アニライブ!   作:名前はまだ無い♪

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今日からほのイベだー。これはシスコンの若葉君は走るに違いない!


サンタ、さん…by凛

3組がそれぞれ楽しく過ごしていると景色が変わり、辺り一面が草原の広がる場所に着く。

 

「そろそろよ。降りる準備しましょ」

 

真姫はそう言うと荷物を手に立ち上がる。真姫に続いて若葉と夏希も立ち上がり荷物を手に取り、他のメンバーも同様に荷物を手に電車が止まるのを待つ。

 

「うわぁ~きれ~い」

「ん~空気が澄んでるね~」

 

ことりと希が長時間の電車移動で固まった体を伸ばしながら言う。

 

「やっぱり真姫ちゃん凄いにゃー。こんな所にも別荘があるなんて」

「歌も上手いし、完璧だよね」

「べ、別に完璧なんかじゃないわよ」

 

凛と花陽が真姫にいうと、真姫は照れた表情で顔を逸らす。絵里は自然を背景に夏希と若葉を撮っていた。

 

「あの、早く移動しません?」

「そうね。時間も無いし」

 

愛生人の言葉に絵里がカメラをしまいながら頷くと、ドサッという音と共に

 

「その通りです」

 

と海未が言う。皆が海未の方を見るとそこには登山用のバッグをホームを降ろした海未がいた。

 

「海未ちゃん、その荷物は…」

「なにか?」

 

ことりが海未の荷物見て聞くと、海未は訳が分からない風に聞き返す。

 

「ちょっと多くない?」

「山ですから。寧ろ皆の方こそ軽装すぎませんか?」

 

絵里の言葉に当たり前の様に返すと、バッグを背負い、改札を通る。

 

「さ、早く行きましょう!山が呼んでいますよー!」

 

眼を輝かせて笑っている海未を見て絵里はまさか、と隣に立つ若葉に聞く。

 

「海未って登山マニア?」

「さ、さぁ?でもあの様子だとそうみたいだね」

「夏の時みたいに無茶言わなきゃいいけど」

 

にこの言葉にそれを聞いていた絵里と若葉は夏の合宿時の海未が考えたメニューを思い出し、苦笑いを浮かべる。

 

「ほら、もたもたしてるとバス行っちゃうわよ。残ってるのも若葉達だけだし」

 

真姫に言われ辺りを見回すと、真姫の言う通りホームには既に若葉、絵里、にこ、真姫の4人しかいなかった。絵里とにこは慌てた様に先に行ったメンバーに追い付き、希や夏希に文句を言う。若葉と真姫はそんな2人を見て顔を見合わせて笑い合う。

 

「さ、私達も行きましょ」

「だね」

 

そして2人揃って改札を通り、皆が待っているバス停に並ぶ。そしてバスに揺られる事数十分。

 

『おおぉ~』

 

夏の時とは別の別荘に到着し、夏の時同様感嘆の声を漏らす。

 

「早速探索だぁー!」

「にゃー!」

「落ち着きなって」

「凛ちゃんも」

 

荷物を置いた途端に走り出そうとした穂乃果を若葉がすぐに止める。その隣では凛が愛生人に同じ様に止められていた。

 

「取り敢えずリビング行かない?」

 

花陽の提案で一度リビングに集う一同。そしてリビングにあるピアノ、シーリングファン、暖炉を見て穂乃果と凛が暖炉に駆け寄る。

 

「凄いにゃー。初めて暖炉みたにゃ」

「凄いよね~ここに火を…」

「点けないわよ」

「「えー!」」

 

真姫の言葉に穂乃果と凛が不満そうに真姫を見る。真姫は2人の反応を気にしないでそれに、と続ける。

 

「まだそんな寒くないでしょ。しかも冬になる前に煙突を汚すと、サンタさんが入り難くなるってパパが言ってたの」

「パパ…」

「サンタ、さん…」

 

真姫の台詞に穂乃果と凛は顔を見合わせる。

 

「素敵!」

「良いお父さんですね」

 

