ドラえもん のび太の大魔境 second season 〜もう一つの伝説〜   作:田舎者

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早くも彼が登場します。
それではどうぞ。


再開、新たなる始まり

野比のび太 15歳

東京都 練馬区在住

特に目立った能力はなく、人並み、もしくはそれ以下のド凡人である。

テストは10回に一度0点を取るなど知性に欠ける。

おまけに運動音痴で融通が利かず、どスケb…

 

 

のび太

「やめろおおおおお!!!」

 

 

のび太は周囲に人がいるにも拘らず何処からか聞こえてくる天の声に向かって叫ぶ。

しかし天の声はのび太しか聞こえておらず周りから見たらただの変人にしか見えない。

まったく恥ずかしい男である。

 

 

のび太

「うるさいよ!!静かにしてろ!」

 

はいはいわかりましたよ。

 

 

ガチャ

 

 

のび太

「ただいま……ドラえも〜ん!!!」

 

 

のび太は玄関の扉を開けると、なんとも無気力な「ただいま」を言い、玄関を上りながらいつもの台詞を口にした。

 

 

ドラえもん

「あ、おかえりのび太君。どうしたのー?」

 

 

のび太が自分の部屋に入ると、畳に寝転がってどら焼きを食べていたドラえもんが、呑気そうにのび太を見た。

 

 

のび太

「またジャイアンに殴られたんだ〜!仕返ししたいから道具出してよ〜!!」

 

 

いつものようにのび太は泣きながらドラえもんに抱きついて道具を強請(せび)った。

 

 

何度も見た事のあるいつもの光景である。

 

 

ドラえもん

「いつもの事じゃないか!男だろ! 素手で闘うぐらいの勇気を持て!」

 

 

ドラえもんは強い口調でのび太を諭す。

しかし、のび太の表情は変わらなかった。

 

 

のび太

「イヤイヤイヤイヤ……ドラえもん、ジャイアンに勝てる訳ないじゃないか…」

 

ドラえもん

「あ、そうだった…….」

 

 

のび太がジャイアンに勝てない理由、それは喧嘩の強さどうこうと言うような問題ではなく、根本的な体格差にあった。

のび太の身長は168cmと平均的であるのに対し、

ジャイアンは15歳にして190cmという驚異的な早さで急成長…いや、突然変異と言った方が正しいのかも知れない。

 

ジャイアンに興味本意で喧嘩を売った不良高校生10人が、返り討ちに遭って全治1ヶ月の怪我を負って病院送りにされていたことはのび太達の記憶にも新しい。

 

しかも彼の身長は未だに伸び続けている。

 

 

のび太

「ね? みんなも分かってくれたでしょ?」

 

ドラえもん

「みんなって誰さ?」

 

のび太

「そりゃあ、読sy‥

 

ナレーター

ゲフンゲフン!

 

のび太

あ、すいません」

 

ドラえもん

「メタ発言はこれくらいにしてさ、ジャイアンの件はもうやめとこ? 道具を使ったらどちらかが怪我をすることにしさ」

 

 

色々メタい事を言うのび太に注意しながらドラえもんはジャイアンの件についてそう提案した。

 

 

のび太

「そうだね、少しくらい我慢できるよ!」

 

ドラえもん

「え? そんなにさらっと流せるものなの?」

 

のび太

「? 仕返しはやめようって言ったのはドラえもんじゃないか」

 

ドラえもん

(……………前ののび太くんならすぐ駄々をこねて何としてでも仕返ししてたのに……)

 

 

のび太の中にはもう立派な人を思う心、そして精神力があった。

白亜紀、宇宙、海底、魔界、そして魔境。

幾度となく仲間と死線を切り抜けてきたのび太の精神力は今までとは比べ物にならないほど成長していた。

 

 

ドラえもん

(セワシ君……少しづつだけど…君のご先祖は立派に育ってるよ…」

 

 

