IS〜世界を変革する者たち〜(凍結中)   作:剣舞士

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ちょっと遅くなりました。

第2話です。


第2話 ガンダムマイスター

「……マ…ドカ…?」

 

「兄さん! 」

 

 

俺を兄さんと呼び、抱きついてくる少女はまさしく俺たちの義妹である『織斑マドカ』だった。

 

 

「お、おまえ、どうして!? 誘拐されて、死んだって聞かされて、なんでこんなところに?」

 

「兄さんと一緒だよ。私も誘拐された後、どこかの研究室に拘束されてて、この人達に助けられたの……それで今はこの人達と一緒に活動をしてるの!」

 

「活動ってまさか、『戦争根絶』のか?」

 

「そう。私もこの人達と同じ『ガンダムマイスター』として活動してるの」

 

「ガンダムマイスター?」

 

 

 

強化兵士として、育てられていた一夏は作戦の内容以外の世界情勢を知らない。なのでそんな聞きなれない言葉をきいてもちんぷんかんぷんだ。

 

 

 

「まぁ、このままでは落ち着いて話も出来んだろう…カレン、一夏をシャワー室に案内してやってくれ。後の説明は落ち着いてからだ」

 

 

 

アイザックが手を打ち、とりあえず俺はカレンさんの案内でプトレマイオスの中にあるシャワー室へと案内された。

 

 

 

(にしても、マドカが生きててくれたの正直嬉しかったな。しかも、あんなに大きくなってたんだからなおびっくりだったぜ)

 

 

 

シャワーを浴びながらふと昔のマドカと今のマドカを比べてしまう。昔は身長も低く、顔が今の一夏のお腹当たりにあったのに対し、今のマドカは、一夏の頭一つ分小さいぐらいの身長だ。

 

 

 

(それにあいつ……少し…胸が…デカくなったか?)

 

 

 

一夏は小さい頃のマドカの姿しか知らない為に、今のマドカのスタイルのよさに少し驚き、疑念を抱く。

 

 

(ちゃんと出てるところは出て、引っ込んでるとこは引っ込んでたな〜…………ってッ! さっきからなに考えてんだ俺は!?)

 

 

 

先ほどからマドカの体のことしか考えてない事に気づき、頭を振る。

 

 

 

 

「兄さ〜ん」

 

「ッ! お、おぉ!? マドカか?」

 

「うん。兄さんの着替え、ここにおいておくからね」

 

「あ、あぁ…ありがとう」

 

 

 

マドカのいきなりの乱入に驚きながらも、シャワーを浴び終えて、俺は用意された着替えに袖を通してマドカと一緒に廊下を歩いていた。

 

 

 

「よかった…兄さんとまたこうやって一緒に歩けてるんだから♪」

 

「あぁ、俺もまさかここでおまえと再開出来るとは、思ってもみなかったよ…」

 

「それにしても兄さん…その格好とても似合ってるよ!」

 

「そうか? ありがとな」

 

 

 

今一夏が着ている服は黒いボトムスに白い長袖のシャツ。どうやら、マドカが選んで持って来たものらしい。

 

 

 

「にしても、おまえのその格好は一体なんなんだ?」

 

「ん? あぁ、これ? これは亡国機業の制服だよ。カレンさんも着てたでしょ?」

 

「あぁ、そう言えば着てたな」

 

 

 

マドカが着ている制服は、白いボトムスに緑色の丈の短いジャケットに手には黒いレザー手袋、そして、胸の当たりに緑色の菱形のマークがしるされてるインナーを着ている。

先ほど、俺をシャワー室に案内してくれたカレンさんはマドカの緑色のジャケットではなく、紫色のジャケットを羽織っており、それ以外はマドカと同じ物を着ていた。

 

 

 

程なくして、俺はマドカの案内でプトレマイオス内にいるクルーが全員集められているらしいブリーフィングルームに案内された。そこには先ほどのアイザックさんや俺を助けてくれたエレンさん、カレンさんと、その他にも五人のクルーが俺とマドカを出迎えてくれた。

 

 

 

 

「ようこそ一夏君。君にこの艦のクルー達を紹介するよ」

 

 

 

アイザックの一言で改めてプトレマイオス内のクルー達が自己紹介をしてくれた。

 

 

「この艦で戦術予報士をしてる スメラギ・李・ノリエガよ。よろしくね、一夏君」

 

「は、はじめまして、織斑一夏です!」

 

 