ことりと海未も笑みを浮かべて真姫に言う。真姫はそれに笑顔で頷く。

 

「この煙突はいつも私がきれいにしていたの。去年までサンタさんが来てくれなかった事は無かったんだから」

 

その証拠に、と真姫は穂乃果と凛に暖炉の中を除く様に言う。そこには筆記体でThank you!という文とサンタと雪だるまの絵が描かれていた。そこににこと夏希の笑いを堪えるような声が聞こえる。

 

「あんた…真姫が…」

「…サンタ…」

「にこちゃん!夏希君!」

「2人とも、それ以上はダメよ!」

 

にこには絵里と花陽、夏希には若葉が詰め寄り止める。

 

「そうだよ!それを言うのは重罪だよ!」

「真姫ちゃんの人生を左右する一言になるにゃ!」

 

5人の様子を悟ったのか、穂乃果と凛も2人を止めに入る。

 

「だってあのマッキーぐほぁ」

「またつまらぬ者を殴ってしまった…しかしそれで1人の夢が守れたのなら安いものよ」

「いやいやいやいや!思いっきり鳩尾狙ってましたよね!?」

 

夏希の鳩尾を穿った若葉は芝居掛かった台詞を言うと、愛生人からツッコミが入る。一方にこはなんとか笑いを堪えて絵里と花陽に解放される。

 

「じゃあ寝てる夏希さんは放置して練習しましょう、練習」

 

夏希をソファに寝かした愛生人が話題を変える様に手を打つと、それぞれが練習着に着替える為に移動を始める。真姫、海未、ことりは作曲、作詞、衣装の為別行動となった。

 

「さ、まずは基礎練習から」

 

愛生人達は別荘から少し離れた場所に集まり、練習を始める。真姫達はそれぞれに分かれて各々の作業に取り掛かる。海未を作詞関係の本がある部屋に、ことりに服飾関係の本やミシンがある部屋に案内し、真姫と若葉はリビングに戻る。

 

「予選突破、か」

「どうしたの、急に?」

「ううん。なんでも」

 

真姫の呟きに若葉が聞き返すと真姫は首を振って答える。それから若葉はキッチンに紅茶を淹れに行く。

 

「プレッシャーか?」

「夏希。起きてたのね」

 

真姫がピアノの前で固まっていると不意にドアの方から声が掛かる。真姫は少し驚くも、夏希の方を向く。

 

「まぁな。にしても若は容赦がないな」

 

いつつ、と鳩尾の部分を摩ると外にいる絵里達の所へ向かう。その際部屋から出る時振り向かずに真姫に言う。

 

「ま、そんなに気負う事はないと思うぞ。じゃあまた後で」

 

夏希はそれだけ言うと部屋から出て行く。入れ替わりでお盆にティーカップとティーポットを乗せた若葉が入って来る。

 

「夏希起きたんだね」

「えぇ。さっき起きて穂乃果達の所へ行ったわ」

「ふ~ん」

 

若葉はそう言うと紅茶の入ったカップを真姫の邪魔にならない場所に置くと、2階で作業している海未とことりにも同じ様にカップを渡しに行く。カップを渡す時に若葉がそれとなく2人に進行具合を聞くと2人は苦笑いで答える。

海未、ことり、真姫の3人が作業している中、若葉は特にするもないので邪魔にならない様に静かにソファに座り、偶に立ち上がり紅茶を淹れに回っていた。

 

「若葉さん。なにか拭く物ありませんか!」

 

そんな時、リビングに愛生人が駆け込んで来た。その後ろからはにこと凛が歩いて来ていた。

 

「どうしたの?そんなに慌てて」

「実は凛ちゃんとにこさんが川に落ちゃいまして」

「はぁ!?」

 

愛生人の言葉に驚きの声を上げる若葉。そしてソファから立ち上がると洗面所に向かうとタオルを手に戻って来る。

 

「取り敢えず2人ともこれで体とか拭いて。それから風邪引くといけないからシャワーを浴びておいで」

 

若葉が浴場を指して言うと、2人はタオルを頭からかけて浴場へと歩いて行く。

 

