IS〜世界を変革する者たち〜(凍結中)   作:剣舞士

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今回はちょっと長めで投稿しております。


第4話 ファーストミッション

アリサは確かに見た。緑色の粒子を放出しながら、こちらになってくる機体の姿を。

 

 

「んっ? あれは……」

 

「どうしたんだい? アリサ」

 

「ほら、あそこ!」

 

 

 

ビリーはアリサが指差した方へと目を向けて見る。そして、その機体の姿を捉えた。

 

 

「あれは…ッ⁉ すごいな、もう一機新型があるなんて…しかも、あの機体はフルスキンじゃないか!」

 

「いや、あれは…あの機体は…」

 

 

 

ビリーは技術者としての目でここへ降り立つ機体を眺め、評価するが、アリサの目は戦闘員の目になって機体を注意深く見ていた。

その時だった。アリーナを中心にスクランブルがかかり、警報がなる。

 

 

 

「えっ?! Unknowが近づいてる?! どこからッ!レーダーには映って…って! なんなのよ!! 電波悪すぎよ⁉ どうなってんの?!」

 

 

 

突然怒り出すエミリア。そして、こちらでも。

 

 

 

「ダメです! エミリアとの通信が出来ません!」

 

「なんだとッ!」

 

「通信までもが妨害されてるなんて……アリサ、これはひょっとして…」

 

「えぇ、おそらくあの機体が出してるあの『緑色の粒子』がそうさせてるのかもしれないわね……ッ!」

 

 

 

 

突然の事態にパニックになるアリーナ全体。しかも、軍の通信機だけではなく、携帯などの電子機器も使用不可となっているみたいで、観客達は応援や警護の連絡すらできないでいるのだから、それが普通の反応だ。

そして、それは管制塔も同じみたいで…

 

 

 

「どう言う事だ! なぜすぐに見つけられなかった!?」

 

「あのUnknowはこちらのレーダー索敵に映っていません!」

 

「そんなバカな話があるか…ッ!」

 

「しかし、いくらやっても捉える事が出来ませんッ‼」

 

「な、なん…だと……ッ!? おいッ! 映像は回せるのかッ!?」

 

「は、はい! 可能です!」

 

「最大望遠で写せ!」

 

 

 

上官の指示により、管制員が大画面のディスプレイにその姿を映し出す。

 

「「「おおぉぉぉ!!!!」」」

 

「こ、これは、ISなのか…っ?」

 

 

 

 

 

 

 

同時刻。アリーナ中央、やっと敵機を視認したエミリアが戦闘準備に入る。

 

 

 

「あれね、どこの誰だか知らないけど…っ! 勝手に人の領土に足を踏み入れたんだ! 覚悟はできれるよねぇッ?!」

 

「あのバカッ! あれの開発に一体どれほど莫大な資金をつぎ込んだと思ってるんだ!?」

 

「いいではありませんか…これでイナクトの性能もより皆様に分かって頂けると思えば安いものですよ?」

 

 

 

二人の男性がそんな会話をしている…恐らくあのイナクトの開発に携わった関係者なのだろう。そして、エミリアは臨戦態勢に入り、イナクトの武装である高振動ブレイドを展開し、そのブレイドの刃の部分が振動によって耳をつく様な音をかき鳴らす。

 

 

 

「私の名前は、エミリア・コーラサワー。過去二千回の模擬戦では負けなしのスペシャル様なのよ!」

 

 

 

そう言うとイナクトがイグニッション・ブーストで一気に近づく。

 

 

 

「これで終わりだあぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 

高振動ブレイドを敵機の胸部目掛けて放つ。

 

 

 

「エクシア 目標を駆逐する!」

 

 

 

 

 

ザキイィィィィィーーーーー!!!!!!

