アニライブ!   作:名前はまだ無い♪

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『私達部活系アイドル、μ'sです!』byμ's

 開会式の翌日、若葉達は部室で話し合いを行っていた。

 

「それにしても昨日のA-RISEは凄いインパクトあったな」

「私としてはそのあとの若葉の行方不明もインパクトあったけどね」

「その話はもう終わったんじゃないの!?」

 

 真姫の言葉に若葉は驚きで声を上げる。実は真姫、前日のカボー君の事を未だに言ってこない若葉に少し怒ってたりしている。

 そんな中、絵里が手を叩いて仕切り直す。

 

「それで、実際のところどうするの?」

「インパクトにはインパクトをぶつけて対抗します?」

「でもインパクトって新しさって事でしょ?」

 

ことりの言葉に皆一斉に考え込む。それから少し、穂乃果が何か閃いたのか、目を輝かせて若葉を見る。若葉は嫌な予感を感じつつも、穂乃果に聞く。

 

「穂乃果。内容聞くだけ聞いてあげるから、言ってみ」

「お兄ちゃんってさ、音ノ木坂にも知り合いたくさんいるんでしょ?」

「そんなどうせ分かってるけど、みたいな言い方しなくても……まぁいるけどさ」

 

 若葉の溜め息混じりの答えに夏希がツッコミを入れようとするも、絵里に無言で止められる。絵里は今までのやり取りから、ここでツッコミを入れると長くなる事が目に見えていたからだ。

 

「それでお兄ちゃんにい願いがあるんだけど」

「……うん……うん。一応頼んでみるよ」

 

 穂乃果に耳打ちされ、少し躊躇いながらも頷いて携帯を取り出すとどこかに電話を掛ける。

 

「あ、もしもし? うん。ちょっと頼みたい事があって……ゴメンね、急に」

「あの穂乃果さん。若葉さんはどこに電話してるんですか?」

「えっとね、演劇部さんの所」

『演劇部?』

 

  穂乃果が笑顔で答えるのと同時に若葉が電話を切る。

 

「どうだった?」

「まぁ、一応借りれるように話は付けれたけど」

 

 若葉はそう言って立ち上がり部室を出て行くと穂乃果も楽しそうに笑いながら若葉の後を着いて出て行く。

 

「なんかほのっち嬉しそうだったな」

「何か妙案でも浮かんだのでしょうか?」

「いえ、もしそうなら若葉ももっと喜んでお願いを引き受けます」

「若葉君、どう見ても乗り気じゃなかったよね」

「つまりはそういう事じゃないかな。アハハ」

 

 ことりの苦笑いにつられて、皆が苦笑いを浮かべる。それから数分後、部室の扉がノックされ、向こうから若葉の声がした。

 

『誰か開けて~』

「今開けるわ」

 

 若葉の言葉に真姫が立ち上がり扉を開ける。扉が開くと段ボールを持った若葉と穂乃果が部室に入って来る。

 

「お、お待たせ~」

「……って、何よこの荷物は!」

 

 段ボールを机の上に置くと、茫然としていたにこが若葉と穂乃果に尋ねる。

 

「え~っと、演劇部からの借り物?」

「そんなのは分かってるわよ! 聞きたいのはこれが何かって事!」

「まぁまぁにこちゃん。取り敢えず着替えよっ」

「じゃあ俺らは先にグラウンドに行ってるから、着替え終わったら来てね」

 

 穂乃果は若葉に手を挙げて返事をすると段ボールの中を漁り始めた。

 

そして若葉達三人がグラウンドに出て暫く、着替えた穂乃果達が出て来る。その衣装は今までの衣装と違い皆バラバラなものだった。

 

「……これは?」

 

 愛生人の疑問の声から少し、穂乃果達が口を開く。それは愛生人の疑問に答えるものであり、穂乃果が先程若葉に提案した事だった。

 

