アニライブ!   作:名前はまだ無い♪

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今回は私の作品「アニライブ!」と「巻き込まれた図書委員」のコラボです。
両方読んでる方は大いに楽しみ、片方しか読んでない方は是非読んでない方もお読みください!
では、どうぞ!


☆巻き込まれたアニライブ!

「悪いな。アッキーにも手伝わせちゃって」

「いえ、穂乃果さん達が忙しいの知ってますから大丈夫ですよ」

 

 愛生人は手元の書類を片付けながら夏希に答える。

 現在生徒会室にいるのは夏希と愛生人のみ。若葉は親方から電話がかかってきた為席を外している。穂乃果達はライブ前という事で屋上で猛練習中である。

 

「若葉ーちゃんと仕事してる?……あ」

「あ、若葉さんおかえ……り?」

 

 生徒会室の扉を開けると共に労いの言葉を放って入室してくる声に、愛生人は若葉だと思い顔を上げながら挨拶すると、そこに映ったのは何やら焦った表情の女生徒だった。

 腰まで伸びた髪に、後頭部で結んだ赤いリボンが特徴の彼女。胸には三年生である事を示す緑のリボン。

 

「夏希さん。知り合いですか?」

「いや、この学院内で先輩の知り合いはえりち、のぞみん、にこっちの三人だけだ。そう聞いてくるって事はアッキーの知り合いでもないんだな」

「て事は十中八九若葉さんの知り合いですね」

「まぁ入って来る時若の名前呼んでたしな」

 

 二人は頷き合うと、頭を抱えている彼女の方に向き直る。

 

「あのー……若葉さん、今ちょっと席を外していまして、戻って来るまで待っていますか?」

「あー……それじゃあお言葉に甘えて」

 

 愛生人の提案に頷くと、彼女はいつもことりが座っている(書記の)席に慣れた様子で座る。

 そして当然のように訪れる沈黙。先程までは夏希と愛生人だけだった為雑談を交えながら作業をしていたが、さすがの二人も関係ない第三者がいる場所で談笑しながらの作業はできない。

 

「あ、あの」

 

 そんな沈黙を破ったのはこの中で最年少の愛生人だった。

 

「若葉さんが来るまでお互い黙ったままは居づらいと思うので、自己紹介とかしませんか?」

「お、アッキーナイスアイデア!」

 

 愛生人の提案に夏希が指をパチンと鳴らして賛成する。彼女の方も首を縦に振り賛成の意を示す。

 

「では提案者の僕から。一年生の片丘愛生人です。よろしくお願いします」

「次は俺だな。俺は佐渡夏希。二年で生徒会の会計をしてます。よろしく」

 

 最初に愛生人、次に夏希が自己紹介を終わらせ女生徒を見る。二人に見られた女生徒は少しの間何かを考えているのか、黙っていた。そして

 

「最後は私だね。私は東野」

「二人ともお待たせ〜。いや〜親方の電話が思ったよりも長くなっちゃったね。ゴメンゴメン」

 

 彼女が自己紹介をしようとしたタイミングで、生徒会室の扉が開かれる。入って来たのは電話で席を外していた若葉だった。

 若葉は愛生人と夏希に謝ると、自己紹介の途中で止まっている彼女を見て首を傾げる。

 

「あれ? 友実姉なんで生徒会室にいるの?」

「あはは。若葉君ちょっとこっち来ようか?」

「え、いや、なんで腕引っ張るの? ていうかそっち廊下だよ?」

「いいから行くよ?」

「……はい」

 

 女生徒に為すがままに連れて行かれた若葉に、その光景を見ていた夏希と愛生人は驚きで動きが止まってしまった。

 

「なぁアッキ―。見たか?」

「えぇ。ばっちり見ました」

 

 少ししてからお互いに顔を見合わせ頷きあう。

 

「なんか若がされるがままだったな」

「えぇ。しかも出ていく時、あの人満面の笑みでしたよ」

「あぁ。ちょっと、いや、かなり怖かったけどな」

 

 それから短い会議の末辿り着いた結論は「どこかで見た事がある若葉を連れ回せる笑顔が怖い先輩」としかならなかった。二人してどこで見たか忘れている為、そこまでしか至れなかったのである。

