アニライブ!   作:名前はまだ無い♪

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今回は少ないながらも夏希とツバサのやりとりがありまーす。


……え?byツバサ

アイドル研究部の2泊3日の合宿から帰った翌週。部員は地区予選目指していつもの屋上で練習をしていた。

 

「へぇ~これがラブライブ専用のサイト…」

 

2組に別れて振り付けの練習をしており、今休憩時間に当たっている穂乃果、絵里、花陽の3人はラブライブのサイトを見ていた。そんな中、穂乃果がサイトのとある項目を見つけた。

 

「それは予選が行われる各地のステージですよ」

「今回の予選は参加チームが多いから会場以外の場所で歌う事も認められてるの」

 

穂乃果の疑問に一緒に休憩していた愛生人と、隣に座っていた花陽が答える。2人の答えに穂乃果は驚き聞き返す。

 

「それはルールブックにも載っている事よ。なんで穂乃果は知らないの?」

「いや~文字を読むのが苦手で」

 

絵里が穂乃果に聞くと穂乃果は苦笑いで答える。その答えに絵里は少し不満そうに眉を顰める。

 

「若葉さんからも聞いてないんですか?」

「うん。お兄ちゃんも特に何も言って来なかったよ」

 

愛生人の質問には穂乃果は頷く。穂乃果の答えを聞いた愛生人と絵里は手を叩いてリズムを取っている若葉にジト目を向ける。その後ろでは花陽が穂乃果に更に細かく説明していた。

 

「もし自分達で場所を決めた場合、ネット配信でライブを生中継、そこから全国の人にライブを見て貰うんです」

「全国…凄いや!」

 

花陽の説明を受けて、目を輝かせる穂乃果。すると絵里が屋上を見渡してふと呟く。

 

「そういえば、今日夏希はいないのね」

「あ、なんか用事があるとかで帰ったみたいですよ」

 

絵里の呟きを聞き取った愛生人がLIMEのグループトークを見せる。そこには確かに用事があって先に帰る旨が書き込まれていた。

 

☆☆☆

 

「で、急にどうしたんだ?平日のこんな時間から会いたいなんてお前にしては珍しいじゃん」

「そんな事はないわよ?私だって会いたくなる時だってあるんだから」

 

UTX学院前、夏希はツバサと会っていた。もちろんツバサは帽子を被ってバレにくくしている。

 

「そっか。でも今地区予選中だろ。練習良いのか?」

「今日は練習休みなのよ。そういうμ'sはどうなのよ」

「それは秘密だ。つか今日はそんな話をする為に呼んだ訳じゃないだろ?」

 

夏希が半身になり横目でツバサを見ると、ツバサは笑って夏希の腕に飛び付く。夏希はいきなり飛び付かれたのにも関わらず、大してバランスを崩す事無くそのままUTX学院から離れる様に歩き出す。

 

「あ、そうだ。なっ君に少し相談があるんだけど」

「スクールアイドル関連以外の事だったら聞いてやるよ」

「むー、イジワル」

 

ツバサは頬を膨らませていじける様に顔を俯かせる。そんなツバサに夏希はそっと息を漏らすと、帽子の上から頭をくしゃくしゃと掻くように撫でる。ツバサは少し照れたように夏希から離れ、少し先へと進む。

 

「まぁ今は聞かないってだけでまた今度聞いてやるって。ツーちゃんもせっかくのデートなのにあんまそういう話ばっかだとツマラナイだろ?」

「それもそうね。じゃあ早速洋服でも見に行きましょ!」

「へいへい。どうぞ姫のお好きな所へ」

 

夏希はそういうと離れた距離を縮めるべく少し早足でツバサを追いかけた。

 

☆☆☆

 

一方、μ'sはというと部室で改めて大会の詳細の話し合いが行われていた。

 

「各グループの持ち時間は5分。エントリーしたチームは出演時間が来たら自分達のパフォーマンスを披露する」

 

若葉がホワイトボードに書き込みながら説明する。

 

「そしてこの画面から全国に配信後、それをみた視聴者さん達による投票で順位が決定。上位4グループが最終予選に進出って感じだよ」

 

