IS〜世界を変革する者たち〜(凍結中)   作:剣舞士

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第1話です!
どうぞ!


第1話 プトレマイオス

 

「戦争根絶…? 私設武装組織?……」

 

「あぁ、すみません。一度に話し過ぎましたね。とにかく、あなたの身柄は我々亡国機業が保護いたします。一緒に来ていただけますね?」

 

 

 

金髪美人…もとい、エレンが俺に尋ねる。年齢はとても若く、まだ十代じゃないか?っと疑った。だが俺にはどうしてもわからない事があった。それは、

 

 

 

「なんで俺なんかを……?」

 

「なんで?……とは?」

 

「俺は見捨てられたんですよ? 家族に…なのになんで……」

 

 

 

 

 

そう、俺は見捨てられたのだ。あの日に…

 

ISの世界大会…第2回モンド・グロッソの決勝戦の日、俺と一斗は千冬姉の応援で会場に足を運んだ。しかし、そこで謎の組織の人間にスタンガンで気絶させられた後、どこかの倉庫に縛られ、殴る蹴るなどの暴行にあっていた。

どうやら彼らの目的は、千冬姉の決勝戦の欠場だったらしく、俺たち兄弟を誘拐すれば、欠場出来ると踏んだんだろう。そして、目論見通り千冬姉は欠場した。がしかし、千冬姉が助けに行ったのは一斗の方だった…

 

 

 

 

 

「かわいそうになぁ〜、おまえの姉は、凡人のおまえより天才の弟を助けに行ったってよ?」

 

(そうか…14年もの間、一緒にいた兄弟を見捨てたのか…でもまぁ、意外と遅かったな……これでもう、俺に居場所がなくなったってわけか……)

 

 

 

 

俺には親がいなかった。いるのは長女の千冬姉、弟の一斗、そして、義妹のマドカだけだった。

両親は俺らが物心付く頃からいなかった。千冬姉が言うには、蒸発したらしい。マドカは父が再婚した時の母親方の娘だった。人見知りでよく俺や一斗の後ろに隠れていた。

そして、その後近所付き合いで篠ノ之神社で剣術指南をやっている篠ノ之柳韻さんのところで剣道と剣術姉弟みんなで習っていた。その頃から千冬姉と一斗は持ち前の才能を発揮していた。二人共剣道の大会では優勝するくらい強かった。俺とマドカはそんな二人に追いつきたくて一生懸命頑張った。剣道だけじゃなく、勉強も、それ以外の事も。だが、周りからの評判はひどいものだった。『織斑千冬の出来損ないの弟』、『弟より劣った兄』などとそれはもう散々な言われようだった。そんな俺を見て一斗は俺を見下していたが、千冬姉とマドカだけが俺をちゃんと見ていてくれた。だか、

 

 

 

「どう言う事だよ千冬姉! なんでマドカの捜索を打ち切ったんだよ!」

 

「警察が言うには、マドカは誘拐犯のアジトにはもういなかったそうだ…殺されたか…どこかに連れ去られたか…それ自体も分からんらしい」

 

「だからってなんで……!」

 

「一夏。もうやめなよ…千冬姉が困ってるじゃないか」

 

「一斗! なんでおまえまで冷静でいられるんだよ!マドカが誘拐されて、心配じゃないのか!?」

 

 

 

 

そう、マドカが誘拐された。警察も居場所が分からず、捜索は難航し、結果的には、マドカは未確認ではあるが、死亡したと断定されたのだ。

 

 

 

「ふざけんな‼ なにが死亡だ!? ろくに確認もしないでいい加減な事言ってるに決まってるだろ!」

 

 

この場で激昂していたのは俺だけだった。もちろん千冬姉も一斗も最初は心配していた。が、今はもうマドカは過去の人になっていた。それが俺にはどうしても許せなかった。しかし、それからもマドカの手がかりは見つからず、迷宮入りとなってしまった。

 