スメラギさんの放つオーラに自分の身が引き締まるのが目に見えてわかった。

 

 

 

「俺はこの艦の操舵をしてる ラッセ・アイオンだ。ラッセでいいぜ!」

 

「あ、はい、よろしくお願いします」

 

 

筋肉隆々の男、ラッセは雰囲気そのままとても厳つい。

 

 

「わしは、この艦でガンダムの整備や装備開発をやっとる イアン・ヴァスティーだ。よろしくな〜」

 

 

陽気に右手をあげてるイアンさん。この中ではこの人が一番年上だ。

 

 

「じゃあ、 次はミレイナです! ミレイナ・ヴァスティーと言うです! よろしくです!」

 

 

元気のいいツインテールの少女、ミレイナ。

 

 

「ん? 今『ヴァスティー』って…」

 

「あぁ、こいつはわしの娘だ」

 

「えぇ!? 親子揃ってこの組織に?」

 

「はいですぅ! ミレイナは普段オペレーターとして活動してるですが、時々パパのお手伝いなんかをしてるです」

 

 

 

イアンの娘と言う事もあってか整備の腕は中々のものらしい。

 

 

 

「私はフェルト・グレイスと言います。この艦では、ミレイナと同じオペレーターとして活動してます…よろしく」

 

 

 

ピンク色の髪で、なんとも華やかな印象を持っているが、中々に落ち着いた雰囲気を持っているフェルト。なんだかお姉さんって感じの人だ。

 

 

 

「そして、こっちにいるのがマドカ君以外のガンダムマイスターだ」

 

 

アイザックが手をむける。

 

 

「改めまして、カレン・N・メイザースと申します。ヴァーチェのガンダムマイスターです」

 

 

紫色の制服を来たカレン。メガネをかけた淡いノルティックブロンドの髪をした落ち着いた女性だ。

 

 

「『メイザース』? それにさっきからエレンさんの事を『姉さん』って…もしかして」

 

「えぇ、私はエレンの妹ですよ」

 

 

やはりそうだったかと思う一夏。それに、どことなく顔立ちも似ている…しかし、エレンの見た目が若いがゆえにカレンの方が姉に見えてしまう。

 

 

 

「何か失礼な事を思われませんでしたか?」

 

「い、いえ⁉ 何も……」

 

 

 

なぜ気付かれたのかと内心焦る一夏。エレンの事は先ほど紹介してもらったので残るは…

 

 

 

「私は、コードネーム ロックオン・ストラトスで活動してるの。デュナメスのガンダムマイスターだよ」

 

 

マドカは俺に向き直り、改めて自己紹介してくる。

 

 

「ロックオン……ストラトス…?……なんでまたそんな名前を…」

 

「だって…私はもう死んだ事になってるんでしょ? それに別にマドカって名前を捨てたわけじゃないもん。これはコードネーム! 活動するに当たっての私の名前!」

 

 

 

そう、世間では、マドカはもう死んだ事になっている。

 

 

「そう…だったな…悪いな。なんか、こう〜嫌な事思い出させちまって…」

 

「別に気にしてないよ。むしろ、これからの兄さんの事が私は心配だよ」

 

「これからの事?」

 

 

 

すると、イアンさんとアイザックさんが俺の前にくる。

 

 

 

「実はね一夏君。君に見てもらいたい物があるんだよ」

 

「見てもらいたい物? 何ですか?」

 

「それは、実際に見てもらった方が早いからな。案内してやる」

 

 

イアンさんの後をついて行って俺たちはある部屋の中に入る。そこにあったのは…

 

 

 

「これって…」

 

「我々が開発した機動兵器……『ガンダム』だよ。」

 

「ガンダム? ISとほぼ変わらない様に見えますけど……」

 

「あんな物と一緒にするな! こいつはわしとアイクが開発した最高傑作だぞ! あんな物よりパワーもスペックもこいつの方が上だ!」

 

 

自信満々に言うイアンさん。でも確かに現段階では全くない『全身装甲(フルスキン)』。その姿からは現行のISを凌駕するものがあるかもしれない。

 

 

 

「それで、なぜ俺にこれを?」

 

「君を呼んだのは、君にその青いガンダムに触れてもらいたいと思ったからなんだよ」

 

 

アイザックは目を閉じ、静かにそう告げる。

 

 

「これに? この機体は?」

 

「それは、型式番号 GNー001 ガンダムエクシアだ。」

 

「エクシア……」

 

 

 

白と青と赤のトリコロールの色合いのガンダム。見た目の武装からは近接格闘を主体としているみたいだ。

 

 

 

「こいつに触れてどうするんですか?」

 

「まぁ、触れてからのお楽しみと言う事で……」

 

 

 

話をはぐらかすアイザック。仕方ないと思い、エクシアに触れてみる。

 

 

・・・・・・何も起きない。何だったのかと思い、手を離そうとした時だった。

 

 

 

 

(あなたが…一夏? やっと、やっと会えた!)