説明は終わりとばかりにマーカーのキャップを閉じる。

 

「4グループ、狭き門ね」

「特にこの東京地区は1番の激戦区」

「それになんと言っても…」

 

真姫、希、花陽は立ち上がっているパソコンの画面を見る。そこにはA-RISEの優木あんじゅ、統堂英玲奈そして綺羅ツバサの3人が映っていた。

 

「既に彼女達の人気は全国区。4組の内1つは決まったも同然」

「えー!て事は凛達は後3つの枠に入らないといけないの!?」

 

にこが腕を組んで悩む様に言うと凛がその隣の席で叫ぶ様に抗議の声を上げるも、それとは対照的に穂乃果は楽しそうに部室にいる全員に告げる。

 

「でも後3グループ進めるんだよ。今回の予選は会場以外の場所で歌う事も認められてるんだよね?」

 

最後の方は若葉に向かって言う。若葉は穂乃果の質問に黙って頷く。

 

「だったらこの学校をステージにしない?」

「確かにここなら緊張しなくて済む分、μ'sらしいライブが出来ますね」

「うん。それ良いかも」

 

穂乃果の提案に愛生人とことりが賛同するも、机を挟んだ反対側から別の声が上がる。

 

「甘いわよ」

「にこちゃんの言う通り。中継の配信は1回勝負。やり直しはきかないの。失敗すればそのまま全世界の目に晒されるんだよ」

 

それはにこと花陽だった。そして2人の提案からカメラ慣れする為にとカメラを持って中庭に出る。

 

「画面の中で目立たないといけないから目新しさも必要になるのよ」

「目新しさ…?」

「奇抜な歌とか?」

「衣装とか?」

「例えばセクシーな衣装、とか?」

 

穂乃果がにこの言葉に首を傾げるとそれに続く様に凛とことりも首を傾げる。希は面白いものを見たそうにメンバーを見回して言う。

 

「む、無理です…」

「海未ちゃ~ん」

「こうなるのも久し振りだね」

「なんか久し振りに見るね。この光景」

 

木の下のベンチに座り込む海未を見てなにか懐かしいものを見るような目で見る若葉、ことり、穂乃果。そんな4人を余所に希は真姫と絵里の背後に近付くとそっと囁く。

 

「えりちと真姫ちゃんのセクシードレス姿も見てみたいな~」

「えー…」

「や、やらないわよ!」

「何をやらないの?」

 

真姫の否定の言葉を聞いた若葉が聞くも、真姫はなんでもない、と答えて背を向ける。

 

「放して下さい!私は嫌です!」

「誰もやるとは言ってないよー」

 

穂乃果は逃げ出そうとしている海未を抑えていた。その反対側ではにこが凛の両頬をつねっていた。

 

「ていうかこんなカオスな事やってないでやる事やりましょうよ」

「そうね」

『やれる事?』

 

愛生人と真姫の言葉にその場の全員が首を傾げ、黙って愛生人について行く。着いた先は放送室。

 

「と、言う訳でやって来ました放送部」

「前に会った事があると思うけど、こちら賀田山さんよ」

 

真姫がある女子生徒、賀田山を紹介する。

 

「あれ?賀田山さんって確か家庭科部に所属してなかったっけ?」

「はい。掛け持ちをしているんですよ」

「それで小夜香。お願いがあるんだけど」

 

若葉と賀田山が話していると真姫が割り込み用件を伝えると、賀田山は笑顔で頷き用件を了承する。

 

「こうやって実際マイクに向かって校内の皆にアピールすれば応援して貰えるし、中継される時の練習になるでしょ」

「真姫ちゃんナイスアイディア!」

 

真姫の案に穂乃果が身を乗り出して喜ぶ。

 

「学校なら失敗しても迷惑は掛からないし、外に漏れる心配もない」

「まぁだからって失敗して良いって訳じゃないけどね」

 

絵里の言葉に若葉は笑いながら釘を指す。そんな中あ~、と少し呆けた様な声が3つ放送室に流れる。

 

