アニライブ!   作:名前はまだ無い♪

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なんか出来ちゃった〜by凛

次の日、アイドル研究部の部室ではμ'sのメンバー10人で会議が開かれた。議題はもちろん

 

「リーダーには誰が相応しいか。大体私が部長になった時点で一度考えるべきだったのよ」

 

そうリーダーは誰なのか。前日に希に聞かれた質問を話したところ緊急会議が開かれたのだ。

 

「リーダー、ね」

「私は穂乃果ちゃんで良いと思うけど…」

 

夏希の呟きにことりが返す。

 

「ダメよ。今回の取材でハッキリしたでしょ。この子にリーダーにまるで向いてないの」

「それはそうね」

 

しかしにこはことりの言葉に反対し、真姫も賛同する。

 

「そうとなったら早く決めた方が良いですね。PVもありますし」

「PV?」

「リーダーが変われば必然的にセンターが変わるって事ですね!」

 

愛生人の台詞に穂乃果が疑問で返す。それに花陽が喰い気味に言う

 

「次のPVは新リーダーがセンターよ」

「そうね」

「でも誰が…?」

「リーダーとは!」

 

ことりの言葉ににこは若葉に目配せをしながら立ち上がる。若葉もにこの横にあるホワイトボードの側に立つ。

 

「先ず第1に誰よりも熱い情熱を持って皆を引っ張っていける事!」

 

にこの言葉をそのままホワイトボードに書いていく若葉。

 

「次に精神的支柱になれるだけの懐の大きさを持った人間である事!」

 

その場にはにこの声と若葉がホワイトボードに書いていく音しかしない、皆を真面目に聞いているのだろう。

 

「そしてなによりメンバーに尊敬される存在である事!この条件を全て備えたメンバーとなると!」

 

にこがメンバー全員に問いかける。最初に口を開いたのは若葉で

 

「あ、『この条件を〜』からも書いちゃった」

「今その話要らないわよね!?」

 

にこのツッコミが飛んだ。若葉はクリーナーで不必要な部分を消し、話を戻す。

 

「え〜と?にこ先輩の提示した条件に見合った人は誰かって話でしたっけ?」

「凛は海未先輩が良いと思いまーす!」

「私が!?」

 

凛が手を上げながら元気に答える。凛に指名された海未は驚いた声を出す。

 

「そうだよ。海未ちゃん向いてるかも、リーダー」

「穂乃果はそれで良いんですか?」

「え?何で?」

 

穂乃果が賛成の意を決して唱えると、海未が穂乃果に聞く。しかし穂乃果は質問の意味が分からず、疑問に疑問で返す。

 

「リーダーの座を奪われようとしているのですよ?」

「ふぇ?それが?」

 

海未が説明するもイマイチピンとこない様子の穂乃果。そんな穂乃果を見てにこは小声で若葉に耳打つ。

 

「あんた達も大変ね」

「慣れればどうって事ないですよ」

 

そんな2人の会話が聞こえてない海未と穂乃果はまだ話していた。

 

「何も感じないのですか?」

「だって皆出μ'sやっていくのは一緒でしょ?」

「でも!センターじゃなくなっちゃうかもですよ!」

 

お気楽な穂乃果の答えに花陽が声を大きくして言う。花陽に言われて納得の行った表情の穂乃果は、ひとつ手を打ち暫し悩んだ後

 

「ま〜いっか」

 

と何事も無かったかの様に答える。

 

『えぇー!!!』

 

それには若葉以外が予想外だったらしく、その若葉も溜息を吐く。

 

「じゃあリーダーは海未ちゃんと言うことにして」

「ま、待って下さい!」

 

穂乃果が会議を終わりにしようとすると海未から待ったが掛かった。

 

「いきなりリーダーと言われても無理です……」

 

声が段々と小さくなる海未の抗議。真姫が面倒な人、と小さく呟く。

 

「じゃあことり先輩?」

「ん?私?」

 

花陽の発言に首を傾げることり。

 

「ことりはどっちかと言うと副リーダーって感じだよね」

 

若葉の言葉にことり以外の全員が頷く。

 

「それなら若葉先輩がやればいいにゃ!」

「それは一理あるわね」

 

凛の提案に真姫も賛成する。

 

「いやいや流石に男がリーダーはマズイでしょ」

 

