ドラえもん のび太の大魔境 second season 〜もう一つの伝説〜   作:田舎者

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お待たせしました!! ドラリーニョ回です!!

ドラえもん
「だいたい1日に一回以上のペースだったのに……どうしてこんなに遅れたんだろ?」

静香
「ドラリーニョの話を書くのに大苦戦したんですって…」

ジャイアン
「満足出来る話かどうかわかんねえけど……楽しんでみてくれよな!!」


KICK OFF!!!

ブラジルの若きスーパーストライカー

 

ドラリーニョ

 

大した戦闘力は無く、賢い頭脳も持っている訳ではない

 

しかし、彼にはある天賦の才能があった…

 

 

ドラリーニョ

「サッカーボールーー!!」

 

 

ドラリーニョは四次元ポケットからサッカーボールを取り出した。

それも、"何の変哲もない"ボールである。

 

 

ジャガー

「なんじゃあ!? 今はサッカーするタイミングと違うじゃろ!?」

 

 

ジャガーはドラリーニョの行動に驚いている様子である。

 

 

ドラリーニョ

「いいの! 君はキーパー、僕はキッカーだよ〜!」

 

ジャガー

「なんじゃそりゃ!?」

 

ドラリーニョ

「いくよー!! シューートォ!!!」

 

 

ドンッ!!

 

 

ドラリーニョはそう言うと、ボールを蹴った!

 

 

シュオオオオ!!

 

 

蹴られたボールは猛スピードで加速し、ジャガーに向けて一直線に飛んで行く!

 

 

ジャガー

「うおおお!? なんちゅう速度じゃ!?」

 

 

ドオオオオオン!!!

 

 

ジャガー

「うっ…! 凄まじい威力じゃ…!! 止め切れん!!」

 

 

ドンッ!!!

 

 

ジャガー

「うおおおおおお!?」

 

 

ジャガーはボールを受け止めようとしたが、ドラリーニョの放った凄まじいボールの威力に弾き飛ばされた!

 

その威力、某香港製サッカー映画で見たボールそのものである。

 

 

ドラリーニョ

「やったーー!! ゴーーーール!!」

 

 

ドラリーニョはその場でカズダンスをし、無垢な仕草で喜んだ。

 

 

ドラリーニョの才能……

 

 

それは「運動」である。

 

 

ジャガー

「中々ええシュートを打つのぉ……」

 

 

弾き飛ばされたジャガーが床から立ち上がって言う。

 

 

ドラリーニョ

「だって〜僕、スーパーストライカーだも〜ん。今のだって5割ぐらいの強さなんだよ〜?」

 

 

ドラリーニョはポケーっとした仕草で言った。

 

 

ジャガー

「……成る程、肩書きは伊達じゃあないっちゅーことじゃのぉ」

 

ドラリーニョ

「そお? ありがとー、えへへ」

 

 

ドラリーニョはジャガーの言葉に照れ、頭を掻いた。

 

しかし……

 

 

ジャガー

「じゃがのぉ……馬鹿たれ!! 5割ぐらいで済ますなら初めから本気で来んかいっ!!!」

 

ドラリーニョ

「………え?? 本気?」

 

ジャガー

「当たり前じゃあ! じゃないと勝負とは言えんろうがや!」

 

 

ドラリーニョの態度に激怒するジャガーであったが…

 

 

 

 

ドラリーニョ

「でも………昔僕が本気で蹴った時に…それを受けようとした子供を死なせちゃったんだ……だからもう何年も本気で蹴って無いんだ…」

 

 

 

ドラリーニョは哀しげな顔をして言った。

ドラリーニョのずば抜けた運動神経から放たれる全力のボールは、人を簡単に傷付ける事が出来るのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ねえドラリーニョ!! ぼくに向かって全力で蹴ってよ!! ぼくキーパーの練習がしたいんだ!)

 

 

(うん、分かったよ〜。じゃあ行くよ!! シュートッ!!!)

 

 

ドンッッ!!!

 

 

(…………!!!!)

 

 

 

バタッ

 

 

 

(………どうしたの〜? ………くん、寝てないで起きてよ〜。 あれ? 聞いてるの〜? ……くん? 本当は起きてるんでしょ……?)

 

 

 

その子は眠ったまま目を覚ます事は無かった。

 

 

 

 

 

(あの子はお前と遊びたかっただけなんだぞ…!!! それを…! 踏みにじるような真似して……!!!)

 

 

 

 

ドラリーニョは過去に縁組の子供とサッカーをしていて、誤ってその子を殺めてしまった……

 

子供が言った言葉の意味をドラリーニョは汲み取れず、全力でその子供にボールを蹴ってしまったのだ。

 

その子は病院に緊急搬送され、緊急オペを行おうとしたが、手の施しようが無くそのまま息を引き取った……

 

 

 

《子守ロボット、縁組を誤って殺害。死因はサッカーボールからの衝撃による心破裂》

 

 

(何だよこの記事…?)

 

(子守ロボットが人殺し? 相当そのロボット、イカれてたんだな)

 

(酷い子守ロボットも居たもんだ)

 

(その子守ロボットは欠陥品だ! 即刻廃棄処分すべきだ!!)