「凛に花陽、愛生人。変な声出して」

「真姫ちゃんが同じクラスの子と仲良くなるなんて」

「びっくり~」

「しかも下の名前…」

 

3人が顔を見合わせると真姫は頬を赤らめて顔を逸らす。

 

「べ、別にただ日直で一緒になって少し話しただけよ!」

「あと偶に真姫ちゃんが料」

「さーやーかー!」

 

賀田山の言葉に真姫は慌てて口を塞ぐ。若葉はりょう?と首を傾げ、希は続きが分かったのかニヤりとしながら真姫を見ている。周りの穂乃果達も真姫を笑って眺めている。

 

「ほ、ほら。早くやるわよ!」

「じゃあ取り敢えず穂乃果。リーダーとして一言挨拶してみて」

「はーい!」

 

真姫と若葉に促され穂乃果がマイクの前に立ち、賀田山から簡単に使い方の説明を受け、息を吸う。そして

 

「あー。皆さんこんにちは!うがっ!…いったーい!」

 

挨拶と同時にお辞儀をしマイクに額をぶつける。そんな穂乃果に邪魔にならない様に放送室の入り口まで下がっていたにこが注意する。

 

「ええっと…皆さんこんにちは。私生徒会長の、じゃなかった。μ'sのリーダーをやっています高坂穂乃果です。ってそれはもう皆知ってますよね。実は私達またライブをやるんです。今度こそラブライブに出場して優勝を目指します。皆の力が私達には必要なんです。ライブ、皆さんぜひ見て下さい。一生懸命頑張りますので!応援よろしくお願いします!高坂穂乃果えした。そして他のメンバーを紹介…あれ?」

 

穂乃果が後ろで控えていた海未と花陽を見ると、2人ともガチガチに緊張していた。若葉はそんな2人に息を吐くと海未の背中を押す。

 

「じゃあ海未からいってみようか」

「は、はい!」

 

若葉に押され緊張した様子でマイクの前に立つと、海未は声を絞り出す様に話し始める。

 

「園田海未役をやっています。みも、園田海未と申します。応援、お願いします」

 

海未はそれだけ言うとマイクの前から退き、素早い動きで若葉の背後に隠れる。若葉と穂乃果は苦笑いで顔を見合わせる。

 

「じ、じゃあ次花陽ちゃんやってみようか」

「は、はい…」

 

穂乃果に促され花陽がマイクの前に立つ。その背中は実際よりも小さく見えた。

 

「なんでこの3人にしたの?」

「リーダーと1番緊張しそうで練習が必要な2人。あと補助として真姫と若葉よ」

 

にこの疑問に絵里が少し困った様に返す。

 

「でもこれ、練習になってるんですかね」

 

小さい声でマイクに自己紹介をしている花陽を見て愛生人が顔を引き攣らせる。真姫も同じ事を感じたのか賀田山にマイクのボリュームを上げてもらう。

 

「おーい。声、もっと出して。こーえー」

 

愛生人の言葉を受けて凛が花陽に声を出す様に小声で注意を促す。それに親指を立てて答える穂乃果。そして花陽の横からマイクの前に立つと両手をつき、息を吸い込む。

 

「ちょ、穂乃果!?」

「イェーイ!そんな訳で皆さんμ'sをよろしく…あれ?」

 

穂乃果が話すのを止め周りを見るとその場にいた全員が両手で耳を塞いでいた。両耳を塞いでいたのはなにも若葉達だけでなく、校舎内にいた全生徒と教師も同様のリアクションをとっていた。

 

「もう!何やってるのよ!」

「あはは。μ'sらしくていいんじゃない」

「それは褒められてるのかな…」

 

真姫が穂乃果に文句を言うと隣で座っていた賀田山が笑って言う。その言葉に若葉は頬書きながら苦笑いで呟く。それから賀田山にお礼を言って屋上に戻る。

 

「取り敢えず人前に出る練習はこれで終わりにするとして、後は場所だね」

「カメラで中継出来る所であれば、場所は自由だから」

「でも屋上は学園祭の時に使っちゃったし」

 

絵里の台詞に穂乃果がそっかぁ、と声を漏らす。

 