「あなたの思いをリターンエース。高坂穂乃果です」

「誘惑リボンで狂わせるわ。西木野真姫」

「剥かないで。私はまだまだ青い果実。小泉花陽です」

「スピリチュアル東洋の魔女。東條希」

「恋愛未満の化学式。園田海未です」

「私のシュートでハートのマーク付けちゃうぞ♪ 南ことり」

「キュートスプラーッシュ! 星空凛」

「必殺のピンクポンポン! 絢瀬絵里よ」

「そして私、不動のセンター。矢澤にこにこ」

『私達部活系アイドル、μ'sです!』

 

 九人の決めポーズまで見た所で夏希がおもむろに口を開く。

 

「……で、それはなんだ?」

「えー! 夏希君見て分からないの!? 部活系アイドルだよ! 部活系!」

 

 夏希が額に手を当てながら聞くと、穂乃果が夏希に駆け寄り頬を膨らませて言う。そんな穂乃果の言葉に夏希は先の九人の台詞を思い出すと、ポン、と穂乃果の肩に笑顔で手を置く。

 

「それで? これは一体なんなんだ?」

「だ、だから……斬新でしょ?」

「確かに斬新だが……ちなみに各自の部活のコンセプトはなんなんだ?」

 

 夏希と穂乃果は後ろで思い思いの行動を取ってる十人を見て話を続ける。

 

「私はテニス部でしょ。真姫ちゃんは体操部、希ちゃんはバレーボール部で海未ちゃんは科学部、ことりちゃんがラクロス部、凛ちゃんは水泳部で絵里ちゃんはチアリーディング部、にこちゃんは剣道部だよ!」

「……かよちんのは?」

「……たぶん演劇部?」

 

 果物の衣装を着てる花陽を見て夏希が、それで良いのか、演劇部。と項垂れている中、真姫が意を唱える。その頬は少し赤く、隣の若葉を見ると少し口角が上がっていたので何かとからかわれたのだろう。

 

「て言うか、これでステージに上がるなんてどう考えても無理よ!」

「確かに。にこさんなんて顔が見えませんしね」

「まったくよ!」

 

 愛生人の言葉ににこは面を持ったまま怒り、それに、と続ける。

 

「これじゃあまるで子供のお遊戯会じゃない!」

「さすがにこ。年の離れた弟妹を持ってるからこその例えだね!」

「あんたは黙ってなさい」

 

 にこの例えに茶々を入れた若葉は睨まれ黙る。それから部室に戻り制服に着替えると再び話し合いを再開させる。

 

「一体あれのどこが新しさに繋がるんですかね」

「穂乃果から聞いた時点で否定しなかった俺も俺だったよね……」

「まったくよ! A-RISEはこうしている間にも進化を遂げているのよ!」

 

 若葉が過去の自分の行いに頭を抱えると、にこが机を叩いて言う。それに対し希や凛は楽しかったと返す。

 

「う~ん。何か良い案ないですかね」

「やっぱり見た目じゃないかな?」

「衣装を奇抜なものにするの?」

 

 ことりの提案に花陽が首を傾げて聞くと、海未もそれが手っ取り早いと同意するも続けて先程やったと首を横に振る。

 

「……だったらさ、ここは一端初心に戻るってのはどうよ」

 

静かになった部室に夏希の声が響く。その言葉の意味を知るために全員が夏希を見る。

 

「ほら、よく言うだろ? 初心忘れるべからずって」

「確かに探索ゲーとかで行き詰った時とかでも、初めて入った時と同じ気持ちで探せって言いますもんね」

「ごめん。アッキ―の例えがよく分からない。なんで若は頷いてんだよ」

「だって分かるんだもん」

 

 若葉の返しに思わず頭を押さえそうになるも、話の途中だったこと思いだし、続ける。

 

「あー。何が言いたいかと言うと、人間関係のリセットだ」

「つまり何が言いたいのよ」

「関係のリセット、つまりは俺らが出会ってからこれまでの間に出来た友情、恋愛、その他諸々を無かった事にしてみないかって事だ」

「虚構……」

 

