秋葉でのライブから1ヶ月が経ち、音ノ木坂は夏休みに入っていた。
「暑いよ〜」
「だからこれから皆とプール行くんでしょ」
若葉は暑さでだれてる穂乃果に言う。
これからμ'sのメンバーとプールに行く為に、2人は駅前で他のメンバーを待っている最中である。
「にしても少し早かったかな?」
「少しどころじゃないよ。何で集合時間の15分前から待ってなくちゃいけないの〜」
「15分前くらい普通じゃない?」
「普通じゃないよ!?」
穂乃果の言葉を他所に若葉は駅の壁に寄りかかる。
「そんなに暑いならトンタでシェイクでも買って来たら?」
「そうする!」
それだけ言って穂乃果は近くのトンタへ向かう。そんな穂乃果と入れ違いで2人組みの女子が若葉のもとへやって来る。
「あら若葉。もう来てたのね」
「や、おはようさん」
絵里と希だった。
「おはようございます。2人も早いですね」
「流石に私達が遅れるわけにはいかないもの」
今回のプール企画は絵里と希、そして若葉が発案したのだ。
「で、穂乃果ちゃんは?一緒じゃないん?」
「穂乃果ならあそこのトンタでシェイク買ってますよ」
希の問いに苦笑いで返す若葉。
「ほなウチも買いに」
「行かせないわよ」
「そんなぁ!」
「もう時間だし、穂乃果も戻って来てるわよ」
希もシェイクを買いに行こうとすると絵里に止められる。実際絵里の言う通りμ'sのメンバーがチラホラと遠目に見えており、穂乃果もシェイクを手に幸せそうな顔をしながら戻って来ている。
「う〜そんなぁ〜」
近くの壁に手を付きながら項垂れる希と、そんな希を不思議そうに見ている穂乃果。
それから数分もしない内ににこ以外のメンバーが揃った。
「さて全員揃った事だし行きましょうか」
「全員ってまだにこ先輩が来てないですよ?」
「にこなら今日は用事があって来れないって」
絵里がLIMEを開いて若葉に見せる。そこには確かに用事があって来れなくなった旨が書かれていた。
「用事があるなら仕方ないですね。じゃあ行きましょう!」
若葉はにこが来れない事を確認すると改札へ向かう。それにノリノリで付いて行く凛と穂乃果。残りのメンバーも3人に続き改札へ向かう。
そして電車に乗り二つ隣の駅で降りると、駅前のバス停から市民プール行きのバスに乗る。
車内はお客さんが居らず11人の貸切状態だった。
「それにしても空いてるな」
「お盆だからじゃない?」
「それにしてもだろ」
若葉は前の席の夏希と話して時間を潰している。
因みに席順は
穂こ 海
希絵 夏花
凛愛 若真
である。
「なんか席順に意図的な何かを感じるんだけど…」
「奇遇ですね。僕もです」
「何言ってるのよ。適当に座ったらこうなったんじゃない」
「そうにゃそうにゃ」
通路を挟んで隣同士の若葉と愛生人が文句を言う。その2人とは逆に少し顔を赤くしながらも、どこか嬉しそうに言う真姫と凛。前の席に座ってる夏希は楽しそうに声を出さずに笑っている。
「若いってええな〜」
「そんな年寄り臭いこと言わないの。私達だって若いんだし」
「せやね」
と明らかに後ろの席を楽しんでる希と絵里。その前では穂乃果、海未、ことりの3人がアプリの通信で遊んでいた。
そんな時間が暫し
『次は白浜。白浜でございます』
とアナウンスが聞こえ、絵里が降車ボタンを押す。バスが白浜に着き、若葉達が降りる。
『暑い!』
バスから降りた途端に夏の熱気に襲われ、夏希、穂乃果、凛が叫ぶ。
「ほら、プールまで少し歩くんだから行くよ」
と若葉が夏に敗北した3人に言い聞かせる。しかし動く気配がない為、若葉は少し強引な手に出ることにした。
「海未、真姫」
若葉に呼ばれた2人は溜息を吐きながら穂乃果と凛の、若葉は夏希の首根っこを掴み引き摺るようにプールへ向かって歩き出す。
「ちょ、歩く!自分で歩くから手を離せぇ!」
夏希が引き摺られながら抗議するも、若葉は聞く耳を持たず引き摺る。他のメンバーに助けを求めるが、全員に苦笑いで返されて諦める夏希だった。
「やっと着いたぁ!」
「にゃー!」
歩き始めて少ししてから手を離してもらった穂乃果と凛が両手を上げて喜ぶ。
「それじゃあ着替えた後に更衣室のそとで待ち合わせしましょ」
「分かりました」
若葉が人数分の入場券を買いに行ってる間に絵里と愛生人が簡単な打ち合わせをする。
そして若葉から入場券を受け取り更衣室に入る。
「それにしても酷い目にあった……」
「あれはダレた夏希さんが悪いですよ」
「そげなバカな!」
「古くないですか?」
と夏希と愛生人のやり取りをBGMに若葉は淡々と水着へ着替える。
「……あの〜若?もしかして、怒ってる?」
そんな若葉が気になったのか夏希が恐る恐る聞いてみると
「いや、別に怒ってはいないよ?でも」
「「でも?」」
「……実は泳げないんだよね」
「「……え?」」
「て、言ったらどうする?」
若葉はしてやったり顏で2人を見ると、荷物をロッカーの中に入れていく。
「何だ冗談かよ」
「ビックリしました」
夏希と愛生人もロッカーに荷物を入れ最小限の荷物を持ち、外に出る。
「やっぱ女子は遅いな」
「逆に女子待たせたらダメでしょ」
「で、若葉先輩は何で着替え中あんなに静かだったんですか?」
「あぁそれは」
「おっ待たせー!」
愛生人が先程の光景を思い出し若葉に聞く。しかし若葉が答えようとした所に穂乃果が元気良く若葉に抱き着いた。
「おっと。穂乃果、プールサイドは走ったらダメだよ?」
「はーい」
若葉はそれを受け止めながら注意する。しかし
「穂乃果、周りの目とか考えて下さい!」
「穂乃果ちゃん、状況考えて〜」
とスグに海未とことりによって引き剥がされる。
「ごめんなさいね待たせたかしら?」
「えりち、男子は女子を待ってナンボやで?」
穂乃果達の後ろから絵里と希がやって来る。
因みに凛は先程の穂乃果同様、愛生人に抱き着いては真姫と花陽に引き剥がされていた。
その際、愛生人の顔が少し赤くなっていたのを夏希は見て面白そうに笑っていた。
「さ、荷物を置く所を探しに行こ」
希に従い場所を移す一行。
結局穂乃果の乱入により若葉の沈黙の理由が聞けなかった夏希と愛生人であった。
若「今回はプールだねぇ」
夏「プールだな」
愛「プールでしたね」
若「さて、確かあとがきではその回の裏話的な事を話すんだったっけ?」
夏「まぁ間違ってはないな」
愛「正しくは感想、次回予告がメインの筈です」
若「ま、それは放っておいて。今回は完全裏話にしよう!」
夏「と、思ったんだが」
愛「尺の都合で次回に持ち越しですか」
若「まだ尺あるのに不思議だね!」
夏「寧ろこのやり取りの代わりに裏話入れろよ、と」
愛「アハハハ」
若「ま、いいや。では誤字脱字、感想、批判、アドバイス等をお待ちしております」