「講堂も、正門前も、グラウンドももう使っちゃったもんね。同じ場所だと目新しさがなくなっちゃうもんね」

 

ライブの場所を話し合うとことりが候補を消していく。

 

「でもだからと言って街中でも一度使ってますもんね」

 

愛生人の言葉に全員がうーん、と良い場所がないか考えるも、妙案が出てこなかった為その日は練習を終わらせて帰路につきながら場所探しをする。

 

「んーアキバはA-RISEのお膝元やからな~」

「下手に使うと喧嘩売ってる様に思われるわよ」

「そうだよね~」

「A-RISEと言えばUTXってこの近くだよね。ちょっと様子見に行く?」

 

若葉がUTX学院を指して振り返ると、若葉が振り返きる前にその脇をにこと花陽が駆け抜ける。

 

「何してるの!早く行くわよ!」

「そうですよ!時は金成、タイムイズマネーだよ!」

 

そしてさっさと先を行く2人を慌てた様に追いかける9人。そしてUTX学院の前に着くと電光掲示板でA-RISEの宣伝広告が流れていた。

 

「おーっす若」

「あー夏希じゃん……夏希!?」

 

画面を眺めていた若葉に声を掛けたのはその日練習を休んだ夏希だった。そしてもう1人若葉に話しかける。

 

「高坂さん」

「えーっとツバサさん。言い難いんですけど」

「シー。来て」

 

ツバサは突然若葉の腕を掴むとUTX学院の中に走って連れて行き、若葉もそれにつられて走る。ツバサに連れて行かれている様子を花陽とにこが目撃し、慌てて2人を追いかける。

 

「あれ?夏希君?」

「どうしてあんたがここにいるのよ」

 

ツバサと若葉を追いかけていると、同じ様に追っていた夏希と遭遇する。夏希はにこの質問に答えずに手を上げ軽く挨拶を済ませる。

 

「なんかツバサがほのっちと間違えて若を連れてったみたいなんだ」

「それどういう状況よ!」

 

夏希が走りながら状況を簡単に説明すると、にこが声を大きくして文句を言う。一方ツバサに連れて行かれた若葉は、学院内に入るとようやく掴まれた腕を離して貰い息を整える。そして若葉が顔を上げるとツバサと目が合う。

 

「初めまして」

「いや、お久しぶりですね」

「……え?」

 

若葉の言葉に不思議そうな顔をするツバサ。若葉はその反応を見て納得のいった表情で頷き、自己紹介をする。

 

「前にも自己紹介しましたけど改めて。どうも高坂穂乃果の”兄”の高坂若葉です」

「え……」

 

若葉の自己紹介に思わず固まるツバサ。そして2人を追って来た夏希が追いつき溜め息を吐いた。

 

 

 




【音ノ木チャンネル】
若「えーと、「A-RISEのツバサに拉致られたんだが、どうしよう」っと」
夏「何してんだよ」
若「え?某有名な掲示板にスレ立ててんだけど」
愛「凄い荒れそうなスレ名ですね」
夏「つかそんな事でスレ立てすんなよ」
若「あ、返事が来た。何々?「嘘乙」……」
愛「あ、無言でスレ消した」
若「さて、じゃあ始めようか」
夏「もうとっくに回ってるぞ」
愛「いつの間に!」
若「ま、良いじゃん。取り敢えず話そうよ」
夏「今回、うーみんが噛んだっつーか言い間違えたっつーか」
愛「中の人ネタて言うより、中の人の自己紹介をしかけましたよね」
若「あ、ついでに今回5.000字超えたらしいよ」
夏「最初の頃の「1話2.000字」はどこへ行ったんだろうな」
若「それを言うなら更新速度もね。未だに安定しないよね」
愛「良いじゃないですか。きっと読者の人達も嬉しいと思いますよ。更新速度の方は知りませんけど」
若「そんな無責任な」
夏「じゃあ無責任ついでに終わりにするか」
愛「脈絡もくそもない」
若「誤字脱字、感想、批判、アドバイス等をお待ちしております。あと活動報告でアンケートやってまーす。それじゃあ」
『バイバーイ』

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