 夏希の説明に愛生人がボソッと言ったが周りには聞こえなかったのか、誰も反応しなかった。

 

「それは面白そうね。やってみましょ」

「そうやね。何事もやってみないと分からんし」

 

 絵里と希の後押しもあり、人間関係のリセットを行うことになった。しかし始める前に若葉から制限時間を決めようと提案があり、五分ほどで終わる事になった。

 

「さてと、じゃあ始めるぞ。よーい始め!」

 

 どこか楽しそうに開始を宣言する夏希。そして訪れる沈黙。

 

「あー……それで? A-RISEに勝つにはどうしたら良いと思う?」

 

 皆が皆黙ってしまったので夏希が話題を上げる。そんな夏希の言葉に若葉が溜め息を吐いて返す。

 

「あのさ、こうして結論の出ない話し合い止めて、もう帰っていいかな」

「へぇ、先輩なのに碌なアイデアも出さずに帰るんですか。それって上の立場の人間としてどうなんですかね」

「片丘の方こそ相手が先輩だって分かってるならそれ相応の態度があるんじゃないかな?」

 

 愛生人の挑発気味の反論に笑顔で返す若葉。その笑顔を受けた愛生人も笑顔。

 

「それで? あなた達は何か無いの?」

「い、いきなり話を振られても困……ります。それに絵……絢瀬先輩も何か考えないんですか?」

「そ、そうです。先程片丘君も言っていた通り、何か案はあるのですか?」

「まさか何も考えついてないのに私達を責めてるんですか?」

 

 出会った頃のように尖った絵里に対して一瞬怯むも、穂乃果は何とか返す。その穂乃果に同調する形で海未とことりも畳み掛ける。その反対側ではにこと真姫が何やら言い合いを繰り広げていた。

 

「まったくギャーギャーと煩いわね。ちょっとは静かに出来ないの?」

「静かにするって事が出来ない人達なんでしょ。あなた含めて」

「はぁ!? にこを含めてってどういう事よ!」

「そのままの意味よ」

「結局は二人とも煩いってことやね」

 

 普段に近いやり取りをする二人に希が呆れたように入る。そのことによって二人は顔を背け、言い合いを終わらせる。

 

「まったく、ここには話が出来るやつはいないのかよ」

「佐渡は何かないの?」

「あぁ? なんで俺が会話も出来ない奴らの為に頭を動かさなきゃいけないんだよ」

「そう言って何も思いついてないだけなんでしょ」

「ハッ、何を言い出すかと思ったら。笑えない冗談はやめた方がいいぜ?」

 

 若葉と真姫の二人を相手して笑う夏希。その表情にはどこか余裕が見て取れる。

 

「そんな冗談言ってる暇あんなら、お前らで話し合ってろよ」

「……そ。何が何でも言うつもりはないのね。なら良いわ、さ、行きましょ。高坂兄」

「いやいや。誰に言ってるのさ。俺先輩だよ? 分かってる?」

 

 夏希が答える気がない事が分かるや否や、真姫が若葉を連れて離れようと腕を掴むも、若葉に放されてしまう。

 

「り、凛達どうしよ……」

「う、うん……」

 

 そんなギスギスし始めた部室の空気の中、幼い頃からずっと一緒だった花陽と凛はどうするか二人で困っていた。

その時、机の上に置いた若葉の携帯からアラーム音が鳴り響く。それはこのリセットの終了を告げる音だった。その音が流れた瞬間、穂乃果、愛生人の二人はその場で机に伏してしまい、真姫は若葉に抱きつき、若葉は真姫の頭を撫でていた。

 

「四人とも大丈夫か……?」

「大丈夫には見えないけれどね」

「えりち、もう終わっとるよ?」

 

 夏希が恐る恐る四人の様子を見ると、精神的ダメージが入ってるのが分かった。

 

