ドラえもん のび太の大魔境 second season 〜もう一つの伝説〜   作:田舎者

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いよいよ鬼岩城篇の完結です。
それではどうぞ!!


The departure

のび太達のピンチに駆け付けたドラえもんズ

 

彼らは無事に敵の幹部の一人、ポセイドンを撃破した…

 

 

キッド

「大丈夫か? へちゃむくれ」

 

 

キッドがドラミに手を差し伸べる。

 

 

ドラミ

「誰がへちゃむくれよ!」

 

 

キッドの言葉にドラミは怒って返すが…

 

 

キッド

「それだけ元気なら大丈夫だな……本当に良かったぜ…」

 

 

キッドは笑みを浮かべた。

 

 

ドラミ

「……うふっ、ありがと」

 

 

バッ…

 

 

ドラミはキッドの手を取って立ち上がった。

 

のび太達も他のドラえもんズの手を借りて立ち上がっていた…

 

 

のび太

「ありがとう……ドラえもんズの皆」

 

スネ夫

「助かったよ……」

 

 

立ち上がったのび太達はドラえもんズに礼を言う。

 

 

王ドラ

「礼には及びません。あえて礼を言うなら…ドラえもんに言って下さい」

 

のび太

「ドラえもんに?」

 

マタドーラ

「あいつが俺たちをこっちに派遣したんだ、まったく人使いが荒れぇ奴だぜ」

 

スネ夫

「そうだったのか…ドラえもんが…」

 

エル

「礼を言わないとね…」

 

キッド

「それよりよ……残ったあいつらはどうする?」

 

 

キッドは残った鉄騎隊…ミノタウロス、ドラゴン、ジャガー、イーグルを指差しながら言った。

全員は少なからず負傷している……

 

 

一同

『あ……』

 

 

そう、残った敵の残党をどのように処分するか、皆はそれを検討しなければならないのだ。

 

 

イーグル

「俺たちを……殺すのか?」

 

ミノタウロス

「戦いの中で死ねるのなら……それも本望だぁ…」

 

ドラゴン

「……私達は敗者です。どうか、好きにして下さい。」

 

 

 

全員が沈黙する中、一人の男が口を開いた。

 

 

 

のび太

「……どうもしないよ。もう十分反省しただろうしね。」

 

一同

『!?』

 

 

のび太の言葉に一同は驚きの声を上げた。

 

 

キッド

「それで良いのか? 奴らはおめーらをあんな目に合わせたんだぜ?」

 

のび太

「あいつらはポセイドン、そして主にポーラの指示に従って動いてただけだよ、それに…僕らは戦えなくなった相手を殺したり嬲ったりする程…酷い集まりじゃないよ。 そうでしょ? エルさん、スネ夫、ドラミちゃん」

 

 

のび太は3人に問いかけた。

 

 

スネ夫

「うん、のび太に一理あり!」

 

ドラミ

「そうね、のび太さんの言ってる事は正しいわ」

 

 

スネ夫とドラミがのび太の意見を肯定する中、エルは……

 

 

エル

「………ちょっと待ってて欲しい」

 

ドラミ

「え?」

 

 

エルはそう言うと倒れている六人衆に近づいて、こう言った…

 

 

エル

「……僕たちは君達を殺す気も無ければ、危害を加えるつもりも無い。でももしまた僕たちの脅威と成り得る行動をしたら……分かるね?」

 

 

エルは六人衆に問いかけた。

 

4人は暫く黙っていたが、ようやく口を開いた…

 

 

 

イーグル

「………分かった、もうお前たちに手出しはしない」

 

ドラゴン

「約束しましょう」

 

ミノタウロス

「……仕方ないな」

 

ジャガー

「…………」

 

 

3人がエルの出した条件に承諾する中、ジャガーだけは黙っていた……

 

エル

「君はどうなんだ?」

 

 

エルがジャガーに問いかける。

 

 

 

ジャガー

「…あんたらに頼みがある」

 

のび太

「頼み? 何を?」

 

ジャガー

「ワシを………あんたらの仲間に加えてくれんかのぉ…?」

 

 

ジャガー以外

『!!??』

 

 

全員は驚愕した。

とても思ってもみない言葉だったからである。

 

 

イーグル

「ジャガー…どうしたんだ?」

 

キッド

「…………どうしてだ?」

 

ジャガー

「……ワシはこの鉄騎隊六人衆という括りが嫌いなんじゃ……だからもうここには居たくないんじゃ…」

 

エル

「括りが嫌い? どういう意味だい?」

 

ジャガー

「ワシらは目的の為なら人殺しも躊躇わない、そういう集団じゃ。じゃがワシは人殺しは大嫌いなんじゃ、だから……ワシは今日を限って鉄騎隊六人衆を脱退し、あんたらの味方に就きたいと思うとるんじゃ……。」

 

キッド

「…………駄目だ。 お前が俺たちを裏切らないと言う保障がどこにある?」

 

 

キッドはきっぱりと断った…当然である。先ほどまで敵であった者から仲間にしてくれと言ってきたのだから…

 

しかし、意外な人物が口を開いた。

 

 

ドラリーニョ

「……僕は賛成だよ」

 

ジャガー

「ドラリーニョ……」

 

