ドラえもん のび太の大魔境 second season 〜もう一つの伝説〜   作:田舎者

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王ドラ
「皆さん、おまたせしました」

のび太
「運動出来て勉強も出来るって……王ドラなんなの…」

ドラえもん
「でも代わりに重大な弱点が……」

のび太
「え? ナニソレ?」

ドラえもん
「それは後々……それではどうぞ!」


Master of Kung-fu

王ドラ

「ハッ!」

 

 

バッ!

 

 

王ドラはヌンチャク二丁を脇の間に携え、攻撃開始に備える。

 

それに合わせて、ドラゴンもファイティングポーズをとった。

 

 

王ドラ

(あの構え……彼は恐らく八極拳……いや、それをベースに様々な流派を複合させた我流の使い手ですね……)

 

 

王ドラはドラゴンの構えを見て、そう推測した。

 

八極拳……肘等を用いた超接近戦を得意とする型。その破壊力は、数ある中国拳法の中でもトップに躍り出ると言われている。

 

 

ドラゴン

「準備は完了ですか? では…行きますよ…!」

 

 

シュッ!!

 

 

その言葉を言い終えると同時にドラゴンは王ドラへ向かって踏み込んだ! それも相当な速度で。

 

 

王ドラ

(!! 速い!)

 

ドラゴン

「そこだっ!」

 

 

バッ!!!

 

 

ドラゴンは王ドラの顎へ、肘を素早く振りかざした!

 

 

しかし…!

 

 

王ドラ

「フッ! ワタァ!!」

 

 

王ドラはそれをバックステップで回避し、隙が出来たドラゴンの顔面へヌンチャクを一振りする!

 

 

シュッ! バアンッ!!!

 

 

ドラゴン

「な…! ぐはっ!」

 

 

王ドラの攻撃はドラゴンの顔面にヒットし、カウンターが炸裂した!

 

 

ドラゴン

「やりますね…!」

(何という反応速度だ…!)

 

 

ドラゴンは痛めた顔を抑えながら言う。

 

 

王ドラ

「言ったでしょう、「ヌンチャクが古いのでは無く、ヌンチャクを使いこなせる格闘家が居ないだけです」とね」

 

ドラゴン

「……ではあなたはヌンチャクを完璧に使いこなせる格闘家と呼んで良いのですか?」

 

王ドラ

「伊達に私は「中国四千年究極のカンフー」と呼ばわれている訳ではありません」

 

ドラゴン

「なるほど……あなたは相当な使い手のようだ…!」

 

 

バッ!

 

 

ドラゴンは再び攻撃の構えをとる。

 

 

王ドラ

「……無駄です。あなたは強い、ですが私には負けられない理由があります」

 

ドラゴン

「戯言を……!!!」

 

 

シュッ!

 

 

ドラゴン再び攻撃を開始した!

 

 

ドラゴン

「単発が駄目なら複数打ち込む!!」

 

 

バッ! シュッ! シュッ!

 

 

ドラゴンは突き、蹴り等を混ぜ合わせた高速の連撃を王ドラに繰り出した。

 

 

王ドラ

「ハァ! ワタァ! アタァ! 」

 

 

カッ! カッ! カッ!

 

 

しかし王ドラはドラゴンの攻撃を、器用にヌンチャクで全て弾く!

 

 

ドラゴン

「くそっ!!」

 

 

シュッ

 

 

ドラゴンは王ドラの実力に押されながら、苦し紛れに突きを放った! しかし!

 

 

王ドラ

「甘いっ!」

 

 

シュウウウ!!

 

 

ドラゴンの攻撃を見切った王ドラは、ドラゴンの攻撃を躱し、攻撃をした腕に片方のヌンチャクを巻きつけ、強固にホールドした!

 

 

ドラゴン

「な…! 離しなさい!」

 

王ドラ

「お断りしますっ!!」

 

 

シュッ! ドンッ!!

 

 

ヌンチャクを巻き付けられた事によって片手を封じられたドラゴンの腹に、もう片方のヌンチャクを使った突きが入る!