 

「それにしても少し遅いな」

「ですね。廊下に出て行ってからそれなりに経ちますもんね」

「ちょっと様子見てくる」

 

 二人の帰りが遅く、心配した夏希が生徒会室の扉に手をかけようとしたその時、急に扉が開いた。扉の前にいた夏希はそれを避けられるわけがなく、鼻を強打する。

 扉から入って来た女生徒と若葉は、蹲ってる夏希と扉が何かに当たった音を結び付ける。

 

「あ~……ゴメンね」

「テヘペロで許されると思ったら大間違いだかんな!!」

 

 ベロを出し、コツンと頭を叩いて謝る女生徒に夏希は鼻を押さえたままツッコみを入れる。

 

「まぁまぁ落ち着いて夏希」

「若。お前は被害者じゃないからそう言えるんだ……これ地味に痛いんだからな?」

「へ~若葉って若って呼ばれてるんだ~」

 

 夏希の抗議の台詞を聞いて楽しそうに笑う女生徒。若葉はその言葉を聞いて顔を顰めてしまう。

 

「あ、あの若葉さん。さっきから気になってたんですけど、その人どなたですか?」

「……友実姉、まだ自己紹介してなかったの?」

 

 愛生人の質問に若葉は友実姉と呼ぶ人物に視線を向けるも、目を逸らされてしまう。その行動に思わず溜め息を吐いてしまう若葉。そんな若葉の態度が癇に障ったのか、若葉に詰め寄る女生徒。

 

「そもそもの話、若葉が入って来なければ恙なく自己紹介を済ませられたんだからね! だからこれは私が悪いんじゃなくて、あのタイミングで入って来た若葉が悪いの!」

「わ、分かった。分かったから落ち着いてって」

 

 それから女生徒を何とか宥め、再度自己紹介に移る。

 

「え~と、さっき私の自己紹介を中断した若葉の姉、東野友実って言います。よろしくね」

「東野、友実……?」

「やっぱりどこかで聞いた事……あ」

 

 愛生人が何かに気付いたのか、言葉を途中で止める。その声に友実はビクリと体を震わせた。

 

「もしかして、音ノ木坂三大美女の東野友実先輩ですか?」

「ちょっと待てよアッキー。確かその人って話し方がうーみんに似て大和撫子だって聞いたぞ?」

 

 愛生人の言葉に夏希がすぐ様反対の意を唱える。確かに夏希の言う通り音ノ木坂三大美女、通称三女の内一人は黒い髪を伸ばし、赤いリボンをしており、その口調も相まって周りからは大和撫子と認識されている。

 

「でも同じ学園に同姓同名、しかも学年まで一緒って相当な確率ですよ?」

「あの、愛生人君の言ってる通り、私三女の一人。東野友実よ」

「だって口調が」

「ならこれでよろしいですか?」

 

 友実が認めてもなお夏希が反論しようとした途端、友実の口調が、姿勢が、雰囲気が変わった。その急な変化に夏希と愛生人は驚きで言葉が出せずにいた。友実の表情は一貫して笑顔。

 

「友実姉、容赦なさすぎ」

「あら、高坂君は不思議な事を言うんですね。私はただ、私である事の証明をしただけですよ?」

「あ、あの、東野先輩。俺が悪かったんで辞めて貰っていいですか?」

「仕方ないね。まぁ分かってくれた様で何よりだよ」

 

 夏希が謝ると友実はまるでさっきまでの事が嘘のようにケロッとしていた。

 

「あの、つかぬ事質問しますが、なぜそんな演技をしてるんですか?」

「愛生人君。女性には聞いて良い事と悪い事があるんだよ」

「あ、すいませんでした」

「別に今の質問は悪い事じゃないけどね」

「僕の謝罪を返して下さい!」

 

 友実の言葉に愛生人は思わずいつものノリで言ってしまう。言ってしまってから自分の失態に気付き顔を青くする。それほどまでに先程の友実の笑顔での威圧は愛生人に恐怖を与えていたのだ。

 

