アニライブ!   作:名前はまだ無い♪

71 / 109
ここが私たちの Never ending stage!


☆駆け落ち、とかby希

石でできた廊下をライトに照らされた真姫は走っていた。そして暫く走ったところで開けた場所に出る。そこで真姫は立ち止まり、後ろを振り返る。そして追手が来てない事が分かると真姫は安堵の溜め息を吐く。

 

「はぁ、はぁ……もう!何なのよ!」

 

真姫が誰にでもなく叫ぶ様に文句を言う。すると次の瞬間天井から檻が降ってきて真姫の四方を囲み、逃げ場を無くす。真姫が慌てて檻に掴み掛るもビクともしない。それでも真姫が揺すり続けていると、真姫の背後から全身を黒いローブで覆った影が11つ、音も無く檻に近付いて行く。真姫は檻から手を離し、狭い檻の真ん中に移動する。

檻の中心で四方から近付いてくる影達に、真姫の目に涙が浮かぶ。

 

「だ、誰か…若葉、助けてー!」

 

☆☆☆

 

「って夢を見たのよ」

「なんか…すごい夢を見たね」

 

真姫の話に若葉は苦笑いで答える。今若葉は、真姫に誘われて2人で音楽室を訪れている。

 

「もし、もし夢みたいな事になったら、若葉ならどうする?」

「どうするも何も、真姫を助けに行くよ」

 

若葉の答えに真姫はそういう事じゃないんだけどな、と呟きつつも頬を染めてお礼を言う。そしてそれを誤魔化す様にピアノ椅子に座ると鍵盤に指を走らせる。

 

「ん?」

「あれ?」

 

ピアノを弾き始めて最初の音で若葉と真姫は首を捻る。なぜなら真姫は確かに盤を叩いているのに音が鳴らないからだ。

 

「んー?ぅんー?」

「どう?なにかおかしい所でもあった?」

 

響板を覗き込んでいる真姫に若葉が聞くも、頭を引っ込めると首を振る。次の瞬間、真姫は何かを見て驚いた様に後ろに倒れる。

 

「真姫!?」

「な、何!?」

 

真姫が驚いた原因の方を見る。真姫に駆け寄った若葉も真姫の視線の先を見る。そこには小学生くらいの子供が2人手を繋いで立っていた。

 

「もう、勝手に入ってきちゃダメでしょ」

「小学生、かな。迷子だったら蒼井さん…に…」

 

若葉の言葉が段々と小さくなっていく。

 

「あ、あなた達は」

「もしかして」

 

2人がそう言った途端窓の外が急に暗くなり、雷が落ちる。

 

☆☆☆

 

「え?今日来てないの?」

「うん昨日は元気そうだったんだけど」

「そう言えば、お兄ちゃんも昨日珍しく帰って来てないんだよね…」

「あの若葉がですか?」

 

翌日の放課後のμ'sの練習時間。花陽からその日真姫が学校を休んだ事を聞いた穂乃果は、昨晩の様子を思い出して呟く。穂乃果の言葉に海未が驚きの声を上げる。

 

「うん。お兄ちゃん無断外泊は1回もした事ないからお母さんが慌ててたんだ」

「それでどうしたの?」

「うん。お父さんがね「若葉ももう高校生なんだ。むしろ今まで無かったのが珍しい。明日には帰ってくるさ」って言ってお母さんを宥めて、なんとかなったよ」

 

ことりの質問に答えつつも、穂乃果は不安そうに顔を伏せる。

 

「もしかして」

『もしかして?』

「駆け落ち、とか」

『か、駆け落ちー!?』

 

希の衝撃的な言葉に夏希、愛生人も含めた全員が叫ぶ。

 

「そんな…お兄ちゃん、一言ぐらい相談してくれても良かったのに…」

「い、いや、まだ駆け落ちって決まったわけじゃねえし」

「そ、そうだ!こんな時こそ全国に散らばっている「祈る者達(プレイヤー)」の情報網を使って2人の捜索を!」

「ストーップ!」

 

パニックに陥っているメンバーを絵里は一括して落ち着かせる。

 

「取り敢えず、まだ駆け落ちって決まった訳じゃないから、愛生人もまだ使わなくて大丈夫」

「とにかく、2人を見た人がいないか街に出て聞いてみましょう。若葉は顔広いんだし、誰か知り合いが見てるでしょ」

 

にこの言葉に全員が頷き、その日は練習をせずに2人の捜索をすることになった。

しかしこの時、ほぼ全員が混乱状態になっていた為か、屋上のフェンスに座るオレンジ髪の少年と紅洋色(カーマイン)の髪の少女に気付く者はいなかった。

 

それからメンバーは制服に着替え、校門に向かいながら捜索班の振り分けを行う。

 

「ん?」

「どうしたの?絵里ちゃん」

 

気付いた切っ掛けは些細な事だった。翌日使う教科書を教室に忘れた事に気付いた絵里が一瞬校舎をチラリと見た事だった。

 