ドラえもんは飄々とした表情をしたのび太を他所に、虚空を眺めながら心の中で思った……。

 

 

 

 

野比 玉子

「のびちゃーん!お遣いに行って来てくれる?」

 

 

階段の下からママこと玉子が呼びかける。

 

 

のび太

「分かった! 行く行く!」

 

 

のび太は階段をドタバタと下りながら玉子の声に応えた。

 

 

玉子

「ニンジンとレタスとベーコン……あと鳥のもも肉をお願いね。分量はこのメモ用紙に書いてあるから。」

 

のび太

「うん! いってきまーす!」

 

 

買い物袋とお金を受け取ったのび太は駆け足で家を出て行った。

 

昔はとても面倒臭そうに家を出ていたのに今はその面影は微塵もない。

 

 

玉子

「……のびちゃんが立派に育ってくれて嬉しいわ…まだ不器用なところもあるけど…」

 

ドラえもん

「それがのび太君なんだと思うんだよ、ママさん」

 

玉子

「え?」

 

ドラえもん

「不器用でも……不器用なりに真っ直ぐ進む。それが野比 のび太という男なんだ。それに…あれほど人を大切にする人はそうはいないと思うよ?」

 

 

ドラえもんはそう笑いながら言った。

 

玉子

「ドラちゃん……そうね、何だって私の息子だもの!」

 

ドラえもん

「ハハハ、そうだね。」

 

 

そしてドラえもんはニッコリと笑った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方のび太は……

 

 

のび太

「よし、お遣い終了っと…。寄り道せずに家に帰らなきゃね。」

 

 

買い物を終え、家に向っていた。

もう時刻は午後6時を回って夕暮れ時である。

眩しいほどの夕焼けが、すすきヶ原の空を照らす。

 

 

のび太

(……そういえば昔は日が暮れるまでジャイアン達と遊んでたなぁ。あの頃が懐かしいや……)

 

 

のび太は腕を頭の後ろで組み、夕焼けを眺めながらふと思った。

 

 

のび太

(もう"あの頃"みたいな冒険なんか出来ないんだろうな……ちょっと淋しいけど……仕方ないよね)

 

 

のび太はそう心の中で自分に言い聞かせ、痩せ我慢のように微笑した…。

 

 

そんな事を思い耽っている内に、のび太は自宅に到着した。

 

 

のび太

「ただいまー!」

 

 

のび太がドアノブに手を掛け、玄関に入ろうとした次の瞬間の事であった。

 

 

 

 

???

「のび太さん!!!」

 

 

 

誰かが後ろから、のび太を呼んだ。

 

力が込もっていて、そしてどこか凛々しいような声だった……

 

 

 

のび太

「ん…?」

 

 

 

 

のび太はその声に反応して、思わず振り返った。

 

 

 

のび太が振り返るとそこには、夕日に照らされた純白の犬が立っていた……

 

 

 

 

 

のび太

「え…? ペコ…なの…?」

 

 

ペコ……本名:クンタック。

 

現バウワンコ王国の国王。

剣術の達人であり、のび太たちと共に王国を救う為に戦った最高の友である。

 

 

最初は困惑した表情を浮かべたのび太であったが、それはすぐにかつての友と再開できたという喜びに変わった。

 

 

のび太

「ペコじゃないか!! どうしたの急に!? 元気だった!?」

 

 

のび太は嬉しさのあまりペコに駆け寄るが、ペコの目は真剣だった……

 

 

 

 

 

ペコ

「お願いがあってここへ参りました……

 

 

 

 

 

 

もう一度……力を貸して下さい」

 

 

 

のび太

「………え?」

 

 

 

死闘が……幕を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ペコの4年後の設定はどんな感じて行こうかなって悩んでたんですが、「まだ初々しさが残る若き王」という設定に固まりました。
思ったよりも構成を考えるのは難しいですが頑張りたいと思います。

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