 

ドラリーニョはただ一人、ジャガーを仲間に加える事に賛成をした…

 

 

王ドラ

「ドラリーニョ?」

 

エル

「何故だい?」

 

ドラリーニョ

「だってジャガーは僕に全力でシュートを撃たせてくれたんだ。だから僕はジャガーを味方に加えても良いと思うよー」

 

ドラリーニョはポケーっとした表情で言った。

 

 

キッド

「…へえ、あいつが……分かった、俺は賛成に意見を変えるぜ」

 

 

キッドは全てを悟った様に、きっぱりと意見を変えた。

 

 

王ドラ

「……ええ、ドラリーニョの直感はよく当たります、それに彼がドラリーニョの闇を取っ払ってくれるとは……私も賛成です」

 

ドラニコフ

「ガウ」

(僕も賛成)

 

 

次々とドラえもんズが賛成に意見を変える中、のび太達は一体ドラリーニョが何を言っているか分からなかった…

 

 

のび太

「え? どういうこと?」

 

ドラミ

「それは後でね……とにかく、ジャガーは信用できる人だと言う事が分かったわ」

 

スネ夫

「何がなんだか…」

 

 

のび太達はイマイチ状況が飲み込めていない様子である。

 

 

キッド

「皆、もう一度聞く。 ジャガーを俺たちの仲間にするのに賛成か、反対か」

 

のび太

「よくわからないけど……賛成だよ」

 

スネ夫

「……僕も」

 

ドラミ

「私もよ」

 

エル

「……分かったよ、賛成だ」

 

 

のび太達は全員承諾した…

 

 

キッド

「のび太達は賛成だな、おめーらはどうだ?」

 

王ドラ

「私達は全員賛成ですよ」

 

 

王ドラがドラえもんズを代表して言う…

 

 

キッド

「満場一致で間違いないな?」

 

キッド以外

『ああ/ええ』

 

 

キッド

「……ジャガー、お前はこれから多くの戦いを経験するだろう。多くの苦難、挫折がある……だが、俺たちはチームだ、お前の後ろには…仲間がいる。それを忘れんな。」

 

 

キッドは全員の意見を聞くと、ジャガーにそう言った…

 

 

ジャガー

「ありがとう…!! ワシは精一杯戦うことを誓う!」

 

 

ジャガーは感涙のあまり涙を流した…

 

 

キッド

「フッ……よし! その覚悟! 確かに受け取ったぜ!」

 

 

キッドはジャガーの覚悟を改めて確認し、笑顔で言った。

 

 

ドラリーニョ

「よかったね! ジャガー!」

 

ジャガー

「おう…! 今度は敵同士ではないのぉ…!!」

 

 

ドラリーニョとジャガーは互いに喜び合った……

 

また一人、仲間が増えたのである…

 

 

 

マタドーラ

「さて、そろそろここからおさらばしようぜ。未来で俺様のセニョリータが待ってる」

 

 

セニョリータ…それは勿論スピアナの事である。

 

 

ドラミ

「そうね、さっさと行きましょう。それとマタドーラ、スピアナさんはもう結婚してるわよ」

 

マタドーラ

「ええ!? 嘘だろ!? やられたぜ…」

 

ドラミ

「そもそも"王妃"って事は結婚してるに決まってるでしょ…」

 

王ドラ

「残念でしたね、エル・マタドーラ」ニヤニヤ

 

 

マタドーラは肩を落とした。

まったくこの男は……

 

 

ジャガー

「じゃあ……ワシはもう行くけんの…イーグル、ドラゴン、ミノタウロス…」

 

 

ジャガーは残った3人に別れを言った……

 

 

イーグル

「……………」

 

ドラゴン

「……………」

 

ミノタウロス

「……………」

 

 

3人は黙ってジャガーを見つめている……

 

ジャガー

「"六人衆"は嫌いじゃったが……あんたらの事は好きだったけんの…」

 

 

その言葉に3人は思わず心を撃たれた。

 

 

イーグル

「ジャガー………これからもお前の好きなように暴れてやれよ!」

 

ドラゴン

「ジャガー……ありがとう…さようなら…」

 

ミノタウロス

「頑張れよぉ!!」

 

 

3人はジャガーの言葉を聞くと、ジャガーに精一杯エールを送った……

 

 

のび太

「……鉄騎隊六人衆にも友情と言うものがあったんだね……」

 

スネ夫

「うん……なんか…複雑だね…」

 

ドラミ

「………皆! もう行くわよ! タイムホールに入って!」

 

 

 

 

 

全員はタイムホールに入り、22世紀へ向かった……

 

そしてタイムホールは静かに閉じた……

 

 

イーグル

「………さて、これからどうする?」

 

ドラゴン

「…穏便に暮らしましょう、戦うのはもう疲れました」

 

ミノタウロス

「そうだな……」

 

 

 

3人は歩き出した……

明日へ向かって……

 




ジャイアン
「なんか…普通に鉄騎隊いい奴らだったな…」

静香
「当初はボコボコにする予定だったけど、それは流石に無慈悲だから止めたんですって」

ペコ
「次からは私たちですか……久しぶりで緊張します…」

ドラえもん
「のび太君たち! お疲れ様! それじゃあね!」

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