   作:田舎者

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おまたせいたしましたー!!!
ゆっくりではありますが、執筆は続けているのでご安心を……
ではどうぞ!!


因縁

サベールがザンダクロスとの戦闘を開始した頃、

22世紀にいたのび太達は……

 

 

 

のび太

「キッド達と連絡が取れないってどういう事なの!? ドラミちゃん!」

 

ドラミ

「分からないわ! とにかくフロントへ急ぎましょう!」

 

エル

「嫌な予感がするね……」

 

スネ夫

「うん……」

 

 

ペコからの連絡を受け、病室を後にしたのび太達は、キッド達との連絡が途絶えた事を気にしながら病院の廊下を走っていた……

 

 

ドラミ

「のび太さん! スネ夫さん! 受け取って!」

 

 

ドラミはポケットから空気砲とショックガンを取り出し、空気砲をのび太に、ショックガンをスネ夫に投げ渡した。

 

 

のび太

「ありがとう! エルさんは自分の剣があるから大丈夫だよね?」

 

エル

「ああ! 問題ない!」

 

スネ夫

「!! あの階段を降りればフロントだ! 急ごう!」

 

のび太

「うん!」

 

 

スネ夫はフロントへ降りる為の階段を発見し、のび太達に知らせる。

そして4人は階段を駆け下り、フロント寸前の曲がり角の前まで辿り着いた。

 

 

エル

「!! この角を曲がれば…!」

 

 

そしてのび太達がフロントへ続く曲がり角を曲がろうとした瞬間である、突然それはのび太にぶつかった。

 

 

???

「きゃっ!?」

 

 

ドンッ!

 

 

のび太

「!?」

 

 

のび太は突然曲がり角から現れた誰かにぶつかり、よろめいた。そして相手の方はぶつかった衝撃で地面に倒れてしまった。その人はみらい病院で勤務しているナースのようであった。

 

 

ナース

「…………」ガタガタガタ

 

のび太

「ああ! ごめんなさい! 立てます…か?」

 

 

のび太はぶつかってしまった事を謝り、ナースに手を差し伸べた。しかしナースの様子がおかしい事にのび太達はすぐに気付いた。ナースの体が小刻みに震えているのである。

 

 

ナース

「殺される…!! 早く……逃げないと…!!」

 

 

ナースは酷く錯乱していた。

ナースの看護服をよく見ると、相当な量の血が付着していた……

 

 

スネ夫

「殺されるって……一体何があったんですか!? フロントで一体何が!?」

 

 

スネ夫はナースの肩を掴んで揺らし、必死に問い詰めた。

 

 

ナース

「いやっ! 触らないでぇ!!」

 

バッ!

 

ドラミ

「あ! 待って下さい!!」

 

 

ナースは勢いよくスネ夫の手を振り払うと、恐怖に追われるようにどこかへ走り去って行った……

 

 

のび太

「………キッド達と姫が危ない!! すぐそこはフロントだ! 急ごう!」

 

エル

「ああ!!」

 

 

 

 

 

そして4人は曲がり角を曲がり、フロントへ辿り着いた。

フロントの光景が目に入った瞬間、のび太達は目を疑った。

のび太達の前にはキッド達、スピアナ姫、そしてジャガーが居た。

こちらに"背を向けて"。

そしてその奥のエントランスの前には、身長が2mはあろう大男が立っていた……

黒いコートを身に纏い、筋骨隆々とした体格、茶色の短髪、そして…紅い瞳をしていた。

大男の周りには、病院の受付係やナースの死体、血が散乱していた。血がまだ乾ききっていない所を見ると、ついさっき殺されたばかりの物であった…

 

 

ドラミ

「うっ……酷い…」

 

 

ドラミはその光景に思わず目を背けた。

仕方のないことであった。死体の中には、激しく壁に打ち付けられ、内臓が飛び出ていた死体もあったのだから。

 

 

キッド

「来るなっ! ドラミ!!」

 

 

キッドはドラミに来るなと叫び、警告する。

そして大男は口を開いた。

 

 

???

「お?? そこのお前……そう、お前だ」

 

のび太

「え…?」

 

 

大男はのび太を指差した。

そして続けて言った。

 

 

???

「病院でただ暴れて来いって命令だったんだが……野比 のび太………最重要ターゲットじゃねえかよ……ここに来た甲斐があったってモンだ……フハハハハハ!!!」

 

 

大男は嬉しそうに高笑いをした。大男のその狂気じみた様子に一同は恐怖を覚えた。

 

 

王ドラ

「のび太さんが最重要ターゲット? どういうことですか! そしてあなたは一体何者なのですか!」

 

 

王ドラは大男に向かって鋭い眼差しを向けながら強く問う。

 

 

大男

「あ? 知らないのかい?? 野比のび太が俺たちにやった事をな…」

 

ドラミ

「のび太さんが何をしたって言うの!?」

 

大男

「あん時は随分と世話になったよなあ……なあ、野比のび太ぁ」

 

マタドーラ

「だから何の事だって聞いてんだよ!!」

 

 