 

 

 

その事件の後、ドラリーニョは多くの人から糾弾された……

 

その中には、彼が殺めた子供の実の父親も含まれていた。

 

しかしドラリーニョは全く反論しなかった……

 

事態は最高裁にまで発展し、世間を大きく揺るがす事件となったが、幸い罪には問われず、ドラリーニョ達の製造元である"マツシバ"が莫大な和解金を支払った事で事態は収拾した。

 

だからドラリーニョは、サッカーをする時には最大で5割程のパワーまでとストッパーをかけていたのである。

 

それがドラリーニョの中の掟であり、過去のトラウマによる呪縛でもあった……

 

 

 

ドラリーニョ

「僕……本気で打てないんだ…例え君が敵でも……」

 

 

ドラリーニョは過去のトラウマから、ジャガーが敵であっても本気でシュートを打てないでいた。

 

それを聞いたジャガーは……

 

 

 

ジャガー

「…………そういうことか、じゃあ本気で打たせちゃる。

さあ! 来んかいっ!!!」

 

 

バッ!

 

 

ジャガーは腕を広げ、足を開き、踏ん張るような体勢をとった。

 

 

ドラリーニョ

「…え?」

 

 

ドラリーニョは困惑した、普通の敵であれば「本気で打てない」と言う弱点を狙うのが常識であるからである。

しかしジャガーは違った…

 

 

ジャガー

「いつまでも過去の事に囚われんなや! ワシに向かって本気で打って来んかいっ! 安心せぇや!必ず止めるけえの!」

 

ドラリーニョ

「どうして……? 君は…僕達の敵でしょ…?」

 

ジャガー

「確かに、立場的にはワシはあんたらの敵じゃ……じゃがワシは…あんたら…いや、誰かを傷付けるのは嫌いなんじゃ」

 

ドラリーニョ

「え? どういうこと…?」

 

 

更に困惑するドラリーニョにジャガーは話を続けた…

 

 

ジャガー

「あんたらの仲間が捕まった時……ワシら六人衆はあんたらの仲間をいたぶっとった…しかしワシだけは何もせんかった……こう見えてワシは口だけ番長、争いが好きじゃないんじゃ…」

 

 

ジャガーは悲しげな目をして言った。

 

そう、ジャガーには…「善」の心があったのである…

 

 

ジャガー

「さあ! 来んかいっ!! ドラリーニョ!! 過去のトラウマなんぞ跳ね返せ!」

 

 

もうどちらが正義か悪など、2人にはどうでも良くなっていた……2人の間には、絆が生まれていた。

 

ドラリーニョはそんなジャガーの姿に、かつて自分が殺めた縁組の子供を重ねた。

その姿は、ドラリーニョの闘志に再び火を点けたのだ。

 

 

ドラリーニョ

「………分かった! 思いっきり打つよ!!!」

 

 

ザッ!

 

 

ジャガーの言葉をドラリーニョは信じ、ドラリーニョはシュートの構えをとった!

 

 

ジャガー

「よしっ! それでいいんじゃ! ワシの心配なんぞいらん!

ただ"思いっきり"打てばええんじゃ!」

 

 

ジャガーはドラリーニョに本気で打つように促す!

 

 

ドラリーニョ

「……行くよっ!!! シューーートォ!!!!!」

 

 

ドオオオオオン!!!!

 

 

ドラリーニョはついに全力でボールを蹴った!!

 

 

ヒュオオオオオオ!!!!

 

 

蹴られたボールは先ほどのボールとは桁違いの速さで加速し、一直線にジャガーの下へ飛んでいく!!

 

 

ジャガー

「うおおおおおおお!!!!」

 

 

バアアアアン!!!!

 

 

ジャガーの下へ飛んできたボールをジャガーは受け止める!!

しかしボールは止まらないっ!!

 

 

ジャガー

「負けてたまるかっっ!! 必ず止めて見せるけんのおおおお!!!」

 

 

ジャガーはボールを持ったまま猛スピードで後ろに押されてしまう!

それでもジャガーはボールを離さなかった!

 

 

ドオオオオオン!!!

 

 

激しく後ろに押され続けたジャガーはついに後ろの壁に激突し、激しく土煙が舞い上がった……

 

 

その土煙の先には………

 

 

 

 

 

 

 

ジャガー

「………どうじゃ? ちゃーんと止めたじゃろ…? お前さんのボールは人を傷付けるもんなんかじゃないんじゃ」

 

 

ジャガーは最後までボールを離さないでいたのである。

壁に大きな亀裂が入っている……相当な衝撃であったのにジャガーはボールを離さなかった…

 

 

ドラリーニョ

「ジャガー………ありがとう!!! うええええん!!」

 

 

ドラリーニョは歓喜の余り泣き出してしまった……

 

 

ジャガー

「泣くなや、みっともないで…ハハ」

 

 

そんな様子にジャガーは笑った……

 

 

ドラリーニョ

「だってぇぇぇぇ! うええええん!!」

 

 

 

ドラリーニョvsジャガー

 

その対決は敵同士の間柄ではなかった……

 

2人には……硬い友情があったのである。

 

 

ドラリーニョが泣き止むと、ドラリーニョは落ちていたサッカーボールを持ち上げ、何かに思い浸るようにサッカーボールを眺めた。

 

 

ドラリーニョ

(……ありがとね、……くん。)

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラゴン

「………ジャガーは何をやっているのですか?」

 

王ドラ

「ドラリーニョには……何かを惹きつける力があります…

それのお陰でしょう」

 

ドラゴン

「戯言を……彼は敵と関わりを持ってしまった………この戦いが終わったら彼は処刑ですね……」

 

王ドラ

「残念ながらそれは叶いません………私はあなたを倒します!!!」

 

ドラゴン

「………いいでしょう、かかって来なさい」

 

 

 

中国拳法家同士……激突!!!

 

 




ドラえもん
「まさかジャガーがいい奴とはね……」

スネ夫
「作者も悩んだんだってさ…でもある意味良かったのかもね」

ドラミ
「じゃあ皆! まったねー!!」

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