ドラえもん のび太の大魔境 second season 〜もう一つの伝説〜   作:田舎者

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ザンダクロスを相手に、窮地に立たされた静香とドラえもんを救った者、

それは、決してドラえもんらの仲間にはならないと必死に拒んでいた筈のサベールだった……

 

 

サベール

「……おいお前、奴の情報を詳しく教えて欲しい。奴について知っている事全てだ。」

 

 

サベールはドラえもんにザンダクロスの情報を話すように促す。

 

 

ドラえもん

(さっき黙って見ていろって言ってたのに……勝手だな…)

 

 

ドラえもんは冷めた表情をしながらそんな事を考えていた。

 

 

サベール

「どうした? 早く話して欲しい。」

 

 

サベールはそんな様子のドラえもんを気にも留めず、更に呼びかける。

 

 

ドラえもん

「わ、分かったよ……。奴は右脚、左脚に武器を格納しているコンテナを装着しているんだ。そしてその中から武器を取り出して攻撃してくるよ」

 

 

サベールの呼びかけにドラえもんはもうどうでもよくなり、渋々サベールにザンダクロスの説明を始めた。

 

 

サベール

「どんな武器だ?」

 

 

ドラえもん

「連射が可能な銃、喰らえば君や生身の人間なら一瞬で肉塊になる程の威力を持ってるよ。」

 

 

サベール

「……なるほど、他には?」

 

 

サベールは更に問いただす。

 

 

ドラえもん

「あとは君がさっき真っ二つにしてみせた弾丸を打ち出すライフルだよ。威力は爆発の規模を見る限りとてつもなく高いだろう……奴の武器で確認できているのはこれだけだよ」

 

 

サベール

「……なるほど、分かった。礼を言うぞ。ではな」

 

 

サベールはそう言うとドラえもんに背を向け、今にも走り出すように、グッと地面を踏み込んだ。

 

 

ドラえもん

「待って!!」

 

 

少し慌てた様子でドラえもんは、そんなサベールを呼び止めた。

 

 

サベール

「ん? どうした?」

 

 

サベールは振り返った。ドラえもんは何か言いたそうな目をしていた……

 

 

ドラえもん

「2つ……言いたいことがある。1つ目はあそこに倒れている女の子が見えるよね…? 奴と戦うのならあの子を絶対に傷付けないようにして欲しいんだ…。わがままかもれないけど…」

 

 

そう、ザンダクロスの意識は完全にこちらに向いているが、ザンダクロスから30mほどの所では、脚を折ってしまった静香が横たわっているのである…

 

 

 

静香

「ハア……ハア……うっ…!!」

 

 

静香は折れた右脚を引きずってでも歩こうと足を動かすが、あまりの激痛に悶絶する。

 

 

静香

「だめ……やはり動けないわ……………ドラちゃん……後はお願い……」

 

 

 

動けない状態の静香であったが、ザンダクロスの意識は完全にサベール達へ集中していた。

それが静香にとっては幸運であった……

 

 

 

 

サベール

「……分かった、努力する。もう1つは?」

 

 

ドラえもん

「え…? あ、うん」

 

サベールはドラえもんの頼みを意外にもあっさりと承諾した。ドラえもんは少し驚きつつ、サベールにある忠告をした……

 

 

ドラえもん

「あいつの装甲……いくら君の剣でも切れる保証は……ない。」

 

 

ドラえもんは少し気まずそうに言った。

その理由は、サベールの武器は腰に携えた剣、ただ一つである。

 

サベールは超人的な剣技を習得しているが、その剣術が通用しないとなると、サベールの実戦的な価値はなくなるとドラえもんは悟ったからである。

しかし……

 

 

サベール

「……誰に言ってる? 私にに斬れぬ者は無い。」

 

 

サベールはきっぱりとそう答えた。

 

 

ドラえもん

「え……??」

 

 

ドラえもんは目を丸くし、サベールを見つめた。

サベールの言葉にはある確信がある、ドラえもんは少々の沈黙の後、そう感じた……

 

 

サベール

「……兎に角、あの少女は私に任せろ、そして奴もな」

 

 

サベールはザンダクロスに目をやりながら言った。

 

 

ドラえもん

「………サベール、………ありがとう」

 

 

ドラえもんはサベールに礼を言う。

そしてサベールはぶっきらぼうに返した。

 

 

サベール

「礼ならあの小僧に言え。」

 

 

ドラえもん

「小僧…? まさか……」

 

 

 

そう、その小僧とは紛れもないチッポのことである。

誰の説得にも応じなかったサベールであったが、チッポは一体何を言ったのか、サベールの説得に成功した様である…

 

 

サベール

「奴が焚きつけたのだ。少しの間、ある条件の下にお前たちへの協力を約束した。」

 

 

ドラえもん

(チッポ………)

 

 

サベール

「今はお前たちと共同戦線を張る。まずは奴だ。」

 

 

サベールはザンダクロスに目をやった。

 

ザッ

 

そしてサベールはドラえもんに背を向けた…

 

 

サベール

「………ではな」

 

 

シュッ!

 

 

そしてサベールはドラえもんの下を後にした……

ザンダクロスに向かって一直線に走り出した。

ドラえもんは徐々に遠ざかって行くサベールを見て呟いた……

 

 

ドラえもん

「…………ちょっとだけ……雰囲気が"あいつ"に似てたな…」

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……

 

 

リルル

「ジュド、右腕はどう?」

 

 

ジュド

「完全に溶解してる……もう使い物にならない。とんでもない威力だ……あの銃」

 

 

先ほどドラえもんから熱線銃による攻撃を受けたザンダクロスの中で、2人は被害状況を確認していた……

すると……

 

 

リルル

「!!! ジュド、こちらに接近して来る奴がいるわ」

 

ジュド

「何だって? 誰だい?」

 

 

リルルの目の先にはザンダクロスに接近してくる走ってサベールの姿が映っていた。リルルはジュドにその事を報告すると、ジュドは更に詳しくリルルに問いただす。

 

 

リルル

「ライフル弾を斬った男よ…!!」

 

ジュド

「……!! あいつか……面白い。リルル、恐らくあいつがバウワンコ近辺にいる僕達の味方を襲撃してた奴だよ。」

 

 

リルル

「腰に剣を差した黒い犬、そして眼帯……間違いないわね。ジュド……ここであの男を始末するわよ。」

 

 

ジュド

「了解」

 

 

 

そしてザンダクロスは再びサベールにライフルで狙いを定めた……


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