思わせぶりな口調で話す大男に、一同はもどかしさを覚えた。

そしてその男は口を開いた。

 

 

 

 

大男

「4年前………野比のび太とその愉快な仲間が俺たち、"鉄人兵団"の地球人捕獲作戦を見事に邪魔してくれたなあ……忘れたとは言わせねえぞ?」

 

 

 

スネ夫

「な……に…?」

 

のび太

「嘘……でしょ…?」

 

 

大男の言葉にのび太達は戦慄した。

あまりにも唐突過ぎる男の言葉に衝撃を受けた。

そんなのび太達を差し置いて、大男はさらに続けた。

 

 

大男

「俺はメカトピアで作られた新型アンドロイド『M-101』機体ネームは『ガイア』だ。4年前はまだ開発途中で戦闘には参加出来なかったがな」

 

 

のび太達が呆然としている間、ガイアは自分の素性をあっさりと晒した。そしてようやくのび太達は口を開いた。

 

 

のび太

「本当にお前は………メカトピアで作られたロボット……なのか?」

 

ガイア

「そう言っただろうが。何回も同じ事を言わせんじゃねえよ」

 

スネ夫

「あり得ない!! 消えた筈の鉄人兵団が何故生き長らえているんだ!! あの恐ろしい鉄人兵団は史実上抹消された筈だ!!」

 

 

スネ夫はとてもガイアの言うことが信じ切れず、錯乱したように言った。

 

 

ガイア

「うるせえ奴だな………じゃあこうすればメカトピアがまだ存在する事を信じてもらえるか?」

 

ドラミ

「……? 何をする気?」

 

 

のび太はガイアに疑問を投げかける。

するとガイアは着ていたコートの内側に右手を突っ込んだ。

 

 

ガイア

「お、あったな……」

 

 

取り出したのは大きめのナイフであった。

そしてガイアは左腕のコートの裾を捲り上げ、取り出したナイフを腕に向けた……

 

 

ガイア

「そら!」

 

 

ザクッ!!

 

 

そしてガイアは勢い良く自分の腕に思いっきりナイフを刺し込んだ。

刺し込んだ傷から人間と同じ赤色の血が滴り落ちる。

しかしガイアは全く痛がる素振りを見せなかった……

 

 

ドラミ

「きゃあっ!!」

 

エル

「奴は一体何をしているんだ…!?」

 

 

その異様な光景にドラミ達は度肝を抜かれ、驚嘆した。

 

 

ガイア

「どうだあ? 普通の人間なら激痛に悶えてるだろうが、俺はアンドロイドだから痛みは感じねえんだよ」

 

 

ガイアは不敵な笑みを浮かべながら言った。

しかし一同が驚愕する中、のび太だけは違った表情をしていた……

 

 

のび太

「………たったそれだけでお前がメカトピアで作られたロボットであり、僕らがやっとの思いで倒した鉄人兵団がまだ存在しているって事を認めろって言うの?」

 

ガイア

「あ?」

 

 

のび太はガイアを睨み付けながら言い放った。

ガイアは不快に感じたのか顔をしかめた。

 

 

のび太

「あの時僕たちは……全身全霊の覚悟で戦った……。鉄人兵団を裏切ってまで戦ってくれた大切な仲間2人を失いながらも………地球を守るために……戦ったんだ……!」

 

 

のび太は落ち着いた口調ではあるが、どこか怒りに満ちたような様子で言った。

 

 

ガイア

「……だから何だあ? 確かに俺たちは"一度は"滅びた……だが再び復活を遂げたんだよ! それだけだ!! フハハハハ!!」

 

 

ガイアは鼻で笑いながらのび太の発言を切り捨てた。

 

 

のび太

「嘘だっ!! 信じられるか! そんな事!」

 

 

のび太はガイアの言葉を信じることができなかった。

構わずガイアは続けた。

 

 

ガイア

「じゃあポセイドンはどう説明すんだぁ!? てめえらがヒーヒー言いながら倒したポセイドンが生きてたんだぜ? それがおかしいとは思わなかったのか?」

 

一同

「……!!!」

 

 

ガイアは核心を突くような発言をし、のび太達はハッとしたように息を呑んだ。

 

 

キッド

「ポセイドンの事まで知っていて……しかもメカトピアで作られた新型だと…? てめえら一体何者だ!! 何が目的でこんな事してる!!」

 

 

キッドはガイアに強く言い放った。

そしてガイアはニヤリと笑う。

 

 

ガイア

「残念だがそこまでは言えねえなあ!! さて!! そろそろ皆殺しタイムと行きますかねぇ! フハハハハ!!」

 

 

ガイアは腕に刺さったままだったナイフを勢い良く抜き、ナイフに付いた血を舐めながら言った。

 

 

ガイア

「ポセイドンの野郎はこんなカスどもにやられやがったのか…! こんな奴ら……俺一人で十分だあ! フハハハハ!!」

 

 

ガイアから放たれる殺気、それは明らかに人間が出せる物では無かった。

しかしキッドは臆することなく冷静に返した。

 

 