 

一見素人に見えるドラゴンの動きだが、それは高いレベルで洗練された動きである。

しかし、全ての中国拳法を体得している王ドラの動きは、洗練されたというレベルを遥かに超越していた。

 

 

ドラゴン

「うっ…!!! がはっ!!」

(強い…!!)

 

 

ダメージを受けたドラゴンは、血を吐きながら床に膝を付けた。

 

 

王ドラ

「スピードは悪くありません。しかし、基礎的な動き自体がおざなりとなっています。貴方、基礎トレーニングを省いていますね?」

 

ドラゴン

「…!!!」

 

 

王ドラの言葉に、ドラゴンは図星を突かれたような顔をした。

 

 

王ドラ

「……もういいでしょう、これ以上の戦いは無益です。投降を…求めます。」

 

 

王ドラがドラゴンに対し、停戦を呼びかけるが…

 

 

ドラゴン

「…まだです…!! まだ終わってない!」

 

王ドラ

「これ以上かかって来るならもう容赦はしませんよ」

 

 

王ドラはヌンチャクを構える。

 

しかしドラゴンは、怪しげな笑みを浮かべた…

 

 

ドラゴン

「ふふ……まだ…私には…奥の手があるのです!!」

 

王ドラ

「奥の手…?」

 

 

王ドラはドラゴンの言葉に疑問を覚えた。

しかしドラゴンは王ドラにその言葉の意味を教えることは無かった。

 

 

ドラゴン

鋼鉄化(シュターリング)!!」

 

 

シュウウウ!!!!

 

 

ドラゴンがそう叫ぶと、ドラゴンの体に変化が生じた…

元々黒を帯びた色だった皮膚が、鋼色に変化しているのである…

 

 

ドラゴン

「出来ればこれは使いたくなかったのですが…仕方ありませんね…ふふ」

 

 

ドラゴンは再び怪しい笑みを浮かべた。

 

 

王ドラ

「シュターリング…? それに何なのですか…? その姿は…」

 

 

ドラゴン

「まあ実際に体験してみて下さいっ!!」

 

 

シュッ!

 

 

ドラゴンは王ドラにそう言うと、王ドラに急接近した!

 

 

王ドラ

(スピードは先程と同じ………なら迎え討つのみ!)

 

 

王ドラは接近して来るドラゴンに両方のヌンチャクを振るう!

 

しかし…!!

 

 

ドラゴン

「ふふっ…」

 

 

パキッ!!!

 

 

王ドラ

「な…!!?」

 

 

王ドラは驚愕した。なんと先程までドラゴンにダメージを与えていたヌンチャクがいとも容易く折れてしまった。それも両方である。

 

 

ドラゴン

「食らいなさいっ!!」

 

 

バァン!!

 

 

王ドラ

「しまった! ぐは!!」

 

 

バタッ

 

 

ヌンチャクを折られた事に動揺し、怯んでる王ドラに、容赦無いドラゴンの肘撃が入る!!

そして攻撃を受けた王ドラは地面に倒れ込んでしまった!

 

 

ドラゴン

「…どうですか? 私の"鋼の肌"は? この状態の耐久力は六人衆のうちトップです」

 

 

ドラゴンは誇らしげに言った。

 

 

王ドラ

「鋼の…肌…そんな物を隠し持っていたのか…!!」

 

 

地面に倒れた王ドラは、度肝を抜かれたような表情をした。

 

 

ドラゴン

「私はこのように自身の身体を自由自在に硬質化することが可能なのです。この肌はあなたのヌンチャクは勿論のこと、銃弾やビーム等の攻撃すら全く受け付けません、まさに絶対防御。 あなたの負けは確定です」

 

 

ドラゴンは地面に倒れたままの王ドラに、ほくそ笑みながらそう吐き捨てた。

 

しかし……

 

 

 

王ドラ

「………銃弾等の攻撃を受け付けない……ですか…」

 

 

スッ………

 

 

王ドラはゆっくりと立ち上がった……

 

 

ドラゴン

「ええ、受け付けません。それでもまだやる気ですか?」

 

王ドラ

「あまり私を……見くびらないで下さい…!!」

 

 

バッ!!

