ドラえもん のび太の大魔境 second season 〜もう一つの伝説〜   作:田舎者

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マタドーラ
「今回こそ俺様の出番だ!」

王ドラ
「エル・マタドーラだけずるいです〜」

キッド
「すぐに出番が回ってくるさ、それじゃあ始まるぜ!」


情熱の拳

ミノタウロス

「タックルだぁ!!!」

 

 

ドドドドドド!!!

 

 

マタドーラ

「確かにすげえ馬力だな……でも甘えーな」

 

 

 

マタドーラは独特な模様が入った特注のひらりマントをポケットから出し、 ミノタウロスの攻撃に合わせて振った。

 

 

ミノタウロス

「うおおお!!? 」

 

 

ドンッ!

 

 

ひらりマントで跳ね返されたミノタウロスはバランスを崩し、壁に激突する!

 

 

ミノタウロス

「いててて… ただのマントじゃないなぁ!?」

 

マタドーラ

「まあな!」

 

 

ミノタウロスの攻撃は単調であった。

ただひたすら突進をする、それだけである。

 

 

ミノタウロス

「もう一度ぉ!!」

 

 

ミノタウロスは再び突進のモーションに入った。

 

しかし…

 

 

マタドーラ

「ちょっと待ちな!」

 

 

マタドーラは手をミノタウロスの方へ突き出し、静止するように求めた。

 

 

ミノタウロス

「どうしたぁ!? 降参か!?」

 

マタドーラ

「いや…そうじゃねえけどよ…」

 

ミノタウロス

「じゃあ何だと言うのだぁ!?」

 

 

マタドーラ

「いや…その…何でお前突進しかして来ないんだ? 普通はある程度のコンビネーションを織り交ぜるだろ…」

 

 

恐らく読者の皆さんも思ったことだろう。

マタドーラはさっきからそれが疑問で仕方なかった。

 

 

ミノタウロスは10秒間ほど沈黙し、ようやく口を開いた。

 

 

 

ミノタウロス

「…………言われてみればそうだなぁ! よぉし! 次からは殴り技も使っていくぞぉ!」

 

 

 

マタドーラ

「気付かんかったんかい!」

 

 

ミノタウロス……マヌケと言うか何というか……ここまで来ると愛嬌がある…

 

 

ミノタウロス

「恩に着る! これで俺様はまた強くなった!」

 

マタドーラ

「………じゃあ続き始めようぜ」

 

ミノタウロス

「おう! 喰らえ! 」

 

 

シュッ!!

 

バキィッ!

 

 

マタドーラ

「何…!? がはっ…!」

 

 

マタドーラはミノタウロスの放ったボディブローをモロに受けてしまい、血を吐いて床に膝を着いてしまった。

 

 

ミノタウロス

「どうだ! これが俺様の力だ!」

 

マタドーラ

(こいつ…突進よりパンチの方が向いてんじゃねえのか…?キレがプロボクサー並だし、油断してたとはいえ全く軌道が見えなかった…やべえな、肋骨にヒビ入りやがった…)

 

 

マタドーラは心底驚いていた……先ほどまで楽々と躱していたミノタウロスの攻撃が突然クリーンヒットしたのだから。

 

 

ミノタウロス

「どうしたぁ!? 早く来い!!」

 

 

ミノタウロスはその鈍重そうな身体からは想像も出来ないほどの軽快なステップを踏み、マタドーラを挑発した。

 

 

マタドーラ

(恐らく奴は気付いてねえ……奴には途轍もない天性の格闘センスがある…! 放っておいたら後々脅威になるかもしれねえ相手だ…! なら……俺がここで奴を止めるしかねえ!!)

 

 

マタドーラ

(ひらりマントは素早い攻撃には向かねえ……だったら!)

 

 

バッ!

 

 

マタドーラは持っていたマントを床に投げ捨てた。

 

 

マタドーラ

「面白れぇ、殴り合いは嫌いじゃねえぞ!!」

 

 

マタドーラは口内に溜まった血を吐き捨てながら立ち上がり、ファイティングポーズをとる。

 

その姿をのび太は疑問に思った。

 

 

のび太

「ねえ、何でマントを捨てたの? わざわざ武器を捨てるなんて…」

 

ドラミ

「マントを振る速度と至近距離からのパンチ、どちらかと言うと至近距離からのパンチの方が速度は速いのよ。ひらりマントはカウンター系統のひみつ道具なのに相手にスピードで上を行かれたら意味が無くなる… だからひらりマントを捨てたの」

 

スネ夫

「でもあの体格差じゃ…」

 

ドラミ

「エル・マタドーラは必ずやってくれるわ…!」

 

 

一方マタドーラから殴りに徹する意向を示されミノタウロスは…

 

 

ミノタウロス

「殴り合いか……いいだろう! 俺様もそうさせてもらうわぁ!」

 

 

そしてミノタウロスもファイティングポーズをとった…

 

 

マタドーラ

「倒れて動けなくなった方が負けでいいな?」

 

ミノタウロス

「いいだろう! 来い!」

 

 

闘いのゴングが再び打ち鳴らされると、両者は互いの拳が届く距離まで接近し、激しいインファイトを開始した!