「あー……やり過ぎた?」

『当たり前だぁ!』

 

 夏希が苦笑いで言うと四人から怒鳴られ、詰め寄られた。夏希は四人から感じる恐怖に弁明をする。

 

「い、いやでもだな。さすがの俺もあそこまでギスギスするなんて思わなかったわけで! それにほのっちは今年の初めの方はあんなやり取りしてただろ!? アッキーはアイト時代に経験してたろ!? あと若とマッキーが接触してあんなになるなんて誰が予想出来るよ!?」

「あそこまでじゃなかったよ! 今の方が緊張したし!」

「それに僕だってアイトの時はあんなの経験した事なかったですよ!」

「あそこは寧ろ空気読んで夏希がやられれば丸く収まったんじゃないのかな? かな?」

「結論言うと、夏希が悪いわね」

「はいはい。四人とも落ち着いて。始める前に約束したでしょ。終わったらやってる最中の事で誰かを責めるのは辞めようって」

 

 四人に囲まれピンチだった夏希を助けたのは絵里だった。絵里の言葉に四人は頷き、それぞれの席へと戻る。それからまた話し合いを始めようとした所で花陽があのー。と手を挙げる。

 

「花陽ちゃんどうしたの?」

「あ、いえ。皆疲れてるみたいなので一回休憩を挟みたいなぁ〜って」

「そうだね。少し疲れたし、休憩にしよっか」

 

 花陽の提案に全員が頷き、一度休憩を挟む事になった。




【音ノ木チャンネル】
若「はーい! 「アニライブ!」の入院回数が2回。本編内で一番ひどい扱いを受けている方、高坂若葉です」
愛「はーい! 「アニライブ!」の最近苗字を忘れられている方、片丘愛生人です」
夏「はーい。「アニライブ!」の1人だけ個人回もなく、挿絵もない方、佐渡夏希です……ってなんだよ! この唐突な自己紹介は!」
愛「夏希さん、自己紹介は大事ですよ」
夏「そう言う事じゃねえよ! なんで話す内容があるのに大事な尺を無駄な事に使ってんだ、って言いたいんだよ!」
若「まぁまぁ。とりあえず落ち着いて」
愛「でも作者って冒頭に使われた元ネタ、知ってるんですか?」
若「ネタは知ってる。けど内容は知らないって感じだね」
愛「成る程。つまりはかめはめ波は知ってるけど龍玉は見た事がない、みたいな感じですね」
夏「いやいや。ちゃんと内容も知っとけよ。つか喩が合ってるのか具体的過ぎるって」
愛「詳しく知りたかったら近くにいるアニメ好きの人に聞いてね!」
若「あ、そこは「作者にメッセージ送って聞いてね」じゃないんだ」
夏「んな事はどうでも良いんだよ。さっさと話す内容言うぞ」
若「はいよ~。じゃあ愛生人、頼んだよ」
愛「任せて下さい! 皆さんの中には知ってる人もいると思いますが」
夏「うん?」
愛「ダンガンロンパの新作が出ますね」
夏「その話はもういいだろ!」
若「しかもゲームとアニメ、両方」
夏「若も乗るな!」
愛「若葉さん買うんですか?」
若「う~ん周りの反応を見てって感じかな」
夏「なぁ知ってるか? この話、【音ノ木チャンネル】が始まる前から話してるんだぜ?」
若「と、いう訳でお知らせの詳しい事は作者の活動報告を見てね!」
愛「そこではちゃんと重要なお知らせの事を話してますから」
夏「なぁ、今回って向こうと同時投稿なんだろ? 絶対向こうの方がマシな宣伝してるって」
若「ん~どうだろう」
夏「いやいや。向こうってユッキーと亜里沙ちゃんがいるんだろ? こっちよりマシだって」
愛「でも友香ちゃんがいるんですよ?」
夏「……あっ」
若「はい、夏希が察した所で今回はここまで!」

『バイバーイ』


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