アニライブ!   作:名前はまだ無い♪

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ことりの留学話の代わりのオリジナル話。

矛盾が無いかと心配です。つか、一期の最終話辺りの感動が無くなりそうです。

そしてここに来て新キャラ登場!さらにお気に入り500件突破!ありがとうございます!


なんて反応すれば良いの?by若葉

文化祭から一週間後。若葉は退院し、久し振りに音ノ木坂に登校していた。

 

「久し振りの音ノ木だね〜」

「お、お兄ちゃんの荷物、重過ぎる…」

 

校門の前でノンビリと校舎を見る若葉と、怪我をしてるんだから、と若葉の分の荷物を持ってその重さに疲れ果ててる穂乃果。

 

「そんなに重いかな」

「こんなに何が入ってるの?」

 

穂乃果が荷物の中身を聞くと、若葉はえーと、と顎に手を当てて中身を羅列していく。

 

「取り敢えず今日使う教科書でしょ。あとは部活で使うビデオと、ノーパソと、ファイルと、今日の分の弁当と」

「もういいよ!て言うか、なんで穂乃果と同じ大きさの鞄なのにそんなに入るの!?」

 

若葉の言葉を遮って鞄に入っている物の量にツッコむ穂乃果。

 

「寧ろ穂乃果こそ何を入れてるのさ」

「え、え〜と…練習着でしょ。あとは海未ちゃんから渡されたステップの書かれた紙に、歌詞の書かれた紙。それからお財布と」

 

と穂乃果は若葉に聞かれ、自身の鞄の中の物を挙げていく。その中身を聞いて不思議に思ったり若葉にはそれについて穂乃果に聞く。

 

「穂乃果。お昼は購買で買うから良いとして、教科書はどうしたの?」

「あ〜…あははは」

 

若葉の質問に穂乃果は目を逸らしながら乾いた笑い声を出す。そんな穂乃果に若葉は追撃をする。

 

「まさか教科書置きっ放しにしてるとか、無いよね?」

「……そ、そんな事よりお兄ちゃん!もう教室着いたよ!ホラ、荷物置いたから職員室行かないと!」

 

若葉の追撃を話を逸らして躱す穂乃果。そんな穂乃果を若葉はジト目で見て、溜め息を吐く。

 

「穂乃果。確かにまいにち持ち帰るのは大変だと思うけど、ちゃんと持ち帰らないとだよ」

「うぅ…はい」

「うん。素直でよろしいです」

 

若葉の言葉に渋々ながらも頷いた穂乃果に、若葉は笑顔で頭を撫で、退院報告をしに職員室に向かう。

 

☆☆☆

 

時は流れ放課後。若葉は夏希といつも通りにアイドル研究部の部室に向かう。穂乃果と海未、ことりは先に部室に向かったので2人と一緒にではない。

 

「それにしてもあっという間に放課後になったね」

「久し振りの授業だったから1日が早く感じたんだろ」

 

部室に向かいながら呟いた若葉に、夏希がどうでもよさ気に答える。その夏希の表情はどこか強張っている様に見えた。

 

「ねぇ夏希」

「あ?なんだ?」

「何か隠し事でもある?」

「……なんでそう思うんだ?」

 

若葉は今日1日思っていた事を夏希に聞く。夏希は少しの間の後、若葉にその理由を聞く。

 

「いや、何となくだけど」

「そうか。まぁ、その、なんだ。その内分かるさ」

 

と言い夏希はその話題を打ち切る。それから部室に着くまで若葉がなにを聞いても夏希はダンマリを通した。

部室に着くと夏希は重い溜め息を一つ吐くと、部室のドアを3回ノックし、少しで間を置いてドアを開ける。

 

「ヤッホー皆お見舞いありがとねー!」

 

夏希の後から入った若葉は元気に片手を上げてお見舞いのお礼を言う。しかし部室の空気は軽くなく、寧ろ重かった。

 

「え〜と……夏希説明して」

 

若葉はその空気の重さに少々気不味さを感じ、部室に入ると同時に椅子に座った夏希の隣に座り、小声で説明を求めた。

 

「じゃあ若も来た事だし、あの話をするぞ」

 

若葉の言葉を受けてなのか夏希がそう言うと、部室に緊張が走る。若葉以外は"あの話"の内容を知っている様で、若葉だけが首を傾げていた。

そんな若葉を無視して、夏希は絵里と軽いアイコンタクトを交わし、どちらが切り出すかを話していた。結果、夏希が口を開く。

 

