アニライブ!   作:名前はまだ無い♪

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かなり前に行ったアンケートのお話です。

若葉と真姫のデート。今回はそれに時期ネタバレンタインを合わせてお送りします。では


☆だーれだby真姫

 若葉は駅前で1人、時折腕時計をチラチラと気にしながら立っていた。

 

「だーれだ」

「……誰?」

 

 突然目隠しされ聞かれた問いに若葉は惚けた様子で答える。すると目を覆っていた手が離れ、正面には頬を膨らませた真姫が上目遣いで少し睨むように若葉を見ていた。

 

「もう! 信じられない」

「冗談冗談」

 

 若葉は笑ながら真姫の頭を撫でる。

 真姫の服装は茶色のコートに花柄のスカート。ロングブーツに手にはピンクのミニバッグを持っていた。

 真姫は頭を撫でられるとバカ、と小さく呟き若葉から数歩離れる。

 

「ほら、早く行きましょ」

「分かりましたよ。お姫様?」

「おひ……!? ゔぇえ!」

 

 真姫は突然若葉から発せられた聞き慣れない単語に驚き、頬を軽く朱に染める。真姫はその照れを隠すように強引に若葉の腕を取ると、自分の腕を絡ませ、抱き着く。若葉も特に抵抗する素振りも見せずにそのまま歩き出す。

 

「さて、じゃあ早速」

「うん」

「電車に乗ろうか」

「……うん?」

 

 真姫はやや出鼻を挫かれた様な思いを抱きながら、若葉と一緒に電車に乗る。

 

「なんだか、こうして若葉と二人きりで電車に乗るの、新鮮ね」

「そうだね。今までは近くにお出掛けで済ませてたからね」

 

 若葉と真姫は流れる車窓から見える景色を眺めながら、互いにもたれ合う。それから電車を乗り継ぎ、目的地の遊園地に到着する。

 

「じゃあ早速入ろうか」

「ちょっと、チケットは?」

 

 チケットを買わずに入場ゲートに向かう若葉を真姫は止める。真姫に止められた若葉は鞄から財布を取り出すと、そこから二枚の入場チケットを取り出す。

 

「親方から貰ったんだ」

「親方さんって本当に一工務店の社長なの?」

「まぁ、あれだよ。俺と一緒で顔が広いんだよ」

 

 若葉がチケットを係員に渡しながら答えると、真姫もどこか納得した様に頷き再び若葉の腕に自身の腕を絡ませる。

 それから二人は気の向くままアトラクションに乗っていく。

 メリーゴーランド、ジェットコースター、コーヒーカップ、バイキング。絶叫系から緩やか系まで、お昼休憩や少し食べ歩きを挟んで二人は園内を楽しそうに巡り回る。

 

 しかし楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、遠くの地平線に太陽が沈み、辺りを月が夜空に浮かび上がる。

 

「そろそろ帰らないと危ないね」

「そうね」

 

 二人は園内に設けられたベンチに並んで座りながら、いつかの夏祭りの時の様に手を繋いで夜空を見上げていた。

 

「ねぇ真姫」

「なに?」

「最後に一つだけ、乗っておきたいのがあるんだけど、良いかな?」

 

 若葉の言葉に真姫は躊躇う素振りを見せずに頷く。それを見て若葉は立ち上がると、真姫の手を引っ張り目的のアトラクション、観覧車へと向かい歩き出す。

 幸いにもお客は少なく、二人が観覧車に着いた時は待つ事なく乗る事ができた。

 観覧車に乗って少し。お互いが何も言い出せずに沈黙がゴンドラ内を漂う。

 そして

 

「若葉」

「真姫」

 

 二人が同時に相手の名前を呼ぶ。お互いがお互いに黙ってしまい、また少しの沈黙。

 

「真姫から、どうぞ」

「そ、それじゃあ」

 

 結果、若葉に促される様に真姫が先に用件を伝える。

 

「あの、今日バレンタインじゃない?」

「あー……うん、そうだね」

 

 真姫の言葉に苦虫を潰した様な顔になる若葉。真姫はそんな若葉に構う事なく続ける。

 