「いえ、今校舎の窓に2人と思しき人影が…私ちょっと見てくる!」

「ちょ、えりち!?」

 

絵里は希の言葉を聞かずに校舎の中へと駆けて行く。夏希も絵里の後を追いかけ、走る。

 

「どうするの?希ちゃん」

「んー。入れ違いになってもあれやしここで待ってようか。それに何かあっても夏希君も一緒やろうし」

 

凛が不安そうに希に聞くと、希は全員正門前での待機を言い渡す。皆も希の案に賛成らしく、頷いて校舎を見る。

 

☆☆☆

 

一方、絵里を追って校舎に入った夏希は昇降口で絵里に追いつき、そのまま校舎内の探索に出かける。

 

「それで?絵里は何階に見たんだ?」

「…こっちよ」

 

と2人は絵里主導で音ノ木坂の校舎内を歩き始める。2階3階と階段を上り、廊下をザッと見回すと

 

「あっ、夏希!」

「あぁ!」

 

廊下の反対側の階段を降りる2つの影を2人は見る。顔を見合わせた2人は一斉に駆け出す。

 

「ちょっと!」

「待ったぁ!」

 

しかし影達は2人の声が聞こえてないかの様に廊下を曲がる。続いて夏希、少し遅れて絵里と廊下を曲がると、2人の足は走るのをやめ、止まってしまった。

 

「なん、だよ…これ」

「ハラショー…」

 

廊下を曲がった2人が見たのは、普段の音ノ木坂の廊下…ではなく、様々なライトで彩された通路だった。そしてその通路の先の階段を影達は降りていく。

夏希と絵里は再び顔を見合わせ、同時に決心し、不思議な通路を走り出す。

階段を降りた先は先程の通路の様に彩りがされておらず、それどころか電気すらついていない真っ暗な空間に、その先に出口と思われる光源があった。

 

「あそこに行くしかないみたいだな」

「そうね。急ぎましょう」

 

2人はスピードを緩める事なく、光源に向かって走り出す。そして光源を潜った先は

 

「あ、えりち!」

「夏希君!」

『……え?』

 

2人が辿り着いた先にいたのは、先程別れた筈のアイドル研究部のメンバーだった。夏希が影について聞こうとするとする前に、凛が大変なんだにゃ!叫ぶ。

 

「そうなんです、夏希さん。さっきまで夕方だったのに、急に夜になっちゃって」

「急に?そんな馬鹿な…」

 

夏希は2人の言う事を否定しようとするも、その後ろにいる穂乃果達を見て、それが本当なのだと理解する。

 

「私達も廊下が突然暗くなって」

 

絵里が希達に自身らが体験した事を話す。絵里の言葉を聞いて希は考えを口にする。

 

「…こんなの普通じゃない。私達、夢見てるんとちゃう?」

「や、やめてよ。こんな時まで」

 

絵里が希の言葉を冗談として流そうとする。そんな時、絵里の言葉を否定し、希の言葉を肯定する幼い子供の声が聞こえる。

 

「そうだよ」

『え…?』

 

その声は絵里の横から聞こえた。全員が驚いてそちらを見ると、そこには若葉に似た少年と真姫に似た少女が並んで立っていた。

 

「ふふ、はじめまして」

「はじめまして!」

 

少女達が絵里達に近付き挨拶すると穂乃果が挨拶を返す。

 

「お姉ちゃん達面白いね」

「いつも仲良さそう」

 

少女に続いて少年が言うと、海未が否定する。海未の否定をことりがすぐに否定する。少女達はそれを見て、やっぱり面白いと言う。

 

「こ、これって」

「時間が巻き戻っちゃったの!?」

 

凛と花陽が2人に似た少年少女を見て驚いた様に言う。にこは2人を見て自分より可愛いと悔しがっている。

 

「確かに昔の若葉に似ていますね」

「うん」

 

幼馴染の海未とことりが頷く。穂乃果は少女達に近寄り、しゃがんで目線を合わせる。

 

「あなた達はどこから来たの?本当にここは夢の中?」

「「うん。終わらないパーティのね!」」

 

穂乃果の質問に声を揃えて返す。その答えに全員が首を捻る。絵里が代表して聞き返すと突如校舎の後ろに花火が打ち上がる。

 

「綺麗でしょ?」

「う、うん」

 

突然の出来事に、少女に聞かれた穂乃果は頷く。

 

「あのね。僕達お姉ちゃん達の事をずっと前から知ってるよ」

『え?』

 

「12人になる前から。皆バラバラの時から」

「ど、どうして?」

 

愛生人の質問に2人は笑うと

 

「「だって、()達、ずっと……ずっと」」

 

2人の言葉の後に一際大きい花火が上がる。すると少年少女の周りに白い光が2人の周りに浮かび、一際大きく輝くと同時に少年少女がいた場所に若葉と真姫が並んで立っていた。

それを見ていた11人は、信じられない出来事に唯々目を見開くばかり。

 

