ではどうぞ
「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん!」
「朝から穂乃果は元気だね。はい朝食。今日は朝練が無いからゆっくりできるよ」
夏休みが明け、新学期初日の朝。いつもより大分テンション高めの穂乃果を宥めながら若葉は椅子に座り、自分の分の朝食を食べ始める。
「だってだって!今朝ランキング見たら19位になってたんだよ?」
「まぁこの前からちょくちょく上がってたからね。別に不思議じゃないけど」
穂乃果が椅子に座りながら若葉に言うと、若葉は何の事でもないかの様に言うも、どこかそわそわした様子が見られる。その様子は朝食にも見られた。
「な、なんか今日の朝食豪華じゃない?」
「つい張り切っちゃった」
穂乃果が朝食の豪華さにツッコむと、若葉は笑いながら答える。
「やっぱりお兄ちゃんも嬉しいんだ」
「何か言った?」
「ううん。なんでも」
穂乃果の呟きに若葉が聞き返すと穂乃果は首を振って答える。
「さ、早く行こ」
穂乃果は食器を片付け、鞄を持つと玄関ではなく店の方から出て行く。
「全く、落ち着きがないと言うか、元気が有り余っていると言うか」
そんな穂乃果を見て溜め息を吐きつつ、自分の食器を片付け、穂乃果同様店の出入り口から出て行く。
「行ってきまーす」
店の準備をしている誠と裕美香に言うと、若葉は店から出て穂乃果の後を追う。
☆☆☆
「おっはよー!」
「おはようございます」
「おはよう穂乃果ちゃん」
穂乃果は既に待ち合わせ場所に来ていた海未とことりに挨拶する。2人は穂乃果に挨拶すると、3人の話は自然とスクールアイドルランキングの話になる。
「19位だよ19位!ラブライブに出場出来るかもしれないんだよ!ラブライブに出場出来ればきっと学校もなくならない」
「穂乃果ちゃん」
「穂乃果」
穂乃果の言葉に2人の感動した様に穂乃果の名前を呼ぶ。穂乃果はその場でターンをし、息を大きく吸う。
「ラブライブだー!」
「近所迷惑を考えなって」
叫んだ穂乃果に追いついた若葉が冷静にツッコむ。
「い、いいじゃん。嬉しいんだから」
「嬉しいのは分かったからこんな住宅街で叫ぶのは止めてね?」
「はーい」
若葉の注意を聞いた穂乃果は、頬を膨らませて答える。
「若葉も来たようですし、学校に向かいましょう」
海未に従い4人は学校に向かう。学校に近づくに連れて周囲が少し騒々しくなっていく。
「よっす。校内の至る所がμ'sの話題で持ち切りだぜ」
「あ、夏希君おはよう」
「おはようございます。夏希」
「課題はしっかり持って来た?」
教室に着き席に座るや否や夏希が若葉達の傍に寄って来て言う。穂乃果はヒデコらに廊下に連れて行かれていない。
「園田さん、ちょっといいかな?」
若葉と夏希が文化祭の事で相談しているとミカが戻って来て、海未に色紙を差し出していた。
「サインお願いしても大丈夫?」
「サイン、ですか…」
海未は戸惑いつつも色紙とペンを受け取り、色紙にペンを走らせる。その後、戻って来た穂乃果にも同じくサインを頼むミカ。
「ほんとあんた達極端よね」
穂乃果のサインを見たフミコのコメントに、どんなサインを書いたのか気になった若葉と夏希は色紙を見せて貰う。そこには大きな字で「高坂穂乃」と最後に小さく「果」と書かれており、左端には申し訳程度に「園田海未」と書かれていた。
「本当に極端だな。若ならまともなサイン書けるんじゃね?」
「いや書けないから。それにそういうのなら、にこの得意分野でしょ」
「それがね。さっき頼みに行ったら、今はプライベートなんでって断られちゃって」
「私達、芸能人って訳じゃないし」
にこの断り方に思わず苦笑いになる5人。それからチャイムが鳴り、担任の姫子が入ってくる。
☆☆☆
時は流れ放課後。穂乃果と凛は部室の隣の部屋で寝転がりながらラブライブのステージを見てうっとりしていた。
「出場したらここでライブ出来るんだ~」
「すごいにゃ~」
にこもにこで窓の方を向いて感慨に浸り、表情を戻して振り返る。
「まだ決まった訳じゃないんだし、気合入れていくわよ」
「にこっちの言う通りだぞ。これを見てくれ」
にこの言葉に賛同しつつ、夏希がパソコンを操作する。そこにはA-RISEの7日間連続ライブのお知らせが記載されていた。
「7日間もやるんだ。凄いね~」
「ラブライブ出場チームは2週間後の時点で20位以内に入ったグループやからね。どのグループも最後の追い込みに必死なん」
「20位以下に落ちた所だってまだ諦めてないだろうし、今から追い上げてなんとか出場枠を勝ち取ろうとしているスクールアイドルだってたくさんいる」