 

 

 

 

 

「な、なんと…!!!」

 

 

 

 

 

一瞬の出来事だった。イナクトが放った高振動ブレイドが敵機に当たると思ったとき、敵機がいつの間にか展開した実体剣でイナクトの左腕が綺麗に斬り裂かれたのだ。斬り裂かれた左腕はそのままの勢いに従ってイナクトのはるか後方に吹き飛ばされる。その一瞬の事に、エミリアはおろかその場にいたアリサ、ビリー、だけじゃなく全員が息を飲んだ。

 

 

 

「て、てめえぇぇ!!!」

 

 

すぐさま状況を把握したエミリアが右手に持っていたリニアライフルで敵を撃つ。が、至近距離で撃ったにもかかわらず、その敵は体を一回転させ、紙一重でそれを躱し、その動きそのままに左手に持ったビームサーベルを展開し、イナクトへ肉薄する。

 

 

 

「くうっ!? 私は…ッ!」

 

「スペシャルで…」 ザキイィィン!

 

「二千回で…ッ!」 ガキイィィ!

 

 

敵機が右手の実体剣と左手に持っていたビームサーベルを収納する。

 

 

「模擬戦なのよおぉぉぉ!!!」ズドオォォォォン!!!

 

 

 

ホントに一瞬だった。新型がともてはやされたイナクトがわずか三手で瞬殺されたのだ。そして、その場にいた全員の注目はそのイナクトを叩き潰したUnknow機へと移る。

 

 

 

「ちょっと失礼!」

 

「あぁっ! ち、ちょっとッ!」

 

「『失礼』だと申しあげましたが?」

 

 

 

アリサは近くにいた男性の双眼鏡を奪い取り、機体を見る。

 

 

 

(あれは一体、どこの機体なのッ?)

 

 

 

しらみつぶしに辺りの装甲を見て、なにか手掛かりがないか探す。そして、ふと、頭の部分。正確にはおでこの部分に注目してみるとそこには……

 

 

 

「GUN……DAM…?」

 

「ガンダム……それがあの機体の名前なのかい?」

 

「恐らくそうなのでしょうね…それにしてもこの高性能の機体、どこの機体なのよ…」

 

 

 

アリサとビリーは未だ謎多き機体を見ながら考える。

 

 

 

 

「エクシア ファースト・フェイズ終了。続いてセカンド・フェイズに移行する」

 

 

 

すると、背部にある白いコーン型の部分からまた緑色の粒子が放出され、ガンダムはその場から飛び立つ。

その後、エミリアは怒りを露わにし、自分を倒した機体に暴言を吐き、軍関係者はあの機体を逃がさんとし、追撃を指示し、ISと戦術機、出撃できる機体を全て導入して行った。

 

 

 

ピピッ

 

 

「ん? 追撃部隊か…数は三、問題ない」

 

 

背後から三機のヘリオンが接近し、リニアライフルを撃って来る。それを躱して今度はこちらがGNライフルで狙撃するが向こうの機体もそこそこの機動力があるみたいで危なげなくだが、躱してみせる。

 

 

「追撃に来たのはこの三機だけか?…… いや、そんなわけないか」

 

 

レーダーに映る機影を見る。そこにはイタリアのテンペスタとフランスのリヴァイブがそれぞれ三機、計六機がさらにこちらへ向かってくる。

 

 

 

「敵との距離を空けろ! 包囲して、殲滅する!」

 

「「「了解!!!」」」

 

 

おそらく部隊の隊長なのだろう、それらしき人物の指示で各機がエクシアを包囲する形で遠距離からライフルやらサブマシンガンなどで攻撃してくる。

 

 

「チィッ! 別に倒せない相手ではないんだがな…」

 

 

その攻撃をGNソードとライフルが一体化した武器を取り付けられたシールドで受け、時に体を旋回させてはよけてみたりして、相手の動きを見極める。

 

 

 

 

その頃、下に見えてる山の頂上付近では……

 

 

 

 

(増援接近! 増援接近!)

 

「フフッ…流石の兄さんもあれだけの数を一度に相手するのはきついかな?」

 

 

山の茂みに隠れ、座りながらもこちらの状況を見ている。『もう一機のガンダム』。

 

 

「さてと! そろそろ行こうか! このロックオン・ストラトスとガンダムデュナメスの初陣だ!」

 

 

 

一方、エクシアは…

 

 

 

「さて、この状況をどう切り抜けたものか…」

 

 

 

などと呆れた事を言っていたその時だった。

 

 

 

キュウイィィィン!!!

