「大変申し訳ありません」
「ません」
「……でした」
あれから場所を部室に移して成績の話になった。
そして穂乃果、凛、にこの3人が机の上に手を揃えて頭を下げていた。その正面には3人を除いたμ'sの面々が立っていた。
「小学校の頃から知ってはいましたが…穂乃果…」
「数学だけだよ!ホラ、小学校の頃から算数は苦手だったでしょう?」
穂乃果の言葉に若葉が頷く。どうやら何かあったようだ。
「7×4は?」
「……にじゅう……ろく?」
どのくらい苦手なのかを測る為に、夏希が試しに出した九九でさえ間違え、立っている人達は一斉に苦笑いを浮かべる。
「で、凛ちゃんは何がダメなの?」
「凛は英語。あれだけはどうしても肌に合わなくて…」
愛生人の質問に凛が立ち上がりながら答える。
「確かに。英語は難しいよね」
と凛の言葉を受けて花陽も頷く。すると我が意を得たりとばかりに凛が続ける。
「そうだよ。大体凛達は日本人なのに、どうして外国の言葉を勉強しなくちゃいけないのー!」
「屁理屈はいいの!」
「にゃ〜真姫ちゃん怖いにゃ〜」
「これでテストの点数が悪くてエントリー出来ませんでした。じゃ恥ずかし過ぎるでしょ!」
凛の屁理屈に腹を立てた真姫が凛を注意する。
「それで、にこ先輩も数学ですか…」
先日リーダーを決める際に行った回答用紙を見ながら若葉が言う。
「に、にににっこにっこにーが弱点をそのままにしとくわけないでしょー」
「じゃあ中間考査の結果を見せて下さい」
にこにーのポーズをしながら言うにこに、若葉が手を差し出す。
「う…」
結果を若葉に差し出し、項垂れるにこ。若葉は渡された結果用紙を見ると
「にこ先輩…数学が悪過ぎません?穂乃果といい勝負ですよ」
と止めを刺しに掛かる。
「煩いわね!そうゆうあんたらはどうなのよ!」
にこが若葉、夏希、愛生人に向かって言うも3人は特に恥ずかし気なく中間考査の結果を差し出す。
高坂若葉 487点 佐渡夏希 395点 片丘愛生人 415点
「「「…………」」」
結果を覗き込んだ穂乃果達3人は驚き
「お兄ちゃんって頭良かったんだね…」
「アキ君…酷いにゃー」
「何でこんな点取れるのよ…」
と3者3様の言葉を漏らす。実を言うと中間考査の前に夏希考案の緊急勉強会が開かれた事を、穂乃果達は知らないのだった。
「若葉は教えるの上手だよな」
「分かりやすくて助かりましたよ」
夏希と愛生人はその時の事を思い出しながらしみじみと首を縦に振る。
「とにかく、試験までは私とことり、夏希と若葉で穂乃果を、花陽と真姫、愛生人で凛の勉強を見て苦手科目の底上げをしていきます」
海未の言葉に不満そうな声を上げる穂乃果と凛。しかし赤点間近の人はもう一人いる。
「それは良いけど、にこ先輩は?」
「だから言ってるでしょ。にこは」
「それはウチが担当するよ」
真姫の言葉に言い返そうとしたにこの台詞を遮る形で、部室の扉が開き部室に入って来る。
「希?」
入って来たのは生徒会副会長の東條希だった。
「だ、だからにこは必y」
「言う事聞かないと胸をワシワシするで?」
未だ渋るにこの胸を掴んで言い聞かせる希。するとにこは観念したのか、希に臨時家庭教師を頼んだ。
「希先輩。ちょっと教科書見せて貰って良いですか?」
にこの家庭教師が決まり、さぁ勉強会を始めよう!といった所で若葉が希に言う。
「別にええけど、分かるの?」
「どうでしょう?」
と希に返事しながら教科書をパラパラと捲る。そして時折「あ、ここ分かる」だの「ここは知らないや」と呟きながらページを捲っていく。
「え〜と若葉君?」
「あ、失礼しました。教科書ありがとうございました」
希に名前を呼ばれ教科書から顔を上げる若葉。それから教科書を希に返すと
「希先輩。にこ先輩に教えるの手伝いますよ」
衝撃的な言葉を放つ。その言葉に驚きつつも希は聞く。
「い、いやいや。手伝うって若葉君2年生やん?さすがに3年の数学は分からないんじゃない?」
「いや〜前の学校……というより担任がちょっと特殊でしてね?高1の最後の方に、無理矢理3年の数学の問題をやらされたんですよ」
「いや、特殊って。つか1年なのに3年の問題やってたのかよ。2年の問題はどうしたんだよ」
若葉の言葉に夏希が聞くと
「いや俺数学専攻コースってヤツだったから1年の範囲は2学期中盤までに終わらせて、残りの3学期終わりまでは2年の範囲終わらせてるんだよね。でも他の科目は普通の高校より少し速いくらいのペースだって聞いてたよ?」
「え、ちょっと待って下さい。若葉先輩ってどこの高校行ってたんですか?」
「
『た、高蓑原!?』
若葉の出した高校の名前に穂乃果以外の全員が驚きの声を上げる。
高蓑原高校とは、国数英理社の5つの専攻コースが設けられている高校でら入試に受かるのが難しいと言われている高校である。若葉はその難関校を受け、5つのコースの最難関と言われる数学専攻コースに受かったのだ。それは驚くだろう。
「う〜ん。にこっちを教えるのは間に合ってるから、若葉君には夏希君と愛生人君をお願いしようかな」
「分かりましたー。ほら2人ともやるよ」
若葉は夏希と愛生人を机の端に呼び、勉強を教える。
「よし、これで準備は出来たね。それじゃあ明日から頑張ろー」
「おー!」
「今日からです」
穂乃果と凛が手を上げるが海未に一蹴される。それからμ'sの勉強会が始まった。
夏「若葉って頭良かったんだな」
若「え、俺ってそんな馬鹿に見えたの?」
愛「寧ろ若葉さんの弱点て何ですか?」
若 「弱点?」
夏「だって色んなバイトしてるだろ?運動も出来て、歌も上手い。料理も出来て、勉強も出来る。完璧超人かよ!」
愛「と、言うわけで今回はこの人に来て貰いましたー」
翔「ども中田翔平でーす」
夏「まだ小説内では愛生人と会ってないんだよな」
若「まさかこっちで先に会うなんてね」
愛「ま、それは良いとして。翔平さん翔平さん。若葉先輩の弱点とか知りませんか?」
翔「弱点?なんでまた」
夏「運動、歌、料理、勉強全てが良の若葉になんか弱点無いかなーて」
翔「敢えて言うなら妹に甘い。かな」
夏愛「「あーーー」」
若「そのあーーー、はなんなの?」
夏「いや納得出来るなぁって」
愛「確かにその毛はありますね」
翔「あとは方向音痴ってくらいか?」
『あー』
続きは次回!