 

それからと言うものの、世界では、ISが幼馴染であった篠ノ之 束さんによって発表された…詳しくは白騎士事件を機にだが。それから千冬姉はモンド・グロッソで優勝し、『ブリュンヒルデ』の称号を得た。一斗も同じく、世間から『天才少年』と呼ばれていた。そんなわけで俺に対する比較と評価がまた凄まじいものとなっていったのだ。そして今に至る。

 

 

 

「なんで……ですか…そうですねぇ、敷いて言うなら我々の組織のNo.1であるアイクがあなたに非常に興味を持たれているからですよ。」

 

「興味…?」

 

「えぇ、あの織斑千冬の弟で優れた洞察力と観察眼、そして類稀な戦闘能力をお持ちだとかで…」

 

「なるほど…そのアイクって人も俺を『世界最強の付属品』としてでしか見ていない訳か…」

 

 

別に今更見て欲しいなんて思ってもいない。それが俺の運命なんだから。

 

 

「別に、アイクはそんな事を思ってあなたに興味を持った訳ではありませんよ」

 

「えっ?……なら、なんで…」

 

「それは、本部に戻ってから話します。では、行きますよ」

 

「あ、あぁ」

 

 

 

 

 

 

それから俺はエレンに抱きかかえられる形で空を飛び、彼らのアジトへと向かって行った。

 

 

 

「な、なぁ、俺たちはどこに向かってるんだ?」

 

「アジトですよ? 我々の」

 

「だよな…けどそのアジトっぽいものがなにもないんだが…」

 

 

 

俺がそう思ったのも無理もなかった。なぜなら、ここは海の上だったからだ。基地と言うか、建物らしきものがなにもない。

 

 

「あぁ、それならあそこですよ」

 

「あそこ?…………えぇ〜っと、、、雲の中?」

 

「違いますよ。その手前です」

 

「手前ぇ?」

 

 

目の前にあるのはどでかい雲があるだけだ。だがどこか視界が不安定にも思えたときだった。

 

 

「なっ……⁉ なんだあれ‼」

 

 

いきなり目の前に巨大な戦艦が出て来たのである。

 

 

「あれが我々亡国機業のアジトである戦闘艦『プトレマイオス』です」

 

「プトレマイオス……」

 

「そうです。……そして、ようこそ一夏。プトレマイオスへ」

 

 

 

移動している間に日は沈み、月明かりが照らす中、幻想的に映るプトレマイオスと微笑むエレンの顔がとても美しく思えた。

 

 

 

「こちらエレン。プトレマイオス、聞こえますか?」

 

「こちらカレン…おかえり姉さん。今、ハッチを開けるわ」

 

「了解………一夏、中に入ったらあなたに会わせたい子がいます」

 

「会わせたい子?」

 

「えぇ、あなたに会いたがっていましたから」

 

 

 

そう言うと、開いたハッチから俺たちは入っていく。

 

 

「やあ、エレン…お疲れ様。……おや? もしかして彼が…?」

 

「はい、アイク。彼が織斑一夏です」

 

「おおぉ!! 君が一夏君か! よろしく、私はこの組織を統括しているアイクことアイザック・ウエストコットだ」

 

「お、織斑一夏です…よろしくお願いします」

 

 

 

アイクことアイザックが俺に手を差し伸べてくる。俺はそれに応え、アイザックと握手をかわす。

 

 

「そう言えば、俺に会わせたい子って言うのは……」

 

「あぁ、それなら…」

 

「兄さん!」

 

「えっ!?」

 

 

 

いきなり後ろから俺を呼ぶ声。しかも、俺の事を『兄さん』と呼ぶのはただ一人。

 

 

 

「マ…ドカ…」

 

 

そう、誘拐され、死んだと思っていたマドカがそこにいた。

 

 

 

 

 




亡国機業の戦艦はガンダムOOのセカンドシーズンに出てくるプトレマイオスです。

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