「あ、あの」

「あー別に謝らなくても良いよ。普段通りの態度の方が私も楽だし」

 

 友実が優しく微笑んで言うと、愛生人も安心したのか、椅子に座りこむ。

 

「ってそうだ生徒会の仕事しないと。そういえば友実姉はなんでここに?」

「私は絵里に若葉が生徒会の仕事してるから手伝ってって言われたの」

 

 ここに来てようやく若葉達は友実が生徒会室を訪れた理由が分かり、それなら、と仕事を友実にも回して作業を再開させた。

 

「あの、東野先輩」

「友実で良いよ夏希君。絵里から話はそれとなく聞いてる。私と同学年なんでしょ? だったら敬称はいらないよ」

「そ、そっか? ならこれからはタメ口で話させてもらうな。で、聞きたい事があるんだが、三女の残り二人って誰なんだ?」

 

 夏希の質問に友実は一瞬きょとんとし、おかしそうに笑う。夏希は変な質問をしたか不安になり若葉と愛生人を見るも、特に変な箇所は見られなかった為、二人は首を振った。

 

「あーいや。ゴメンね。で、残りの二人だっけ? それは君達のすぐ近くにいるよ」

「……海未さんですか?」

 

 愛生人が友実に聞き返すも、友実はそれを否定し、正解を告げる。

 

「残りの二人は絵里と希だよ」

「えりちとのぞみんだと!?」

「て言うかなんで二人とも知らないのさ」

「寧ろなんで若葉さんは知ってるんですか!?」

「そうだそうだ。なんで若は知ってんだよ」

 

 愛生人と夏希は若葉が知ってる事に疑問を抱き質問する。その質問に若葉は当たり前の事を答えるが如く答えを口にする。

 

「だって友実姉の家とウチってお隣さんだもん。俗に言う幼馴染み?」

「まぁ私からしてみれば義弟扱いだけどね」

「まぁ穂乃果も雪穂も姉みたいに慕っているし、俺もそれなりにお世話になってるしね~」

 

 あははは~と笑う若葉を見て夏希と愛生人は心の中で、それなんか違くね!? と声を揃えてツッコんでいた。

 

 

 

 それから談笑しながらも四人で協力して溜まっていた生徒会の仕事を終わらせた。

 

「友実姉今日はありがとうね」

「お礼なら絵里に言ってね。私は絵里に頼まれただけだから」

「その台詞ツンデレみたいだな」

「ですね」

 

 その後夏希と愛生人が友実に怒られたのは言うまでもない。

 

「まったく二人も成長しないよね。友実姉は怒らせたらダメだって、最初に分かってたでしょうに」

「まったくだよ。じゃあ私は帰って本読むから。じゃあね~」

 

 友実は手を振ってその場から離れた後、少しして肩を落とした。

 

「どうしたんですかね?」

「なんかショック受けてるっつーより落ち込んでるな」

「大方この後のんびりと読書するつもりが、急な予定が入って読めなくなったって所じゃない?」

「いや、だから。なんで分かるんだよ」

「勘……?」

 

 若葉が首を傾げながら答えると、夏希が無言で鞄で若葉の顔目掛けて振りかざす。

 

「それは俺の専売特許だぁ!」

「別に夏希のじゃないでしょ!」

「ちょっと二人とも場所考えて暴れてください!」

 