 

 

 

「きゃあぁぁ!!!」

 

「な、なに!?」

 

 

 

一発の粒子ビームがリヴァイブを撃ち抜く。

 

 

 

「この攻撃……ロックオンか?!」

 

 

刹那はこの攻撃を行っている人物を即座に理解する。

そして、その攻撃は休むことなく、次々に敵兵を落していく。

 

 

「デュナメス 目標を狙い撃つ!!」

 

 

その宣言通り、デュナメスはあれだけの敵をほとんど撃ち落とし、残っているのはテンペスタが一機のみ。

 

 

「そ、そんな! 全滅?!」

 

 

その事実に驚き、辺りを見回していたその時、目の前にターゲットだったエクシアが現れる。

 

 

「はっ!?」

 

 

ザキィィィン!!!

 

 

最後の一機をエクシアのGNソードが斬り裂き、テンペスタは地上に向かって落ちる。

 

 

 

「セカンド・フェーズ……」

 

「……終了!」

 

 

刹那とロックオンの言葉とともに二機のガンダムの目が光り、作戦終了を告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、中国某所 とあるパーティー会場

 

 

そこでは人革連創立記念パーティーが開かれていた。参加しているのは軍のお偉い方、中国政権の大物大臣や議員。そして、有望な貴族などなど…かなりの規模で開かれ、その中にはテレビ局の中継まではいっていた。

その中に一人、紳士淑女の中で若い少女が参加していた。

 

 

 

「お飲み物はいかがですか?」

 

「ん?」

 

「あ……ッ」

 

 

飲み物を持って来ていたウェイターがその少女の顔を見て一瞬止まる。アジア人特有と艶やかな黒髪を一本の三つ編みに束ねている。そして、歳は若いのに何故か気品溢れるオーラが全身を包んでいた。

 

 

 

「いただくわ……♪」

 

 

 

そう言うと少女はウェイターに近づき、手に持っていたシャンパンを手に持つ。

 

 

 

「そんな顔をしていては、男が下がりますわよ?」

 

「………ッ! ううぅ…」

 

「フフ…ッ」

 

 

 

少女はウェイターから離れ、シャンパンを口にする。

すると、一人の男が近づき…

 

 

 

「お嬢様、始まりました…」

 

「……そう、遂に動き出したのね。彼女達が…」

 

 

 

 

今までの純粋無垢な顔ではなくなり、大人びた顔になっていく。

 

 

 

 

 

 

〜パーティー会場近くの警備本部〜

 

 

 

 

「ん?」

 

「どうした?」

 

「いや、なんかさっきからセンサーに反応する物があってだな…いつも見たいな野良動物とか人の出入りなんかで反応するからそれほど対した事は無いんだけどよお……なんだか今日に限って反応数が多いんだよなぁ〜」

 

「仕方ないだろ…今日はこんなパーティーを開いてんだ。嫌でも人は出入りするし、野良動物だって通るだろ」

 

 

パーティーを主催しているゆえにその警備も大掛かりなものだ。パーティー会場から半径役30キロメートルの周囲を感知するレーダー索敵を取り入れてるため否応無しにセンサーが感知した情報が本部にまで届く。そのせいでいちいち確認をしなくてはならなくなったのだ。

 

 

 

 

「お前達、しっかり確認はしておけよ! 今はパーティーの真っ最中だ。下手に怠ればテロの標的になるんだ。反応があった場所の映像を回して確認しろ」

 

「了解」

 

 

 

 

警備員はすぐさま慣れた手つきで画面に映像をだす。

しかし、そこには驚くべき光景が写っていた。

 

 

「なッ!?」

 

「「おおぉぉ!?」」

 

 

 

四機の戦術機が、センサーを掻い潜ってこのパーティー会場へと近づいて来ていたのだ。

そのうちの一機は、センサーが反応して迎撃しようとする対空システムのレーザーを受け、爆散する。

 

 

 

「馬鹿なッ! あんな軽装備でここまで来られるわけがない!」

 