「そ、それでね。チョコを作ろうとしたんだけど、穂乃果から「せっかくだからチョコ以外のを作ってあげて」って言われて、その、これ!」

 

 真姫がミニバッグからクッキーの入った包みを取り出し、若葉に差し出す。若葉は予想と違う物が出て来た事と、穂乃果が助言していた事に目を開いて驚き、その後真姫からクッキーを受け取る。真姫は緊張の糸が途切れたかの様に安堵の息を漏らす。その表情は受け取って貰えた事に笑っていた。

 だからこそ、次の若葉の言動の意味に気付くのが少し遅れた。

 

「そう言えばさ、真姫はイタリアのバレンタインってどんなのか知ってる?」

「……え? イタリア?」

「そ。イタリアのバレンタインだとね、男性から女性にプレゼントを送るんだよ。と、いう事でこれは俺から真姫へのプレゼント」

 

 若葉はそう言うと、一つの小さな箱を取り出し真姫の前に差し出すと、それを開く。

 その中に入っていたのは一対のリング。特別な装飾などあしらわれていないリング。

 若葉はその片方を取ると、未だに唖然としている真姫の左手を掴み引き寄せ、そのまま薬指にリングを通す。

 

「なっ! 若、葉!? ゔぇえ!!」

 

 突然の出来事に真姫は狼狽える。若葉はそんな真姫を落ち着かせる為に、ギュッと正面から抱き締める。すると真姫は少しずつ落ち着いていき、やがて若葉の背中にそっと腕を回す。

 抱き合う事少し。観覧車を降りる場所が近付くと、二人はどちらともなく相手を離す。そして観覧車から降りて暫く、真姫が口を開く。

 

「あの、若葉。これって……」

「えーと……そう! それは魔除けと言うか、悪い虫が寄り付かない様になると言うか……その、予約と言うか」

 

 最後の方は呟く様に言う若葉だが、すぐ隣を歩いている真姫には全て聞こえており、最後の一言を聞くと真姫の目から一筋の涙が頬を伝る。

 

「あ、真姫ゴメン! 泣かせるつもりはなかったんだ! 嫌なら外しても」

 

 若葉の言葉を遮る様に首を横に振る真姫。そして涙を拭い若葉を正面から見て言う。

 

「違うの。凄く嬉しくて。……ねぇ若葉、ちょっとこっちに寄って」

 

 若葉は真姫に言われた通り顔を近付ける。

 

「これは私からのお礼」

 

 真姫はそう囁くと若葉の頬に短くキスをした。

 




【音ノ木チャンネル】
夏「なぁ若。聞きたい事があるんだが」
若「なに?」
愛「なんで真姫ちゃんがバレンタインの事を言った時、変な顔したんですか?」
若「変な顔って……変顔は海未の芸風じゃ……」
夏「いや、今そんな話してないし」
愛「まぁ若葉さんの口を割るのが面倒なので、今日はこの人に来て貰ってます」
翔「やっほー」
若「なんで翔平……」
翔「お前宛の贈り物。アメリカからわざわざ送って来てたぞ」
若「マジで……?」
翔「マジで」
夏「アメリカ? なんでまたそんなとこから?」
若「あーまぁ、色々あったんだよ」
翔「それがよ。高蓑原にいた時の話なんばべら!」
愛「あ、翔平さんが机に伏した」
若「翔平は少し寝てようね」
夏「あーなんかつ触れちゃいけないみたいだから、若がバレンタインが嫌いな理由はまたいつかどこかで!」
若「やらなくていいよ……て言うか、別に嫌いじゃないよ? ただその日がちょっと苦手なだけ」
翔「チョコだけに、な」
愛「……でも嫌いじゃないならなんで変顔したんですか?」
翔「あれ、無視?」
若「いや、毎年この日だけは大量のチョコに悩まされてね……」
夏「大変なんだな……」
翔「おーい、聞こえてんだろ〜?」
愛「と、いう訳で今回はここまで!」
夏「だな。これ以上やってもあれだし」
若「それじゃあ誤字脱字、感想、批判、アドバイス等をお待ちしております!」
愛「あとTwitterもやってます!」
夏「詳しくは活動報告を遡ってくれ!
『バイバーイ』

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