 

 

折れたヌンチャクを捨てた王ドラは、先程とは全く別の構えをとった。

 

そのファイトスタイルは……太極拳である。

 

 

太極拳……「柔能く剛を制す」の言葉通り、柔軟な動きを取り入れた型。相手の攻撃を受け流し、且つそれを利用して決定打を入れる術に長ける。

 

 

ドラゴン

(何だ…? まだ何かあるのか…? それでも彼の攻撃は私には通用しない…これで決める…!!)

 

 

シュッ!

 

 

ドラゴンは王ドラに向かって再び接近し、とどめの一撃を放とうとする!

 

 

王ドラ

「………………」

 

 

しかし王ドラは構えをとったまま、動かない。

 

 

ドラゴン

「これで終わりです!」

 

 

ドラゴンの拳が王ドラの腹に伸びる!

 

 

ドラゴンの手が王ドラの腹まであと20cm程の距離に達した時……王ドラは動いた!!

 

 

 

 

王ドラ

「そこだ!!」

 

 

パンッ!

 

 

なんと王ドラはドラゴンの攻撃を素手で弾いたのである!

 

 

ドラゴン

(何!? 見切られた上に受け流された…!?)

 

 

王ドラ

「見えた…!」

 

 

王ドラの行動に驚愕するドラゴンに、王ドラの攻撃が差し迫る!!

 

王ドラの手は"グー"の形では無かった……

その形は"パー"の形をしていた!

 

 

パァン!!!

 

 

腰の入った王ドラの掌打が、ドラゴンの胸に炸裂する!!

 

 

ドラゴン

「ぐああああ!!」

 

 

バタッ!!!

 

 

ドラゴンはあまりの激痛に苦しみながら、地面に倒れ込んでのたうち回る!

 

 

ドラゴン

「何故…!? 何故ダメージを受けている…!? この肌は鋼鉄並みの強度を誇っているんだぞ……!?」

 

 

自分の身に起こっている現象に驚きを隠せないドラゴンに、王ドラは答えた……

 

 

王ドラ

「"発勁(はっけい)"です」

 

 

発勁……相手に掌打を打ち込む事で、外部からではなく、相手の内側から破壊する技。

 

 

ドラゴン

「発勁だと…!? そういうことですか…! 体表は硬いと判断し、外部からではなく内側から破壊するとは…!」

 

 

必死に痛みを抑えながらドラゴンは言った。

 

 

王ドラ

「そうです。 あなたの肺等の内臓を少々傷付けさせて頂きました…しばらく動けませんが、死にはしませんからご安心を…」

 

ドラゴン

「私が鋼鉄の肌と化した時から…考えていたのですか…?」

 

王ドラ

「いえ…咄嗟の判断です。」

 

 

王ドラは服に着いた汚れを払いながら答えた。

 

 

王ドラ

「私は現ドラえもんズの副リーダー、そして全ての中国拳法を修得した身です。ですから……あなたには絶対に負けるわけにはいかなかった……。」

 

 

ドラゴン

「……参りました…完敗です」

 

 

ドラゴンは納得したようであり、自身の敗北を認めたようであった。

 

 

王ドラ

「お手合わせ、ありがとうございました」

 

 

王ドラは手を合わせ、ドラゴンに向かって頭を下げた…

 

こうして中国拳法家同士の決着は着いた……

 

 

 

 

 

 

キッド

「……おめーらの仲間、全員やられたみたいだぜ…」

 

イーグル

「くそ…! 貴様ら……許さんぞ!!」

 

キッド

「怒ってんのはこっちも同じなんだよ! てめえが最後だ! 来やがれ!」

 

イーグル

「うおおおお!!!」

 

 

 

 




ジャイアン
「おい、鉄騎隊六人衆弱体化してないか?」

スネ夫
「いやいや、ただドラえもんズが並み外れて強いっていう設定らしいよ」

のび太
「バトル物は必ずと言って良いほどインフレが起こるからねー……尤もこの小説がバトル物と言えるかは謎だけどね」

静香
「まあいいじゃない皆。それでは! また次のお話で♡」

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