 

 

ミノタウロス

「ふん! はあっ!!」

 

マタドーラ

「ぐぅっ…! やるな! おらぁ!!」

 

ミノタウロス

「うっ…! そっちこそ…! 小さい体をしているくせにやってくれるではないか!」

 

 

ミノタウロスは左ジャブをマタドーラの顔面に放ち、

怯んだ所へ更に右ストレートを叩き込んだ。

 

攻撃を受けたマタドーラは負けじと顎にアッパーを叩き込み、ミノタウロスの脳を揺さぶる!

 

 

両者に戦略は無い。ただひたすら、殴られたら殴り返す。互いに殴り合いの応酬が超スピードで展開されていた!

 

 

マタドーラ

(こいつ…身体中がメチャクチャ硬え! 殴ってる拳の骨が砕けそうだぜ…! )

 

 

マタドーラの左アッパーからの右フックが入る!

 

 

ミノタウロス

(こいつ……殴っても殴っても殴り返してくる! 面白い!)

 

 

負けじとミノタウロスのボディブローが炸裂する!

 

 

 

 

 

ミノタウロスの身長は約180cm。

対してマタドーラは129cm。

体格差は明らかであったが、マタドーラにはその差を0にするある特技があった…

 

 

マタドーラ

「おらぁ!!」

 

 

身長的に背の届かないマタドーラはジャンプをし、ボディブローを放つ!

鋭い拳がボディに突き刺さる!

 

 

ミノタウロス

「うぐぅ…!!」(何てパワーだ…!! こいつ!!)

 

 

ミノタウロスは思わずうめき声を上げ、地面に膝を着いた。

 

 

ミノタウロス

(こんな小さな体のどこからこんな途轍もないパワーが生み出されていると言うのだ…!?)

 

 

マタドーラの特技…それはドラえもんズ一の怪力である。

その怪力はミノタウロスの馬力をも凌駕していた!

 

 

マタドーラ

「"ケンカ"なら…今まで一度も負けたことがねえんだよ!!」

 

ミノタウロス

「成る程…強敵だ…!!」

 

 

それから暫く、マタドーラが優勢のまま戦いは続いた…

 

そしてついに両者の戦いに終止符が打たれる時が来た…

 

 

 

 

ミノタウロス

(はあ…はあ… 強い…!)

 

マタドーラ

(俺も…そろそろやばそうだぜ…)

 

 

両者の体は既に限界が来ていた…

 

 

ミノタウロス

「恐らく…俺様は次にお前のパンチを食らったら間違いなく倒れる……だから…最後は全力で行くぞお!!」

 

マタドーラ

「ハッ! そうこなくっちゃな!」

 

 

サッ!!!

 

 

両者はお互いに向かって走り出した!

 

 

両者

「うおおおおおお!!!」

 

 

ミノタウロス

(喰らえ…! これが最後なんだ!)

 

 

ミノタウロスは渾身の右ストレートを放つ!!

 

 

マタドーラ

「…………」

 

 

しかしマタドーラはミノタウロスに接近するだけで、パンチのモーションに入っていなかった…!

 

 

ミノタウロス

(どうした…!? まあいい! このまま当てれば勝てるんだぁ!!)

 

 

ミノタウロスの拳がマタドーラに向かって伸びていく!

 

 

マタドーラ

(ここだ……!!)

 

 

ヒュッ!

 

 

何とマタドーラはミノタウロスの放った右ストレートを、直撃まであと10cm足らずの所で上体を左に傾けて躱した!

 

 

そしてパンチのモーションに入る!

 

 

ミノタウロス

(な…に?)

 

マタドーラ

「あばよ…!!」

 

 

バンッッ!!!

 

 

マタドーラは素早くミノタウロスの顔面にジャンプインし、ミノタウロスに接近、全体重を拳にかけ、ミノタウロスの顔面に振りかざした!!

 

 

自分の全体重をかけたカウンター「JOLTカウンター」が炸裂した!

 

 

 

ミノタウロス

「ぐはぁっ!!!」

 

 

バタッ

 

 

ミノタウロスはバタッと地面に倒れ込んだ。

そしてそのまま起きることは無かった……

 

 

マタドーラ

「……楽しかったぜ。たまにはこう言うのも悪くねえな。さて、シエスタシエスタ、お昼寝だ〜い」

 

 

そう言うとマタドーラは四次元ポケットから枕と毛布を取り出し、戦いの場であるのにも関わらずシエスタ(昼寝)を始めた……

 

 

 

ミノタウロス 撃破!!

 

 

 

 

ポーラ

「ちっ、ミノタウロスがやられたか…」

 

ポーラ

「まあいいさ、あんな脳筋が役に立たないことなんて分かってたからね」

 

ドラニコフ

「……ガウ」

 

ポーラ

「かかって来い…って面してるね…じゃあお言葉に甘えて行こうかなっ!」

 

ドラニコフ

「ガウッ!!」

 

 

 

第二ラウンド

 

ドラニコフvsポーラ 開幕!




ドラえもん
「まさかの肉弾戦とは……驚いたよ」

静香
「てっきり闘牛対決をするのかと思ったわ」

ジャイアン
「作者が闘牛対決はけっこう地味な展開になるんじゃないか? って思ったから肉弾戦にしたらしいぜ」

えー、マタドーラとミノタウロスの闘牛対決を期待していた方もおられるかも知れませんが、闘牛対決はなしとさせて頂きました。勝手ながらすみません!

それでは! また次のお話で!

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