『撮らないで!』
今は部室に戻り撮影したビデオを皆で見返している。
「でも確かにここまで撮ったのを見ると確かにね〜」
「ダラけてるって言うより…」
「寧ろ遊んでる?」
凛が机に頭を置いて歯切れ悪く言うも、希と夏希によってバッサリと切られる。
そんな2人の声に驚いた声を出す花陽。
「ま、でもスクールアイドルの活動の本番は練習だからね」
「そうですよね」
若葉と愛生人がフォローを入れる。
「よし!皆気合い入れて行こう!」
穂乃果の号令でメンバーが練習着に着替え始める。男子組は先に屋上に行き練習の準備をしている。
「それにしてもビデオはあれを使うのか?」
「流石にマズイんじゃないですか?」
「ビデオは希先輩も言ってた通り、編集するから多分大丈夫だよ」
「だと良いんだけど」
「俺も編集を手伝うからそんなに変なのは出来ないから、安心してよ」
「若葉先輩がそこまで言うなら…」
といつも通り雑談しながら準備を進める。
そして階段の方が騒がしくなる。少しして穂乃果を先頭に海未、ことり凛、花陽、真姫が屋上に出て来る。
「さ、練習を始めるぞ」
「先ずはストレッチから〜」
皆が2人1組になり広がる。現在のμ'sは7人と奇数なので、愛生人が補う形でストレッチの手伝いをする。
そして各自でストレッチが終わったら次はステップの練習。
「いくよー!1.2.3.4」
若葉の号令でステップを踏んでいく。
「花陽ちゃんは少し遅い」
「は、はい」
「凛ちゃんは少し早いよ」
「はい!」
とステップのズレを指摘していた。
「ちゃんとやりなさいよー?」
「にこ先輩、昨日言ったステップが間違ってますよ」
「わ、分かってるわよ」
若葉の指摘に少し気まずそうに答えるにこ。
「真姫ちゃんもっと大きく動いて」
「はい!」
「穂乃果ちゃん疲れてきた?」
「まだまたぁ」
「海未、もう半歩右に」
「はい!」
「ことり、今の動き忘れずに」
「うん!」
「ラストー」
若葉の掛け声でラストのポーズを取り、一旦休憩となった。
『かれこれ一時間、ぶっ通しでダンスを続けてやっと休憩。全員息は上がっているものの、文句を言う者はいない』
「どうですか?」
ナレーションをしている希のもとへ若葉が近付きつつ聞く。
「やっぱ練習だと迫力が違うね。やることやってるって感じやね」
「そりゃあカメラが手に入り次第、PV撮りたいですからね」
「ねぇ若葉君。一つ聞いてもいい?」
「何ですか?」
「練習って普通リーダーが指揮するものじゃない?」
「それは……」
希の問いに気まずそうに穂乃果を見る若葉。希もつられて穂乃果を見ると、丁度夏希から受け取った水を飲んでいるところだった。
「あれ、だから…ねぇ…」
「なるほどね〜。若葉君も苦労してるってことやね」
「まぁ、そう言う事です」
何気に酷い2人であった…。
そしてその後にパートごとのステップの確認をして練習を終わりにした。
「お疲れさん」
「あ、希先輩。どうしたんですか?」
練習着から制服に着替え、昇降口に向かうと希がいた。
「穂乃果ちゃん達を待っとったんや」
「どうしてですか?」
「ちょっとお宅拝見をしようかと」
カメラを片手にイタズラな笑みを浮かべる希。
穂乃果は後ろにいた若葉と、その日穂乃果の家に遊びに行く予定の凛を見る。
「別に良いんじゃない?元から友達が行くって言ってあるし」
「そうだね」
と言う事で希も穂乃果の家に行く事になった。
☆☆☆
〜穂むら〜
「「ただいま〜」」
「「お邪魔しまーす」」
「あら〜いらっしゃ……」
裕美香の言葉が途中で止まる。不思議に思った4人は裕美香の視線の先、希の持ってるカメラを見た。そして若葉が何か言う前に
「ちょっとそういうのが来るなら先に言ってよ!ちょっと待っててね」