「どの道放っては置けん! スクランブルだ! 急いで迎撃部隊を向かわせろ!」

 

 

 

 

すかさずスクランブルがかけられ、迎撃部隊のチームが出撃準備にかかる。

 

 

「全くッ! こんな時に狙って来るなんて…」

 

「凰! 先に出撃し、迎撃するんだ!」

 

「了解! 凰 鈴音 甲龍! 出るわよ‼」

 

 

 

一機のISが迎撃システムを掻い潜った残りの三機の迎撃に向かう。

 

 

 

「見つけたッ‼ 食らえ、『龍砲』!」

 

 

 

中国の第三世代機、甲龍の特殊武装。空間自体に圧力を掛け、砲弾として打ち出す衝撃砲で戦術機を狙い撃つが、いかせん距離が離れすぎていて狙いが逸れる。

 

 

 

 

「クッ…! 精密射撃は苦手なのよねぇ〜……」

 

 

 

 

そう悪態をつきながらも、なんとか当てようとするが、いっこうにあたる気配がない。

 

 

 

 

「ダメ……ッ! このままじゃ止められない!」

 

 

 

 

そう思った時だった。戦術機の一機がこちらを向き、マシンガンを撃って牽制してくる。後の二機は何やら抱えていた荷物を持って、そのままパーティー会場へと加速する。

そして、その荷物の片面が開き、そこからは多弾導ミサイルが姿を現し、そのまま発射してしまった。

 

 

「クソッ! ダメ……間に合わない!」

 

 

 

ミサイルがパーティー会場に当たる……そう思った時だった。

 

 

 

ビイュ、ビイュ、ビイュ!!!!

 

 

ズドオォォォン!!!ドカァァァン!!!

 

 

 

突然、自分の後方から飛んで来たピンク色のビームが全てのミサイルを撃ち落としたのだ。

 

 

 

「へっ?!」

 

 

 

鈴は驚き、自分の後方を見ると、そこからこちらに向かって高速で移動するオレンジと白をベースにした飛行物体が見えた。

そして、その飛行物体は軽々と鈴を追い抜き、ミサイルパックを持っていた戦術機二機を撃ち落とす。

 

 

 

「なんなのよ…あいつ…! それに、あの速度はなんなの⁈」

 

 

 

 

 

「さて、残り一機ですが…ん?」

 

 

 

キュリオスが残りの戦術機を落そうと追撃するが、どうやら戦術機のパイロットは特攻しようと思ったらしく、さらに加速し続ける。

 

 

 

「特攻…? 全く、これだからテロリストってのは……ッ‼ カレン! 行きましたよ!」

 

 

 

 

エレンの言葉を聞き、さらにもう一機のガンダムが戦術機の前に現れる。

 

 

 

「了解です姉さん。ヴァーチェ 目標を破壊する!」

 

 

 

GNバズーカをGNドライヴと連結させ、大出力の粒子砲撃を放つ。戦術機はその攻撃に全身を飲み込まれ、爆散した。

 

 

 

「サード・フェーズ……終了です」

 

 

 

カレンが宣言し、エレンが呆れる。

 

 

 

「全く、やり過ぎですよ。カレン…」

 

 

 

 

 

 

 

 

この二つの出来事は直ぐに世界中の人々に知られる様になり、それと同時に亡国機業の声明を発表した。

その発表に世界は混乱し、各地の軍関係者は亡国機業の武力介入を恐れた。

 

 

しかし、それから約二ヶ月後、世界は再び混乱に見舞われた。その理由は…

 

 

 

 

 

「世界で始めての男性IS操縦者が発見されました! 彼の名前は『織斑 一斗』あのブリュンヒルデこと、織斑千冬の弟とあって、今注目を集めています!」

 

 

テレビの女性アナウンサーが滑舌の良い声でニュースを読んでいる。

 

 

 

世界中が注目を集める中、さらなる波乱が巻き起こるのはまだ先の話。

 

 

 

 




次回はおそらく、ISのストーリーを書いて、ちょいちょいOOを挟んでいく予定です!


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