今回は少々短いですが、どうぞ。
若葉が夏希を殴った後、2人は夏希の要望でとある公園に向かった。
「で、夏希は何しに俺と公園に行くの?」
「ん?別に変な事はしないって」
夏希が前を歩いているため、若葉は夏希の表情が見えなかったが、若葉は黙って夏希の後に続く。
「お、グッドタイミーング。おーい亜里沙ちゃーん」
ふと夏希が手を振りながら名前を呼んだ。
若葉が夏希の背中越しにそちらを見ると、自販機の前に
「あ、夏希さん!こんにちは」
名前を呼ばれた事で亜里沙が振り向き、夏希に向かって手を振る。その手にはおでん缶が2つあった。
「紹介するな。こっちは絢瀬亜里沙。絵里の妹だ。で、亜里沙、こっちは」
「高坂穂乃果さんですよね!?μ'sの!」
亜里沙は夏希の紹介を途中で切り、若葉に詰め寄る。
「私、μ'sのファンなんです!あれ?でも今日は髪を縛ってないんですね」
「あーうん。俺は穂乃果の双子の兄の若葉って言うんだよ。よろしくね」
「ハラショー……夏希さん、日本の双子って凄く似てますね」
亜里沙の勘違いを解いた若葉は、続いた亜里沙の言葉に苦笑いする。
「別に日本に限った話じゃないけどね。それより、そのおでん缶は一体…?」
「あぁ、これは向こうでお姉ちゃんと海未さんが話してるので、持って行こうと思って」
その言葉には若葉だけでなく、夏希まで苦笑いする。
「えーと、亜里沙ちゃん?おでん缶は確かに自販機で売ってるけど、飲み物じゃないんだ」
「ハラショー」
夏希の言葉を受けて、亜里沙は手に持っているおでん缶を見つめる。
「だからこっちを買って絵里達の所に行こ?」
と夏希は缶の紅茶を5本買い、海未と絵里のいる公園に向かって歩き出す。亜里沙と若葉は顔を見合わせると、くすりと笑い合い、夏樹の後について行く。公園に入るとベンチの側で話している海未と絵里が見えた。
「私にとってはスクールアイドル全部が素人しか見えないの。1番実力があると言うA-RISEでさえ、素人にしか見えない」
絵里はそれだけ言って若葉達の方へ歩き出す。
「お姉ちゃんとゴメンね」
そんな絵里に亜里沙だけが走り寄る。
「もう話は終わったから良いわ」
絵里が顔を上げ亜里沙の頭を撫でながら言う。
「貴女に、貴女に私達の事そんな風に言われたくありません!」
海未の言葉を背中で受け、絵里は亜里沙の手を引いて公園から出る。
「よ、話は済んだか?絵里」
「貴方達、どうしてここに」
公園を出てすぐの曲がり角に夏希と若葉の姿を見つけ、絵里の表情が険しくなる。
「別に。敢えて言うならそろそろ絵里もやりたい事をやったら?って感じかな」
「私は今、やりたい事をやっているわ。そんな事貴方に言われたくないわよ!」
キッ!と夏希を睨むと絵里は1人で道を歩いて行く。
「あ、あの。これ良かったら」
亜里沙はそんな姉を見て急いで追いかけようとして、手に持ってたおでん缶を夏希と若葉に渡す。その際小さい声で
「あの、亜里沙、μ'sのこと大好きです!」
と若葉に言った。若葉は亜里沙の頭を撫でながら「ありがとう」と返し、絵里の元に走り寄る亜里沙を夏希と見送る。
「ねぇ夏希?」
「なんだ、若葉」
亜里沙を見送った体勢のまま2人は話す。
「やっぱり妹って良いね」
「黙れシスコン野郎」
「うるさいロリコン野郎」
「誰がロリコンだと?」
「俺はシスコンじゃない」
「2人は何をしてるんですか?」
若葉と夏希がシスコンだのロリコンだの言い合ってると、後ろから声を掛けられる。
「やぁ海未。こんな所で会うなんて奇遇だね」
「先程から見てましたが…」
「ならうーみんからも言ってやれよ。若はシスコンだって」
「だから違うって」
「いえ、若葉はシスコンです」
「まさかの肯定されたぁ!」
とわいわい騒ぎながら、若葉と夏希は誤魔化せた事に安堵の溜息を吐く。
そして2人と別れた若葉は家に帰るなり、裕美子から一通の手紙を渡される。
「母さん。これ誰から?」
「翔平君よ?なんか大事な物だからちゃんと中見ろよ、て言ってたわ」
「ふ〜ん」
若葉は自分の部屋に入ると翔平かららしい手紙の封を切り、手紙を読む。
「あーやっぱりか…」
手紙の内容は若葉の予想内の事だったらしく、余り驚いてはいなかった。
夏「シスコン野郎」
若「ロリコン野郎」
夏「シスコン野郎」
若「ロリコン野郎」
夏「シスコン野郎」
若「ロリコン野郎」
愛「2人とも煩いですよ?」
若「自覚はあるよ」
夏「タチ悪いな」
愛「全く。折角挿絵描いてもらったのにそんな事を言ってちゃダメですよ」
若夏「「マジで!?」」
愛「はい。マジです」
夏「で、で?誰が描いてもらったの?」
愛「それは勿論。この物語の主人公の若葉さんです!」
若「しゃー!」
挿絵を描いてくださったこいしさん、本当にありがとうございます。
愛「挿絵の方は運営の許可が出次第、載せたいと思います」
夏「て事は次の話には載せれるのかな?」
若「だね」
愛「それではまた次回!」
バイバーイ