アニライブ!   作:名前はまだ無い♪

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お風呂シーンで髪を解いている穂乃果は可愛かった。(しかし作者は真姫推し)


作詞に来たはずにゃ~!by凛

若葉が建物の外の芝生で落ち込んでいた海未、ことり、真姫の3人を連れて戻りソファに座らせると、落ち込んでいた理由を3人に尋ねる。

 

『スランプ!?』

「やっぱ今までよりも強いプレッシャーが掛かってるって事か」

 

3人の答えに夏希はソファに座りながらやっぱりか、と呟く。

 

「気にしない様にはしているのですが……」

「上手くいかなくて予選敗退しちゃったらどうしようって……」

 

海未とことりの2人が不安そうに目を伏せて言う。海未の隣に座っている真姫は真姫で

 

「ま、私はそんなの関係無く進んでたけどね」

 

と言うも、凛に真っ白な譜面を指摘され不貞腐れる様に頬を膨らませる。

 

「確かに3人にまかせっきりってのはよくないかも」

 

そんな3人の様子に花陽が心配そうに言う。

 

「そうね。責任も大きくなるから負担も掛かるだろうし」

「じゃあ皆で意見出し合って話しながら曲を作っていけば良いんじゃない?」

「そうね。せっかく全員揃っているんだし、それで良いんじゃない」

 

花陽の言葉に3年生3人が同意する様に頷く。

 

「でも12人で作業やっても意見がバラけて面倒な事になりますよ」

 

しかし若葉の隣に立っている愛生人が否定的な事を言う。現ににこが自身が作詞した歌詞に曲をつけさせてあげる、などと言い、話が纏まりそうになかった。どうしようか皆が悩んでいると、若葉がそうだ、と手を打つ。

 

「そうだ。じゃあアキバの時みたいに3グループに分かれて作業したら良いんじゃない?」

 

若葉の案に皆が賛成しもう一度、今度は全員で外の芝生に出る。

 

「ことりを中心に衣装を担当する班。海未を中心に作詞する班。そして真姫を中心に作曲をする班」

 

ことりの周りに穂乃果と花陽、夏希が、海未の周りには希と凛、愛生人が、真姫の周りには絵里とにこ、若葉がそれぞれ集まる。

 

「よーしじゃあユニット作戦で、曲作り頑張ろー!」

『おー!』

 

穂乃果の音頭で皆が元気に返事する。

 

~作曲班~

作曲班の4人は別荘から少し離れた場所にテントを張って作業していた。

 

「って、どうして別荘があるのに外でテントを張らなきゃいけないのよ!」

「少し離れないと残り2班の邪魔になりかねないでしょ」

「そうよ。それにそうしないと3班に分けた意味がないでしょ。それに都合良くテントもあったし」

 

にこが不満を言うと若葉と絵里が宥めるも、にこは本当にこれで作曲が出来るのか疑問をぶつける。

 

「私はどうせ、後でピアノの所に戻るから」

 

にこの疑問に真姫が譜面を書きながら答える。絵里はその答えを聞くと

 

「じゃあ私達は食事でも作りましょうか」

「そうだね。少しでも真姫が進めるように、ね」

 

絵里の提案に若葉も頷いて言うと、真姫は顔を赤くして譜面で顔を隠す。そんな真姫の反応に顔を見合わせて笑うと若葉はにこを連れて別荘のキッチンに向かった。

 

~衣装班~

衣装班は作曲班とは打って変わって河原にテントを張っていた。そのテントの中では穂乃果と夏希が並んで寝ていた。ことりが画用紙に衣装の案を書きながら偶に2人の名前を呼ぶも、2人は起きる気配がない。

 

「はぁ~……」

 

ことりは困った様に息を吐くとテントの外に出て息を大きく深呼吸する。

 

「すーはー。うん気持ちいい~」

「ことりちゃん。どう?進みそう?」

 

そんなことりに声を掛けたのは少し前にテントから出て行った花陽だった

 

「うん。一息ついたら少しイメージが湧いてきたよ…それは?」

「綺麗だな~って思って。同じ花なのにひとつひとつ色が違ったり、皆それぞれ個性があるの。今回の曲のヒントになると良いな」

「ありがとう花陽ちゃん」

 