「若、凄く言いにくい事が2つ、良い事が1つある。どちらから聞きたい?」

「その"良い事"が"凄く言いにくい事"が無い、またはその逆じゃなかったら、そうだね……良い事からで」

「分かった」

 

若葉の答えに夏希は立ち上がり、部室の棚から一枚の紙を取り出し、若葉の前に置く。

 

「本発表は明日の全校集会になるんだが」

 

と夏希の言葉を聞きながら、若葉は置かれた紙を見る。紙の一番上には大きく『来年度入学者受付のお知らせ』と書かれていた。

 

「おぉ凄いじゃん。これってもしかして?」

「はい。理事長から『もしかしたらアイドル研究部(あなた達)のお陰かもね』と言われました」

 

若葉が紙を読みながら言うと、海未が答える。若葉はお知らせの紙を読み終え、机に置くと、夏希に先を促す。

 

「それで?凄く言いにくい事、2つだっけ?」

「あぁ。まず一つ目。俺達は……ラブライブ出場を辞退した」

 

夏希が若葉から目を逸らして言う。その発言に部員の皆は顔を伏せる。夏希は暫くしても何も言わない若葉を不審に思い、恐る恐る若葉の方を見る。すると若葉は

 

「えと…なんて反応すれば良いの?」

「はい?」

 

凄く軽い感じに返した。思わず夏希は聞き返してしまったが、双方とも状況がよく分かってない為、夏希は咳払いをして聞き直す。

 

「若、その、どう言う事?」

「いや、実を言うと、入院して暫くしてからラブライブ出場辞退の件は知ってたんだけど…」

 

なぜか若葉が言いづらそうに答える。夏希は慌てて毎日お見舞いに行っていた穂乃果と真姫を見るも、揃って首を横に振るばかり。

 

「2人は何も言ってないし、俺も聞いてないよ」

「じゃあなんで…」

「あのさ。そういう(順位の)定期チェックも仕事の内って言わなかったっけ?」

 

若葉の言葉に3年生陣以外があー、と思い出していた。

 

「入院中もちょくちょく見る様にしてたんだけど、『μ's』の名前が消えた事に気付いて、その前後日に穂乃果や真姫達が何も言わなかった事を考えると、退院後に何かしらの説明するがあるかなー、と思ってたんだよ」

 

若葉の考察に夏希は顔を引き攣らせ、頷く。

 

「若に黙って決めた事は謝る。でもこれはここにいる皆で話し合って決めた事なんだ」

「そっか。皆が話し合って決まったんなら今さら俺がどうこう言う事じゃないでしょ」

 

若葉はさも気にしてないように肩を竦め、夏希にもう一つの案件を聞く。夏希は先程よりも言いづらそうな様子で、しかしハッキリともう一つの案件を伝える。

 

「二つ目なんだけど………これはその紙を理事長に渡された時に言われた事なんだ」

 

と夏希はお知らせの紙を指しながら続ける。

 

「俺らの、俺とアッキー、若の3人の試験生の処遇について来週末に職員会議が開かれるらしい」

「…………は?」

「…私達は反対したわ。でも、校長が『統廃合を逃れたのなら試験生はもう必要無い』って言って」

 

夏希の発言によく分からないといった反応を返す若葉に、絵里が補足説明する。それに対し、若葉はいやいや、と首を振って否定する。

 

「いくら校長がゴネようと彩さん…理事長は黙ってないでしょ。理事長の方が地位が上なんだし」

「それが…お母さんも校長先生の話を断ってはいるんだけど、何人かの保護者からクレームが来てるみたいで」

 

若葉の否定の言葉にことりが答える。実際、若葉達が音ノ木坂に来てから少ないながらも、それに対するクレームが来てるのは確かだった。校長はそれを盾に綾に職員会議を開く事を決めさせたのだ。

 

「で、それまで俺らは謹慎だそうだ」

「その職員会議には僕らも呼ばれているので、その日の放課後には登校するように言われてますけどね」

 

夏希の言葉に愛生人が続けて言う。若葉はそれを受けて何か打開策は無いかと頭をフル回転させるも、妙案は出て来ず、それから少ししてその日は解散となった。

 

「はぁまさかこんな事になるとはね…」

「ゴメンね。黙ってて」

 

帰路に着いた若葉が空を見上げながら呟くと、隣を歩いている穂乃果が謝る。若葉は穂乃果の頭を撫でながら穂乃果のせいじゃ無い、と言って励ます。

 