 三人の疲れを乗せた声が放課後の校舎に響き渡った。




【音ノ木ラジオ】
友「ハーイ! 【妹ラジオ】の癒し担当、ご存知東野友実の実妹の方、東野友香です!」
若「ハーイ! 【音ノ木チャンネル】では常に常識人。いつも2人に振り回されてる方、高坂若葉です!」
夏雪「「ちょっと待ったぁ!」」
愛「そうですよ! お二人に振り回されてるのは僕ですよ!」
夏「それも違ぇ!」
雪「お兄ちゃんもだよ! この前の宣伝するべき回の聞いたよ? 全然今回のコラボについて触れてなかったじゃん!」
亜「私達もしてなかったけどね……」
夏「ったく。取り敢えず話したい事あるから一つずつ上げてくぞ?」
友「どうぞどうぞ。ではまず一つ目!」
夏「……えーと、じゃあ一つ目。あのタイトルはなんぞ?」
愛「あ、そこからなんですね」
若「大分友香にペースを乱されてるね」
友「それが私のアイデンティティですから」
雪「それ、威張れる事じゃないからね?」
亜「タイトルについてですよね。【音ノ木チャンネル】と【妹ラジオ】を足して割ったらこうなったそうです」
愛「なるほど」
友「そんな意味だったんだね」
夏「なんで二人とも知らないんだよ……」
雪「こういう子なんです。ごめんなさい」
若「別に雪穂が謝る事はないよ」
友「若葉さんが言える立場じゃないと思いますけどね〜」
愛「話を戻して二つ目に行きましょう」
夏「話がズレたのって誰のせいだ?」
亜「さ、二つ目に行きましょう!」
友「二つ目はこの人数の多さですね!」
雪「なんで二人は焦ったように話を続けるのさ」
若「雪穂、そこに触れちゃいけないよ」
愛「人数の多い理由はですよね! それは二作品のあとがきのメンバーを合わせた結果ですよ!」
夏「なんかもう、ゴチャゴチャだな」
亜「六人もいますからね。賑やかなのは良い事ですよ!」
若「前は十五人であとがきの茶番した事あるけどね」
愛「最後の方はしっちゃかめっちゃかでしたけどね」
雪「あーあの時か」
友「その話に私は入れないー!」
夏「……さて、話を戻すぞー」
『はーい』
夏「三つ目はゆかりん、若、お前らの自己紹介だ。なんだよあれ!」
若「何って自己紹介だけど?」
友「正確には「アニライブ!」の方でどのタイミングで投稿したのかを分かりやすくする為に行った事です。……ゆかりん?」
愛「あれ?「巻き込まれた図書委員」の方でも本編と番外編分けてなかったっけ?」
亜「最近作者が並び替えたらしいですよ」
夏「こっちはまだ別だが、変える気はあるのか?」
雪「どうでしょう? ただこちらの方を変えてる時、大変だと言ってたので話数の多い「アニライブ!」は望み薄だと思いますよ」
若「えと、疑問点はこのくらい?」
夏「俺からは、な」
愛「て事は他の人からあるんですか? 僕はないですけど」
友「私も特にないかな? ……ゆかりん?」
亜「私もないです」
雪「同じく私も」
若「うわー。夏希恥ずかしい」
愛「顔真っ赤ですよ?」
夏「うっせー!」
友「これまた見事に真っ赤ですねー……ゆかりん?」
若「友香さすがにしつこいよ?」
友「はーい」
亜「ねぇ雪穂。ブースの外にいる友実さんが何か言ってるよ?」
雪「本当だ。ちょっと聞いてくるね」
愛「ちなみに今回は人が多いのでいつもと違う場所からお送りしています」
夏「十五人でやった時と同じ場所だな」
若「本来はここ、八人が限界らしいよ?」
友「という事は、あと二人入れるんですね」
亜「あ、雪穂おかえり」
雪「なんかね、本編に触れて! って言ってた」
『えー』
亜「なんでそんなに息が合ってるんですか! それに友香まで!」
友「だってあまり触れる所なくない?」
雪「いやいや、ない事はないでしょ。ね? お兄ちゃん」
若「なんかあったっけ?」
雪「お兄ちゃ〜ん!」
若「はいはい。そんな泣きそうな声を出さないの。じゃあそろそろ真面目にやろうか」
夏「遅ぇよ! 本来ならもう終わってる長さだよ!」
愛「はい、やる気になった若葉さんは放って置いてそろそろ締めま〜す」
友「あ! お姉ちゃんが突撃してくる!」
若「夏希、愛生人! 扉抑えるよ!」
夏「ああ!」
愛「これ終わった後が怖いんですけど……」
友「なんだかんだ言って愛生人さんも行くんですね」
亜「仲良しなんだね!」
雪「この後の事は知〜らないっと。じゃあこの辺で、ほらお兄ちゃん達も」
若「俺らはこのままで良いから」
夏「早く締めて!」
愛「では僭越ながら僕が。それじゃあ!」

『バイバーイ!』

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