 

「ッ……!? な、なんだ、今の!?」

 

「兄さん…やっぱり聞こえるんだね?」

 

「やっぱりって?」

 

 

 

何がなんだかわからないでいるとアイザックとイアンが近づいてくる。

 

 

「やはり、君にしか反応しなかったか…」

 

「アイク、やはりお前さんの見立ては間違っていなかったな」

 

「えっと〜、これはどう言う事なんだ?」

 

 

 

未だに何もわからない俺をそっちのけで感心しあう二人。いや、二人だけではない。その場にいる全員が考え込んでいる。

 

 

 

「やはり、エクシアは一夏君を求めていると?」

 

「そう言う事だ。そして、彼こそがこの世界を変革させれる唯一の存在だと言う事でもある」

 

 

 

 

スメラギとアイザックは確信を得た様に話す。その時俺はずっとエクシアに触れたままで、エクシアから流れ込んでくる声を聞いていた。

 

 

 

(君は…誰なんだ?)

 

(名前は…無いわ。でも、とりあえず今はエクシアって呼ばれてるかしら……)

 

(なんで……俺を呼んでたんだ?)

 

(私を使いこなせるのは…あなたしかいないからよ…)

 

(俺にしか…? なんで…?)

 

(あなたには…それだけの力がある…世界を解放し、呪縛から解き放つだけの力が…)

 

(世界を…解放…そんな力が…)

 

(えぇ、だから私の手を取って…私があなたを導く…一緒に戦いましょう…)

 

(そうだな…俺の見つけたいものは…もしかしたら戦いの中でしか見つけられないのかもしれないな…)

 

(だったら一緒に見つけましょう…一緒に)

 

(あぁ、そうだな…だったら名前を付けなきゃな…君の…)

 

(付けてくれるの?…名前を…)

 

(あぁ、君の名前は……『永遠(とわ)』だ。永遠に君と共に歩みたいから…ダメかな…)

 

(永遠……いい名前ね。気に入ったわ…)

 

(そうか?なら、これからよろしくな永遠)

 

(えぇ、一夏)

 

 

 

 

恐らく、誰にも聞かれていなかったであろう話を終えて、改めてみんなの方を見る。

 

 

 

「話は終わったかい? 一夏君?」

 

「えぇ、そして、決心しました。……俺も亡国機業にいれてもらえませんか?」

 

「おや? いきなりだね。なぜか聞いてもいいかい?」

 

 

 

アイザックの質問に俺は目を閉じ、答える。

 

 

 

「俺にはもう居場所はない。そして、永遠は俺と一緒にいてくれると言った…そして、俺の力が世界を変革する事が出来るのなら、俺は世界の未来を切りひらく為に、戦いたいと思ったからだ」

 

 

 

覚悟を決めたその目を見て、アイザックと全クルーは笑顔で迎えてくれた。

 

 

 

「ふぅー、私が説得する必要はなかったみたいだね…それにエクシアも名前をもらってご機嫌の様だし、いやはや君には感謝してるよ」

 

「兄さん…これからはここが私達の家で、この人達が私達の家族だよ」

 

 

 

マドカは喜び、俺の腕に抱きついてくる。家族…その言葉になんだか安堵してしまう。

 

 

「兄さんは、名前どうする?」

 

「そうだな…俺もどうせ死んだ事になってるんだろうからマドカと同じコードネームを名乗るのもいいかもな…」

 

「じゃあ、考えないとね」

 

「いや、もう考えてるのがあるんだよ」

 

「へぇー、ちなみに何?」

 

「刹那・F・セイエイ……刹那の瞬間まで、俺は守りたいものの為に戦うって決めたから…」

 

「フフッ…何だか兄さんらしいね」

 

「そうか?」

 

「では、改めてよろしくお願いするよ…一夏…いや、刹那君」

 

「あぁ、よろしく、アイザックさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






遂に昨日「精霊使いの剣舞」のアニメが放送されましたね!
待ちに待ったかいがありました。

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