勉強会を始めて1時間。外はもう夕暮れ時。
「う〜これが毎日つづくのかにゃ〜」
「当たり前でしょ」
小休憩を取っていると凛がボヤき始めた。真姫がそれを嗜めると
「あー!白いご飯にゃー!」
「えぇ!?」
凛が窓の外を指差しながら大きな声を上げる。それに吊られて窓の外を見る花陽。真姫は凛の額に手刀を入れ
「引っかかると思ってる?」
凛をジト目で見ながら聞く。吊られた花陽はと言うと「炊きたてなのかー?」と言いながら窓の外をキョロキョロしている。
「ことりちゃん」
「なに?あと1枚よ。頑張って」
「おやすみー」
「えぇ!?穂乃果ちゃん!穂乃果ちゃ〜ん!」
穂乃果は穂乃果で寝始めていた。ことりがそれを起こそうとするも、まったく起きる気配のない穂乃果。
「全く。ことり、あとは頼みます。私は弓道部の方に行かなければならないので」
「わかった!起きて〜」
海未に穂乃果を任されたことりは、相変わらず寝ている穂乃果を起こそうと頑張る。
「分かった。分かったってばー」
「じゃあ次の問題の答えは?」
一方にこはと言えば希と若葉の2人体制に変わっていた。
若葉に教えて貰っていた夏希と愛生人は、今は宿題に取り掛かっている為若葉は不必要になったのだ。
「に、にっこにっこにー」
若葉の質問に誤魔化して答えるにこ。その答えを聞いた若葉は指をパチン、と鳴らす。するとにこの後ろに構えていた希がワシワシを開始する。
「ぎゃー止めてー」
「
海未は部室から出る時にそんなカオス空間を見て溜息を一つ
「これで身についているのでしょうか…」
と呟く。しかし騒がしい部室でその呟きを拾う人は居なかった。
海未が出て行ってから少し、若葉が穂乃果を起こし、凛も愛生人にはげまされ、にこも
そんな中若葉が一つノビをし
「今日はそろそろ解散しようか」
「そうね」
「これ以上やっても逆効果みたいだし」
ことりと真姫の視線の先には机に突っ伏している穂乃果と凛がいた。
「仕方ない。穂乃果は俺がおぶって帰るとしようかな」
「じゃあ凛ちゃんは僕が」
「じゃあ私が荷物持つよ」
愛生人が凛を背負い、花陽が凛と愛生人の荷物を持つ。
「あー若、ちょっといいか?お前に少し話がある」
穂乃果を背負った若葉に夏希が言う。若葉は夏希の真面目な表情を見ると穂乃果をことりに渡し、先に帰らせる。
「それで話って何?」
2人きりの部室で若葉が口を開く。
「いや、若なら良いかなって。新歓の時のも聞かれてたみたいだし」
「新歓の時?」
夏希の言葉に若葉はその時の事を思い出した。あの時、夏希はライブの後とある人物と話していた事を。
「あの話は本当なの?」
「ああ本当だ。俺はあいつ……絢瀬絵里と幼馴染みだ」
夏希の言葉に若葉は驚く
「ふーん。そうなんだ」
事もなく何の事でもないかのように返す。その返事が想定外だったらしく、夏希は「えぇー…」といった表情で若葉を見ている。
「や、別に無関心だとかそういった事じゃないよ?ただね、新歓の日に聞いてるからその事実だけのインパクトが余りないんだよね。それに夏希が1個上だろうが、タメだろうが、俺はそんなに気にしないし」
苦笑いしながら弁明する若葉と、それを見て思わず笑う夏希。
「うん。やっぱ最初にお前に言って正解だったよ。因みに俺はお前の1個上な?」
「ほうほう成る程成る程。じゃ、これからもよろしくお願いします夏希先輩」
「敬語と先輩付けは止めろ」
2人は笑いながら今まで通りの会話を繰り返す。
「話は戻して、これからは少し細かい話をしようと思う」
「と、言うと?」
「絵里について、かな」
夏希がここからが本題だと言わんばかりに話を戻す。
「絵里は昔、本格的なバレエの世界で活躍していてな。その時の経験からスクールアイドル全体を否定的に捉えてるんじゃないかと思うんだ」
「成る程。それで穂乃果達と対立してるんだ?ま、こう言っちゃ何だけど、絵里先輩の件は夏希が介入した方が早いんじゃない?」
「いや、お前も手伝うなりしろよ」
少し投げやりに答えた若葉に夏希が突っ込む。
「いや、多分絵里先輩をどうにかするんだったら、良く知ってる夏希や希先輩に任せた方が良い気がするんだよね」
「そうゆうもんか?」
「そうゆうもんだと、俺は思ってるよ」
「そうか、じゃあ任された」
そう言って夏希は荷物を持って部室の扉を開ける。若葉も荷物を持ち、夏希のすぐ後に続いて部室を出る。
「そう言えばさ、なんで夏希は学年が1個下がったの?留年?浪人?」
「お前、そうゆうのサラッと聞くのかよ」
「良いじゃん良いじゃん」
職員室に部室の鍵を返し昇降口で靴に履き替える時に若葉が聞いた。
「ま、アレだよ。ちょうど今頃に事故って半年近く入院、出席日数足らずで留年」
門から出ながら夏希が言う。
「何とも不幸だね」
「まぁな、でもお陰で免許取れたし」
「どうして!?」
「ほら俺って4月生まれだから」
「そこを聞きたいんじゃないよ!」
若葉が思わず突っ込む。夏希はそれを面白そうに笑い
「だって退院した時には既に留年確定なんだぜ?だったら学校行かなくて良いかな?って。親も無理して行かなくて良いっつーし」
「だから暇な時に免許取ったって?」
「ご名答」
その時の夏希のドヤ顔に若葉は思わず手に持っていた鞄を夏希に叩きつけたとかつけたとか…
夏「で、若本人の妹に弱いっての以外何かある?」
翔「う〜ん若葉のマイナス要素はそれくらいか?探せばありそうだけど」
愛「んー…そう言えば話変わりますけど、夏希先輩に彼女がいるって本当ですか?」
夏「貴様!その情報をどこから」
愛「若葉先輩から」
若「ドヤァ」
夏「若、その情報はどこから?」
若「近所のお母さん方の証言」
翔「で?本当にいるのか?」
夏「まぁいるっちゃーいるけど」
愛「けど?」
夏「あんまり名前を公表するのはあいつにも迷惑だろうから、公開は本編でやるさ」
若「まぁ
翔「お、そろそろ終わりにしろってさ」
夏「じゃあさよなら」
愛「バイバーイ」
若「今回本編に全く触れなかったね。結構重要な筈なのに」
翔「まぁまぁ兎に角終わりにしよう」
若「それでは次回もまた見てくれるかなー?」
翔「では誤字脱字、感想、アドバイス等をお待ちしております!」