「凛とにこは大丈夫?」

「見た感じ怪我は無さそうだったから体を温める為にシャワーを浴びてるよ」

 

2人が浴場に入って少し、絵里達が心配して帰って来る。若葉は絵里に浴場を指して答える。

 

「それより何があったの?」

「実はにこっちのリストバンドがリスに取られてな。リスは途中で落としたんだが、それを取ろうとして足を滑らせてって感じだな」

「な、なるほど」

 

夏希の答えに若葉は少し引き攣った笑いで返す。そして2人が上がり、リビングに戻ると花陽がお茶を皆に出す。それを見て若葉も真姫達に紅茶を淹れに行くと穂乃果も若葉の後ろをついて行った。

 

「真……姫?」

「いないね」

「さっきまで居たのに。どこ行ったんだろ」

 

取り敢えず真姫は最後にと先に2階の2人に淹れに行く事にした若葉と穂乃果。

 

「海未。入るよー」

「海未ちゃん調子ど……う?」

「海未も居ない…」

 

2人が海未の部屋に入ると真姫同様海未も居なかった。穂乃果が不思議に思い部屋を見回していると、机の上に1枚のメモ書きがあった。

 

「お兄ちゃん。これ」

「何々?「捜さないで下さい……海未」!?」

 

若葉が海未の書き置きを読み上げた途端、穂乃果はことりの名前を呼びながら隣の部屋に突撃する。

 

「ことりちゃん!海未ちゃんがたぁー!」

「穂乃果!?」

 

若葉は突然叫び声を上げた穂乃果に驚きつつ、隣の部屋に移動する。隣の部屋には穂乃果しかおらず、その穂乃果の視線は壁に掛かっている額縁に向けられていた。その額縁にはピンクの紐でただ「タスケテ」と書かれていた。

 

「ん?」

 

ふと風を感じた若葉が窓を見ると、そこには開け放たれた窓と毛布で出来たロープがあった。穂乃果と揃って窓から外を見ると、そこには居なくなった真姫、海未、ことりの3人が膝を抱えて座っていた。3人が見つかった事により、若葉は安堵の溜め息を吐き穂乃果とともに1階に戻る。

 

「若、さっきのほのっちの叫び声はなんだったんだ?」

「あーうん。もう大丈夫。じゃあちょっとお迎えに行ってくるね」

 

リビングに戻った若葉と穂乃果に夏希が聞くと、若葉はテーブルにお盆を置きながら答え、外の3人を迎えに行った。

 




【音ノ木チャンネル】
夏「本当に若は容赦なかったな」
若「あれも真姫の夢を守る為。そう考えれば痛くはないよ」
夏「だろうな!殴られたの俺だし!」
愛「まぁまぁ。落ち着いて下さいよ夏希さん。それより今回の振り返りしましょう」
若「ちょうど切れよくアニメAパートの所まで終わったね」
夏「ま、アニメと違って外での練習風景一切無かったけどな」
愛「て言うか、若葉さんのこれ、サボりじゃないですか?」
若「サボりじゃないよ。俺は真姫達のサポートをしてたんだから」
夏「まぁそういう事にしといてやるよ」
愛「因みに作者はことりさんの「タスケテ」を見た時20世紀の少年を思い出したそうですよ」
若「確か額縁の後ろの壁に書いてあったんだっけ?」
夏「あーあれはゾッとしたな」
愛「さて、なんか良い感じの長さなので今回はここまで。色々と話忘れている事多数だと思いますが、それはいつもの事」
若「以外と割り切ってるんだね」
愛「あ、皆さんスクフェスやってます?ランク122で劇場版のPVに使われてた曲がシャンシャン出来ますよ!」
夏「これまた唐突な宣伝だな」
愛「作者の活動報告では番外編に関するアンケートも実施中!」
若「皆さんの意見お待ちしてます!」
愛「そして!誤字脱字、感想、批判、アドバイス等をお待ちしております!それでは」
『バイバーイ』
夏「って、締めの言葉長過ぎるわ!」

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