しかし若葉の最もな言葉に渋々と納得する2人。その後も誰がリーダーに向いてるか話し合うも、結局決まらなかった。その間にこが仕方ないわね、と何回も言っていたが(つい)ぞ反応されなかったのはここだけの話。

 

「分かったわよ。じゃあ歌と踊りで決めようじゃない!」

 

とにこの提案が出た所で全員がそれで決まるなら、と頷き、カラオケに向かう。

 

「これで決着をつけようじゃない!」

「決着?」

「皆で得点を競い合うつもり?」

「そうよ!そして一番得点が高かった人がリーダー!」

 

凛と夏希の問いにマイクを持って答えるにこ。真姫と海未はあまりのり気では無さそうだが、やる事に。

 

「くっくっく。こんな事もあろうかと高得点の出やすい曲のピックアップは既に完了している。これでリーダーの座は確実に」

「にこ先輩。黒いのがダダ漏れですよ」

 

メモ帳を手に笑っていると、隣に座っていた若葉に注意される。

 

「う、うるさいわね!それじゃあ始めるわよ!」

 

マイクを持って立ち上がり部屋を見回すと、全員が遊び気分で話していた。そこに緊張感と言うものは無かった。

 

「あんたら緊張感無さ過ぎー!」

 

にこの叫びがただ響くだけだった。

そして全員が一通り歌い得点が揃う。得点は

 

にこ 94点、穂乃果 92点、海未 93点、ことり 90点、真姫 98点、花陽96点、凛 91点

 

と全員が90点を越えていた。因みに男子3人はと言うと

 

若葉 99点、夏希 90点、愛生人 95点

 

だった。

 

「毎日のレッスンの効果が出てるね」

「真姫ちゃんが苦手な所ちゃんとアドバイスしてくれるし」

「気付いてなかったけど、皆上手くなってるんだね〜」

「つーか若葉と真姫ちゃんが凄いと思うんだが…」

「こいつら化け物か…」

 

若葉、花陽、凛の感想に混じって夏希とにこが呟くも誰にも聞こえていなかった。

 

「次はダンスよ!」

 

カラオケ店を出て次に向かったのはゲームセンター。にこがダンスマシーンの前で説明を始める。

 

「今度は歌の時みたいに甘くないわよ。使用するのはこのマシーン。アポカリプスモードケキストラ!」

「ことりちゃん。もう少し右!」

「おぉー!」

『取れたー』

 

とにこを無視して穂乃果、ことり、凛はクレーンゲームをしていた。

 

「だから緊張感無さ過ぎよ!」

 

にこが突っ込む。しかし、そんなにこの肩を夏希が叩く。

 

「何よ!」

「あっちは緊張感MAXだぞ?」

 

夏希が指差した方では若葉と愛生人がシューティングゲームをしていた。難易度は一番高いルナティックモード。心無しか愛生人の目が普段より細くなっている。

 

「若葉先輩手榴弾を!」

「了解!」

 

と愛生人の言葉とほぼ同時に画面の中の若葉のキャラがゾンビ集団に手榴弾を投げ、殲滅する。いつもと違う愛生人に暫し呆気に取られるも、にこは一つ咳払いをし

 

「あ、あれは放っておきましょう」

 

と見なかった事にした。

 

「気を取り直してやりましょ」

「凛は運動は得意だけどダンスは苦手だからな〜

「こ、これ、どうやるんだろう…」

 

と、どこか不安が残る中プレイをする。

 

「プレイ未経験ゼロの素人が挑んでまともな点数が取れるわけないわ。くっくっく、カラオケの時は焦ったけどこれなら」

 

とまたも黒い笑いをするにこだが

 

「なんか出来ちゃった〜」

 

凛がAAのスコアを叩き出し唖然とする。

その後シューティングゲームを終わらせた愛生人と若葉を最後にダンスゲームは終わりを告げた。スコアは

 

にこ A、穂乃果 A、海未 A、ことり B、真姫 B、花陽 C、凛 AA、若葉 S、夏希 AA、愛生人 SS

 

となった。アポカリプスモードケキストラの最高スコアはSSS。つまり愛生人はもう少しで最高スコアを出していたのだ。

 

「愛生人…凄…」

 

それなりに自信のあった若葉でさえ呆気に取られていた。

 

「昔からゲームと名の付くものは得意でしたから」

 

と当の愛生人は笑いながら答える。

 

「面白かったね」

「でも中々差がつかないね」

 

凛の言葉に全員が唸る。

 

「それなら

「それなら最後の種目はあれしかないでしょ」

 