と奥に行ってしまう。若葉は一つため息を吐き
「母さ〜ん。生徒会の人だよ〜。家族の話をちょっと話を聞きたいってだけだからそんなに気合入れなくても…」
「そういうわけにはいかないの!」
若葉の言葉も意に介さず、奥でドタバタと騒がしい音が響く。
「てゆうか化粧してもしなくても同jフクァ!」
穂乃果が言ってはいけない発言をしようとした所にボックスティッシュが飛んできた。それは見事に穂乃果の顔に当たり若葉の手に収まる。
「化粧の前に物を投げる癖をどうにょ!」
今度は若葉目掛けてテレビのリモコンが飛んできた。それも見事に若葉の顔に命中。リモコンはそのまま床に落ちる。
「2人とも大丈夫なん?」
揃って顔を押さえる兄妹を見て希が心配そうに聞く。
「な、何とか」
「私も」
それから若葉は店の厨房へ、穂乃果達は妹の雪穂の部屋へ向かう。
「雪穂ー入るよー?」
穂乃果がドアを開けるとそこには
「もう少し〜〜あと、一穴ぁ〜!」
とベルトと奮闘する雪穂のすがたがあった。
穂乃果は何も見なかったかの様にドアを閉める。
「すいません…2人ともあんな感じなんで…」
穂乃果は凛と希を自室へ招いて座る。
「お父さんは?」
希がまだ見てない父親について質問する。
「それなら厨房に」
「入るよ〜」
穂乃果の台詞を遮って若葉が入って来た。
「あ、お兄ちゃん。お父さん何だって?」
「いやそれがね?」
厨房へ行った若葉が父親に生徒会の話をすると、無言で背中越しに手を振られたらしい。
「つまり『ま、頑張れよ』的なメッセージだと思うんだよね」
「無言でも分かるんやね」
「まぁ大体なら」
希が若葉に感心する凛と希。
「ここは皆集まったりするん?」
穂乃果の部屋を見回しながら聞く希。
壁際にある本棚にギッシリと入っている漫画。意外に綺麗に使われてる様子の机。そして本棚の前に置かれている『歌詞ノート』と書かれたノート。
「うんことり先輩と海未先輩はいつも来てるみたいだよ〜。おやつも出るし!」
「おやつって言っても俺が作ったりしてるやつだけどね〜」
凛の言葉に少し笑いながら続ける若葉。
実際に海未達が来てる時に出す和菓子の殆どは若葉が試作品として出している物である。
「ふ〜ん」
希は生返事をしながら歌詞ノートを手に取る。
「これで歌詞を考えてるんやね」
「うん。海未ちゃんが」
「え?」
希が穂乃果の返事に驚いた声を出す。
「歌詞は大体海未先輩が考えるんだ〜」
続く凛の台詞に、希は若葉に確認する為目を向ける。若葉は希の言いたい事を摘んで頷く。
「それじゃあ振り付けを考えたりするのが」
「それはことりちゃんとお兄ちゃんが」
再び若葉を見る希に再び頷く若葉。
「じゃあ貴方は何をしているの?」
「ごはん食べてー、テレビ見てー、他のアイドルを見て凄いなぁ〜って思ったり。あ、3人の応援もしているよ!」
三度目の確認の為に若葉を見ると彼は遠い目をしてどこかを見ていた。これも事実他のだろう。
「ウチ前から思ってたんやけど、穂乃果ちゃんてどうしてμ'sのリーダーなん?」
希の質問に暫し沈黙が続く。そしてその話は翌日アイドル研究部で話し合うことになり、その日は希と凛は帰って行った。
若「ふむ」
愛「どうしたんですか?」
若「いやね。この話なんだけど」
夏「なんで穂乃果ちゃんがリーダーなのか、てとこ?」
若「μ'sの創始者だからって理由にならないのかな?」
愛「それとリーダーは別じゃないですか?」
夏「次回アニライブ!」
愛「いきなり過ぎですよ!?」
若「次回『何か出来ちゃった〜』」
愛「付いていけてる!?」
夏「ではさよなら〜」
若「なら〜」
愛「ご、誤字脱字、感想、アドバイス等をお待ちしております!それとTwitter始めたのでそちらも!」