「それより、これから俺達が出来る事を考えないと」

 

何かが頭に引っかかりを覚えて、それを思い出そうとしていると

 

「あの、すいません」

 

2人の背後からいきなり声を掛けられる。声を掛けられた2人が振り返るとそこには肩掛けバックを背負った黒髪の少年と、黒髪を後頭部で纏めた、こちらは若葉より年上と思われる青年が並んで立っていた。

 

「どうしたんですか?」

「まさか、誘拐とかじゃ…なさそうですね」

 

若葉は過去の経験から誘拐じゃないかと疑うも、相手2人の距離が近かったり、少年の方も何かしらの危機感を抱いてない為、否定する。

 

「いえ自分達は兄弟ですよ。ちょっと人を探して歩き回っているんですが」

「人探し、ですか?」

 

穂乃果が言葉を繰り返す。若葉は2人に少し疑いの目を向ける。若葉の視線に気付いたのか、青年が笑って自己紹介を提案する。

 

「自分の名前は前原達也と言います。大学一年生です」

「俺は前原恭弥。よろしくね、お兄ちゃん、お姉ちゃん」

「私は高坂穂乃果です!」

「俺は高坂若葉です。こちらこそよろしくお願いします」

 

互いが自己紹介をし、若葉は達也にタメ口で良いと断り、話を続ける。

 

「人を探していると言ってましたけど、俺らも高校生なので、そこまて顔広くないですよ?」

「そうか。所で若葉君と穂乃果ちゃんだっけ?2人はよくゲームセンターとかに行くかい?」

 

達也の急な話題転換に若葉は首を捻って答える。穂乃果はあまり行った事がないので首を振る。

 

「その"よく"の頻度が分かりませんが、(バイトで)月に3.4回は行ってますね」

「じゃあアイトってプレイヤー知らない?」

「う〜ん。プレイヤーって事はアイトってのがプレイヤーネームだよね……ゴメン俺は知らないや。店長に聞いてみます?」

 

恭弥の質問に首を横に振る若葉。一応店長に聞いてみるか、と聞くも、達也がさすがにそこまでしなくても、と断り

 

「何か分かったらこれに連絡を頂戴な」

 

と達也の連絡先が載っている紙を若葉に渡す。

 

「って、こんな初対面の見知らぬ人に簡単に連絡先を教えて大丈夫なんですか!?」

「大丈夫!これでも見知らぬ人と何十人と会っているんだ。だからある程度見ればその人が良い人がどうかくらい分かるって」

「そう、なんですか?」

「うむ」

 

若葉の言葉に強く頷く達也。若葉は恭弥に助けを求めるも、恭弥は笑って答えるばかりで助けてはくれそうもない。

 

「分かりました。何か分かったら連絡します」

「ありがとう!助かるよ」

 

若葉が了承すると、達也は若葉の手を握ってその場を去って行った。恭弥も達也について行きながら、若葉と穂乃果に手を振っていた。

 

「なんか、凄い人達だったね」

「さっきのアイトって人とどんな関係なのかな」

 

前原兄弟と別れてから穂むらに着くまで、2人は前原兄弟とアイトという人物の繋がりを話し合っていた。穂むらに着く頃には若葉の頭の隅の引っかかりは忘れられていた。

 




若「ん〜何か忘れてる気がするんだよね〜」
夏「何忘れてんだ?」
愛「それが分かれば苦労はしませんよ」
若「なんか、どっかで目にしたんだけど、それが思い出せない…」
夏「まぁそこまでして思い出せないって事は、そこまで重要じゃなかったって事だろ」
愛「ど忘れって大変ですよね」
若「まぁいいや。じゃあ今回振り返り行こっか」
夏「つか、なんで3年生陣が例外っつーか省かれてんだ?」
愛「あー若葉さんの定期チェックの話ですか?」
若「だってあの時はまだ絵里と希は加入してなかったし、にこはどっか行ってたし。詳しくは『た、助けて〜』の回を読んでね」
愛「説明丸投げですか」
若「丸投げとは失礼な!ここで話すより本編読んで貰った方が分かりやすいでしょ」
夏「その本編すら分かりにくかったら終わりだけどな」
若「うぐ。でも、前原氏兄弟はともかく、アイトはキーパーソンらしいよ。いつのかは言わないけど!」
夏「いやしらねぇよ」
愛「そ、そろそろ終わりにしましょう?」
夏「ん?あぁだな」
若「それじゃあ」
『バイバーイ』

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