それを見てにこが何か言うも若葉に先を越される。

 

『あれ?』

「そう。あれとはズバリ、学力!」

「て事はテストでもするのかしら?」

 

若葉の答えに真姫が聞く。

 

「そ、最近のアイドルには学力も必要だって事。と、言うわけで学校に戻ってテストやるよー!」

『えー!』

 

ほとんどのメンバーが叫んだが、若葉は聞こえないフリをする。

 

「大丈夫大丈夫。テストは4年前の音ノ木坂の入試の過去問だから学年によるハンデは無いよ」

『そうゆう問題じゃない!』

 

一斉に若葉に突っ込むも若葉は笑って流す。

そしてアイドル研究部の部室に戻り、テストを始めた。過去問は図書室を漁ったら見つかったのでそれをコピーして使った。テストは基本的な5教科500点満点。そして結果は

 

にこ 276、穂乃果 270、海未 422、ことり 457、真姫 468、花陽374 、凛 278、若葉 498、夏希 365、愛生人 479

 

となった。

若葉の点数に皆が驚いたのは言うまでもない。

 

「結局皆の総合は並ぶんだね」

「そうですね。なんやかんやで並びますね」

 

結果を見て若葉と愛生人は唸る。他のメンバーは疲れたのか、少しダラけている。

 

「もー!どうするのよー!」

 

にこがイラついて叫ぶ。

 

「じゃあ良いんじゃないかな。無くて」

「穂乃果。それはリーダー無しでも良いんじゃって事?」

「うん」

 

穂乃果の発言に若葉が聞くと穂乃果は頷く。

 

「リーダー無しでも全然平気だと思うよ?皆それで練習してきて、歌も歌ってきたんだし」

「な…リーダー無しのグループなんて聞いたことないわよ!」

 

にこが反論し、真姫もセンターをどうするのか聞くと

 

「それなんだけど、皆で歌うってどうかな?」

『?』

 

穂乃果の言葉に全員の頭の上に?が浮かぶ。

 

「え〜と穂乃果。説明頼んでいい?」

「あのね。他のアイドルの動画とか見て思ったんだ。なんかね、皆で順番に歌えたら素敵だなーって。そんな曲作れないかなーって」

「順番に?」

「そう。無理、かな?」

 

若葉に答えるように穂乃果の説明し、花陽の問いを海未と真姫に聞く形で答える。

 

「まぁ歌は作れなくは無いけど…」

「そうゆう曲、無くはないわね」

 

海未は少々戸惑っているが、真姫はのり気である。

 

「ダンスの方はどうかな?」

 

2人の答えを聞き今度は若葉がことりに聞く。

 

「今の7人なら出来ると思うよ」

 

どうやらことりものり気なようだ。それを見て穂乃果が嬉しそうに笑い

 

「それならそれがいいよ。皆が歌って皆がセンター!」

 

と両手を上げて宣言する。それから皆が賛成していって後はにこの意見を聞くだけになり

 

「仕方ないわね。ただし私のパートはカッコよくしなさいよ」

 

どこか嬉しそうに言うにこ。

 

「了解しました」

 

それに笑って返すことり。

 

「よし、そうと決まったら早速練習しよう!」

 

と部室を飛び出す穂乃果。部室に残っている他のメンバーは顔を見合わせ、笑顔で穂乃果の後に続いた。

 

「でも本当にリーダー無しで良いのか?」

 

屋上に続く階段を上りながら夏希が言う。

 

「それなら、ね」

「えぇ。もう決まってますよ」

 

若葉と海未の言葉に首を捻る夏希。

 

「不本意だけど」

「なんにも囚われないで一番やりたい事、一番面白そうな事に怯まず真っ直ぐに向かっていく」

「それは穂乃果にしか無いものかもしれないね」

 

真姫、海未、若葉は走って階段を上る穂乃果を見ながら言う。その3人の言葉に全員が納得の行った表情で頷く。

 

「じゃあ始めよう!」

 

 




愛「今回は随分長かったですね」
夏「良いんじゃない?」
若「そう言えばカラオケの時に流れてたBGMってラブノベルスなんだよね」
愛「一体何の話ですか」
夏「そんなんアニメに決まってんじゃん」
愛「では次回アニライブ『た、助けて〜』」
夏「次回も楽しみに待っててくれよ!」
愛「誤字脱字、感想、アドバイス等をどしどしお待ちしております!」

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