「す、凄い」

 

いち早く戻った穂乃果は立ち上がり、真姫と若葉の周りを回りながら、凄い凄いと連呼する。

 

「マジックが出来るなんて、新しいアイドルの形だよ!」

 

そして真姫の肩に手を置くと、感動したように言う。真姫はそんな穂乃果を見て不思議そうな顔をする。

 

「でも良かった。皆駆け落ちじゃないかって心配してたのよ」

「「駆け落ち!?」」

 

絵里が安心したように笑って言うと、2人は驚いたように声を揃えて言う。

 

「か、駆け落ちなんてしないわよ!」

「そうそう」

 

真姫の否定の言葉に若葉も頷いて賛同する。

 

「それに真姫とは駆け落ちはしないよ」

「へぇ。その心は?」

「真姫とは駆け落ちじゃなくてちゃんと両親に挨拶して結婚するからね」

 

若葉の突然のプロポーズとも取れる言葉に真姫は顔を真っ赤にし、他のメンバーはにやついたり、真姫と同じ様に顔を赤くしたり、感動していたりと、様々な反応を取っていた。

 

「でもこれって全部、本当に誰かさんの夢の中なのかも知れないわね」

 

絵里が真姫と若葉の方を見ながら言うと、真姫は夢?と首を傾げる。

 

「ねぇねぇ。さっきなんて言いかけたの?」

「なにが?」

 

穂乃果が若葉と真姫の正面に回り聞くも、若葉はなんの事か聞き返す。

 

「ずっと何を思ってたの?」

「それはその」

「秘密、かな」

 

若葉の言葉に穂乃果が文句を言うも、2人は顔を見合わせて笑うばかりで答えない。

ふと2人が顔を正門に向けると、2人の少年少女が見えた。その2人は笑いながら振り返ると、口の横に手を当て、何かを言う。距離もあったので若葉と真姫は何を言っているのか聞こえなかったが、内容は伝わっていた。

 

 

ずっと好きだったの。皆の事がずーっと

 

 

 




【音ノ木チャンネル】
若「今回はなんか、いつもと毛色が違ったね」
愛「なんでもMUSIC S.T.A.R.Tに収録されているOVAを元にしたらしいですよ」
夏「まぁ時系列とか良く分からんが、作者の中では「とにかく66話以降のどこか!」らしいぜ」
愛「まぁ若葉さんと真姫ちゃんが付き合ってる描写があったので、必然的にそうなりますね」
若「にしてもあの日、真姫と音楽室で不思議体験した後、更に不思議な体験したんだけど」
夏「それにしても若とマッキーの小さい頃の姿は可愛かったな」
愛「そうですね。あのまだ純粋な眼差し、今じゃとても考えられませんもんね」
若「ほほぅ?だ・れ・が、汚れた眼差しをしてるって?」
愛「ヤダナーワカバサンノコトジャナイデスヨー?」
夏「因みに今回の作者はいつもと書き方を少し変えてみたらしいぜ?」
若「どんな感じからどんな感じに?」
夏「えーと、今まではPCの画面に動画サイトを2つ、ハーメルンのページを2つ、呟くアプリを1つ開いてるらしい」
愛「ちょ、待って下さい!なんでそんなカオスなんですか!?」
若「しかも動画サイト2つとか、絶対に作者は台詞を聞き取れてないでしょ!」
夏「いや、それがそうでも無くてだな。まぁその時の執筆風景は、作者の呟くアプリに画像付きで載ってるからそっちを見てくれ」
若「どれどれ…うわ、2つの内片方はラブライブ!だけど、もう一つは関係無いアニメだし!」
愛「しかも見るからに笑顔動画のサイトですし」
夏「因みにこの時書いてたのが60話の最後の方だぜ」
若「にこがハズレを引いた少し跡のシーンが書き途中だね」
愛「それで、今回はどんな感じで書いてたんですか?」
夏「あぁそれは実物があるから、それを見てくれ。それはこちらだ!」


【挿絵表示】


『字が汚い!』
夏「作者。いくら何でも汚過ぎだろ」
愛「でもなんか、台本みたいな書き方ですね」
若「と言っても作者は台本を見た事無いんだろうけどね」
夏「それがな、若。あるんだよ。読んだ事」
『ハァ!?』
若「どこで、いつ、何の作品のを読んだのさ!?」
愛「まさか、キャストの家から盗んだんじゃ…」
夏「いやいや。そんな犯罪行為しないから。なんでも、とある劇場版のDVD初回特典で貰ったものなんだとさ」
若「成る程」
夏「因みにもう1枚あるが、そっちにはネタバレが含まれているので、載せてません!」
愛「単純に許可を得るのがめんどいだけなんじゃ…」
若「まぁ、機会があれば見せてくれるでしょ」
夏「そろそろ終わりにするか」
愛「感想、誤字脱字、アドバイスお待ちしております!あとアンケートも実施しています!そちらもよろしくお願いしまーす!」
『バイバーイ』

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。