花陽が摘んできた花を手に言うとことりが笑顔で返し、花陽も笑顔になる。

 

「それにしても穂乃果ちゃんと夏希君はよく寝てるね」

「そうだね」

 

花陽がテントの中を覗くと2人は先程の寝相から動く事無く眠っていた。ふとそんな2人を見ていたことりと花陽からも欠伸が漏れる。

 

「なんだか…」

「うん」

「眠くなっちゃうね~」

「…うん」

 

そしてことりと花陽はすでに寝ている2人の隣に横になり、少ししてから寝息をたて始めた。

 

~作詞班~

「にゃー!」

 

残った作詞班に凛はなぜか崖から落ちそうになっている所を上から海未と愛生人が引っ張り、下からは希が支えていた。

 

「凛!絶対に手を離してはいけませんよ!」

「凛ちゃん!しっかり掴まっててねー!」

「イーヤー!今日はこんなのばっかりにゃー!」

「ファイトが足りんよー!」

 

そしてなんとか凛を引き上げると凛は崖の上に座り込む。愛生人は凛の隣にしゃがみ込み頭を優しく撫でている。

 

「雲がかかってきた。山頂まで行くのは無理そうやね」

「そんな…せっかくここまで来たのに…」

 

希が雲の様子を見て状況を冷静に言うと、海未が心底残念そうに言う。

 

「酷いにゃ!凛はこんな所に全っ然来たくなかったのにー!」

 

目に涙を浮かべて抗議した凛に海未は仕方ありません、と凛の方を向く。海未のその様子に凛は少し期待した目を海未に向け

 

「今日はここで明け方まで天候を待って、翌日アタックをかけましょう……山頂アタックです!」

「まだ行くんですか!?」

 

その目にさらに涙を溜める事となった。海未の言葉に愛生人が驚き聞き返す。

 

「当たり前です。何しにここまで来たと思ってるんですか?」

「作詞に来たはずにゃ~!」

「ハッ!」

「まさか忘れてたんですか!?」

 

凛の涙ながらの抗議に海未は目を見開いて驚く。そのリアクションに愛生人は思わず立ち上がりツッコむ。

 

「そ、そんな事はありません。山を制覇しやり遂げたという充実感が、創作の源になると私は思うのです」

 

海未は少しつっかえながら目を逸らし答える。そんな

 

「まぁまぁ海未ちゃん。気持ちは分かるけど、ここまでにしといた方が良いよ」

「ですが…」

「山で一番大切なのは何か知ってる?」

 

希の問いに海未は首を傾げる。希はそんな海未に笑い掛けるとその答えを言う。

 

「それはっチャレンジする勇気やなく、諦める勇気。分かるやろ?」

「希…」

「凛ちゃん、愛生人君。下山の準備して晩ご飯はラーメンにしよ」

 

希の言葉、正確には晩ご飯のメニューを聞いて一瞬にして笑顔になる凛。

 

「下に食べられる草がたくさんあったよ。海未ちゃんも手伝って」

「は、はい」

 

~作曲班2~

 

空が暗くなり始めた時作曲班はテントの外で焚火を焚いていた。焚火のそばでは絵里が不安そうに空を見上げる。

 

「ねぇ」

「「ん?」」

「どうしたの?」

 

空から視線を戻して同じ様に焚火を囲んでる若葉、真姫、にこの方を向く。

 

「このままだと、火を消したら真っ暗、よね」

「そうね。何か拙いの?」

「まさか暗いのが苦手なの?」

 

真姫とにこの質問に絵里はまさか、と言ってテントに潜り込むと明かりを点ける。

 

「フフッ。絵里にこんな弱点があったなんてね」

「この年にもなって暗いのが苦手なんて」

 

とにこは慌てた様子で弱くなった焚火に息を吹き掛け火を大きくする。若葉と真姫はそんなのこを見て思わず笑みが零れる。

 

「全く、こんな3年生の為に曲を考える方の身にもなってよ」

「え、今なんて言った?」

「え…」

「今3年生の為って言ったわよね」

 

真姫は身を乗り出して聞いてくるにこにたじろぎながらも、だったらなんだ、と聞く。それを聞いたにこはそんな事だと思った、と言って身を引く。

 