キッド

「やろうってのか? 確かにてめえは並の相手じゃねえ……けどそれだけで俺たちを倒そうってのは……心外だな!」

 

 

キッドは空気大砲を四次元ハットから取り出し、右腕に装着した。

 

 

王ドラ

「一対多数と言うのは不本意ですが……仕方ありません!」

 

マタドーラ

「珍しく燃えてんな、王ドラ。 仕方ねえ! 俺もやってやるぜ!」

 

ドラメッド

「行くであるぞ、手は抜かんであーる」

 

ドラニコフ

「ガウッ!!」

 

ドラリーニョ

「僕は……何事にも全力でやるよ…!!」

 

ジャガー

「その意気じゃ! ドラリーニョ! ワシも全力で戦うで!!」

 

エル

「負けるわけには行かない!!」

 

 

ドラえもんズとジャガーとエルはそれぞれ腰を落とし、臨戦態勢に入った。

 

 

キッド

「のび太! スネ夫! ドラミ! 王妃サンを連れて裏口のパーキングエリアに行け! タイムマシンが駐めてある! それに乗れば直接バウワンコ王国へ行ける筈だ!! ここは俺たちが食い止める!」

 

 

キッドはのび太達にパーキングエリアに向かえと促した。

そう、どこでもドアでバウワンコ王国へ行くことは現状不可能ではあるが、タイムマシンの空間移動と時間移動を使う事により、バウワンコへ直接行くことが可能になるのである。タイムホールは常時タイムパトロールが監視しているので、いくら相手の技術力が優れていても、タイムホールまでは妨害出来ないのだ。

 

 

のび太

「タイムマシンか…! わかったよ!」

 

スネ夫

「スピアナさん! こっちへ!!」

 

スピアナ

「は、はい!!」

 

 

スネ夫はスピアナの手を引いて、ガイアから距離を取るように引っ張り、のび太達は裏口へ向かうために後ろを向いた。

 

 

キッド

「のび太!!」

 

のび太

「え?」

 

キッドは背を向けたのび太に呼びかけ、のび太はキッドの方を振り返った。

 

 

キッド

「絶対にあいつを……ドラえもんの野郎を助けてくれ!! 俺たちは……必ず奴をぶっ倒してやるからよ!!」

 

のび太

「キッド……うん!! 約束する!!」

 

 

のび太は力強く返事をし、再び前を向いた。

 

 

ドラミ

「行きましょう!!」

 

のび太&スネ夫

「うん!!」

 

スピアナ

「はい!!」

 

 

そして4人はタイムマシンを目指して走り出した。

二度と振り返る事の無く……。

しかしそれをみすみすと見過ごすガイアでは当然なかった……

 

 

ガイア

「逃がさねえよ!!」

 

パシュッ!!

 

 

ガイアは走っているスピアナに腕を向けると、なんとその腕はロケットパンチの如く勢い良く飛び出した。

ガイアの腕は長距離の伸縮が可能であり、そのスパイク状の手で対象を捕獲し、且つ傷付けることができるのである。

 

 

ガイア

「はっ! 王妃さんよ! 捕まえたぜ!!」

 

 

猛スピードでガイアの腕はスピアナに接近し、腕と彼女との距離が1mを切った所で、ガイアはスピアナの捕獲を確信した。

 

しかし……

 

 

 

エル

「ハアッ!!!」

 

 

ズバッ!!!

 

 

ガイア

「な…!?」

 

 

その男は誰よりも速く反応し、高速で射出されたガイアの腕を叩き切った。

 

ガイアの不意打ちに反応した男、それはエルであった……

 

 

ガイア

「てめえ……地味な面してやってくれるじゃねえか…!!」

 

 

ガイアはエルを恨めしそうに睨めつけ、切断された左腕を抑えながら言った。

 

 

エル

「僕がこの4年間……なんの修行も積んで来ないとでも思ったのかい?」

 

 

エルは以前、ポセイドンとの決戦には勝利したが、鉄騎隊との戦いには敗れてしまった。それからエルは血反吐を吐くほどの猛特訓をし続け4年前とは比べものにならないほどエルの剣術は進化していたのである。

 

 

キッド

「ヒュー、やるじゃねえか」

 

 

キッドは口笛を吹いた。

確かに凡才である。しかし、エルの努力は才能という概念を覆していた……

 

 

ガイア

「現ムー連邦大統領、エル…4年前のデータじゃ大したこと無え奴だと聞いてたが……随分な誤りじゃねえか…!!」

 

エル

「みんな、済まないが下がっててくれ。あいつは……僕がやる」

 

 

エルはガイアに剣を向け、力強く言い放った。

そしてのび太達の姿はもう見えない所へ消えていた……

 

 

 

のび太

(エルさん……みんな……任せたよ!!)

 

 

のび太達は走り続けた……

ドラえもん達を助けるべく………




さて……急にエルが目立ち始めましたねー。
彼は不遇なキャラクターでして、大長編では良い扱いをされたとはなかなか言えないキャラクターでした。
そんな彼についに見せ場が…!
次回をお楽しみに!

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