「つまりこれからが本番って訳ね」
真姫の言葉に若葉、希、絵里の3人は頷いて答える。
「でも焦りは禁物って言いますし、取り敢えずは目の前にある学園祭で精一杯良いステージを見せましょう」
続く愛生人の言葉ににこはよし、と体の前で拳を握る。
「そうとなったら、この部長に仕事を頂戴!」
「じゃあにこ。うってつけの仕事があるわよ」
そう言って絵里は11人を連れて部室を出る。着いた場所は生徒会室の少し奥に設けられている、この時期にしか使われない教室だった。
「学園祭実行委員会室?」
「なんか長いな」
「せやろ?だからウチらは学祭室って呼んどるんよ」
「ほら廊下で話してないで早く中に入るわよ」
プレートを見て若葉が感想を言うと夏希、希が続けて言い、絵里に注意を受ける。3人が中に入ると、2人の生徒が抱き合って喜んでいた。
「絵里、なんで講堂がくじ引きな訳?」
「昔から伝統らしくて」
にこの最もな疑問に絵里は苦笑いで返すしかなかった。そして実行委員から名前を呼ばれ、にこが鬼気に迫る表情でくじ引きの元へ歩く。にこの顔を見て一瞬引き攣った声を上げるも、委員はにこにくじを促す。
にこがくじの取っ手を掴み回す。学祭室の中には緊迫した空気が流れる。そして出て来た球の色は…
「残念。アイドル研究部、学園祭で講堂を使用できません」
白、つまりははずれ。その事実を知った部員達はその場に項垂れたり、壁や床に手を付いて落ち込んでいた。
「……取り敢えず屋上に戻ろうか」
なおも落ち込んでいるメンバーに若葉が言う。皆は項垂れたまま屋上に場所を移す。
「どーしよー!」
「だ、だってしょうがないじゃない。くじ引きで決まるなんて知らなかったんだから」
「あー開き直ったにゃ!」
「うぅ…なんで外れちゃったの」
「ま、予想されたオチね」
「にこっち。ウチ、信じてたんよ」
「うるさいうるさいうるさーい。悪かったわよ」
穂乃果の叫びを皮切りににこ、凛、花陽、真姫、希が立て続けに言い、最後ににこが一言謝る。
「気持ちを切り替えましょう」
「そうだな。講堂が使えないんじゃ他の場所でやるしかない」
「でも体育館とグラウンドは運動部が使ってますよね?」
「ではどこで」
早くも気持ちを切り替え始めている絵里、夏希、愛生人に海未が聞く。3人の代わりににこが部室を、穂乃果が廊下を提案するも、前者は狭い、後者はアホっぽいとの事で却下される。
「あとは若葉何か案ある?」
「う~ん…ここ、とか?」
『ここ?』
若葉が屋上を見渡しながら言う。
「そう屋上。簡易ステージなら親方から教えて貰ってるから何とか作れない事もないし」
「屋外ステージ?」
「確かにお客さんはたくさん入るけど…」
「それ良いね!それにここは私達にとって凄く大事な場所。ライブをやるには相応しいと思うんだ」
希とことりが首を傾げるていると、穂乃果が若葉に賛同する。穂乃果に続いて凛も賛成する。
「でも、それならどうやって屋上までお客さんを誘導するの?」
「確かにここだと偶然通り掛かるという事もないですし」
「下手すると1人も来なかったりして」
「えぇ!それはちょっと…」
真姫の言葉に花陽が不安そうな声を出す。すると穂乃果がじゃあ、とさらに提案する。
「じゃあおっきな声で歌おうよ」
「そんな簡単な事で解決する訳」
「校舎の中や外を歩いているお客さんにも聞こえる様な声で歌おう。そしたらきっと興味を持って、来てくれるよ」
にこが反論しようとするも、穂乃果は言葉を続ける。そんな穂乃果の案を絵里が笑い、穂乃果らしと言う。
「ダメ、かな?」
「いつもそうやってここまで来たんだもんね。μ'sってグループは」
「じゃあ決まりかな?」
若葉の言葉にメンバーの全員が頷く。こうしてμ'sの学園祭ライブは屋上に簡易ステージを作って行う事が決まった。
若「あ~やる気が…」
夏「いきなりどうしたんだよ」
愛「なんでも一回間違って投稿してあとがきが消えたらしいですよ」
若「はぁー…」
夏「でも落ち込んでるのは作者であって、若葉が落ち込む事はないんじゃね?」
愛「それはそうなんですけど」
若「……よし、気持ちを切り替えてあとがきやろうか」
夏「大丈夫か?」
愛「大丈夫なんですかね?」
若「さて、と。何の話をする?」
夏「う~ん。そうだなぁ、つか時系列で凄い悩んでたみたいだけど、大丈夫なのか?」
愛「実際アニメ11話で学園祭の準備から当日まで行ってますしね」
若「そうなんだよね~。だから次回次々回は多分そのあたりの話でもするんじゃない?」
夏「あ、そういえば近い内になんか起きるらしいぞ」
愛「なんかってなんですか?」
若「その内分かるでしょ」
夏「じゃあ今回はこれで終わりにするか」
若「じゃねー」