「3年生の為に良い曲作って、3年生の為に勝とうって」

「そ、そんな事…」

 

にこの言葉に真姫は否定しようとするも、図星だったらしく途中で言葉を止めてしまう。

 

「曲はいつもどんな時も全員の為にあるのよ」

「な、何偉そうに言ってるのよ」

「部長だもん。当たり前でしょ」

 

にこと真姫のそんなやり取りを目の前で見ていた若葉は、焚火の中から銀紙に包まれた焼き芋を取り出すと、2人に渡す。

 

「はいこれ。2人で仲良く半分こね。熱いから気をつけて」

「あ、ありがとう」

「気が利くじゃない。焚火と言ったら焼き芋だものね」

 

にこが若葉に渡された芋を半分に割り、片方を真姫に渡す。にこから芋を受け取った真姫はチラリと若葉を見る。真姫に見られた事に気付いた若葉は自身の手に握られているもう一つの芋を見せて真姫に笑い返す。

 

「ほら絵里もテントに籠ってないで一緒に焼き芋食べようよ」

「焼き芋?いつの間にそんなものを」

 

若葉はテントに入ったきり出てこない絵里を呼び、にこ同様半分に割り片方を絵里に渡す。そして焚火を囲むように座り直すと4人は談笑しながら焼き芋を食べ始める。

 

〜衣装班〜

昼間寝ていた衣装班は露天風呂に入っていた。

 

「こんな所にお風呂があったなんて」

「はぁ~気持ち良い~」

「なんか眠くなっちゃうね~」

「だな~昼間あんなに寝たのにな~」

 

ことり、花陽、穂乃果ののんびりとした声に柵を挟んで一緒に入浴している夏希も3人に賛同する。

 

「夏希く~ん。そっちにも誰もいないの~?」

「ああ、”も”って事はそっちもか?」

「うん。私達しかいないよ」

 

穂乃果、夏希、ことりがのんびりとそんな会話をしていると、花陽がふと

 

「他の皆、今頃どうしてるかな」

「ん~どうだろう…私、まだできてない……」

 

花陽の疑問にことりが苦笑いで答える。夏希はその言葉を聞いて、まぁ寝てたしなー、と心の中でぼやいていた。

 

「できるよ。だって9人もいるんだよ」

 

穂乃果はそんなことりを励ます様に立ち上がって言う。花陽とことりはいきなり立ち上った穂乃果に驚きの声を上げ、夏希は女子側の流れが分からずに困惑していた。

 

「誰かが立ち止まれば誰かが引っ張る。誰かが疲れたら誰かが背中を押す。皆が少しずつ立ち止まったり、少しずつ迷ったりして、それでも進んでるんだよ」

 

穂乃果はそれだけ言うと湯船に浸かるとことりと花陽を見る。

 

「だからきっとできるよ。ラブライブの予選の日はきっと上手くいくよ」

「うん」

「そうだね」

 

3人はそれを最後に静かに星空を見上げた。因みに途中から喋ってない夏希は穂乃果達が出てから暫く、逆上せた状態で男子風呂から担ぎ出された。

 

~作詞班~

 

「綺麗だにゃ~」

 

作詞班はテントから上半身だけを出して寝袋を敷き、横になって満天の星空を眺めていた。

 

「星はいつも自分を見てくれている。星空凛って言うくらいやから、星を好きにならないとね」

 

希の言葉に元気に頷き返す凛。

 

「希さん星座に詳しいんですね」

「一番好きな星座とかあるの?」

 

愛生人と凛の質問に希はそうやね~、と目を瞑って瞼の裏に夜空を思い浮かべる。

 

「印象に残ってるのは南十字星かな」

「南、十字星…?」

「ペンギンと一緒に見たんやけどね」

『南極!?』

 

海未の不思議そうな台詞に希が笑顔で答えると、まさかの答えに3人は顔を見合わせて驚く。

 

「あ、流れ星」

 

希の突然の言葉に顔を見合わせていた3人は慌てて夜空に視線を戻す。

 

「南に向かう流れ星は物事が進む暗示。一番大切なのは本人の気持ちよ」

 

希は海未にウィンクをするとテントの中に入っていった。そして流れ星を見れなかった、とぼやく凛。

 

「いいえ。流れ星なんて最初からありませんでしたよ」

 

海未が凛に優しい笑みで言うと、愛生人と凛もテントの中に入り毛布を掛けて寝息を立て始める。海未がそんな3人を見ていると別荘の方からピアノの音色が聞こえてきた。海未がそちらを見ると別荘に明かりが点いているのが見えた。海未が別荘の前まで行くと、反対側からことりも歩いてくる。そして互いに笑い合うと揃って中に入る。

 

「2人ともこんばんわ」

「あ、若葉君」

「こんばんわ。今弾いているのは」

「みたいだね」

 

2人が中に入るとちょうど若葉と玄関で会う。そして3人でピアノを弾いている真姫の元へ行くと

 

「いつもどんな時も全員の為に、か」

 

真姫の呟きに3人が真姫に近付く。そして4人は笑顔で見合うと各々の作業に取り掛かった。

 

☆☆☆

 

次の日の朝。若葉は眠い目を擦りながら作業が終わった状態で寝ている3人に毛布をかけていると、突然夏希がリビングに飛び込んでくる。若葉は夏希に向かって静かにする様にジェスチャーを送ると、夏希も意味を理解したのか静かにするも、どこか慌てていた。

 

「どうしたの?」

「ほのっちが消えた」

「穂乃果ってそこまで寝相悪くないハズなんだけどな…」

 

夏希の言葉に若葉は欠伸をしつつ頭を掻く。それから立ち上がり、10分程で戻るとその傍らには寝ぼけ眼の穂乃果がいた。そしてその後ろには絵里達が揃っており、眠っている3人を見る。

 

「まったくしょうがないわね」

「ゆっくり寝かせておいてあげよっか」

 

希の提案に絵里も賛成しつつ楽譜を手に持つ。

 

「でも起きたらすぐ練習よ。ばっちりね」

 

絵里の言葉に衣装のデザイン画と歌詞カードを見た凛と穂乃果が笑って頷く。こうしてμ'sのラブライブ予選に向けた新曲が出来上がった。

 




【音ノ木チャンネル】
夏「さてと、今回は3つのユニットに分けて作業したな」
若「それより夏希。穂乃果と風呂入ったの?」
夏「いや、入ったっつってもちゃんと男女別だったからな?」
愛「そりゃ当たり前ですよ!むしろ混浴だったら今この場に夏希さん存在しませんよ?」
夏「え、そこまで!?」
若「オモニオレノシワザデナ」
愛「片言になってますよー」
夏「だ、大丈夫。俺にはツバサが居るかあだだだ!」
ツ「高坂さん達と混浴ってきこえたんだけど?」
夏「ご、誤解だって!若達からも言ってくれよ!」
若「まぁまぁツバサさん落ち着いて。取り敢えず首に回した腕は離しましょう?」
愛「ハッ、若葉さん、よく見て下さい。あれは首をキメてると思わせてその実、首に抱き付いて甘えてるだけです!」
若「な、なんだって!?」
ツ「片丘君惜しいわね」
夏「あぁまだまだだな。これはただ甘えてるんじゃなく」
ツ夏「「「当ててんのよ」をしてるんだ(のよ)」」
夏「因みに最初に俺が痛がるのからがセットだ」
愛「て事は実際にはキメてないんですか?」
夏「いや、偶に本当にキメる時がある」
若「ツバサさんって凄いんだね。スクールアイドルでキメれるなんて」
ツ「あら、高坂君程ではないわよ」
愛「確かに…でもどうして締め技とか使えるんですか?」
ツ「護身用に教えられたのよ」
夏「それが今や照れ隠しの為の手段だがな」
ツ「有効活用と言っても良いのよ?」
夏「明らかに使用用途間違ってるだろ!」
愛「まぁまぁ。そろそろ時間ですし」
若「だね。じゃあお決まりの文句をツバサさんにお願いします」
ツ「えっと、誤字脱字、感想、批判、アドバイス等を待ってるわよ。因みに7月末までのアンケートも実施してるわ。そっちもよろしくね。じゃあ」
『バイバーイ』

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